父さんが釣ってきた珍しいポケモンのお話   作:しぐ

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新年あけましておめでとうございます。
思いつきました。ちょっと短め。


釣りをしていたら麦わら帽子の少女に会ったお話

 釣りをしよう。

 唐突に浮かんだその思考が頭の中を支配してしまったので実行する事にした。

 

 いや、理由はきちんとある。普段ミロカロスはボールの中で窮屈な思いをしているだろうから時々海でのびのびと泳いで欲しいというアレである。

 

「ほら行ってこーい」

 

 ドポンと水飛沫を上げながら綺麗に海に入っていき、途端に何処にいるのか全くわからなくなってしまった。

 そして釣り竿を取り出してトプン。

 

「いい釣り竿をゲットしたからには試さねば、と」

 

 今までもミロカロスの為と称して釣りをしていたが、なんというかボロかった。故に今回グレードアップに踏み切った次第である。

 

 のんびりするのが好きな俺は、糸を垂らして獲物がかかるまでの間の時間が存外嫌いではない。

 元々ミロカロスを遊ばせている間の暇つぶしで始めた釣りだが、いつの間にか手段と目的が入れ替わっている気がする。

 

「まあいいか」

 

 ミロカロスも海で遊べて楽しい。俺も釣りが出来て楽しい。いい事づくめである。

 

 

 

「…………」

 

 釣れないなぁ。

 全くと言っていいほど釣れない。そもそも竿がピクリともしない。しかし、こういう日はいくらでもある。運の巡り合わせが良くない日が今日だったと思い、心を落ち着ける事が要求される。

 時間はまだお昼時。そう、まだお昼ご飯を食べていないから少し心に波が起きそうになっているだけで、空腹が原因なのだ。断じて釣れないからではない。

 

「今日のお昼ご飯は……っと」

 

 なんの変哲もないサンドイッチである。釣りを継続しつつ片手で食べるには最適の一品。ピクリともしない釣竿を眺めながらボーっと食事をするのはとても贅沢なのだがそろそろ当たりが欲しい。

 

「……お?」

 

 ピカチュウだ。

 ピカチュウがいる。

 海の上に。

 

「サーフボードで波乗りするピカチュウかぁ……野生かな」

 

 ミロカロスを戻す事を考えつつ、周りを見て人影がないかを確認。

 サーフボードなんて使ってるピカチュウがそう都合よく野生だとは思わないけれど。

 

「……いない?」

 

 であれば偶々サーフボードを手に入れたピカチュウが自発的に水の上で波乗りの練習をした事に。いや、どんな確率だ。

 トレーナーと逸れて進んできたと考える方がよっぽど自然だな。

 

「野生じゃなかったら後が面倒だし」

 

 もし逸れたトレーナーが後から追いついて俺がピカチュウを捕獲しようとしている場面に遭遇したらどう足掻いても面倒な事になる。

 諦めよう。

 

 

 

 

 

 波乗りでどんどん進むピカチュウを見送ってある程度時間が経った頃。

 相も変わらず竿はピクリともせず、流石にアタリが来なさすぎではないかと首を傾げていると、

 

「あの、すみません! サーフボードに乗ったピカチュウを見ませんでしたか!?」

 

 麦わら帽子を被った少女が息を切らして走ってきた。

 ……良かった。こんな子の手持ちポケモンに手を出すところだった。

 

「見たよ。向こうから来てあっちの方にどんどん進んでったな」

 

「本当ですか! ありがとうございます!」

 

 そう言って駆け出そうとする。

 

「あ、待って。どうせなら送って行こう」

 

「いいんですか?」

 

「うん。結構濡れるだろうけど、それでもいいのなら」

 

「お願いします」

 

「了解」

 

 ピュイと口笛を鳴らす。

 これは戻っておいでという合図で、よっぽど遠くまで行ってなければ──。

 

「ふぉぉぉぉう」

 

 随分と早いね……?

 まあいいや。

 

「ずぶ濡れは覚悟して。ミロカロス。なるべく水飛沫をあげないように素早くお願い」

 

「ふぉぉう」

 

 任せて、とばかりに頷いてくれた。

 うちのミロカロスはとても頼もしい限りである。

 

「……? 急ぐよ?」

 

「あ、はいっ! 今乗ります!」

 

 俺はミロカロスの背に立ち、麦わら帽子の少女はミロカロスに跨らせるのを確認して、出発する。

 

「わわっ、結構揺れるんですね」

 

「うん、どうしても揺れるから落ちないようにしっかり捕まって」

 

「……お兄さんは、よく立てますね」

 

「練習したからね」

 

「練習?」

 

「そう、ミロカロスみたいなフォルムのポケモンに立って波乗りをしてみたかったんだ。流石に波が高いと無理だけどこのくらいならこの通り」

 

 理由はただ一つ。跨るよりその方がカッコいいから。

 それだけの理由で俺はミロカロスの背に立っている。

 

「それよりも、聞いてもいい?」

 

「あ、はい。何でも聞いてください」

 

「ピカチュウと大分離されてたようだけど何かあったの?」

 

「あ、あー……」

 

 麦わら帽子の少女は少し言いづらそうに頬をポリポリとかいたあと、数瞬口をパクパクさせてから意を決した表情をして、

 

「その、日差しが気持ちよくて昼寝をして……起きたらピカがどこにもいなくて」

 

 昼寝をしていた事を恥ずかしそうに告白する。

 

「ああ。今日はとても良い天気だからね」

 

 寝ていたら自分のポケモンがいなかったなんて焦るだろう。なんせトレーナーはいい人ばかりではないのだから。

 

「見えてきたよ」

 

「あ、ピカ! ……良かったぁ」

 

「ふぉぉぉう」

 

「良かったねって」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 麦わら帽子の少女のピカチュウも無事に見つかり、ミロカロスも遊べたようで上機嫌。全くアタリが来なかった事を除けばパーフェクトだったのに。

 

「まあいいか」

 

「あ、お兄さん。今日は本当にありがとうございました!」

 

「何ともなくて良かったよ。次から昼寝する時は気をつけてね」

 

「う……気をつけます」

 

「じゃ、また縁があったら会おう」

 

「……ボクは、イエロー・デ・トキワグローブっていいます! お兄さんのお名前は何ですか!?」

 

「しがないトレーナー見習いだよ。名乗る程の者でもないかな」

 

 キメ顔。そして颯爽と立ち去る……!

 カッコいいのでやってみたかった。麦わら帽子の少女もといイエローには申し訳ないけど、うん、また会えるでしょう。

 




ポケスペはいいぞ(布教)
29巻までしか読んでないですが、ポケスペは最高です。笑いあり、涙ありです。オススメです。

時系列で考えると頭がバグりそうになったのでそんなものは気にしない方向で。いずれ矛盾が出そうな気もしますが広い心で許してくださいお願いします。

続き?は思いつくまで気長にお待ち下さい

ブイズ人気投票します。一位のポケモンが主人公の手持ちになるらしいです。

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