シェイミ編を書いていたら唐突に書きたくなったお話。
空を飛びたいと、いつも空を見上げていた。
僕に出来る事は精々木を這い回る事ぐらいで。
木の上から届くはずのない空を見上げていた。
空を悠然と飛ぶあの姿に憧れた。
悠々と空を飛び、空は自分の物だと主張する様に雄大で。
大きな翼を持って羽ばたきたい。そういつも願っていた。
あるはずのない翼を幻視して、木の上から飛び降りた。
もちろん地面に落下して、痛かった。
見上げた空は更に遠かった。
何度も、何度も飛び降りて、いつか翼が生えないかと叶うはずのない願いを抱いて。
仲間に笑われた。
出来るわけないと言われた。
飛べると言い返した。
いつか飛べると信じていた。
あのカッコいい翼を携えて、僕も空を悠然と飛ぶんだ。
蛹になった。
殻の中で翼を幻視する。
あの空を飛べる翼が欲しいと願った。
殆ど動けない身体でそれだけを願った。
遠い、遠い空を見上げて。
ああ、今日も空を飛ぶあの姿が見える。
大きな翼でカッコいい姿で。
僕も、空が欲しい。
欲しくて、欲しくて、堪らない。
それだけでいいんだ。
殻が割れる。空が見える。
ああ、羽ばたける。
空が見える。空に手が届く。
ついに、ついに、あの空が手に入る。
優雅に、華麗に、そして空を僕の手に。
ずっと憧れた空を飛んでいる。
無理だと諦めなくてよかった。
楽しい。
楽しい。
今が、とても楽しい。
あの時見上げた空がここにあって。
ただ見上げているだけだった僕はもういない。
この空を自由に羽ばたける僕は、
あのカッコいい姿にも劣らない。
木が、あんなにも遠い。森を全て見渡せられる。
ほら、あの姿が横にある。
埋まるはずのなかった距離が今、埋まった。
叶うはずのない願いが、叶ったのだ。
ひらりひらりと舞い降りて、花の蜜を吸う。
空を見上げてみた。
あの頃はあんなに遠く感じた空が、今はこんなにも近く感じる。
僕を馬鹿にした仲間が飛んでいる。
とても楽しそうだ。
そうだろうそうだろう。空は楽しい。
僕があんなにも焦がれた空は楽しいだろう?
蜜を吸い終わったのでまた羽ばたく。
どんなところにも行ける。だってこの羽があるから。
色んなところに行って色んな場所を見たい。
どんな花があるんだろう。何がいるんだろう。
襲われるかな。仲良くなれるかな。
何だって出来る。だってこの羽があるから。
自由で、無敵で、カッコいい、僕の羽。
さあ、羽ばたこう。
どこまでもどこまでも高く。
どこまでもどこまでも遠く。
何よりもこの自由な空へ。
僕にはそれが出来る。出来るんだ。
だって、僕は蝶だから。
というわけで空を飛びたいと願ったキャタピーのお話でした。
空を飛んでるポケモンはボーマンダのつもりで書いてます。
……あれ、ボーマンダに乗って空を飛んでるトレーナーがいたような。
次は気が変わらなければシェイミ編です。
それでは、気長にお待ちください。
感想をくれると元気が出ます。
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