ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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赤い弓兵さんのファンのかたスイマセン。
先に謝っておきます。
気分を害される方もいるかも知れません…。



本日の目玉商品『鉄の剣』

辛くもクロコダインを退けたダイ達。

一行は一旦ネイルの村に帰還し旅の疲れを癒す事になった。

 

「ピィ~~!ピピィ~~!」

 

「ゴメちゃん!」

 

ダイ達はゴメちゃんがついてきた事に驚き、また再開を喜んだ。

 

「それにしてもゴメちゃんは凶暴化しないんだな」

 

「そうなんだよ。こいつにはなにか不思議な力があるのかもな」

 

「とにかく会えて良かった。ありがとう!マァム、タケル」

 

「どういたしまして……あ、お母さん」

 

人垣から出てきた優しそうな妙齢の女性。

マァムは嬉しそうに女性に駆け寄った。

 

「紹介するわ。母のレイラよ」

 

マァムは親娘並んで紹介。

並んでいるところをこうして見ると良く似ている。

 

「ねぇ お母さん、この子達もアバン先生の弟子なんだって」

 

「まぁ!アバン様の!?」

 

レイラは嘗て夫ロカとアバンと闘った仲間らしい。

戦士ロカと僧侶レイラ。

間違いなく英雄だ。

僧侶と戦士の力を受け継ぐマァムは『僧侶戦士』という事だ。

 

「ところでアバン様はお元気ですか?」

 

レイラの言葉にダイは気まずそうにポップと顔を見合わせた。

ポップは言いづらそうに俯く。

 

「……え、えっと」

 

「げ、元気ですよ!」

 

ダイはポップの言葉を遮りながら無理やり笑顔を作った。

 

「そりゃもう、ピンピンしてますよ!」

 

「そうですか。良かった」

 

レイラは嬉しそうにニッコリと微笑んだ。

 

 

 

 

「ふむ、素晴らしい品揃えじゃのう」

 

「はい オレ自ら作り、仕入れた品々ですよ」

 

オレは現在、村長の家に来ていた。

村長と商談を行なっている。

魔王軍の復活に伴い商人が来なくなった村に蓄えの余裕は殆ど無い。

村に戻ってきた後、村長は直ぐにこれからの村の事を相談してきたのだ。

商人であるオレに食料や薬草などを売って欲しいのだとか。

 

「大した金額は払えぬが、何とかならぬものかのう…」

 

「こっちとしても商売ですからね。まぁ、多少は勉強させてきただきますが」

 

「おお、それは有難い!……それから、すまんが村を守るためにも…」

 

「武具が欲しいのですか?」

 

オレの前に並べられているのは薬草や毒消し草に食料だ。

袋から次々と取り出したオレに村長はそれはもう驚いていた。

やはりゲーム仕様の四次元袋は見た事がないようだ。

付け加えると、この袋はオレしか使えない。

ゲーム同様に盗まれる事は無いのだ。

オレ以外の人間は袋に物を入れることも取り出すことも出来無い。

 

「うむ、武具が高価な事は承知しておるが…。マァム……、あの娘だけに負担を掛け続けるのは…」

 

この村は本当に良い村のようだ。

村長を始めとした全ての村人がマァムの身を案じている。

まさに『一人は皆のために皆は一人のために』だ。

オレはドケチだが人情がない訳ではない。

それに今は平和な時代とは異なり非常時だ。

オレは鉄の剣や槍、盾を次々と取り出していく。

鎧や兜は……まぁ要らないだろう。動けなくなるだろうし。

鍛えていない村人が完全武装は無理がある。

本日の商品はコレだ!

 

鉄の剣(1000G)

鉄の槍(1350G)

鉄の盾(900G)

 

「村人の男性の人数分、用意できますが如何いたしますか?」

 

「ううむ……、村にそんな金はないわい」

 

村の人口はそれほど多くはない。

若者の多くは城を守るために徴兵されているからだ。

武器を扱える男性は大体十人くらい。

それでも人数分の装備を揃えれば大金になる。

 

「そうですか、ならレンタルはどうでしょう?」

 

オレは予てより温めていた計画を初めて見ることにした。

 

「レンタルじゃと?」

 

「はい、これらの装備を格安でお貸しします。期限は1年間、値段は本来の十分の一でどうでしょう?」

 

「うむ…、これならば何とかなりそうじゃな。しかし良いのか?食料や薬草に加えて武具まで…。ワシが言うのも何じゃが、お主にも生活はあるじゃろう?」

 

「心配は要りませんよ。村長はオレよりも村の事を考えてあげて下さい」

 

ぶっちゃけた話、余り金には困っていない。

チートな能力があるから稼ごうと思えばいくらでも稼げるのだ。

それにネイルの村は英雄の村だ。

ちょっとした下心から贔屓にしたいと思う。

 

「……すまぬ」

 

村長は申し訳なさそうに俯いてしまった。

いや、マァムの生まれ故郷だし、この先の事を考えるとね…。

それにマァムは間違いなくダイ達に付いて旅に出てしまうのだ。

マァムの価値と天秤にかければ全然足りないくらいだ。

こうして武具を与えておけばマァムの心も少しは楽になる筈。

結果、オレの保身に繋がる!

 

「長老様、タケル!」

 

「ダイ?」

 

やって来たのはダイだった。

何やら真剣な面持ちでオレたちを見ている。

そして意を決したように口を開いた。

 

「どうか俺に、魔法を教えて下さいっ!!」

 

「何じゃと!?」

 

「はい!俺がこの村にいる間だけでいいんです」

 

「ダイ…」

 

「俺だけが呪文が苦手だなんて言ってられない!」

 

「しかしじゃな…確かにこの村ではワシが一番の魔法の使い手じゃ。だがアバンの使徒である君に教える程の力は無いぞ」

 

「右に同じく」

 

俺も人に教えるほどじゃない。

俺の魔法の使い方は中二全開の妄想力と魔法力に頼った力ずくだ。

多分、参考にはならないだろう。

某・赤い弓兵よろしく「想像するのは常に最強の…」みたいなノリでやってるのだ。

やばい、考えれば恥ずかしくなってきた。

絶対に人には教えられないな。

 

「俺、先生には3日しか修行を受けてないんだ」

 

ダイは目を伏せて消え入りそうな声で言った。

 

「なんじゃと!?どういうことじゃ!?」

 

ダイは悲しそうな表情を上げて告白した。

 

「長老、それにタケル…。マァムやおばさんには絶対に言わないで下さい…!先生は…、アバン先生は死んだんですっ!!!」

 

ダイは涙を流しながら言った。

握りこんだ拳と肩が震えている。

見ていられないな。

俺はダイから目を逸らした。

 

「…あ」

 

森の向こうに誰かが走り去っていく。

あの後ろ姿はマァムだった。

オレたちの話を聞いていたのだろう。

これで原作通りマァムはダイ達と旅立つ。

喜ぶべきなんだろう。

だけど…。

 

「やりきれないよな…」

 

アバンは実は死んでいない。

教えるのは簡単だ。

けど、何故オレがそんな事を知っているのか矛盾が生まれる。

それだけではない。

アバンが心を鬼にして身を隠した意味が無くなってしまう。

オレ自身も力を貸すなら、ダイ達の成長を阻害しない程度にしなければ。

これはさじ加減が難しい。

 

「タケル?」

 

「…あ、ああ。ごめんダイ。魔法の修行か……。オレも感覚的に使っているだけだし…」

 

「その感覚を教えて欲しいんだ」

 

「俺からも頼むよ」

 

「ポップ!」

 

何時のまにか現れたポップもオレに頭を下げた。

 

「俺に出来るのは手本として実際にやってみせる事だけだ。それでも良いなら構わないけど…」

 

「充分だよ!ありがとう!」

 

「ならばワシも微力ながら手助けさせてもらうかの」

 

こうしてダイの魔法の修行が始まった。

ダイは殆どの呪文の契約を既に済ませた後らしく契約の必要な無い。

どうやら故郷で育ててくれた『じいちゃん』が自分を魔法使いにする為に片っ端から契約をさせたらしい。

魔法を扱う素養と準備自体は問題ないのである。

 

「じゃあ取り敢えず火炎系呪文(メラ)からだな」

 

取り敢えず最も魔法力(マジックパワー)を消費せずに簡単なのから挑戦。

俺の知る限り呪文とは先天的な資質があれば誰にでも使うことの出来るものだ。

契約によって魔法の力を宿し習得する。

そして魔法力、力量ともに足りていれば魔法は発動する。

そんな具合だ。

 

オレに促されて火炎呪文を唱えるダイ。

しかし呪文は巧く発動しない。

掌にマッチで付けたような小さな火が出るだけだ。

何度も唱えるが結果は同じ。

ダイは子犬のような目をオレに向けた。

 

「じゃあオレがやってみせる。ダイ、良く見ててくれ」

 

「うん!」

 

オレの先には藁や木の枝で出来た人形が立てられている。

オレは指先に魔法力を集めプラス方向にイメージする。

こういう時に原作知識が役に立つ。

想像するのは常に最強の自分……なんちゃって。

 

「すげー」

 

オレの指先に瞬く間に火球が生み出された。

その大きさは大体バスケットボールくらいだ。

赤い炎はオレの想像力によって黄色に変わる。

あ、ちょっと間違えた。

 

「火炎呪文(メラ)!」

 

撃ち出された火球は轟々と音を立てながら人形に命中。

一瞬で人形を灰に変えた。

 

「な、なな…」

 

振り変えると全員あんぐりと口を開いて固まっている。

やり過ぎたか?

確かに先刻のメラはメラミ並の威力があったからな。

現代で生きたオレは炎の色によって温度が変わってくる事を知っている。

魔法とは集中力とは良く言ったものだ。

錬金術師たるオレに相応しい使い方だ。

 

「あ……あれのどこが火炎呪文(メラ)だ!どうみてもメラミだろ!」

 

「凄いや!どうやったらそんな風に魔法が使えるの」

 

ダイは尊敬の眼差しをコチラに向けてくる。

やめて!そんなに純粋な目を向けないで!

オレのライフはとっくにゼロよ!

 

「ま、まぁ…それはオレの中二の妄そ……、いや想像力というかなんというか…」

 

「チューニ?想像?どういう事?」

 

「そんな言葉、聞いた事ねーぞ」

 

ヤバっ!

声に出てた!?

えっと、どう言おうか…。

まさか中二病の説明をする訳にもいかなしな。

そして苦し紛れに出た言葉は。

 

「……そ」

 

「そ?」

 

「想像するのは常に最強の自分」

 

ゴメンナサイ赤い弓兵さん。

オレはあなたの言葉を汚してしまいました。

 

「なんか良いね。それ…。そうか、常に最強の自分かぁ…、そういえば先生も言ってたっけ?魔法はインスピレーションだって」

 

ポップも思うところがあるように頷いている。

ダイは気を取り直して標的である人形に手をかざした。

 

『―火球呪文(メラ)!』

 

見事に火球が出現する。

しかし飛んでいく気配がない。

 

「くっ、こうなったら…でりゃあああああああ!!!!」

 

ダイは火球を殴り飛ばした。

火球はオレの手本と同じように人形を灰に変えた。

ダイが無理やり打ち出したからだろう。

その威力はもはやメラではない。

マジで怖い。

ダイは嬉しそうにコチラを見ると、飛び上がって喜んだ。

 

「や、やったー!初めて自分の意志で魔法を成功させたぞー!」

 

「うむ、見事じゃ」

 

「けど、なんつう力技だよ…。あんなの成功した内に入らねーよ」

 

「まぁ良いじゃないか。あんなに喜んでるんだ。水を差すのもな…」

 

「確かにな…」

 

ダイは未だに飛び跳ねて喜んでいる。

オレも初めて呪文を使った時はあんな風に喜んだな。

それはもう厨二全開だった…。

この際だ、次いでに真空系呪文(バギ)も教えてみるか。

オレは飛び跳ねているダイの所へ歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レベル:15

 

さいだいHP:89

さいだいMP:546

 

ちから:42

すばやさ:100

たいりょく:45

かしこさ:275

うんのよさ:256

 

攻撃力:115

防御力:107

 

どうぐ

E:ガンブレード

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

E:魔法の弾×10

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ

 

 




ダイの大冒険で中二病が誤解されてる…。
チューニ=魔法を使う為の優れた集中法?
ダイ君、ポップ騙されるな。

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