ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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今回は早くもダイと再開です。
タケル、呪われてるのかもしれません…。



本日の目玉商品『満月のリング』

潮の匂いと海鳥の泣き声が辺りを満たす。

オレはベンガーナに向かう船にいた。

船は波を掻き分けながらベンガーナを目指している。

船首に取り付けられている水瓶からは絶え間なく聖水が流れ魔物の接近を拒んでいる。これはオレが自腹で用意したものだ。

オレが自腹で用意しました。大事な事なので二回言いました。

 

魔物に襲われずに安全な船旅を満喫する為にはこのくらいしないと…。

聖水を垂れ流しの船など王家か豪商くらいしか扱っていない。

だからオレ豪商。

 

しかしオレは思い知ることになる。

船旅の脅威は魔物だけではないことに…。

 

「う、うわ~~~っ!」

 

「あ、嵐だー!急いで帆を畳め!」

 

「ボサッとすんな!」

 

現在オレの乗る船は大嵐に見舞われております。

轟々と突風が船体の横を殴りつけ豪雨は船の床を叩く。

雨漏りと異常な揺れでオレは甲板に出て仰天した。

 

「津波だ~~っ!!!津波が来るぞ~~~~~っ!!!」

 

「のわあああああああっ!?」

 

外に出たオレが目にしたのはコチラに向かってくる水の大壁だった。

津波は容赦なく船を飲み込みオレは海へと放り出される。

ヤバイ、これ死んだ?

オレの意識は身体と共に海の底に沈んだ。

 

 

 

 

ザザーン…

 

波の音が聞こえる。

 

「…んん、うぅ…」

 

身体の下の硬く冷たい感触。

そして動く小さな何か。

オレは薄く明けた目でそれを追う。

 

「…ヤドカリいや、マリンスライムか…?」

 

モンスター!?

オレは条件反射で飛び起きた。

スライム系は別に怖くない。

見た目的に全然問題ない。

けど怪物の前でぐうたら寝てられる程図太くない。

 

「砂浜…オレ、生きているのか…流れ着いたのか…?」

 

オレのいきなりの行動に驚いたマリンスライムは海へと逃げていく。

ははっ、流石のオレも今回は死ぬかと思った…。

運の良さ255は伊達じゃない…。

おっと、荷物は…良かった全部ある。

そうだよな。

オレの道具はスキルによってステ画面に隠してある。

無くなるわけがない!

でも…。

 

「ここ、どこだ?」

 

「ここはパプニカじゃよ」

 

「誰だ!?」

 

いきなり声をかけられる。

オレは腰のガンブレードに手を掛けた。

剣の心得はないが脅しくらいにはなるか?

念の為、雷帝の杖も出すか…。

振り返るとピンク色の鎧を身につけた老人がいた。

心配そうにコチラを見ている。

 

「そう警戒せんでもワシは敵ではないぞ…」

 

「…みたいだな」

 

オレは剣から手を離すと立ち上がった。

 

「ワシはパプニカに仕える兵士。名をバダックという…お前さんの名は?」

 

「オレは商人のタケル。ベンガーナ行きの船に乗っていたんだけど大嵐にあって船は沈没…気がついたらここに…お爺さん、ここがパプニカと言ったけど…」

 

「そうじゃ…」

 

「くそ!流れ着いた先がよりにもよって!直ぐに身を隠さないと…」

 

「お主…」

 

「情報は商人の命だ。パプニカの現状なら知っているよ。既に魔王軍に滅ぼされたんだろう?」

 

「滅ぼされとりゃせんわ!まだ姫さまは存命じゃ!レオナ様が居る限りパプニカはまだ終わっておらん!」

 

オレの言葉にバダックはすごい剣幕で否定した。

 

「すまん…失言だったな…お爺さん、けど大声出さないほうがいい…」

 

オレはバダックを近くにある大きな岩の影に引き込んだ。

 

「な、何じゃ!?」

 

「見ろよ」

 

オレの指先には骸骨の兵士がキョロキョロと当たりを見回していた。

魔王軍の偵察だろう。

生き残りがいないか確認しているのだろうか…。

敵の姿にバダックはゴクリと唾を飲み込んだ。

 

「どうやらグズグズしてる暇はなさそうだ」

 

「そのようじゃな…」

 

「見つかる前に身を隠した方がいい。お爺さん…いやバダックさん、身を隠せるような場所はないかな?」

 

「おお、あるぞ。この先の山岳地帯に洞窟がある。実はお前さんの他にも2人、匿っておる」

 

「へぇ…」

 

間違いなくダイとポップだ。

という事はヒュンケルに敗退した後なのだろう。

早いところパプニカから出たいが今は無理そうだ。

既に滅びた国に船なんてあるわけないし…。

不死騎団の支配下にある陸路は危険過ぎる。

俺一人で抜けられる程甘くないだろう。

となるとダイがレオナ姫を助けだすまで待つしかないか。

魔王軍にバレないように少しずつ手助け…。

さじ加減が難しいな…。

オレは隠れ家への道中、これから先の事を思考していた。

 

視界の悪い森を抜け岩場を通りぬける。

そして足場の悪い山道の先にその場所はあった。

 

「ここじゃ」

 

洞窟の中からダイが出てきた。

 

「あ、バダックさん、おはよう」

 

「おはよう、ダイ君」

 

「やあ、ダイ、また会ったな…」

 

「あ、あ~~っ!タ、タケル!?タケルなの!?」

 

「なんじゃお前さん、知り合いだったのか?」

 

「まぁね」

 

「あの、ポップを知りませんか?朝起きたら居なくて」

 

「さあ…

 さっきは見たんじゃが…」

 

その時だった。

木々の向こうで眩い光りが放たれた。

 

「これは契約の儀式?」

 

俺達は顔を見合わせると、その場に急いだ。

そこには魔方陣の中で呪文契約を終えたポップがいた。

契約は成功した様でポップは安堵の息を吐く。

 

「ポップ、どうしたんだよ!」

 

「見りゃ分かるだろ?新しい呪文の契約を済ませたんだよ」

 

「新しい呪文…」

 

どうやらヒュンケル対策の様だ。

昨日戦った魔王軍の軍団長の一人。

不死騎団のヒュンケル。

奴の着ている鎧はあらゆる攻撃呪文を防ぐらしい。

軽減ではなく防ぐ。

なんともチートな装備である。

 

「ポップ、頑張るな…」

 

「…ん?お、おめえ、タケルじゃねえか!?」

 

「いや気づくの遅いって久しぶり…でもないか。ロモスの英雄さん」

 

「何でオメエがここに?」

 

「いや参ったよ…乗ってた船が嵐で沈んでさ…気がついたらこの通りさ。それにしても…」

 

「な、何だよ…」

 

「マァムの姿が見えないようだけど…また喧嘩でもしたのか?」

 

オレの言葉に二人は落ち込んだように顔を伏せた。

 

「マァムは…あいつは不死騎団の手に落ちた…」

 

ポップは悔しそうに声を絞り出した。

 

「そうか…その為の修行って訳か…」

 

「ああ、マァムは必ず救いだす!」

 

「うん!」

 

このポップの成長ぶり。

オレは思わず溜息を漏らしていた。

 

「本当に凄いな。頑張れよ二人共…」

 

 

 

 

ポップが契約によって身につけた呪文。

それは天候系呪文『ラナ』だった。

ポップが身に付けたのは天候系呪文の初歩。

雨雲を呼び寄せる『ラナリオン』だった。

今回の敵が呪文が聞かないのは承知の上。

だが唯一、ヒュンケルの鎧に対抗できる呪文がある。

それはライデインだ。

呪文を防ぐといっても鎧である以上、金属には違いない。

電撃なら鎧を伝って中の人間にダメージを与えられる。

しかし勇者ではないポップは電撃呪文は使えないし今のダイの力量では電撃呪文を使えるだけの魔法力がない。

だから…

 

「俺達二人でやるんだよ!」

 

ポップの目には力強い光が宿っていた。

 

「ライデインは雷雲を呼び敵に落雷を落とす呪文だ。だからオレが雷雲を呼べば普段のお前の魔法力でも雷が落とせるじゃねぇか」

 

「あ、そうか!」

 

「俺達二人の力を合わせてヤツを倒しマァムを救い出すんだっ!!」

 

「わかった!早速やってみよう!」

 

この調子なら問題なさそうだな…。

特訓は間違いなく二人を成長させる。

オレは正直限界だった。

さっきまで海を漂流してたんだからな…。

 

「バダックさん悪いけどオレ、休ませてもらうよ…流石に限界だ」

 

「あ、ああ…」

 

オレは洞窟の中に自前の毛布を敷いて横になった。

つい笑みが溢れる。

 

「ふふふ…地底魔城か…レアアイテム、有りそうだな…」

 

隠し通路に隠し部屋。

そこにあった魂の貝殻。

それには手を出さないが他の物なら問題ないよな?

明日はダイ達が暴れてくれるからお宝取り放題かも…

珍しい素材もあるかもしれないし。

忍び足と聖水があればゾンビ系の怪物なんて怖くない。

いや、やっぱり怖いかも…

リアルバイオハザードは怖いだろ…。

行くの止めようかな…。

一度ロモスに戻ったほうが良いのかも…。

オレはキメラの翼を取り出した。

 

「いや、でもな…」

 

しかしこんなチャンスはもう無いし…。

事が終われば確かフレイザードの暴虐で地底魔城は溶岩の海に飲み込まれるはずだ。そうなるともう地底魔城の捜索は出来無い…。

オレはキメラの翼をしまった。

 

「明日、ポップに呪文書を見せてもらおう…もしかしたらオレの習得していない呪文があるかも」

 

オレは考えることを放棄して眠気に身を任せた。

疲れが溜まっていたのかオレの意識はまどろみに溶けていった。

 

 

 

 

次の日。

目が覚めた俺達は地底魔城の入り口。

岩の螺旋階段にいた。

階段の下を覗くが暗く底が全く見えない。

俺達は身を隠すように底をのぞき込んでいる。

 

「ここが地底魔城…」

 

「マァムを助けないと…」

 

「しかし変じゃな…いつもならガイコツどもが見張ってるんじゃが」

 

「へっ!好都合じゃねえか!」

 

「うん!」

 

ダイとポップは立ち上がった。

 

「よぉしっ!ワシも一緒に行くぞ!」

 

「はぁっ!?…いやいや、いいんだよっ!じいさんはここにいてくれよっ!」

 

「何を言う!老いたとは言えこのワシはパプニカにこの人ありと謳われた剛剣の使い手じゃぞっ!!」

 

年寄り扱いされたのが気に触ったのだろうか。

バダックは剣を抜いて自己主張。

なんか危なっかしい…。

 

「まぁまぁ…今回は仲間を救い出すのが目的なんだから」

 

「そうだな…ここで見張りでもしていようぜ…」

 

「そうか…なら止むをえまい…」

 

バダックは剣を鞘に収めた。

 

「ダイ、ポップ…」

 

「何だ?」

 

「コレを受け取れ」

 

オレは二人に『満月のリング』を手渡した。

ヒュンケルの闘魔傀儡掌…。

あれが麻痺状態にする技ならこの装備は有効かもしれない。

 

「なんだよコレ…」

 

「多分、役に立つと思う…要らないなら返してもらうが…」

 

「いや、貰っとくよ。前にもらった身かわしの服…アレには随分助けられたしな」

 

「オレも驚いたよ。あのクロコダインの攻撃をヒラリヒラリと避け続けるんだから…!」

 

ダイは思い出したように言った。

そうか…。

あの装備、そんなに役に立ったのか…。

しかしポップがヒラリヒラリねぇ…。

 

「お前が渡すんだ。何か特別な力でもあるんだろうな…」

 

「じゃあ行ってくるよ」

 

二人は『満月のリング』を装備すると螺旋階段を降りていった。

 

「さてと…」

 

もう暫くしてから行くとするかな…。

お宝探しに…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日のタケルのステータス

 

レベル16

 

さいだいHP:95

さいだいMP:550

 

ちから:45

すばやさ:110

たいりょく:47

かしこさ:275

うんのよさ:256

 

攻撃力:118

防御力:112

 

どうぐ

E:ガンブレード

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

E:魔法の弾×10

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

ニフラム 

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ 

インパス

 


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