ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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タケル、ラッキースケベな回です。


本日の目玉商品『チーズ』

「……」

 

現在オレは地底魔城を一人歩いていた。

ダイ達が地底魔城に入って約10数分後。

オレはバダックさんに二人が心配になったと言って迷宮に入った。

通路は狭く黴臭い。

もしも戦闘になれば直ぐに死ねそうだ…。

前後から挟み撃ちにでも合えばヤバすぎる。

袋叩きにされてしまうだろう。

しかもこう狭くては強力な攻撃呪文も使えない。

下手をすれば迷宮が崩れて生き埋めになりかねない。

オレは敵を避けながら迷宮内を探索する。

 

「……牢屋?見張りがいる…あ、マァム発見」

 

暫く歩くと鉄格子が見え、向こう側にマァムがいた。

拘束されていて動けないようだ。

 

「…ゴメちゃん、見つかったのか?」

 

原作通りじゃない?

オレはあまりの光景に呆けてしまう。

マァムに付いてきたゴメちゃんが活躍して脱出に成功…。

 

「けど…」

 

どういうわけかゴメちゃんは鳥籠の中で見を回していた。

見張りのガイコツは1匹か…。

オレは息を潜めてガンブレードを抜いた。

腐った死体よりはマシな相手である。

理科室の模型だと思えば怖くない…。

 

「…疾っ!」

 

オレは勢い良く飛び出すと同時に引き金を引いた。

カシャン!

撃ち出された弾が刀身を炎の刃に変える。

ガイコツはいきなりの襲撃に対応できずに固まっている。

オレはその隙を突いて炎の剣でガイコツを両断した。

ガンブレードを利用した『火炎斬り』だ。

相手が不死系の怪物という事もあり、一撃でガイコツは沈黙した。

 

「タケルッ!?」

 

「マァム、無事か?」

 

「ええ…でもどうして貴方がここに?」

 

「ダイ達に偶然会ってな…

 心配になって助けに来たんだよ」

 

「そうだったの…ありがとう、タケル…」

 

オレは先ずゴメちゃんを鳥籠から出してやった。

ゴメちゃんは嬉しそうにオレの周りを飛び回る。

なんか可愛い…。

 

「ピピィ♪」

 

次にマァムの荷物と鍵を取る。

そして鍵を開けてマァムを牢から出す。

 

「助かったわ」

 

「よし、早くダイ達と合流しよう。二人もこの迷宮の何処かにいる筈だ」

 

「…タケル」

 

「どうしたマァム?」

 

「アレを」

 

マァムは牢の壁を指さした。

天井から少し下の位置に四角い穴があった。

通風口だろう。

 

「このまま行っても見つかるだけ…あそこから逃げましょう…」

 

「そうだな」

 

「私が魔弾銃で壁を破壊するわ

 そうすれば敵はそこから逃げたと思うはず」

 

「その案、採用!じゃあマァム、頼んだ!」

 

「ええ!任せておいて!」

 

マァムは壁に銃口を向けた。引き金を引く。

 

ズガァンッ!!!

 

弾に込められた魔法は爆裂系呪文(イオ)だった。

轟音と共に壁は砕ける。

 

「今だ!」

 

マァムは軽い身のこなしで通風口によじ登り中に入る。

オレもその後に続いた。

 

 

 

 

一方その頃。

ダイとポップは地底魔城の迷宮をひたすら彷徨っていた。

 

「そこの角はまだ行っていないな…」

 

二人は一つ一つ、まだ行っていない通路を虱潰しに歩く。

角を曲がった瞬間だった。

 

「ほが~~~っ!!」

 

ミイラ男が現れた。

 

「うわっ!逃げろ!」

 

「コッチからも来る!」

 

ミイラ男に続き不死系(アンデット)の怪物が次から次へと湧いて出てきた。

 

「こっちだ!」

 

ダイ達は怪物の来ない通路を選びながらひたすら走る。

 

「光りだ…もしかして外に出るのか?」

 

階段を上がった先に見える光り。

後ろからは怪物が追ってくる為、引き返す事は出来ない。

二人はそのまま走り抜けて外に出た。

 

「こ、ここは!?」

 

二人が出た先は観客席に囲まれた円の中だった。

若い男の声が響く。

 

「ここは地底魔城の闘技場だ!」

 

「や、やべえ!嵌められた!」

 

敵の意図に気づいたポップは舌打ちした。

自分たちはまんまとおびき寄せられたのだ。

 

「かつて魔王だったハドラーが捉えた人間と魔物を戦わせてその死闘に酔いしれたという血塗られた場所よ」

 

つかつかと階段を下りながらその男は現れた。

魔剣戦士ヒュンケルが。

 

「オレが貴様らに相応しい死に場所として選んでやったのだ…!!」

 

「いきなり武装してきやがった…」

 

以前の戦いとは違い初めから鎧を身につけている。

魔法使い(ポップ)がいる以上、魔法を警戒するのは当然の事だろう。

鎧さえ着てしまえば二人からダメージを受けることはない。

ヒュンケルは万全の体制で戦いに望んだ。

ダイは空を見上げた。

ここなら電撃呪文(ライデイン)が使える…。

絶対に負ける訳にはいかない。

ダイ達は目の前の敵を闘志の篭った目で睨みつけた。

 

 

 

 

「タケル、絶対に前を見ないでよ!」

 

「わ、わかってる」

 

「もう、こんな事ならタケルから先に入ってもらえば良かった」

 

俺達は通風口から出口を目指して進んでいた。

狭い通路にゴメちゃんは不満そうに鳴く。

普段から飛んでるゴメちゃんにはキツイだろうな…。

 

「仕方が無いって、通路には敵がいるんだから…」

 

オレは何か会った時の為に袋を探ってある物を取り出す。

 

「マァム、これを…」

 

オレは相変わらず下を向いたまま手を伸ばした。

オレの手には小さな袋が握られている。

 

「これは…チーズ?でも不思議な感じがするわ…」

 

マァムは中を覗いて目を丸くした。

 

「ピンチになればゴメちゃんに上げてみてくれ」

 

マァムに手渡したのはドラクエ8でお馴染みのチーズだ。

実は先刻、ゴメちゃんを助けた時に願っておいた。

チーズ食べれば色々出来る様になりますようにと…。

マァムは不思議そうな顔をしながらチーズの入った袋をしまった。

そして再び進み始める。

 

「…ん、あれは…きゃっ!」

 

「うわっ!マァム、急に止まらないでくれ!」

 

「ちょっと!イヤっ!お、お尻に…っ」

 

「わ、悪いっ!でも止まるならそう言ってくれ。マァムに言われた通り前見てないんだから」

 

「そ、そうね…ゴメンナサイ」

 

お、オレの顔にマァムのお尻の感触が…。

感無量です…。

ここに来て本気で良かった!!

 

「そ、それでどうしたんだ?出口、見つかったのか?」

 

「わからない…行ってみましょう」

 

マァムは穴を塞いでいる岩をどかして外を覗いた。

 

「これは…隠し部屋?」

 

マァムは部屋の中に降りた。

オレもその後に続く。

中は岩壁に囲まれていて入り口は見当たらない。

通風口が唯一の出入り口のようだ。

部屋の隅に宝箱が置いてある。

 

「開けてみようか…」

 

マァムは宝箱の前に立って躊躇いがちに言った。

 

「ちょと待ってくれ」

 

「タケル?」

 

オレは宝箱に手を伸ばして呪文を唱えた。

 

『探知呪文(インパス)』

 

宝箱はぼんやりと青い光を放つ。

 

「安全なようだな、開けてもいいよ」

 

「便利な呪文よね…タケルって本当に何者なの?」

 

「だから旅の商人だよ…」

 

「ふふっ、出会った時からそればっかりね」

 

「ははは…」

 

「じゃあ開けるわよ」

 

「うん」

 

マァムは宝箱を開いた。

 

「こ、これは…」

 

中から出てきたのは長方形の箱だった。

開けてみると古い貝殻が入っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の道具データ

 

普通のチーズ(ゴメちゃんに食べさせると火の息を吐く)

 

冷たいチーズ(ゴメちゃんに食べさせると冷たい息を吐く)

 

ベホマラーチーズ(ゴメちゃんに食べさせるとベホマラーを使ってくれる)

 

 


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