ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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行商を続けるオリ主。
一体何時になったらダイの大冒険の世界と気づくことやら…。


本日の目玉商品『光のドレス』

「ガアアアアアアアア!!!」

 

「うわっ、こっち来んな!」

 

リカントの叫び声と同時に俺は背を向けてダッシュ。

当然逃げる。

なにせ俺には戦闘力はない。

レベル1でどうやってリカントに勝てと?

装備が充実していても現実に戦うんじゃ話が違う。

戦って勝てる相手じゃない。

俺は全速力でひたすら走る。

しかしここは岩場。

まともに走れる筈もなく、躓き転ぶ。それでも俺は立ち上がって逃げる。

だが―

 

「い、いつの間に!?」

 

目の前の岩陰からリカントが飛び出した。

どうやら回りこまれてしまったようだ。

俺は急ブレーキを掛けて立ち止まる。

不味い。本当に不味い。

実戦経験無しの俺にはマジでキツイ。

それでも生き残るために、俺は手持ちの道具を確認する。

 

「……これだ」

 

錬金したばかりの取って置きの武器。

武器を操る事は出来ないが、武具に宿った力を使うくらいなら。

 

「俺にも出来る!」

 

俺は道具袋から一振りの長剣を取り出して叫んだ。

 

「氷結ッ!!」

 

俺の声に反応して吹雪の剣の刀身が輝く。

 

ビュオオオオオォッ!!!

 

解き放たれた力はうねりを上げて吹雪へと変わりリカントを包み込んだ。

無数の氷の刃が嵐となってリカントへと殺到する。

 

「ギャアアアアアアア!!!」

 

マヒャドと同格、絶対零度の銀世界が一瞬にして目の前に広がった。

俺を襲ったリカントは……。

 

「ご愁傷様です」

 

リカントは氷の檻の中で息絶えていた。

完全にオーバーキルですね。

 

「あーあ、これじゃあ暫く採取は無理か」

 

氷に閉ざされた岩場を見渡して俺は溜息を付いた。

 

「そういえばどうしてリカントが襲ってきたんだろう?

 

 確か勇者が魔王を倒して魔物は邪悪な意志から解放されてる筈

 

 それなのに……っ!?」

 

ギャア!ギャア!ギャア!

 

ま、魔物の声!?

遥か遠い山向こうから魔物と思わしき声が聞こえてくる。

俺は思わず身を竦ませた。

じょ、冗談じゃないぞ!

もしまた魔物に襲われでもしたら!?

高価な装備があるからって安心など出来るわけがない!

第一、もし不意打ちでも受ければ間違いなく死ねる。

街までかなりの距離がある。

もし道中襲われたら!?

 

「……ん?そうだ、何ですぐに気が付かないだ俺のアホ!」

 

さっきはリカントの所為で気が動転してたんだな。

命が掛かっていたのに。

俺は道具袋からキメラの翼を取り出すと空に向かって放り投げた。

パラララタッタター♪

空高く舞い上がりながら、俺は確かにファンファーレの様な音楽を聞いていた。

もしかしてレベルアップ?

 

 

 

 

現在オレはベンガーナに来ていた。

リカントを倒した俺は旅支度を整えると、直ぐにベンガーナに旅立った。

行商人の利用する比較的な安全な街道。

俺は聖水を惜しむこと無く利用、そしてレベルアップすることで新たに習得した特技『忍び足』を使いながら旅をする事で魔物を避けながらベンガーナに到着することが出来た。

もちろん道中、採取を行うことを忘れなかった。

どうやら商人魂が染み付いてしまったようだ。

ベンガーナに辿り着いた俺は、さっそく商売を始める為に適当な場所を探す。

行商人である俺にとって露店を開く場所の確保は最優先事項だ。

 

「……お?」

 

露店を開く場所を探して歩くこと約1時間。

比較的に人通りの多い広場に辿り着いた。

俺と同じように露店を開いている行商人が何人かいるので偵察として取り扱っている商品を覗いてみる。

よし勝った。まぁ当然だな

俺はほくそ笑むと、広場の一角を陣取り露店を開いた。

今日お俺は武具屋さん!

そして本日の商品はコレだ!

 

玉鋼の剣:4200G

隼の剣:5000G

玉鋼の盾:1400G

魔法の盾:2000G

精霊の盾:3000G

鉄仮面:2100G

玉鋼の兜:4000G

玉鋼の鎧:4800G

魔法の鎧:5800G

精霊の鎧:7000G

 

さっき錬金したばかりの出来立てホヤホヤだ。

並べてある殆どの商品がどの店にも取り扱っていない物ばかり!

次から次へと並べられていく見た事もない武具。

通行人達は次々と足を止めて興味深そうに見ている。

何せ商品と袋の大きさが一致しないのだ。

見た目どこにでもある布袋から次々と剣や鎧が飛び出していくのだ。

そりゃ驚くわな。

このチートな道具袋は気がつけば持っていた俺の財産だ。

こいつのお陰で俺は幾らでも持ち運びが出来る。

商人にとって、コレほど素晴らしい物は無いだろう。

 

「へぇ、こりゃ凄い!見たこともないものばかりだ!」

 

おっと、お客さんがお呼びだ。

俺は満面の営業スマイルで声を上げた。

 

「いらっしゃいませー!!」

 

通行人を掻き分けて俺の前に陣取った客は4人。

如何にもな格好の冒険者達だ。

ドラクエⅢの典型的なパーティーだった。

見た目が男勇者に始まり戦士に魔法使い、そして僧侶。

しかし何処か頼りない。

ていうか俗物丸出しだ。表情が…。

 

「おい見ろよ、まぞっほ!この盾すげぇ!」

 

「ふむ、魔法の盾か。この軽さならワシにも使えそうじゃな」

 

「でも仰々しい装備しか置いてないのね。ローブやドレスは無いの?」

 

「そう言うなよ、ずるぼん。確かに品揃えは悪いが置いてある装備は一級品だ」

 

「でろりん…」

 

何こいつら…。

それに品揃えが悪い!?

言ってくれるじゃないか!

露店のスペースじゃ並べられる商品の数にも限りがある。

ドレスやローブだと?

そこまで言うなら出してやろうじゃないか!

 

「お客さん、ローブやドレスをご所望ですか?」

 

「えぇ、置いてないの?」

 

「勿論有りますよ!取って置きの一品がね」

 

「なんですって!ならそれを出してみなさいよ!」

 

「しかし、かなりの一品ですのでお値段張りますよ。

 

お客さん大丈夫ですかー?」

 

「勿論よ!お金ならいくらでも出すわよ!」

 

「お、おい!ずるぼん!」

 

仲間たちが慌てだす。

どうやら浪費癖のある僧侶さんの様だ!

いいカモだ。せいぜい吹っ掛けてやるとするか。

俺は金色に輝くドレスを取り出した。

お客さんの眼の色が変わる。

 

「こちらは光のドレスです」

 

どうですか?

俺は今ドヤ顔に違いない。

ドレスのあまりの輝きに目を奪われている客。

メチャクチャ気分良いーーーーっ!!

 

「素敵……」

 

僧侶のお姉さんはウットリとした表情で光のドレスを眺めている。

もう夢中だ。後一押しで堕ちるな。

 

「どうですか?お客さんにピッタリですよ?

 

 残念ですが今お客さんが見につけている服、

 

 それでは貴方の美貌が損なわれるというものです」

 

「そ、そうかしら?」

 

僧侶の人は照れたように頬を掻く。

ここで一気に畳み掛ける!

 

「素晴らしいドレスは素晴らしい貴方にこそ相応しい!

 

どうですか?本来なら2万5千ゴールドですが、

 

今なら何と、たったの2万ゴールド!」

 

「えぇっ!?5千ゴールドも安くなるの!?」

 

「はい、是非お客さんに着ていただきたく…」

 

「買う!買うわ!」

 

「ず、ずるぼん!」

 

「やめんか!」

 

「あぁん!?」

 

「何でもないです、はい」

 

止めようとする仲間を一睨みで黙らせた僧侶さん。

彼女は即金で俺に2万ゴールドを支払った。

おお、リッチだ。冒険者って儲かるんだな~。

 

 

「まいどありがとうございました」

 

俺は勇者一行を笑顔で見送った。

それにしても、冒険者って凄いな。

ゲームみたいに魔物を倒してもGは手に入らない。

残るのはやはり魔物の死体だけだ。

この世界の冒険者は依頼を受けて商人を護衛したり、捜し物をしたりと何でも屋の様な事をして報酬を得ている。

魔物を倒してGを落とすなら皆やってるだろう。

 

「あの、コレを下さい」

 

おっと、自分の世界に浸っている場合じゃない。

 

「いらっしゃいませ!」

 

光のドレスを皮切りに、商品は次々と売れていく。

他では手に入らない珍しい品の数々。

俺は他の商人の嫉妬を受けながら、笑顔で商売を続けるのだった。

 

本日のタケルのステータス

 

タケル

性別:おとこ

職業:錬金術師

レベル:3

 

さいだいHP:28

さいだいMP:508

 

ちから:14

すばやさ:12

たいりょく:15

かしこさ:256

うんのよさ:256

 

攻撃力:54

防御力:63

 

どうぐ

E:雷帝の杖

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

 

 

呪文・特技

 

錬金釜

採取

大声

口笛

寝る

忍び足

 




リカントを倒してレベルアップしたオリ主です。
魔法は契約しないと覚えないのでまだ先です。

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