ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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本日の目玉商品『どくばり』

勝利の方程式というものが有るとすれば。

オレは間違いなくその方程式を使う。

そして勝利を掴み取る。

はぐれメタル攻略の方程式というものがある。

その方法は色々ある。

 

方法その1、パーティー全員で聖水を掛けて2ターン目に賭ける。

方法その2、DQ3仕様のドラゴラムの激しい炎で一掃。

方法その3、魔神斬りで一か八かに賭ける。

方法その4、毒針で急所狙い。

方法その5、500を超える攻撃力で実力で倒す。

 

オレの取るべき方法は四だ。

ていうかソレしか無い。

しかし1~5の方法に共通する所が1つだけある。

それは全て運任せという事である。

そしてオレの運は256のカンスト!

イケる!絶対にイケる!

 

オレは霜降り肉を投げて毒針を握りしめた。

霜降り肉は弧を描いてはぐれメタルの目の前に落ちた。

ポトリ、という音にはぐれメタルが反応する。

ビクッとして逃げると思った。

だが、辺りの危険を確認もせずに目の前のご馳走にかぶり付いた。

はぐれメタルは夢中になって霜降り肉を食べている。

今がチャ~~ンス!

オレは星降る腕輪の恩恵によって流星の如く超加速した。

 

「命『タマ』取ったらあああああ!!!」

 

はぐれメタルがコチラに気づいたがもう遅い。

オレの毒針は既にはぐれメタルの身体に突き刺さっていた。

そして―

 

「ギラ!」

 

次の瞬間、はぐれメタルの閃熱呪文(ギラ)が俺を襲った。

 

「うわっちぃっ!こなくそっ!」

 

俺は熱さに耐えながら再びはぐれメタルの身体に毒針を突き立てる。

ついでに怒りを込めてグリグリしてやる。

 

「ピッ、ピギィッ!?」

 

「あ、急所直撃だ ラッキー!」

 

毒針が急所に直撃したことによってはぐれメタルは息絶える。

オレは動かなくなったはぐれメタルを見下ろしながら頭の中で響くレベルアップのファンファーレを聞いていた。

 

「さてと、暫くこの辺でレベル上げでも…」

 

オレは次なる獲物(はぐれメタル)を求めて歩きだす。

しかし後ろからの小さな音に足を止めた。

何かを引きずる音だ。

振り返るとはぐれメタルがヨロヨロと起き上がり…。

 

「仲間になりたそうにコチラを見ている」

 

はぐれメタルはつぶらな瞳でコチラを見上げている。

か、可愛いじゃいか…。

 

「一緒に来るか?」

 

ブンブンブン!

ものすごい勢いで何度も頷いてるよ。

 

「肉、食うか?」

 

ブンブンブン!

オレが霜降り肉を出すと更に激しく頷く。

 

「よし、今日からお前は はぐりん だ」

 

オレはそう言って霜降り肉を差し出した。

愛どころか悪意を持って戦ったのに仲間になるとは…。

もしかして肉に釣られたのか?

ものすごい勢いで肉を食べるはぐりん。

まあ、何はともあれ心強い味方が出来て良かったのか?

しかしオレはこれからコイツの同族を狩りまくる予定だ。

大丈夫かな?

考えている内にはぐりんは食事を終えてオレを見ている。

 

「もしかしてもっと欲しいのか?」

 

ブンブンブン!

すごい勢いで頷くはぐりん。

良し、肉で釣るか。

 

「はぐりん、はぐれメタルの巣の場所を教えてもらってもいいか?」

 

肉を沢山やるぞ?

オレは最高級の霜降り肉を沢山出して見せてやった。

はぐりんはヨダレをダラダラと垂れ流す。

そしてビシッと姿勢を正すと背を向けて移動を始める。

そして振り返る。

 

「ついて来いってことか」

 

それにしてもコイツ、自分の欲望に素直だな。

肉につられて仲間を売るとは…。

オレははぐりんの後を付いて行った。

 

 

 

 

一方その頃。

ダイ達は気球に乗ってホルキア大陸の北に位置するバルジ島の塔へと目指していた。迎えに来たのは三賢者の一人エイミ。

魔王軍の軍団長の存在に一悶着はあったもの、一行はレオナ姫の待つ塔へと向かう事に。

但し気球の大きさから全員を乗せるのは不可能。

ヒュンケルとクロコダインは別行動を取る事になった。

魔王軍を離れる事になったとはいえ、ヒュンケル自身、部下のことが気になるようだ。

一度、地底魔城の様子を見ておきたいとの事。

クロコダインもそれに付き合う様だ。

ダイ達を乗せた気球は真っ直ぐバルジの塔へと進む。

 

 

 

「はなせ!これはオレのもんだ」

 

「うるせぇ!そっちこそ離せよっ」

 

バルジの塔から怒鳴り声が響く。

そこではパプニカの兵士たちが掴み合いの喧嘩をしていた。

 

「きさまら何事かっ!?」

 

騒ぎを聞きつけた三賢者のアポロとマリンが仲裁に入った。

 

「ああ、アポロ様!こいつらが食料の事で争い始めてっ!」

 

バルジの大渦に囲まれたこの島は唯でさえ食料の入手が困難だ。

しかも現在は魔王軍から身を隠している。

食料は既に以って後数日分も無いだろう。

警戒に当たっている兵士たちの気が立っていても可笑しくはない。

 

「その手をどけろよ!」

 

「断る!オレは二日間何も食ってないんだっ!」

 

アポロとマリンが懸命に止めようとするが、空腹で気が立っている兵士たちは聞き分けない。それどころかますますヒートアップする。

その時だった。

割り込んできた白い手が食料を叩き落とした。

食料は地面に落ちてしまう。

 

「な、何て事しやがる!」

 

「そ、そうだ……ひっ!?あ、ああ…ひ、姫さまっ!」

 

食料をたたき落としたのはレオナ姫だった。

 

「何をなさるのですか!貴重な食料を粗末に扱うなどっ」

 

兵士の一人がレオナ姫を非難する。

だがレオナは態度を崩さずに毅然と言い放った。

 

「いくら貴重でも争いの火種になる必要ないわ」

 

兵士たちに衝撃が走る。

まさしくその通りだった。

現在、我等がこうしているのは魔王軍を退けるためだ。

それなのに自分たちが欲望のままに他者を傷つけていては魔王軍と変わらないのだ。

 

「モンスターの様に我を忘れて争うくらいなら…人間として、飢えて死にましょう…っ!!」

 

レオナの一括によって兵士たちは冷静さを取り戻した。

皆が落ち着いたところでレオナ姫は希望であるダイの事を話して聞かせた。

 

「まだ子供で小さいけど…まぁ、それなりに勇者してるはずよ。けっこう頼りになるんだから…」

 

「希望の救世主にしては酷い言われようだな」

 

「ははは!」

 

「そうだな。姫様に掛かれば勇者様も型なしだな」

 

「それに彼から買った武具も…」

 

「あの時の少年…、確か巷では『幻の商人』と呼ばれているとか…」

 

「その筋では有名人の様ですね。何処からともなく強力な武具を仕入れてくるという…」

 

「ええ、後で知ったことだけどね…知っていれば是が非でもパプニカに引き止めていたわ」

 

「私も幻の商人の武具を使ってみたいものです…」

 

「そうね、この難局を乗り切ったら…探しだして扱き使ってやりましょうか?」

 

「ははは!」

 

暗い雰囲気から一転、兵士たちに明るさが戻った。

 

「悪いな、その期待は空振りだ!」

 

そこに水を刺すように低い声が割り込んできた。

 

視線を移すとそこには炎と氷の怪人が立っていた。

氷炎将軍フレイザードである。

 

「残念だったな!期待の勇者様じゃなくてっ!ククク…クカカカカカ…クカカカカカーーーッ!!!」

 

フレイザードの左右の手から炎と吹雪が放たれた。

炎と吹雪、ベギラマとヒャダルコの呪文だ。

近くにいた兵士たちは攻撃呪文に飲み込まれ息絶える。

 

「さぁ死んでもらうぜ!今日でパプニカ王国は終わりだぁっ!!!」

 

 

 

 

「おおおお~~~~~っ!!」

 

一方その頃の幻の商人は…。

 

「す、すげえ…経験値(はぐれメタル)が一杯だ~っ!」

 

目の前で蠢いているはぐれメタルの大群に目を輝かせていた。

はぐリンに案内されて来たのは植物の無い砂地だった。

周囲は岩に囲まれており、身を隠すにはうってつけの場所だ。

そこははぐれメタルの群れの隠れ家だった。

 

「ひいふうみい…すごい、ざっと見て20匹はいる…あれだけ全部倒せばあっという間に…」

 

いや、流石にそれは無理だな。

いくら何でも都合よく全部倒せる筈がない…。

 

「はぐりん、コイツを…」

 

オレは毒針をもう一つ取り出すとはぐりんに手渡した。

オレの意図を組んではぐりんが毒針を装備する。

狙うは一番手前の獲物だ。

 

「行くぞ はぐりん…」

 

はぐりんが頷いたのを確認してオレは駈け出した。

 

「死ねえっ!!」

 

「ピッ!?」

 

オレの毒針がはぐれメタルの身体を捉えた。

よし、続けてはぐりんの番だ。さぁ突き立てろ!

 

「……あれ?はぐりん?」

 

何故か攻撃しないはぐりん…。

後ろを見ると…。

ダダダダダ~~~~ッ!!

はぐりんは逃げ出した!

 

「っておい!逃げるのかよ!あ、あわわ、こいつらも、ちょ、ちょっと待て!」

 

ゲームと現実は違う。

仲間になったはぐりんも矢張りはぐれメタル。

オレの命令を無視して一目散に逃げ出してしまった。

しかも折角のはぐれメタルの群れも全て逃げ出してしまう始末。

 

「はぐりん…」

 

逃げ出したものの、岩陰からこっそりとコチラを伺っているはぐりん。

オレは嘸かし恨めしそうにはぐりんを見ていたことだろう。

だが逃げたまま行方を眩ませなかった事にも、また安堵したのだ。

オレは笑顔を作るとはぐりんを呼んだ。

 

「もう怒ってないよ、おいで はぐりん」

 

はぐりんがやって来たのでオレは骨付き肉を差し出した。

嬉しそうに肉に食らいつくはぐりん。

 

「なあ はぐりん…頼むから一緒に戦ってくれよ。お前が一緒に毒針で攻撃してくれるだけで随分違うんだ」

 

はぐりんは無い首を傾げる仕草をする。

 

「よし、はぐりん君、はぐれメタル、一匹倒す事に霜降り肉追加でどうかね?」

 

ブンブンブン!

物凄い勢いで頷くはぐりん…。

こいつ、どんだけ肉が好きなんだよ。

さっきのはぐれメタルの群れ全てに逃げられたのは痛かったが、はぐれメタル狩りには良くある事なのだ。

一度や二度の失敗は想定済みだ。

オレは気を取り直してはぐりんに次なる狩場を案内させる事にした。

 

「…その前に火竜変化呪文(ドラゴラム)の呪文書を探すか?カール王国なら有るかもしれないし…」

 

より確実にはぐれメタルを倒して経験値を稼ぐなら手札は多いほうが良い。

オレは一旦、はぐれメタル狩りを止めてカールに向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

本日のタケルのステータス

 

レベル23

 

さいだいHP:143

さいだいMP:585

 

ちから:60

すばやさ:150

たいりょく:72

かしこさ:290

うんのよさ:256

 

攻撃力:61

防御力:133

 

どうぐ

E:どくばり

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

 

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

連続魔法

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

ニフラム 

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ 

インパス

 


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