ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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本日の目玉商品『祈りの指輪』

オレはアバンの書から得た知識を元に呪文の契約を行った。

契約を成功させた呪文は次の通りだ。

 

瞬間移動呪文『ルーラ』

飛翔呪文『トベルーラ』

火竜変化呪文『ドラゴラム』

破邪呪文『マホカトール』

解錠呪文『アバカム』

 

変身呪文『モシャス』

透明呪文『レムオル』

昼夜逆転呪文『ラナルータ』

合流呪文『リリルーラ』

弱体化呪文『ル■ニ』

加速呪文『ピ■リ■』

攻撃力強化呪文『■イ■ルト』

 

全て問題なく習得できた。

驚いたのは補助呪文の存在。

残念ながらアバンは使えなかったようだ。

何故なら補助呪文の殆どは既に失われてしまった呪文だったのだ。

ジュニアール家が代を重ねて再現しようとしたのだが呪文(コトダマ)まで解析出来ていなかったようだ。

その為、補助呪文については虫食い部分が多々あった。

しかしオレはゲームからの知識でそれを識っている。

試してみたが問題なく呪文は効果を発揮した。

バイキルトを使ったオレは自分の倍以上もある大岩を軽々と持ち上げる事も可能だ。

これで勝つる!

 

 

それからアバンの書に載っていた瞑想による魔法力の上昇と制御法。

そして魔法力を放出させるという応用技術。

なんの事はない。

攻撃呪文や回復呪文が出来れば応用でこのくらい…。

オレはアバンの書に従った練習方法で、この技術を習得。

闘気法は無理でも魔法に関しては無駄に才能ある…。

いや今はこの才能に感謝しよう。

 

「はぐりん、おいで」

 

「キュルキュル!」

 

オレの練習中、その辺を彷徨いていた はぐりん を呼ぶ。

はぐりん はオレの肩に飛び乗った。

オレは頭の中にパプニカの町を思い浮かべる。

そして呪文を唱えた。

 

―瞬間移動呪文『ルーラ』!

 

重力が消える感覚。

そして高速で流れる景色。

オレは、あっという間にパプニカの町に降り立った。

更に飛翔呪文(トベルーラ)を唱える。

オレは森や山をショートカットして真っ直ぐバルジ島を目指して飛んだ。

暫く飛ぶとバルジ島が見えてきた。

 

「あれか…」

 

塔を挟むように伸びた赤と青の柱が見える。

あれが炎魔塔と氷魔塔か…。

という事はダイ達は敗退したのかな?

 

「…っ!?」

 

気球が墜落している。

所々、焼け焦げ傷ついた気球は岩に引っかかっていた。

という事は近くにダイ達が居る筈だ。

オレは洞窟に近づいていった。

 

 

 

 

「はあ!でやあっ!」

 

そこではダイが剣の鍛錬をしていた。

相手はマァムだ。

ダイは目隠しをした状態で果敢にマァムに木剣を振るう。

その身体の至る所にはマァムからの反撃によって痣が出来ている。

かなりキツイ修行のようだ。

ジャマをするのも悪いのでオレは暫く見守る事に…。

 

「なんだお前は…」

 

「―っ!?」

 

突然背後から声を掛けられて振り返る。

大魔道士の顔のドアップにオレは思わず悲鳴を上げそうになった。

だってあの強面の不気味面が振り返った先にあるんだぜ?

そりゃ驚くって!

 

「な、アンタはっ!?」

 

「そりゃオレが聞いてんだよ

 さっさと答えな、それとも答えさせて欲しいのか?」

 

大魔道士マトリフ怖っ!

虚偽や黙秘は許さない。

その鋭い眼光にオレは思わず息を飲んだ。

「えっと」とか「あの」とかそんな言葉は出るが後が続かない。

マトリフの表情が更に険しくなっていく。その時だった。

 

「あ、タケルーっ!」

 

マァムがオレを呼んだ。

ダイも目隠しを外してオレを見て声を上げた。

 

「ほ、本当だ!タケル!」

 

「ふむ…知り合いか?」

 

「仲間だよ!」

 

ダイは迷わずに言った。

マジでか!?オレがダイ達の仲間!?

なんか凄い嬉しいんだけど。

こりゃ気合を入れないとな…。

 

「ダイ、マァム…じゃあ、さっき見た気球に乗ってたのは…」

 

「うん…」

 

「一体何があったんだ?ポップの姿も見えないし」

 

「実は…」

 

「それは私から説明してあげるわ」

 

振り返るとそこにはパプニカの王女レオナが立っていた。

何故いるし…。

原作通りなら今頃氷漬けの筈。

もしやポップが居ないのは…。

頭から血の気が引いていくのを感じる。

 

「ちょっと!聞いてるの!?」

 

オレの態度に気分を害したのかレオナ姫はズンズンとオレに近づいてきた。

大きな瞳がオレの顔を覗き込む。

かなりの美少女…。

性格はアレだけど。

 

「すいませんレオナ姫」

 

「まあいいわ」

 

オレは素直に謝罪してレオナ姫の話を聞くことにした。

 

 

 

 

「そんな事が…」

 

どうやら原作とは少し違った事になっているようだ。

俺達はマトリフの住処の洞窟の中に集まっていた。

まずフレイザードに捉えられ氷漬けにされたのは三賢者のエイミ。

レオナ姫はオレが与えた装備の力で善戦して難を逃れたようだ。

ポップは原作通りマトリフに魔の森で置き去りにされたようだ。

ダバックさんは禁呪法の塔を破壊するための爆弾を作成中。

その間、ダイは心眼を鍛える修行をしていたそうな。

レオナ姫はエイミを救出しフレイザードを倒す策を練っていたのだとか。

 

「それで、なにか良い案は考えついたんですか?」

 

オレはレオナ姫に問いかけた。

原作と違いレオナがこの場にいる事がどんな違いをもたらすのか。

それが吉と出るか凶と出るか…。

それから原作知識はあまり当てにしない方が良いのかもしれない。

原作知識から外れて、いざという時だった場合、冷静さを欠いて更に状況が悪化してしまうこともありうる。

最悪は常に想定しておこう。

 

閑話休題

 

取り敢えずレオナ姫の策を聞こう。

 

「目的はエイミの救出とフレイザードの撃破…。その為には禁呪法を打ち破らなければならないわ…」

 

皆はレオナの言葉を黙って聞く。

 

「島に乗り込むにあたって最早気球は使えない。マトリフさんのボートを借りるのだけど4人しか乗り込めない…。行くのはダイ君、マァム私、そして…」

 

「ワシが行きます!爆弾を作ったのはワシですぞ!」

 

ダバックが猛烈にアピール。

しかし、マァムは首を振ってそれを制した。

ここはポップしか居ないだろう。

しかしレオナ姫はじっとオレの方を見た。

え、オレですか?

 

「お願いできますか?幻の商人タケル」

 

「へ?マボロシのショウニン?」

 

何ぞ?その呼び名は…。

幻のって辺りが微妙にイタイ…。

レオナ姫はニコリと微笑むと口を開いた。

 

「ていうか命令です」

 

強制ですかいっ!?

王族からの勅命って断れないじゃん!

まぁ、断る気無いけど。

元々、ダイ達の力になる為にここに来たわけだし。

しかしポップはどうするんだろう?

今頃ルーラ習得しながら此処を目指しているはず。

その事を聞こうとした時だった。

 

「アバンの使徒どもーーっ!!」

 

外からフレイザードの声が響いた。

 

「いつまでコソコソと逃げまわってやがる!」

 

ダイ達は急いで外に飛び出した。

洞窟を出た先に見える崖下には悪魔の目玉が張り付いていた。

悪魔の目玉はコチラを見つける。

どうやらフレイザードの声を伝えているのはコイツのようだ。

 

「まさかテメエらあの女賢者が何時までも無事だと思ってんじゃねぇだろうな!?あの氷の中でどんどん女の生命力は失われていくんだぜ!」

 

フレイザードの残酷な宣告が響き渡った。

 

「明日だ!あの女の命は持って明日の日没だ!」

 

ダイ達に衝撃が走る。

レオナ姫を始めとするパプニカのメンバーは悔しそうに悪魔の目玉を睨みつけている。一刻も早くエイミを救出しなければ。

 

「エイミが死ぬ…っ!?」

 

「ああ…、姉さん」

 

「そんなこと、させないわ!」

 

レオナ姫は決意の篭った表情で皆を見渡した。

 

「時間がないわ。ダバック、爆弾を」

 

「はい」

 

ダバックは爆弾を見せた。

球体に導火線。

昔の漫画みたいなシンプルでレトロなデザインだ。

ここでマトリフが口を開く。

 

「良いかお前等…明日の日没までにフレイザードを倒さなければ三賢者のお嬢さんが死ぬ。だが、昼間ノコノコと出て行っても敵の思う壺だ」

 

確かにその通りだ。

期限は明日の日没までしかない。

だが裏を返せばまだ明日の日没まで猶予はあるのだ。

つまり一日以上の時間がある。

充分に準備をする時間はあるのだ。

 

「今夜決行する!」

 

マトリフも分かっているのだろう。

重々しく決行の時を告げた。

 

「じゃあ作戦を確認するわよ」

 

レオナ姫が前に出た。

 

「先ず島までの移動手段だけど、マトリフさんのボートを使わせてもらいます。大きさの関係で乗ることが出来るのは四人…」

 

「なら私が!」

 

「お願いします!私も同行させて下さい!」

 

三賢者のアポロが名乗りを上げる。

妹を心配してマリンも後に続く。

レオナ姫は頭を振って話を続ける。

 

「もうメンバーは決まっているの」

 

レオナ姫はダイとマァムを見た。

ダイ達もレオナを見て力強く頷く。

 

「メンバーはダイ君とマァム、私…」

 

「なっ!?姫様が!?」

 

「なりませんっ!」

 

臣下としては当然の反応だろう。

しかしレオナ姫は退かない。

 

「戦力的な判断よ。確かに私は未だ未熟よ。でも補って余りある強力な武具がある」

 

本当なら装備を交換してでも行きたいだろう。

だが…。

既にレオナ姫用に仕立て直されている防具は彼女以外には合わないだろう。

武器は兎も角、王族の衣装を変えろとは臣下としても言い辛い。

 

「それで四人目は?」

 

マトリフが問う。

 

「タケル、王女として命じます。パプニカのため、ひいては世界平和のためにあなたの力を貸してください」

 

皆の視線がオレに集中した。

 

「……了解しました」

 

オレはここで空気を読めないほどバカではない。

オレは素直に頭を下げて了解した。

 

「あの、レオナ…」

 

ダイは言いづらそうに口を開いた。

 

「ポップは…」

 

レオナは少し考えこんで首を振った。

 

「悪いけど、彼を待っている時間も余裕もないわ。今回はメンバーから外れてもらいましょう…」

 

「待てよ」

 

レオナが言葉を終えた時だった。

洞窟の入口から弱々しくも力強い声が響いた。

そこにはポップの姿があった。

身体中傷つき今にも倒れそうだが確かにそこにいた。

間に合ったのだ。

オレはポップの到着に胸をなで下ろした。

 

「ポップ!」

 

ダイとマァムは嬉しそうにポップに駆け寄った。

 

「へへっ!おまたせ…みんな…。この場所が中々イメージがかたまらなくてな…。神殿まで飛んで後は自力でな」

 

ポップは仲間たちと抱擁した後、オレの前まで歩いてきた。

 

「悪いけどよ、四人目はオレに譲ってもらうぜ」

 

ポップはマトリフとレオナ姫を見て言った。

 

「分かった。オレは飛翔呪文『トベルーラ』で行く」

 

「へ?おめえ、そんな呪文まで使えんのかよ?」

 

「ああ」

 

「けどさ、実際助かったぜ」

 

何のことだ?

今回の事に関しては何もしていない。

首を傾げたオレにポップは感謝の言葉を言った。

 

「ほら、前に行ってただろ?チューニって言ったっけ?想像するのは常に最強の自分ってヤツ?」

 

確かに言った…。

つか中二病の事は言わないで欲しい。

間違った認識で純粋に感謝されると死にたくなる。

 

「あの時の言葉のお陰だ、ありがとな」

 

「ほう…」

 

ポップの言葉にマトリフは感心したように呟いた。

やーめーてー!

そんな目でオレを見ないで!

凄い居た堪れないんですが!

 

「頼む…」

 

レオナ姫も納得したように頷いた。

 

「いいでしょう」

 

「マリンさん、アンタの妹さんは心配すんな。俺達が必ず助けだすからよ…っ!」

 

「ポップ君…」

 

「時間がない、行くとしよう」

 

「準備が終わるまでポップは休んでろよ」

 

オレはポップに祈りの指輪を二つほど手渡した。

当然使い方も教えてある。

 

 

 

 

俺達はボートを岸へと運びだした。

ポップは既にマァムのベホイミで全回復しており、元気よく伸びをしている。

祈りの指輪のお陰で魔法力も満タンだ。

俺達はボートの前に集まった。

マトリフは厳しい視線で言った。

 

「いいか、これが最後の助力だ。オレの魔法力でボートを島まで飛ばしてやる。ルーラで行ければ良いんだが生憎オレはあの島に行ったことがない…ポップだとイキナリ中央の塔に着いちまう」

 

「それで充分よ、おじさん」

 

「本当にありがとう!」

 

「バーカ、礼は勝ってからにしろ」

 

「うん!必ず勝つよ!」

 

ダイは力強く頷いた。

 

「さあボートに乗れ!」

 

パーティーは次々とボートに乗り込んでいく。

最後にポップが乗ろうとして足を止めた。

ポップはマトリフに向かうと言った。

 

「もしもオレが生きて帰れたら続きを受けに来るぜ…あそこまでイビラれて途中で音を上げれば逃げたみたいだからな」

 

「逃がしゃしないさ。お前にはまだまだ教えることが山程あるんだからな」

 

「またな師匠っ!」

 

初めて認められた気がしたのだろう。

ポップは嬉しそうにボートに飛び込んだ。

 

「お?」

 

何時のまにか乗り込んでいたゴメちゃんにポップは驚く。

 

「こいつ、ちゃっかり潜り込んでたのか」

 

「ピィッ!」

 

ダイは嬉しそうに笑う。

 

「よし、行くぞ!」

 

マトリフが両手から凄まじい魔法力を放つ。

こうして見ると本当に凄いな。

物凄い参考になる。

オレは飛翔呪文『トベルーラ』を発動させて浮き上がる。

 

「ぬううううううんんっ!!!」

 

マトリフから放たれた強大な力はボートを宙に浮かび上がらせる。

 

「はあああっ!!」

 

そして気合と共に放たれる風の魔法力。

撃ち出される形で飛び出すボート。

 

「死ぬなよ…アバンの忘れ形見ども…」

 

あっという間に大渦の上を通過していくボートを見ながらマトリフは柄にも無く祈りの言葉を漏らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

 

本日のタケルのステータス

 

 

レベル23

 

さいだいHP:143

さいだいMP:585

 

ちから:60

すばやさ:150

たいりょく:72

かしこさ:290

うんのよさ:256

 

攻撃力:61

防御力:133

 

どうぐ

E:どくばり

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

 

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

連続魔法 思い出す もっと思い出す

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

ドラゴラム

ニフラム マホカトール

バイキルト スカラ スクルト 

ピオラ ピオリム 

ルカニ

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ 

インパス アバカム 

ルーラ トベルーラ リリルーラ

レムオル

 


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