ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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本日の目玉商品『命の石』

オレはダイ達の乗ったボートを飛翔呪文(トベルーラ)で追いかけていた。

マトリフの魔法によって高速で突き進むボート。

星降る腕輪の力もトベルーラの移動速度に影響しているのか付いていけている。

はぐりんがオレの懐から顔を出した。

ていうか何時の間に?

 

「…そうか、基本ビビリだもんな お前」

 

恐らくダイ達と顔を合わせるのを嫌がったのだろう。

飼い主のオレにも気付かれない内に隠れたのは凄い。

 

「まぁ、ヘタレた男子のオレにはピッタリだな」

 

はぐりんは辺りを見渡すと再びオレの懐に潜り込んだ。

今はいいか。

いざという時に役に立ってくれれば…。

オレは腰に装着した超グリンガムの鞭を触れた。

大軍を相手にするには丁度よい。

装備は防具を含めて新しいものに変えてある。

これからは本気で命に危険がつきまとう。

言うなれば魔王軍との戦争なのだ。

 

「やっぱ怖えぇ…」

 

前を見るとダイ達の乗ったボートは激突する瞬間だった。

うわっ!痛そう…。

壊れたボートと岩にぶつかった痛みで顔をしかめているパーティー達。

彼らを見ながらオレはボートに乗らなくて良かったと心底思った。

 

 

 

 

「イタタ…」

 

「そりゃないぜ師匠…」

 

「咄嗟にダイ君が真空呪文(バギ)でブレーキを掛けてくれたお陰で大したことはなかったけど」

 

「流石にこれは…」

 

皆マトリフへの不満を漏らしながら立ち上がる。

 

「おーい、大丈夫か?」

 

「タケルは良いよな、空飛べるんだからよう」

 

ポップは恨めしそうに言った。

まぁポップも直ぐに飛翔呪文(トベルーラ)が出来るようになるさ。

 

閑話休題

 

「ここは敵地だ、早速行動を開始しよう」

 

オレの言葉に皆は真剣な表情になって集まってきた。

 

「作戦通りに行くわよ」

 

「うん!オレとレオナが炎魔塔…

ポップとマァム、そしてタケルは氷魔塔だ…」

 

「ピピィ!」

 

ゴメちゃんが割って入ってきて「ボクは?ボクは?」という感じで鳴く。

 

「ははっ!そうだね、ゴメちゃんはオレと一緒だ!」

 

「ピィ~~ッ!」

 

これでメンバーは決まった。

一同は決意を込めた目でお互いの顔を見て力強く頷いた。

念の為に回復系道具を渡しとくか…。

ポップには渡したけどダイ達には渡してなかったな。

 

「ダイ、レオナ姫…」

 

オレは道具袋から回復アイテムを取り出した。

 

月のめぐみ×4

賢者の聖水×2

爆弾石×4

命の石×2

 

コレぐらいなら邪魔にならないだろう。

オレは丈夫な布袋に入れてレオナ姫に手渡した。

確か妖魔司教ザボエラもいるだろう。

奴は即死呪文(ザラキ)を使う。

このくらいの備えは必要だ。

ポップ達にはオレが付くから回復面では必要ない。

 

「ありがとうタケル…」

 

ダイは嬉しそうに礼を言った。

 

「じゃあ行くぜ!」

 

俺達は氷魔塔、ダイ達は炎魔塔。

それぞれを目指して走りだした。

 

 

 

 

一方その頃。

バルジ島にはハドラーが派遣した魔王軍が到着していた。

魔影軍団と妖魔軍団である。

妖魔司教ザボエラと魔影参謀ミストバーンの姿もある。

一同は森の中で軍団を待機させていた。

ザボエラは水晶玉を出した。

水晶玉にはダイ達の様子が映し出される。

ザボエラは薄ら笑いを浮かべてミストバーンを見た。

 

「キッヒッヒッヒッ!来おった来おった。愚かな小僧どもが儂の策にかかりになぁ。ミストバーン、お主の方は準備できたかのぅ?」

 

ミストバーンは無言で後方を指さした。

その指先には不気味に佇む騎士達が並んでいた。

魔界特有の『魔影気』によって動く、さまようよろい達だ。

ミストバーンと同様、兜の隙間から感情を感じさせない冷たい光を放っている。

目的は勿論勇者ダイ及びその仲間達の抹殺だ。

ダイ達の目的は既に知れている。

禁呪法の結界を形成している二つの塔の破壊だ。

ミストバーンとザボエラは部下たちを先導すると炎魔塔を目指して進みだした。

 

「氷魔塔にはハドラー殿がおる…。アバンの弟子どもの生き残れる確率は万に一つも無いっ」

 

ザボエラの不気味な声が深い森の奥に吸い込まれていった。

 

 

 

 

カール王国の東、竜達の住む山岳地帯。

ロン・ベルクは適当な岩に腰掛けていた。

目の前には焚き火の炎が揺らいでいて、巨大な肉がジュウジュウと音を立てていた。

周囲には竜の群れが地に伏している。

全ての竜は既に生き絶えており、共通して巨大な裂傷がくっきりと付けられていた。

一刀の下に斬られたのだろう。

 

「…ん?」

 

足下にある影を見る。

自分の物とは異なるもう一つの影。

ロン・ベルクは竜の肉を口に含むと空を見上げた。

そして骨を投げて口元を釣り上げた。

 

「ようやく来たか…」

 

待ち望んでいた相手が現れた。

ロン・ベルクは歓喜する自分を押さえながら立ち上がった。

 

「これは貴様がやったのか」

 

ロン・ベルクの頭上から低い男の声が発せられた。

視線の先にいたのは一人の戦士。

黒髪に黒い瞳。

攻撃的なヒゲを蓄えた男がロン・ベルクを見下ろしていた。

空に浮かんでいるのは飛翔呪文の力だろう。

魔王軍・超竜軍団長バラン。

真の竜の騎士がそこにいた。

 

「やはりオレの睨んだ通りだ」

 

ロン・ベルクはバランの背負う剣を一瞥して口元を更に釣り上げた。

自分の予測は正しかった。

 

「どういう事だ?」

 

「お前は竜の騎士、なのだろう?」

 

「……」

 

「ふっ、答えなくていい…

 その背中の剣を見れば一目瞭然だ…」

 

超竜軍団。

ロン・ベルクは魔王軍に竜系の怪物のみで構成された軍団に疑問を感じていた。

何故ならドラゴンは誇り高く高い知能を持つ。

並の戦士に従う道理はない筈だ。

下級の竜なら兎も角、全ての竜を従えるなど普通は無理だ。

恐らくハドラーでさえも。

以前、バーンに魔王軍に誘われた時、六軍団については聞かされていた。

当時は存在しなかったが、超竜軍団の団長になれる人物については心当たりが無かったのを覚えている。

まあ、自分は人付き合いが極端に悪かった所為もあっただろうが…。

そして現在、魔王軍の六軍団は全て存在し機能している。

竜を従えられる程の人材。

ロン・ベルクはもしやと思った。

 

「案の定だったわけだ…」

 

ギラギラとした目で竜の騎士を…。

いや背中の剣を睨みつける。

別に竜の騎士に対して感じることは余り無い。

自分の目的は飽くまでも神が創りだした最強の神剣。

真魔剛竜剣。

 

「貴様はこの私と竜の騎士に戦いを挑む為だけに我が軍団を襲ったというのか?」

 

明らかな怒りの声。

バランは配下の竜達の死体を見渡した。

そして背中の剣に手をかける。

 

「だったら?」

 

「見たところ魔族のようだが、舐められたものだな…」

 

真魔剛竜剣を抜き放つ。

そして、バランの額から光が放たれる。

竜の紋章が浮かび上がり、バランの肉体を光が覆う。

竜闘気(ドラゴニックオーラ)。竜の騎士最強の証である力が発動した。

 

「それが真魔剛竜剣…っ!?」

 

「ほう、この剣の事も知っているとは…纏う闘気といい、どうやら唯者ではないようだな…」

 

バランも歴戦の戦士。

臨戦態勢に入ってロン・ベルクの強さを感じ取ったのだろう。

剣を握る力を更に強める。

ロン・ベルクは腰に差した二剣一対の双剣を抜き放つ。

真・星皇剣。

王者の剣を材料にして打ち直した最高の自信作だ。

 

「さあ、まずは…」

 

急降下してくるバランに対してロンは剣を交差させて構える。

そして叫んだ。

 

「力比べと行こうかっ!!!」

 

最高の魔剣鍛冶師ロン・ベルク。

最強の生物、竜の騎士バラン。

二人共地上界、魔界を合わせても最高クラスの戦士。

―ギギィィンッ!!!

白刃のこすれ合う音が響く。

二人の影が衝突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

 

本日のタケルのステータス

 

 

レベル23

 

さいだいHP:143

さいだいMP:585

 

ちから:60

すばやさ:150

たいりょく:72

かしこさ:290

うんのよさ:256

 

攻撃力:200

防御力:133

 

どうぐ

E:超・グリンガムの鞭

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

 

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

連続魔法 思い出す もっと思い出す

 

 

ホイミ ベホイミ 

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ

ドラゴラム

ニフラム マホカトール

バイキルト スカラ スクルト 

ピオラ ピオリム 

ルカニ

フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ 

インパス アバカム 

ルーラ トベルーラ リリルーラ

レムオル

 


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