ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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大変遅くなって申し訳ないです。
かと言って復活したわけではないのでarcadia様の『長い更新停止から不死鳥のように復活した良作』には載せないでくださいw
別に良作ではないので…。それに恥ずかしいし…。


本日の目玉商品『オーロラの杖』

「空戦騎っ、ガルダンディーッ!!!」

 

「海戦騎、ボラホーンッ!!」

 

「陸戦騎、ラーハルト、推参…」

 

最強の怪物、ドラゴンを駆る竜騎士の戦士達が名乗りを上げた。

 

「ま、魔王軍かっ!?ハドラーの野郎の手下かっ!!」

 

竜騎士達に警戒しながらポップが叫ぶ。

その言葉に碧い肌の魔族、ラーハルトと名乗った戦士はフッと嘲笑した。

 

「な、何がおかしいんだ!」

 

「勘違いするなよ雑魚が…、我らはたしかに魔王軍。しかしハドラーなどの下に付いた覚えはない」

 

スカイドラゴンの上から鳥人ガルダンディーが見下すように嗤う。

 

「違いねぇ!俺達に命令できるお方は唯一人っ!」

 

トドの獣人ボラホーンも同意して巨大なイカリを地面に打ち付けた。

 

「そう!我ら竜騎衆を束ねる将、バラン様のみよっ!!」

 

竜騎衆、魔王軍の六つの軍団の一つ。

超竜軍団に属する選りすぐり最強の竜騎士達だ。

今まで戦ってきた軍団長にも決して引けは取らないだろう。

 

 

タケルは困惑しながらも敵を観察した。

既に覚悟していたことだ。動揺してどうする。

今まで何度も自分の識っている歴史と異なる事は起こってきたのだ。

今更尻込みしてどうする。

タケルはメタルキングの盾と槍を交差させるように構えると敵を睨みつける。

 

「バラン…っ、それが超竜軍団の団長の名前…っ」

 

「そうともっ!最も貴様らが知るのは名前だけだっ!あの方の姿を見る事はねぇだろうがなぁっ!!」

 

そう言うやいなやガルダンディーは巧みにスカイドラゴンを駆り、此方に向かって強襲してきた。

 

「来るぞっ!!みんな油断するなっ!!」

 

「へっ、こんな雑魚どもオレとルードだけで充分よっ!テメエらは手を出すなよっ!!」

 

「ふん、またいつもの悪い癖がでよったか…」

「構わん、好きにやらせてやれ…幸いディーノ様も居らっしゃらないようだしな」

 

ガルダンディーの独断専行に他二人は呆れた声を出すが、止める様子も助太刀する様子もない。

明らかにオレたち人間を見下しているのだ。

ラーハルトの言葉から、察するに奴らはディーノつまりダイの力のみで今までの戦いを切り抜けてきたと思っているのだろう。

そこは腹が立つが全否定出来ないのも事実。それにこれはチャンスだ。

各個撃破はむしろ好都合だ。奴が実力を発揮する前に確実に仕留める。

 

「みんな、一気にけりをつけるぞっ!!!」

 

タケルは用意しておいた不思議なタンバリンをリズミカルに打ち鳴らす。

シャカシャカと鳴らしバンバン、ババンと軽快にリズムを取る。

 

「ケッ、何を血迷ってんだっ、ルードォ、構わず突っ込めーーっ!!」

 

ガルダンディーはタケルの行動に意味を見出せずにバカにしたように嗤う。

スカイドラゴンに突撃命令を出すと更にスピードを上げた。

 

「ポップ君、同時に行くわよ」

 

「おう……行くぜっ!」

 

「「ベギラマッ!!!」」

 

 

「ギャハハ、無駄無駄ァ!!!ルードッ!!!」

 

脆弱な人間の呪文などとガルダンディーは叫ぶ。

スカイドラゴンは敵の呪文を相殺、いや呪文ごと飲み込もうと凄まじい炎を吐き出した。

ガルダンディーは勝利を確信したように口元を釣り上げる。

これまでスカイドラゴンの炎によって何人もの人間の戦士を焼き殺してきたのだ。

今回も三人まとめてあの世行きだ。

しかしその予想は呆気無く裏切られることになった。

そして目の前の敵を見下し油断した代償は、相棒の命と自分の翼だった。

 

「ぎ、ぎえええええええええええぇっ!!!!!?」

 

テンションを高めた二人のベギラマは勢いを増して炎のブレスと衝突。

拮抗したのは一瞬だった。

レオナ姫のオーロラの杖の宝玉が輝き呪文の威力を更に激増させた。

二人のベギラマは炎のブレスを食い破り、その威力をも巻き込みながら進んでいく。

翼だけで済んだのはスカイドラゴンが身を挺してガルダンディーを庇ったおかげだろう。

その大蛇の如き体躯を巻きつけて炎の直撃を防いだのだ。

最も、咄嗟の出来事故に全身を護るには至らなかったが。

 

「ば、バカな…、そんな馬鹿な……ル、ルードオオオオォ……ガフッ!!_」

 

その巨体を炭化させ煙を上げながら地に落ちていく相棒の姿。

それが空戦騎ガルダンディーの見た最後の光景だった。

ガルダンディーはタケルの放ったメタルウィングによって両断され絶命した。

それはテンションアップ+バイキルトによる凄まじい攻撃だったのだ。

 

「ガルダンディーッ!」

 

「バカな…、いくら三人がかりとはいえガルダンディーをあっさり…」

 

「三人がかり?残念だったな…」

 

タケルの言葉にラーハルトは感づいたようだがもう遅い。

 

「ハッ、ボラホーン!!」

 

「はぐりん!!!」

 

ラーハルトの言葉にボラホーンが振り向く。

 

その先には『さまようメタルキングよろい』ではなく、メタルキングの武具で完全武装したタケルの相棒が迫っていた。

 

「う、うおおおおおおっ」

 

苦し紛れだったのだろう。

それでも咄嗟に自身に活を入れて巨大なイカリを振るう。

しかしその一撃は虚しく空を切り交差するようにメタルキングの剣の刀身がボラホーンの肩に吸い込まれた。

まさに会心の一撃だった。

伝説の武具をも上回る凄まじい切れ味。

それはボラホーンの巨躯を無慈悲に袈裟斬りにした。

世界樹の加護による補正はタケル自身に留まらなかったのだ。

最も、はぐりんが受けた補正は確りと命令を聞くようになっただけだが。

 

「よっしゃ!これで後一人だ!」

 

ポップは得意気に鼻を鳴らした。

しかしラーハルトは余裕な態度を崩さない。

 

「ふ…、なるほど…伊達に修羅場を潜り抜けてきたわけではないようだな…非礼を詫びよう」

 

ラーハルトは静かにドラゴンから降りると自身の武具に巻いていた布を外していく。

禍々しい灰の光を放つ槍が顕になる。

 

「な、なんだよ…やけに素直だな……降参する気になったのかよ」

 

「ポップ、降参する奴が槍を取り出したりするか?」

 

「……言ってみただけだっつの」

 

「でも本当に戦うつもり?私達を相手に貴方一人で?」

 

「……笑止、俺をさっきの二人と同じように思うなよ。そもそも貴様ら如きを片付けるのに俺一人で充分」

 

「へっ、ハッタリだぜ」

 

「ハッタリではない…。見たところ貴様らは全員、呪文を主力としているようだが…」

 

「だ、だから何だというの?」

 

「その槍、ロン・ベルクのものか…」

 

「ほう、識っているものがいたか…人間の分際で博識だな」

 

「タケル?あの槍が何だってんだ」

 

「簡単に説明するとヒュンケルの鎧の魔剣の槍バージョンだろう」

 

「何ですってっ!!」

 

「つまり…」

 

―鎧化っ!!!

 

解答は直ぐだった。

ラーハルトの声と同時に槍の装飾が分解され担い手の身体を覆っていく。

額当て、軽鎧、ガントレットそして具足。

次々と装着されてく最高の武具。それはあらゆる呪文を弾く最高の鎧。

 

「マジかよ…、だったら奴に攻撃呪文は…」

 

「ああ、雷撃系呪文以外は通じないだろうな…。」

 

タケルは絶望を振り払うように吐き捨てた。

 

「最早きさまらを雑魚と侮るまい…最初から全力で行くぞっ」

 

次の瞬間、ラーハルトの姿がその場から消える。

 

「くっ、ポップっ!!!」

 

「遅いっ!!」

 

ラーハルトは魔槍の切っ先をポップの喉もと目掛けて突き刺した。

ギィンッ!!!!

 

「な、何だとっ!!!」

 

ラーハルトが驚愕の声を上げる。

タケルだった。

飛翔呪文によって光の矢と化したタケルが間一髪、ラーハルトの槍を受け止めていた。

こうなることを予測して予めピオラを唱えていたのだ。

そして星降る腕輪の効果もあってか、タケルのスピードは一時的にラーハルトを超えていたのだ。

 

「貴様、一体…」

 

「はぐりん!ポップを」

 

タケルの命令を受けてはぐりんはポップを後方に退かせる。

 

「すまねえ」

 

「…ち、モンスターの癖に人間に従うのか…」

 

ラーハルトの殺気を受けてはぐりんが萎縮する。

 

「お前の相手は俺だ!」

 

タケルは相棒を庇うように剣を振るった。

ギリギリと鍔迫り合うが徐々にタケルは抑えこまれていく。

負けじとメタルキングの盾を手放し両手持ちにして挑むが敵わない。

バイキルトで強化して尚、ラーハルトの力はタケルを上回っていたのだ。

 

「最も初めに片付けなければならないのは、どうやら貴様のようだな」

 

「くっそったれ…」

 

「死ねっ!!!」

 

「させるか!!」

 

ポップのベギラマがラーハルトに向かって進む。

 

「馬鹿め」

 

ラーハルトは無視してタケルに集中する。

攻撃呪文に構う必要など無いのだ。

ベギラマはラーハルトの背に直撃したが、ラーハルトはダメージを受けなかった。

ベギラマの熱線を鎧が完全に遮断しているのだ。

 

「これまでだな。確かに良質な武具を備えているようだが使い手がこれでは宝の持ち腐れ、恐るるに足らんっ!!」

 

ラーハルトは巧みに槍を操ると鍔迫り合う状態から流れるようにメタルキングの剣を絡めとり弾き飛ばした。

 

「…っ!!?」

 

「そらっ!丸腰でどう防ぐっ」

 

「くっ、スカラ!」

 

タケルは腕をクロスさせて頭と心臓を護るように身を捩った。

防御に全神経を集中させながらスカラを唱える。

凄まじい激痛が襲ってくるが、痛みに喘いでいる暇はない。

鎧を纏ったラーハルトを退けられないようでは、この先の戦いについていくことなど出来ないからだ。

しかし現実は非情だ。気持ちだけでは実力不足の差を簡単に埋めることは出来なかった。

 

「タケル!」

 

「来るなっ!奴の槍の間合いに入ると殺されるぞっ」

 

こんなことなら俺もメガザルの腕輪を装備しておけば良かった。

タケルは確実に迫る死に抗いながら、そう考える。

ラーハルトは桁違いに強い。まさか自分が直接戦うことになるとは思わなかったが、このスピードと槍術は反則だ

先程、ポップが狙われた時は客観的に見ることが出来たから対応できたに過ぎない。

しかしこうやって眼前に迫られると影を追うので精一杯だ。

ラーハルトは虚実を混ぜながら確実に防御の隙間を抜いてくる。

タケルは何度も必死にベホイミを使い続けるが、回復が追いつかない。

刺されては回復、刺されては回復、刺されて刺されては回復、まさに拷問だ。

 

 

ポップとレオナ姫もどうにか隙を見つけようとするが、タケルとラーハルトの距離を考えると目眩ましを目的とした呪文も使えない。

体制を立て直そうにも相手が許してくれない。

既に持ち替えたメタルキングの槍もメタルウィングも弾き飛ばされ絶体絶命だ。

 

「よく持ちこたえたがこれで終わりだ!!」

 

ラーハルトの槍の穂先が正確にタケルの眉間に迫る。

その時だった。

はぐりんが凄まじい速さで割り込んできたのだ。

 

「何っ!?コイツッ…」

 

「はぐりんっ!!」

 

はぐりんは恐怖に表情を歪めながらラーハルトと対峙する。

 

「助かったよ!サンキュー!」

 

「おのれ…、怪物が人間の味方をするなど…巫山戯るなッ!!!」

 

凄まじいまでの神速の連突。

常人、達人関わらずに目の前の暴風の如き槍の前では誰もが無残に散るだろう。

しかし、はぐりんの場合は…。

 

「何だとっ」

 

ラーハルトの凄まじい殺気と攻撃に萎縮して動けないものの、はぐりんは全くダメージを受けていなかったのだ。

 

「今だっ!!!」

 

タケルは道具袋から取り出したある物をラーハルトに向かって投げる。

 

「小賢しい」

 

ラーハルトは飛んできた物体を槍で両断する。

 

「それで詰みだ」

 

「な、なんだこれはっ!!?」

 

斬られた球体は無数の糸に分かれてラーハルトを襲う。

 

まだらぐもの糸、敵の動きを拘束する強靭にして柔軟な糸に絡め取られて抜け出せる者などいない。

 

「勝った…っ」

 

後は全員にバイキルトをかけてテンションを高めて一斉に攻撃すればいくらラーハルトといえど一溜まりもないだろう。

しかしラーハルトは甘くなかった。

 

「甘いっ!!」

 

次の瞬間、ラーハルトを覆っていた鎧が弾け飛んだ。

 

「な、なにぃっ!!?」

 

なんとラーハルトは鎧化を解除することによって難を逃れたのだ。

そして凄まじい速さで糸の隙間をすり抜けて距離を取った。

 

「嘘…だろ?」

 

ラーハルトは忌々しそうに糸に絡まれた鎧の魔槍を軽く振った。

どうやら糸が邪魔して巧く鎧化が出来ないのだろう。

 

「まさかここ迄とは…、この糸のせいで暫くは鎧化は出来んな…っ!!」

 

「タケル…こいつはやべえぞ…」

 

「わかってる。確かにこれで呪文は効くけど…」

 

「ふん、当たらなければどうということはない…」

 

ラーハルトは何処かで聞いた台詞を吐くと、槍を構えた。

その時だった。

 

「さぁ、覚悟しろ……むっ!?」

 

湖の水面が揺れ泡立つ。

そして激しい水柱が上がった。

 

「あ、ああ…っ!?」

 

「漸く出て来たか…」

 

「遅えよ」

 

「「「ダイ!!」」」

 

額に竜の紋章を輝かせた勇者が水面から飛び出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

 

 

 


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