ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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今年初めての投稿です。
今年もよろしくお願いします。


本日の目玉商品『ドラゴンスレイヤー』

「ダイ!」

 

ダイが戻ってきた。

それは俺達全員に確かな活力を与えてくれる。

正に無くてはならない太陽のような存在だ。

ダイはその瞳に力を漲らせてラーハルトを睨みつける。

その額に竜の紋章を輝かせていた。

 

どうやって…。まさか自力で竜の紋章を発現させたのか?

本来、竜の騎士は成人するまで紋章の力を自在に制御できない。

これは人間の、母≪ソアラ≫の血がそうさせたのか…。

 

「おお…っ!あの紋章はまさしくっ!」

 

ダイの勇姿にラーハルトが感嘆する。

 

「うむ、バラン様の…っ」

 

ダイは身を翻する、軽やかに地面に着地する。

 

「ダイ!こいつを受け取れ!」

 

タケルは用意しておいた武器をダイに向かって投げる。

武器は吸い込まれるようにダイの掌へと収まった。

ダイの眼前には真紅に輝く刀身があった。

 

「これは…っ!?」

 

「そいつは『ドラゴンスレイヤー』、竜殺しの魔剣だっ!」

 

「ド、ドラゴンスレイヤー……っ!!?」

 

ドラゴンキラーを豪傑の腕輪によって強化した対竜用の剣。

竜族に対して絶大な威力を誇る正に今回の戦いには、うってつけの剣だった。

 

「よぉし……っ!?」

 

ダイは剣をラーハルトに向けて臨戦態勢へ移行した。

しかし、そこでダイの動きが止まる。

なんと、ラーハルトが武器を下ろし膝を折って頭を垂れていたのだった。

先程まで戦場を支配していた殺気と敵意は鳴りを潜めている。

陸戦騎ラーハルトは唯静かに目を閉じていた。

 

「な、なんだっ!?何の真似だっ!?」

 

ダイは敵の態度に戸惑いの声を上げた。

 

「お初にお目にかかります!竜の騎士の後継者様!我が将の命によりお迎えに馳せ参じました……ディーノ様」

 

ラーハルトは、臣下の礼をとる騎士の様に傅く。

 

「竜の騎士、だってっ!?それにディ、ディーノ…っ!?」

 

「…、失礼しました…。今は勇者ダイと名乗っておられたか…」

 

ラーハルトはゆっくりと立ち上がるとダイの顔をじっと見つめる。

タケル達と対峙していた時からは考えられない穏やかな表情だ。

 

「よく似ておられる…。お父上に…」

 

ラーハルトの爆弾発言にパーティーは目を剥いた。

 

「父親、だって…っ!?お、俺に父親が…っ」

 

「はい…名はバラン!我ら竜騎衆を束ねるこの時代の真の竜の騎士。それが貴方のお父上なのです。そして私の名はラーハルト、バラン様の命により、そのご息子である貴方をお迎えに参上しました」

 

「な、なんだってぇっ!?」

 

驚愕の事実にダイ達は目を剥いて驚いた。

ラーハルトは語った。

本来なら竜の騎士は一人。同じ時代に複数の竜の騎士は生まれない。

 

「そ、その話なら知っているよ。竜水晶から全部聞いた」

 

「はい」

 

しかし現代において例外が起こった。

この時代の真の竜の騎士バランは一人の女性を愛した。

その女性はやがて子を宿し生まれたのが、

 

「そ、それが…俺?」

 

「はい。十一年前に生き別れて以来、随分と行方を探し、遂には…」

 

赤ん坊だったダイの小舟が荒れた大海に長時間耐えられる筈もない。

とうとう我が子を見つけることが叶わなかった父親の嘆きは察することも出来ないだろう。

 

「しかし、こうして貴方は生きていた。バラン様の、あの喜びようは…」

 

「……竜の騎士、その人が俺の父さん?」

 

「はい」

 

「ま、待てよ!」

 

「ポップ?」

 

「どうして、どうしてお前らが迎えに来て父親は迎えにこないんだよ!?十年以上も行方を探していた息子が見つかったんだろ!?」

 

ポップが最もな疑問を口にした。

大切な我が子を部下に任せて今、自身は何をしているのだ。

我が子以上に大事な要件でもあるのか?

 

「誤解のないように言っておく!バラン様は自ら迎えに出向こうとしたが、我らがお諌めしたのだ!バラン様は先の戦いで負傷しておられる。命に別状はないが決して軽いキズではない。その為、我らがこの場に参上したのだ」

 

バランは現在、アルキードにある、竜の騎士の傷を癒やすという泉で療養中だ。

混血であるダイとは異なり、純粋な竜の騎士であるが故にである。

 

「聞いてもいいか?」

 

「何なりと」

 

ダイはラーハルトの眼をじっと見て言った。

 

「父さんは、俺の父親は今、やっぱり魔王軍に?」

 

「はい、超竜軍団の団長にして我ら竜騎衆を束ねる竜騎将であらせられます」

 

 

その言葉にダイの眼に鋭さが宿る。

予想はしていた。しかし信じたくはなかった。

まさか生き別れの父親が魔王軍の軍団長だったとは…。

ダイによって大切な者たちを傷つけた許せいな者達。

デルムリン島の怪物たちやブラスじいちゃん。

恩師であるアバン先生。

ダイの脳裏には魔王軍によって傷つけられ殺された者達が過った。

小さな勇者の肩がわなわなと震えた。

 

「さあ、ディーノ様。今こそ真の竜の騎士の使命にお目覚め下さい。お父上もお待ちです。我らと共に人間どもと戦いましょう」

 

ラーハルトはダイへ手を伸ばして、

 

「ふ、ふざけるなっ!!」

 

冗談ではない。

ダイは力の限り咆えた。

 

「俺が、俺が魔王軍に?本当の名前はディーノ…?ち、違うっ!」

 

ダイはラーハルトの手を払いのけて叫んだ。

 

「過去の事なんて関係ないっ!俺は人間の味方だ!俺は勇者ダイだっ!!!」

 

「ディーノ様…」

 

ラーハルトは目を伏せる。

主であるバランの息子に槍を向けるなど断じて出来無い。

それこそ、バラン本人からの勅命でも無い限り…。

しかし、ここに来て既に自分以外の竜騎衆は全滅。

ラーハルトは無言で物言わぬ屍とかした同士を見た。

褒められた人格ではなかったが、共に同じ人物を主として幾つもの戦場を共にした同士だった。

手ぶらどころか失っただけだ。なんという無様。

 

「ご無礼をお許し下さい」

 

ラーハルトは決断した。

主の息子に槍を向ける覚悟を。

 

「ダイ!来るぞっ!!!」

 

ラーハルトが空高く跳躍すると同時にタケルは声を上げた。

同時にタケルは、はぐりんを掴むと呪文を唱える。

瞬間移動呪文だ。一筋の光線と化したタケルがラーハルト目掛けて突撃する。

いくらラーハルトでも空で自在に動けない。

タケルはラーハルトの言葉に耳を傾けながらも脳内でその後の展開をシミュレートしていたのだ。

ラーハルトの次の行動を。

即ちダイと決裂した後、どのような行動に出るか。

そのまま引き下がる事は有り得ない。それがタケルが導き出した答だった。

自分を除いて仲間と竜は全滅、そして何が有ったかは知らないがバランは負傷しているという…。

 

(短期決戦の勝負に出るはずだ)

 

ダイへの負傷を最小限に抑えて他の邪魔者を排除するという行動に。

即ち最大の必殺技での奇襲だ。

ラーハルトは凄まじい勢いで槍を頭上で回転させる。

 

「受けろ!陸戦騎最強の一撃を!!」

 

凄まじい闘気が槍の回転と共に高まり必殺の一撃へと昇華していく。

 

「やらせるか!!」

 

奇襲には奇襲をタケルの移動先、それはラーハルトのちょうど頭上だった。

 

「な、何ぃっ!!!?」

 

ラーハルトは完全に無防備だ。

呪文に対して無敵を誇る鎧は剥がされ頭上をも奪われている。

タケルは自身が関わってしまった責任を取るべく覚悟を決めた。

その両手にそれぞれ異なる呪文が生み出される。

 

喰らえ!

 

タケルの右掌から真空呪文が唸りを上げる。

真空系呪文最強のバギクロスだ。

真空の渦が周囲の空間を巻き込むように引き裂きながら竜巻を生み出す。

 

「うおおおおおおおぉぉっ!!?」

 

タケルのイメージによってバギクロスはラーハルトの自由を奪うようにその身に巻き付き食い込む。

ブシュリ、ブシュリ!と鍛えられた魔族の肉体が裂ける。

しかしラーハルトも歴戦の戦士。槍を更に勢い良く回転させていく。

 

「な、なんだと!?」

 

タケルも驚愕した。

まさか、あの魔槍でバギクロスの竜巻を収めようというのか?

 

「そうはさせない」

 

タケルは左の呪文を開放する。

それは火炎系最強の呪文メラゾーマだった。

光熱を帯びた巨大な炎球は竜巻に纏わりつくように引火する。

 

「こ、これは…っ!?」

 

そこに生み出されたのは正にファイヤーストームだった。

ゴオオオオオッ、と周りの草木を焼き払いながら火炎竜巻は唸りを上げる。

 

「や、やった…あの鎧も無いんだ…あの野郎も…」

「ええ、これで…」

 

ポップとレオナは巻き込まれなように走りながら火炎の中心の人影を見つめる。

そこでは依然としてラーハルトの身が焼かれていることだろう。

流石の強敵も一溜まりもない筈。

ラーハルトは強敵だが、ヒュンケルのような不死身を思わせる生命力は無かったはずだ。

 

その時だった。

 

「な、なにか聞こえないか?」

 

ダイは火炎の中心を見て呟く。

一同は耳を澄ますが聞こえてくるのは、火炎の渦によって焼かれていく音だけだ。

 

「気の所為じゃないか?それよりも、そろそろ鎮火したほうがいいんじゃないか?」

 

「……いや!」

 

ダイは剣を構えて警戒を強めた。

その耳には確かに聞こえていたのだ。

ヒュンヒュンと唸る様な風切音を…。

 

「あ、ああ……、ああぁ!?」

 

ポップが目を剥いて驚く。

その先にはタケルによって生み出されたファイヤーストームが徐々に小さくなっていく光景だった。

 

「いや一箇所に…一点に集中している!?」

 

-オオオオオオオオオッ!!!!

 

炎が一箇所に集まって…、そこには全身に火傷と裂傷を多いながらも槍を回転させている陸戦騎の姿だった。

その魔槍は凄まじいまでの光熱によって唸りを上げた。

 

「みんな逃げろっ!!!!」

 

タケルが咄嗟にあるものを取り出したと同時に、その絶望の一撃は放たれた。

 

「ハーケンディストールッ!!!!!!」

 

バギクロスとメラゾーマによって生み出されたファイヤーストーム。

その力を乗せた奥義が振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く?

 

 

 

レベル28

 

さいだいHP:165

さいだいMP:624

 

ちから:71

すばやさ:177

たいりょく:82

かしこさ:308

うんのよさ:256

 

攻撃力:208

防御力:338

 

どうぐ

E:メタルキングの槍

E:メタルキングよろい

E:メタルキングヘルム

E:スーパーリング

E:星降る腕輪

 

どうぐ(チート道具袋ではない手持ちの)

 

エルフの飲み薬

エルフの飲み薬

世界樹のしずく

世界樹のしずく

賢者の石

メタルキングの剣

メタルウィング

 

メタルキングよろい +120(炎や吹雪を防ぐ)

メタルキングヘルム +60(マヌーサ、メダパニ、ザキ系などの呪文を防ぐ)

メタルキングの盾  +70(あらゆるダメージを軽減)

 

 

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 大防御

連続魔法 雄叫び 思い出す もっと思い出す

 

 

ホイミ ベホイミ ベホマ

キアリー キアリク シャナク

メラ メラミ メラゾーマ

ギラ ベギラマ 

イオ イオラ

ヒャド ヒャダルコ ヒャダイン

バギ バギマ バギクロス

ドラゴラム

ニフラム マホカトール

バイキルト バイシオン 

スカラ スクルト 

ピオラ ピオリム 

ルカニ ルカナン

ラリホー ラリホーマ

バーハ フバーハ

ラナリオン

トラマナ レミーラ 

インパス アバカム 

ルーラ トベルーラ リリルーラ

レムオル 

 




仕留めたつもりが逆に大ピンチ。
ラーハルト強すぎ。
オリ主がちょっと知恵を絞った程度でどうにかなる甘い相手ではないかもしれませんねw
ドラゴンスレイヤーまったく使ってないしw

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