ダイの大冒険でよろず屋を営んでいます   作:トッシー

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本日の目玉商品『大賢者の杖』

現在オレはパプニカ王国に来ていた。

この国はミスリル銀の道具や特殊な魔法の布で織られた衣服が特に有名で、一人の商人として凄く楽しみだ。

おまけにこの辺りには脅威となりそうな魔物は殆どいない。

魔王軍の侵攻の魔手もまだ伸びていないからだろう。

この国が滅びる前に貴重な物を仕入れておこう。

俺はパプニカ王国で最も活気のある商店街に足を踏み入れた。

人々が賑わい商人は自慢の品を売ろうと躍起になって呼び込みをしている。

俺は露店で売られている鳥の肉を購入してかぶり付きながら街を歩いた。

さぁ魔法の布を手に入れよう!

 

 

 

「ふぅ、漸く手に入れることが出来たぞ」

 

街を歩くこと数時間。

目当ての布を手に入れた俺は、広場にあるベンチに腰を下ろした。

パプニカ特産の魔法の布。

高い対魔力を持ち普通の布よりも遥かに丈夫に出来ている。

魔法の法衣や賢者が着ているローブなんかも、この素材が使われているらしい。

それなりに値は張ったが、それだけの価値があることは言うまでもない。

 

「さてと、目的の物も手に入ったし今度は俺の番だな」

 

俺はヨイショと立ち上がった。

俺の目的はパプニカの城だ。

旅の商人としてパプニカ城に持ち込みを行う算段だ。

交易国として名高いパプニカの王族。

さぞかし支払いが良いことだろう。

滅んでしまう前にタップリとゴールドを落としてもらいましょう!

 

この国に来て今日で三日目、仕込みはバッチリ抜かりはない。

というよりも謁見に三日も待ったのだ。

城の門番に王への謁見を申し込む事から始まり、各種の手続きなど結構な時間を食った。こういった事は国によって色々と違う。

 

商売を行う際、大抵の国は入国の際に手続きと審査を行う。

結果問題がなければ入国と商売が認められるという流れだ。

パプニカは特にその辺りが厳しい。

俺の持つ商品は何処にも売られていない物ばかりだ。

それ故に適正価格をイマイチ判断することが出来ないらしい。

故に専門の人間を呼び審査を行う。

結果、今までで最も時間を食った。

これで売れなきゃ最悪だ。

 

閑話休題

 

現在オレは謁見の間にいる。漸く目通りが叶う。

王座の前で膝を付いて国王を待つ。

俺の隣には持ち込んだ品が台座に載せられており純白の布で隠されている。

暫くすると扉が開き、ゆっくりとした足音が近づく。

足音は王座の前で止まると、腰を下ろした。

 

「そなたが行商人のタケルか?」

 

「はっ!此度は拝謁に賜り恐悦至極にございます」

 

「うむ、面を上げよ」

 

王の言葉に従いゆっくりと顔を上げる。

威厳にあふれた表情の国王が王座に腰を下ろしていた。

なんていうか凄い存在感だな。

隣にはレオナ姫もいる。

その後ろに控えている三人組は有名な三賢者だろうか?

 

「聞けばそなたは我が王家の為に貴重な至宝を仕入れたとか?」

 

「はい、この世に無二の一品でございます。

其れは伝説の武具にも勝るとも劣らぬ一品ばかり。

 

必ずや国王陛下の眼鏡に適う物だと自負しております」

 

「うむ、では早速見せてもらおうか」

 

「へぇ、気になるわね。早く見せてみなさいよ」

 

レオナ姫が身を乗り出して先を促した。

原作通り、かなりのおてんば姫のようだ。

 

「これ、レオナ!」

 

「ごめんなさいお父様」

 

「ゴホン!娘が失礼をした」

 

「いえ……では」

 

俺は台座に被せてある布をゆっくりと下ろした。

周りからため息が漏れる。

この世界では伝説級の武具が五品。

そのどれもが見る者を惹きつける輝きを放っている。

本日の商品はコレだ!

 

大賢者の杖(使うとフバーハの効果)50000G

天使のレオタード(死の呪文を防ぐ)48000G

女神の盾(攻撃呪文を半減させる)40000G

黄金のティアラ(嫌な呪文に掛かりにくくなる)24000G

女神の指輪(歩くとMPが回復していく)15000G

 

「如何でしょう?賢者の卵である姫様に」

 

「凄いわ!それを私のために?」

 

「はい、きっと姫さまにお似合いですよ」

 

「お父様!」

 

「……うむ」

 

レオナ姫は国王に強請る様に声を上げた。

国王はヒゲを撫でるとレオナに向かって頷きこちらを見た。

レオナ姫は嬉しそうに駆け寄ってきて杖を手に取った。

どうやら『大賢者の杖』が気に入ったようだ。

嬉しそうに眺めている。

国王はそんなレオナ姫を微笑ましい顔で見てから俺に向き直った。

 

「タケルとやら、そなたの用意した品々、全て貰おう」

 

「ありがとうございます」

 

「これ程の武具を取り揃えるとは誠に大儀であった。

どうだ?そなたさえ良ければこの国で店を構えてみるというのは?」

 

「……え?」

 

国王の言葉に俺は硬直した。

この話は一商人として、この上無い事だ。

周りの臣下達も国王の言葉に「おお!」とか感心してるし。

 

「確か城下の西区に一画、使われていない土地が有った筈。

 

 どうじゃタケルよ。

 

その商人としての手腕をこの国で存分に振るってみては?」

 

「それ良いわね、タケルくん。

どう?お父様がここまで言ってくれるなんて滅多に無いわよ?」

 

マジですか?

それにタケルくんとな!?

まさかダイくんと同じノリで呼ばれるとは思わなんだ。

王様は俺という商人を取り込むことで国力の強化を図る気だよな?

しかしどうするかな?

魔物の動きもますます激しくなってきている今、戦力の強化は急務だ。

兵士たちの武具や食料などの物資は必要不可欠。

それを用意する商人は是が非でも欲しいだろう。

しかも俺は唯の商人じゃない。特に品揃えが。

確かに平和なら迷わず飛びつく話だ。

けど間も無くパプニカは滅びる。不死騎団によって。

うん決めた。

 

「ありがたいお話ですが…」

 

うん。やっぱ保身が大事ですよね。

俺って正義の使徒って訳じゃないし。

装備を除けば一般Peopleですから。

 

「私は自分の商品をより多くの人々の為に役立てたいのです。現在、魔物たちの動きが活発化しており、

 

魔王が復活したと噂されております。

 

確かに陛下の心遣いは大変嬉しいのです。

 

しかし多くの人々の為にも私は旅を止めるわけにはいかないのです」

 

「……そうか…あいわかった!

 

そなたの心意気、ワシは感服したぞ!

 

そこまで言うのなら引き止めることは出来ん。

 

これからの道中、気をつけてな」

 

「ありがとうございます陛下。レオナ姫もお元気で」

 

「またねタケル君。君の装備、大切に使わせてもらうわ」

 

俺は最後にもう一度だけ一礼すると、踵を返して謁見の間を後にした。

あー、緊張したー。

さてと用事も終わったしパプニカから脱出しますかね。

次はロモスでも行こうかなぁ…。

 

 

 

 

パプニカから出る前に俺は度に必要な物を買い揃えることにした。

食料の方も心許なくなってきたし新しい魔導書も有るかもしれない。

そんな訳で買い物開始。

適当な店を練歩くこと半日、保存食と魔導書を数冊ほど購入。

時刻は午後八時過ぎか。

俺は腕時計と薄暗くなった空を見て溜息を付いた。

 

「こりゃパプニカを立つのは明日にした方がいいな」

 

夜の街道を旅するのは止めた方が良い。

俺はパプニカで一泊することにした。

 

「いらっしゃいませ。こんな遅くまでお疲れ様です。

ウチは風呂もベッドも最高ですよ!お一人様ですか?」

 

「あ、はい。部屋は空いてますか?」

 

「勿論です!お一人様たったの15Gになります」

 

俺は15Gぴったり手渡すと、店員に案内されて部屋に入った。

 

「お食事はどうなさいますか?」

 

「自分で用意してあるから構わない」

 

「風呂はソコの扉の向こうになります」

 

「ありがとう」

 

「それではごゆっくり」

 

俺はベッドに身を投げ出して魔導書を開いた。

呪文を覚えるためには習得した系統の魔方陣が必要になる。

魔方陣の中で祈りを捧げる事で、素質ありと認められれば魔方陣が輝き習得することが出来るのだ。俺はドキドキしながら頁を捲った。

 

手に入れた魔導書は3冊。

1冊目にはメラ系、ギラ系、イオ系の呪文。

2冊目にはキアリー、キアリク、シャナクなどの呪文。

3冊目にはラナ系、フバーハ、レミーラ、トラマナ……あ、ホイミ系もある。

 

ホイミ以外は習得してないな。

明日、片っ端から契約してみるかな。

兎に角、攻撃魔法が習得できるのは嬉しい。

敵と正面きって殴りあうのはガラじゃないからな。

ていうか怖い。死ぬ。

 

「さてと、風呂に入って寝るとするか」

 

俺は魔導書を荷物にしまい込むと風呂に向かった。

この世界って補助呪文も少ないよなぁ…。

バイキルトとかスクルト、ピオリムとか無いのかなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本日のタケルのステータス

 

タケル

性別:おとこ

職業:錬金術師

レベル:8

 

さいだいHP:44

さいだいMP:525

 

ちから:25

すばやさ:26

たいりょく:30

かしこさ:256

うんのよさ:256

 

攻撃力:103

防御力:70

 

どうぐ

E:ガンブレード

E:ビロードマント

E:力の盾・改

E:幸せの帽子

E:スーパーリング

E:魔法の弾×10

 

呪文・特技

 

錬金釜 採取 大声 口笛 

寝る 忍び足 穴掘り 

 

ホイミ ベホイミ  

ヒャド ヒャダルコ

バギ バギマ

 


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