ファンタジーな世界をご当地ヒーローが救います。   作:yosshy3304

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今回は二話更新しました。と言ってももう昨日ですね。
体調が良かったこともあり、いっきに書き上げました。


第十一章 海と空の伝説

 

 

「っ!?」

 

 

「おい、気を付けろっ!まだ終わってないっ!!」

 

 

 遥か先で上がった水飛沫。それを見た涼貴は哲多達に向かって注意を促す。哲多が美女が沈んだ方を見ると、美女は海面に立ち、海面を覗き込むようにして腰を曲げていた。

 

 唖然とした空気を纏い、顔を右手で覆って哲多達の方へと向き直ると、空気を一変させた。

 

 狂ったかのように笑い声を上げ、狂気を纏い、ニィーと口角を上げた。

 

 

「絶対に許さない。」

 

 

「っ!!」

 

 

 静かに宣言した美女の言葉に声にならない悲鳴を上げてしまった。それ程の狂気が纏わりついていたのだ。

 

 美女の顔半分は火傷で焼けただれ、黒い髪はチリチリに縮んでいた。その顔に怒気で醜く歪んでおり、とてもではないが見れたものではなかった。

 

 美女の体がダランと脱力したかと思うと、背中に一筋の筋が入り、其処から黒光りする巨大な田鼈が出てきたのだ。田鼈はすぐさま海中へと潜り、浜の方へと近付いてくる。

 

 海の水が透き通っている為、簡単に見つける事が出来るが、それでも海中に居るよりはと、哲多は空を抱きかかえ、浜へと走り出した。

 

 膝下まである海水に足を取られながら、何とか浜へと上がる哲多。

 

 

「逃がさないわよ。」

 

 

 しかし、背後から背筋がゾッとする声が掛けられる。

 

 

「すまん空っ!フレイムハンマーっ!!」

 

 

 空を放り出し、すぐさまフレイムハンマーを構え振り返る。

 

 小さく悲鳴を上げて、柔らかい砂場に転がった空が見たものは、巨大な田鼈の振り下ろす鎌をフレイムハンマーで受けるリュウレンレッドの姿であった。

 

 

「哲多っ!!」

 

 

 空の叫びと同時に空気の破裂する音が巨大な田鼈からする。リュウレングリーンの攻撃だ。しかし、堅い外殻に覆われた田鼈はまるで効いていない。

 

 巨大な甲虫と戦った時も外殻にはダメージを与える事は出来なかった。

 

 

「くっ!」

 

 

 思わず呻く涼貴。徐々に哲多に対する攻撃は苛烈を極めていき、哲多は受けるのに精一杯になってしまった。

 

 思いっ切り振り上げた鎌を哲多に振り下ろす。それをフレイムハンマーで受け、鍔迫り合いになった。

 

 哲多は敵の姿が田鼈である事から海中に引きずりこまれては不味いと本能で悟る。

 

 もう一方の鎌は哲多を海中に引きずりこもうと、横から哲多の体を抱き抱える様に振るわれた。

 

 

「あっ!?」

 

 

 足を踏ん張り、そして何かに足を取られ滑らし、海中に引きづりこまれてしまった。

 

 それは所謂ブラジャーと言われる物。シンプルなものだが可愛らしいデザインのそれは空の物であった。空が服を脱いだ時に偶然にもホックが外れ落ちてしまったもの。海竜の救助に焦っており気付かずに放置されていたものであった。

 

 誰が発した言葉だったか解らないそれを残し、哲多の姿が海中に消える。

 

 

「ま、不味いぞっ!!」

 

 

「哲多っ!!」

 

 

 涼貴の慌てる姿が目に入る。空も哲多の心配そうに名前を呼んだ。

 

 所々で海面が盛り上がり、水柱が上がる。水柱が上がるという事は、まだ戦闘が続いている事を示し、哲多が無事である事でもある。

 

 だが、水中戦に特化していない、いや苦手でもあるリュウレンレッドには不利であろう。

 

 リュウレンジャーには其々得意なフィールドがあり、リュウレンレッドは火山地帯等。リュウレングリーンは森の中等の視界が狭い場所。リュウレンブラックは夜間戦闘。リュウレンイエローは逆に視界の開けた平地。そして水中戦が最も得意なのは空の変身するリュウレンブルーである。

 

 しかし、空の変身バックルは壊れており、リュウレンブルーに変身することは叶わなかった。

 

 

「カウッ…。」

 

 

 その時、空の耳に小さく鳴く生物の声が聞こえた。

 

 空がその方向へと目をやると、殆どの海竜の子供は海の中へと入り、戦闘側の逆側へと泳いでいくが、一匹だけ。一匹だけ親海竜の傍に寄って行く小さな海竜が居た。

 

 其処は、空の居る場所よりも戦闘が行われている場所寄りで、空は慌ててその子供に駆け寄る。

 

 

「……、子供達は、逃げられましたか?」

 

 

「っ!?…うん。この子が最後の一匹。」

 

 

「そうですか。…その子を、貴方に、託しても大丈夫ですか?」

 

 

「…うん、うん。」

 

 

 駆け寄った空に親の海竜が途切れ途切れに声を掛けてくる。空高く舞い上がり、地面に叩きつけられた衝撃で体中がボロボロで生きているとは思ってなかった空は驚くも、親海竜が虫の息だと悟り、事実を話す。

 

 親海竜はもう目が見えていないのだろう、彼方此方に視線を彷徨わせており、空の声で空の方を向くぐらいであった。

 

 親海竜は空に謝る。空に助けられ、何時か空を助けると約束しながらもそれが無理であると。

 

 そんな事など気にしなくてもいいと語る空であったが、一つ頼みたい事があると言って海竜は子供を空に託した。

 

 空はボロボロ出てくる涙を止められず、唯何回もウンウンと頷く事しか出来なかった。

 

 

「私の力を、使ってくださいな。」

 

 

「…うん、判った。」

 

 

 最後を悟った親海竜は光となって空の変身バックルへと降り注ぐ。

 

 唯、最後を看取る為に頷いた空は何が起きているか解らず、唖然としていた。

 

 光がバックルに降り注ぐほど海竜の体が透けていった。

 

 やがて海竜は完全に消えてなくなり、ただ空の左腕に、傷一つない中心に虹色に輝く上側に三本、下側に一本の指を持つ龍の腕の変身バックルが嵌っていた。

 

 

「ぐわっ!!」

 

 

「ちっ、…あら?あのゴミ屑が無くなっているわね。」

 

 

 哲多が空に飛ばされ、砂浜の方へと飛ばされてきた。田鼈が舌打ちしている事から、哲多が狙って吹き飛ばされて来たようだ。

 

 だが、そんな事と言えば薄情かもしれないが、幼馴染で色んな迷惑を被ってきたうえ、頑丈な哲多なら大丈夫だろう。

 

 そんな事よりも田鼈の発した言葉が許せなかった空は田鼈の方を向く。

 

 

「…まれ。」

 

 

「…何か言ったかしら?」

 

 

「黙れって言ったのよっ!!」

 

 

 小さく呟くような声にきちんと聞き取れなかったのだろう、田鼈が聞き返す。

 

 空は怒りで叫ぶように言い直す。

 

 左腕を肘から曲げて、顔の前に真直ぐ立てる。拳は顔の方へと向けて、手首に巻いたバックルが田鼈へと良く見える様に掲げた。田鼈側に向けた上側に三本、下側に一本の指を持つ龍の腕が正面に来るようにして右手で内側の摘みを掴んだ。

 

 

「流水っ!!」

 

 

 掛け声と共に、摘みを押しこんだことでギミックが作動する。龍の腕が中心のガラス玉を握り込んだ。

 

 空の体を光が包み込む。太陽光でそういう演出をしている訳ではなく、今現在の玩具というのはそういう物であった。

 

 医療用のナノマシンを使用し、組み込まれたギミックを作動させると、収納されていたナノマシンが体の周りに放出され、それがゴム質な何かに変質する。

 

 ナノマシン自体には複雑なプログラムを組む事は出来なくとも、磁力の影響を受けることは出来る為、ギミックを作動させた時にバックル側で操作することが出来るのだ。

 

 電気の代わりに魔力によって動かされたナノマシンは空の女性的ではあるが引き締められた肉体を青色のゴム質な何かで覆われていく。肩、胸、腕、足と青よりも深い色合いの群青色で覆われていき、左右に伸びた鰭のような幅広の髭が特徴の空色の龍の顔を模したヘルメットが空の頭を覆った。

 

 

「海と空の伝説、リュウレンブルー。」

 

 

 何度も練習した為、体が覚え込んでしまった動きをする。

 

 暗雲とする気持ちを吹き飛ばす為に透き通るような声で名乗った。

 

 

「はっはは。それでこそ空だ。火と鉄の伝説、リュウレンレッド。」

 

 

 吹き飛ばされた哲多が起き上り、特撮オタクの悲しい性か、確りとポーズを決め高らかに名乗る。

 

 

「もう、大丈夫の様だな。木々と命の伝説、リュウレングリーン。」

 

 

 涼貴も心を落ち着かせる目的か、ポーズを決めてクールに名乗った。

 

 

「貴方達は何者なのよっ!!」

 

 

 流石に突然姿の変わった空に狼狽したのだろう。田鼈が焦ったように聞いてきた。

 

 

『伝説が重なり今此処に。連楽戦隊リュウレンジャー』

 

 

 それぞれはまるで田鼈の問いに答える様に名乗りを上げ、声を重ねてポーズを決めた。

 

 

「さぁ、伝説の物語の第三章よっ!!」

 

 

 ビシッと田鼈に指を突き付け、怒りに震える空の声が澄み渡る海面を揺らした。

 




読んでいる人は気付いただろうか?
敵に一応の共通点があることに。
ネタバラシにもなるのでこれ以上は言わないが、作品の中でちゃんと言っていることである。
後12、3話はだいたい同じような話になります。何故なら変身できるようになるまでの話を書くから。
それ以降は少し話の流れが変わり、元に戻るを繰り返すかと…。
特撮の宿命みたいなものですね。

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