ファンタジーな世界をご当地ヒーローが救います。   作:yosshy3304

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第十八章 大地と力の伝説

 

 

「流激装備。」

 

 

「無駄という事が判らんか?」

 

 

 大地は怒りを耐えて、専用装備を呼び出す。ランドホーは魔力によって原作通りの性能を発揮していた。三俣に分かれた部分が岩で出来ていたのだ。巨大な蝿はそんな大地を嘲笑う。

 

 

「ランドアックス。」

 

 

 それを見ずに、唯出来るという勘だけで、ランドホーをアックスモードに切り替える。大地は客の入りが悪い店を経営する為、節約できる所は節約していた。その一つが火であり、ガス、電気を使わず、タダで貰ってきた端材を手斧で割り薪としていたのだった。

 

 ランドアックスは本来なら手斧(ハンドアックス)となる筈だったのだが、魔力によって構成されたランドアックスは大地の怒りを感じ取ったのか、槍斧(ハルバード)となっている。

 

 

「シーランサー、シュートッ!!」

 

 

「なんじゃとっ!!」

 

 

「大地さん、今ですっ!!」

 

 

「すまん、助かる!!」

 

 

 空がシーランサーの先端、空気中から集めた水で出来た穂先を蝿に向かって打ち出す。空中に浮かんでいた蝿は、まさか槍の穂先が飛んでくるとは思わず、動揺して一瞬動きを止めてしまった。

 

 空の合図で大地は蝿に向かって跳んだ。振りかぶったランドアックスを蝿へと振るう。

 

 魔法の中にも水球を飛ばす魔法は存在するし、武器に魔力を纏わせる事もある。巨大な蝿も魔族であるからして、そういった魔法を使う事もある。だが、空の様に一旦武器に魔力を纏わせてから発射するという効率の悪い方法は蝿の予想外だったのだ。

 

 空としては魔法の無い世界に住んでいたのでそんな事知ったこっちゃない、正確にはそれしかできないと言った所であったが、蝿の動きを止めるには貢献していた。

 

 振るわれたランドアックスを避けようとするも、唖然としてしまった時間が長すぎた。ランドアックスが蝿の右側の羽を切り飛ばす。

 

 

「ぐわぁっ!?」

 

 

「これで飛べないだろっ!!」

 

 

 痛みに呻く蝿に向かって、一緒に落ちながら大地はニヤリと笑う。

 

 

「いっけぇ!!大地さんっ!!」

 

 

「おうっ!!」

 

 

 フレイムハンマー片手に純粋に応援する哲多に答えながら、蝿を下にしながら地面に着地。蝿は大地の体重も加わった衝撃で呻き声一つ上げずに、地面へと埋まった。

 

 

「舐めるなぁ!!」

 

 

「うおっ!?」

 

 

 だが蝿の魔族も、片方の羽を失いながらも姿勢制御にのみ羽を使うことで、速度を維持しつつ大地へと襲い掛かる。

 

 大地は辛うじてその攻撃をランドアックスで受けた。その一撃は思いの外重く、ランドアックスが大地の手から弾かれ後方へと飛んで行ってしまった。

 

 大地に襲いかかろうとする蝿に向かって、リュウレングリーンの、涼貴の援護が文字通り飛んでくる。だが、風の弾丸が見えている蝿には掠りもしない。

 

 

「このっ!!」

 

 

「待てっ!!」

 

 

 フレイムハンマーを振り上げた体制で哲多が動き出した瞬間、大地の制止の声が掛かる。巨大な蝿が大地を襲おうとするも、リュウレンブルーとリュウレングリーンに阻まれて無理であった。

 

 それも短時間の事であったが、大地が哲多を説得する時間ぐらいは稼ぎ出す。

 

 リュウレンジャーの専用武器は、リュウレンレッドのフレイムハンマーを除いて、何かしらの変形がある。

 

 リュウレンブルーは槍、銛、薙刀へと。リュウレングリーンは弾丸を変える。リュウレンイエローは鍬、斧、鎌。

 

 だが、リュウレンレッドのフレイムハンマーには変形機構がない。それは原作でも同様であり、その代り他の武器にはない威力の調節が出来るというものがあった。

 

 ただしそれを行うには、少々所かそれなりの時間が必要になってくる。その時間はフレイムハンマーを振り上げた体制から動く事が出来ないのだ。応援する時もフレイムハンマーを振り上げながら行った哲多が、大地を救う為に動こうとしたのを大地が止めたのだ。

 

 

「ええい、五月蝿いわっ!!」

 

 

「こんぐらいで負けるかよっ。俺を信じろっ!!」

 

 

 ついに速さで攪乱していたリュウレンブルーを捉え、リュウレングリーンへと投げつける。元々、蝿の方が速かったのだ。陸上という事もあり、空の速度は蝿にとっては遅く、リュウレングリーンの弾丸が無ければ、もっと早くに掴まっていただろう。

 

 その弾丸を見切り、リュウレンブルーをぶつける事により、リュウレングリーンの攻撃を無力化する蝿に向かって、哲多へと叫んだ大地が無手のまま殴りかかった。

 

 

「そんな攻撃がっ、がはっ!!」

 

 

「当たる訳ないよなっ!!」

 

 

 その拳の軌道を見切り、避けようとする蝿の腹に大地の膝が突き刺さった。リュウレンイエローのヒーロースーツに加え、そのスーツ内に溜まった魔力によって身体能力が強化されている。体制が不十分であったが、その威力は蝿に苦悶の声を上げさせるには十分であった。

 

 

「ほらよっ!!」

 

 

「ぬぅ、ぎやっ!?」

 

 

 回し蹴りを蝿の側頭部に向かって繰り出す大地。その下を潜り反撃に転じようとした蝿の顎を反対側の足の爪先で蹴り上げた。小さな悲鳴を残してほんの僅かに地面を離れた。

 

 

「ぐぅ、な、何故じゃ…。」

 

 

「ああ、簡単。爺さんさ、喧嘩慣れしてねぇだろ。」

 

 

「な、何じゃとっ!?」

 

 

 蝿の速度は確かに脅威である。だが、身体強化の恩恵は視力にもあって、大地は蝿の動きを見切る事が出来ていた。見えていても如何にもならない動きであったが、ランドアックスという重鈍な武器を手放した事による、ほんの僅かな速度アップとヒーローとしての戦い方を捨て、昔のやんちゃしていた頃の戦い方に戻したが為に蝿と拮抗するまでに至ったのだ。

 

 更にそこに戦い慣れするほどに喧嘩していた経験が加われば、一方的に甚振れるまでになる。蝿にも戦いの経験はあるが、それは自身が絶対的な強者としての、所謂弱い者虐めとしての経験しかなかったのだ。

 

 蝿の混乱し、つい口をついて出た疑問に、何でも無いかのように手を振りながら答えた大地に、驚きの声を上げる蝿。

 

 

「そんじゃま、仕上げだな。」

 

 

「っ!!…なっ!?」

 

 

 軽い口調のまま大地が蝿に向かって突進する。蝿はそれを避けようと体をずらすも、其処には丸太の様な太い大地の腕が迫っていた。

 

 驚きを露わにする蝿の顔面にリュウレンイエローの大きな拳が突き刺さる。大地は反転、そのままの勢いで哲多の、リュウレンレッドの待つ方向へと蝿を突き飛ばした。

 

 

「行ったぜっ、坊主っ!!」

 

 

「おうっ!!」

 

 

 振り上げたフレイムハンマーは、轟々と燃え盛り、その大きさを元の大きさの数倍にまでなっていた。十分エネルギーは溜まっており、飛んできた蝿に向かって振り上げていたハンマーを技名と共に振り下ろした。

 

 

「メガフレイムハンマーアアアアァァァァ……!!」

 

 

「ぐぎゃっ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ…!?」

 

 

 一瞬小さな悲鳴を上げて、その肉体を焼く高温に悲鳴を上げながら、振り下ろされたフレイムハンマーと共に土埃の中に消える蝿。その土埃の中からリュウレンレッドがハンマー片手に転がり出てきた。

 

 

「やったかっ!!」

 

 

「大地さん、それフラグっ!!」

 

 

 思わず叫んだ大地に向かって空の突っ込みが炸裂する。裏手でビシッと見事なナンデヤネンであった。

 

 

「己ら…、よくもやってくれたな!!」

 

 

「…っ!?」

 

 

 しかし、その土埃が突如内部から吹き飛ばされる。その中心を物凄い速さで上へと突き抜けた何かがあった。

 

 そこには怒り心頭という顔で大地達を睨む老人がおり、特に大地に向かって殺気を飛ばしていた。

 

 

「ええい、今日の所は見逃してやるっ!!だが、覚えておけっ、貴様は、儂の獲物じゃっ!!」

 

 

「…っ!!上等っ、やれるもんならやってみなっ!!」

 

 

 一瞬、老人から溢れた殺気と狂気に体を硬直させるも、喧嘩慣れしていた大地は言い返していた。ふんっと鼻を鳴らし、その老人は彼方へと飛んでいく。それを見送ってから大地は地面に尻餅を付く様に倒れたのだった。

 

 

「おいおい、如何したんだよチビ。」

 

 

「クロ?」

 

 

「ディネまで。」

 

 

「あん?」

 

 

 なんとかなったなとホッとしていると、変身を解いた哲多達の声が聞こえた。今まで何処に隠れていたのか、小さなドラゴン、チビと子犬の様なクロ、古代魚の様なディネ、更には陸亀の様なミノリまで、大地の後方に向かって吠えているのだ。遠吠えの様なそれは、まるで仲間に自分達は此処だと知らせるような感じである。

 

 

「あっちに何かあんのか?」

 

 

「取り敢えず、行ってみるか?」

 

 

 よっこらしょと親父くさい掛け声で大地は立ち上がり、チビ達が遠吠えを上げた方向へと、涼貴が先頭に立って歩き出したのだった。




出来れば今日中にもう一話上げるつもりです。
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