ファンタジーな世界をご当地ヒーローが救います。 作:yosshy3304
「う…うん、…此処は?…何してたんだっけ?」
堅い地面に寝ている状態から体を起こした哲多は周りを見回す。
周りは木々に囲まれていた。いや、上の方を見ると木々が乱立する山の山頂が見え、下の方を見ると麓まで木々が生えているのが分かる。
山の中腹辺りのどうやら此処だけ木々が無い広場の様な場所であるようだった。
「そうだ、竜巻に巻き込まれて…、皆はっ!!」
竜巻に巻き込まれたのは自分だけでは無かった事を思い出した哲多は慌てて周りを見回す。少なくとも災害救助用ヒーロースーツを着ていた自分達五人は助かった筈なのだ。
しかし、周りには誰も居らず、竜巻によってバラバラの場所に運ばれたのが確かめられただけであった。
「おーい、皆ぁ…!!」
取り敢えず大声で呼びかけてみる。近辺に居るとは限らないし、自分の様に気絶していて返事を返せないかもしれないが、何もしないよりはマシだと自身に言い聞かせた。
返事は返ってこない。山彦が数回返ってきただけだ。
「…駄目か?」
耳を澄まし返事を少しの間待ってみるも、風が木々の葉を揺らす音しか聞こえなかった。
「キューイ…。」
「な、なんだ今の…!?」
だが、次の瞬間甲高い動物の鳴き声と思しきものが聞こえた。遠足で行った動物園では聞いたことのない鳴き声。ましてや普通に生活していても聞くことのない鳴き声に思わず立ち尽くす。
哲多は緊張気味に耳を澄ました。もし、先ほどの鳴き声の主が巨体であるのならば、凶暴であるのならば、もし毒等を持っているのであれば。
聞いたことのない鳴き声故に想像もできず、警戒しすぎるということはないだろう。
そんな事を考えつつ、構えた哲多の正面。哲多の腰ぐらいまである草がガサガサと揺れた。
「いったい、なんだ?」
警戒する哲多に向かって小さな影が飛び出した。
「むぐっ!!」
その速度は速く、警戒して集中力が増していた哲多の意識すらすり抜け、哲多の顔面にベチャっと引っ付いた。
チミャーと鳴いて、全力で哲多の顔に引っ付くその小さな生き物を無理やり引っぺがす。
「ぷはっ、…な、なんだお前!!」
息ができず引っぺがした後、大きく息を吸って吐いて、、哲多は改めて引っぺがした生き物に目をやり、驚く。
哲多とて地球の生き物全部を知っている訳ではないが、それでももし目の前生き物が居るとすれば世界中で大騒ぎになったことだろう。
ズングリムックリした胴体に太い足。にゅっと伸ばされた首の先には角が生えた爬虫類の顔。小さな前足に太いが短い尻尾。背中には蝙蝠の様な羽が生えており、全体的に赤みがかった鱗が体を覆っていた。
「まさか、ドラゴン?」
「キュッ…。」
思わず呟いた哲多に、小さく頷く様に鳴いたそれは哲多をジーっと見つめ、次第に目をキラキラさせだした。
それは哲多の主観であり、勘違いかもしれないが、その生き物は短い尻尾をブンブン振って、懐いた小さな子供のような雰囲気を醸し出す。
「あー、よし。お前は今日からチビだ。」
「キュクー!!」
現実逃避だろうと思われる。竜巻に巻き込まれ、気付けば目の前にドラゴンが現れて自分に懐いてくる。そんな夢なんだと哲多は思い込むことにした。
そう考えたら、目の前の存在が可愛くなって思わず簡易な名前を付けた。
赤い小っちゃいドラゴンもチビという名前が気に入ったのか、それとも哲多に遊んで貰えると思ったのか、目を細めて嬉しそうに鳴いた。
「ほら、此処がお前の定位置な。」
「クキュ?」
哲多はチビを頭の上に乗せる。哲多の言葉が解らなかったのかチビは小さく鳴いて首を掲げるも、哲多の頭に確りと掴まった。
「さて、これからどうしようか?」
「キュイィ?」
結局、夢だとしてもこれからの予定等無い哲多は首を傾げてしまう。
頭の上のチビは哲多の頭に掴まりながら、哲多と同じように首を傾げた。
「…うん?なんだ?」
草がまたガサガサと揺れる。哲多はまたチビの様なチビドラゴンが出てくるのかと注視する。
ガサっと音がし、飛んできたのは矢であった。運が良かったのか、哲多の顔の横を通り過ぎ、後ろの木の一本に刺さった。
「へ?」
思わずその矢を目で追ってしまう。そしてそれが矢だと認識した後、視線を矢が放たれた場所に戻した。
「うえっ!?」
そこから出てきたのは全身緑色のサルの様な生き物であった。ただサルと違うのは確りと二本足で立ち、背中に矢筒を背負って手には木や蔦でできた弓を握っていること。
腰に襤褸を纏っているだけで他は何も身に着けていなかった。口の端から鋭い牙が上顎から覗いている。
そんなサルみたいな生き物は又も弓に矢を番え、キリキリと引き絞り哲多に狙いを付けた。
「な、なんじゃそらっ!!」
哲多は後ずさりするように後ろに下がり、目を逸らしたり後ろを向けばこれ幸いと矢を放ってきそうであった為、まだ正面を向いていた方が避けれそうであったからだ。
後ろに木々を確認すると、そこで初めて反転し、木々を目くらましに逃げ出した。
「ちょっ、て当たり前だよな!!」
矢こそ離れた場所に突き立ったものの、そのサルの様な生き物は哲多以上に俊敏に山の木々の中を駆けてくる。
驚きを露わにするが、すぐに思い直す。サルの様な生き物はこの山で生活しているのだ。
当然、哲多なんかよりも遥かに動きに無駄がない。
「うわっ!!」
サルの様な生き物が奇声を発しながら哲多に飛び掛かった。
「ギャッ!!」
もう駄目だと思わず目を瞑った哲多の耳に、サルの様な生き物の悲鳴が入ってきた。
恐る恐る目を開ける哲多。その視界に入ってきたのは鱗に覆われた巨大な爬虫類の顔であった。
その口には、サルの様な生き物が咥えられており、はみ出ている手足の一部は変な方向を向いている。
バリバリと音を立て、やがてゴクッと飲み干したその生き物は哲多の方へと顔を近づけ、哲多を睨んだ。
「お前は、ゴブリンなんぞに後れを取るのか。」
その巨大な生物が口を開く。
以外にもそれは鳴き声等ではなく、哲多もよく知る言葉であった。
今回は投稿を早めにしようと、文章量が短いです。
次回は逆に多めになりそうです。
まぁ、予定は未定と言いますが。
誤字脱字、感想等待ってます。