ファンタジーな世界をご当地ヒーローが救います。   作:yosshy3304

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第二十話 魔族の少年と親と子の伝説

 あ~あ、代わって貰ったら良かったかなぁ。そんな事を考えつつ少年は空中を高速で飛ぶ。少年は魔族だ。その姿は自身の趣味も兼ねており、本来の姿は又違う。本来の姿と比べて能力が格段と抑えられているが、竜種一匹狩るには十分な能力があった。

 

 能力があるが、愚痴っているのには訳がある。魔族にはそれぞれ得意な属性能力がある。水を得意とするものは水を、火を得意とするものは火を、掌等から放出し攻撃手段とするのだ。

 

 これはエルファンテトラに住まう存在全てに言える事で、元々天体種であった魔族にもこの属性は存在する。そして少年の姿を借りた魔族が得意とするのは闇である。

 

 この闇という属性は、他の属性とは違い、唯一物理攻撃が無いと言う点がある。物理攻撃、要するに固体の状態で相手に攻撃する事を指すのだが、光や火は圧縮すれば固体となるのだが、闇だけはどんな方法を取っても固体とならないのだ。

 

 その分厄介な能力である事が多いのだが。

 

 掌から放出された闇が、完全に光を遮ってしまう。目の構造上見るという事は、少量でも光が目に入っているという事。それが遮られるという事は視界が一切効かなくなるという事である。

 

 視界という五感の中で最も情報を取得する器官を塞ぐ事は、戦闘だけではなく様々な分野において自身を有利にする。ただし、それは相手が視界以外の視認能力を持たない場合だ。

 

 少年魔族がこれから狙うナイトメアワイバーンと言うワイバーンと名が付いているが歴としたドラゴン、竜種である。は見た目蝙蝠の様で、蝙蝠と同じく超音波を使い暗闇でも見えているかのように行動する。それだけではなく、ワイバーンの名を冠するように空を飛ぶことに関しては魔族にすら匹敵するのだ。体力も竜種だけあって高く、防御力が無いという点が不利になってはいない。

 

 少年も魔族であり、視界を塞ぐ事等しなくても負ける事等有り得ないが、只々メンドクサイのだ。老人の姿を取った魔族ならばもっと楽に打倒出来るだろう。何せ物理攻撃に置いては最強である岩の属性持ちなのだから。

 

 あ~あ、メンドクサイ。もう一つ言葉を吐いて、目的の魔力が発している魔力の後を辿った。

 

 

「こんな山奥に巣を作らなくてもいいのに。」

 

 

 少年魔族が降り立った場所は山の山頂付近。そこにぽっかりと口を開けた天然の洞窟の前だった。

 

 少年魔族の様な外敵から身を守る為にこんな山奥に巣を作るのだから、少年魔族の言葉は唯の愚痴である。しかし、産卵時に強烈な魔力を発してしまい、魔力感知の出来る魔族にとっては意味のない事である事を考えれば、少年魔族の言葉は的を得ていたのかもしれない。

 

 

「取り敢えずライトキャンセラー。…そんでもってビーイングキャンセラー。」

 

 

 掌から闇を放出し、二つの魔法を行使する。一つ目は自身を闇に溶け込ませ、洞窟等暗い所では姿を消す魔法。二つ目は存在を消す魔法である。

 

 相手は超音波等視界以外の視認能力を持っている。この二つ目の魔法はそう言った視界以外の視認能力を誤魔化す効果があった。わざわざ認識されて先手を取られる意味もない。

 

 

「さぁ、楽しようか。」

 

 

 少年魔族は洞窟に足を踏み入れた。地面も壁もゴツゴツと剥き出しの岩肌である。ただ其処は竜種の巣だけあってそれなりの広さがあった。

 

 真っ直ぐの直線を行き、ほんの僅かに下降しながら曲がっている。その先に木々や落ち葉の溜まっている場所があった。そこに巨大な蝙蝠の様な翼を地面に付けて臥せっているナイトメアワイバーンが居た。

 

 少年魔族の存在にはまだ気付いてはいない。超音波は定期的に発しているのか、顔を彼方此方に向けているものの、入口で使った魔法二つが効いている様だ。

 

 

「先手必勝ってね。」

 

 

 少年魔族はナイトメアワイバーンの眼前に姿を現し、その顔をやや下から回し蹴りの要領で蹴り飛ばした。

 

 

「ギャッ!!」

 

 

 小さく悲鳴を上げ、上体を反らす様に後ろへとひっくり返った。少年魔族はその事に満足そうに頷き、巣の中心を覗き込む。

 

 

「あ~らら、もう生まれちゃってるじゃないか。」

 

 

 其処には小さなナイトメアワイバーンが存在し、震えながらも少年魔族に向かって威嚇している。

 

 少年魔族はメンドクサそうに呟くと、その小さなナイトメアワイバーンに手を伸ばす。卵の状態である方が魔力が強く、魔王の封印を解く為にはその方がいいが、生まれた直後の幼竜もまた魔力の塊なのだ。

 

 成体竜と違って、色々と弱い為、それらから身を守る為に巨大な魔力で身を包んでいるからだ。少年魔族の手をガジガジと噛んでいる小さなナイトメアワイバーンも、成体竜と比べて遥かに巨大な魔力を発している。

 

 

「そこで倒れていたらよかったのに。」

 

 

 少年魔族は子供を取り返そうと向かって来た成体竜に向かって再び蹴りを喰らわせた。吹き飛ぶ親ナイトメアワイバーンに向かって呆れたような声を掛ける。

 

 

「あら、強く握りしめちゃったかな。」

 

 

 蹴りを放った時につい手に力を入れてしまったのがいけなかったのだろう。握られていた幼ナイトメアワイバーンはグッタリとしている。

 

 

「まぁ、生きてるみたいだし、いっか。…そんじゃバイビー。」

 

 

 少年魔族はその事に一瞬考えるも、別に死んでいる訳でもなし、生きてさえいれば魔力は取り出せるのだからと、今だもがいている親ナイトメアワイバーンに向かって軽く手を上げると元来た道を高速で飛翔するのであった。

 

 

「うーん、止め刺すのメンドクサがったのがいけなかったのかなぁ。」

 

 

 少年魔族は今現在後悔していた。ナイトメアワイバーンに止めを刺そうとすれば刺せただろうに、めんどくさがってそのまま放置してきたのだ。その為か親ナイトメアワイバーンが追いかけてきており、少年魔族は無駄に体力を消耗しながら飛んでいる所であった。

 

 別に撃退しようとすれば余裕で可能であることから、ただメンドクサがっているだけなのが窺える。

 

 

「あれ、あんな所に精霊種がいるや。うん?」

 

 

 木々の間を抜けて視線を前にやると、精霊種の女性体と思われる存在が倒れている。少年魔族が不思議に思っていると、少し離れた位置から強力な魔力が近づいてきている事に気付いた。それはどうやら精霊種の方へと来ているようだ。

 

 

「お仲間なのかな?…ちょうど良いから貰っちゃうか?」

 

 

 その巨大な魔力の持ち主と精霊種を一直線に結ぶ先に自身が居る事に気付かず、その少年魔族にとっては珍しくメンドクサがらずに行動に移した。

 

 

「はいはい、ちょっと失礼しますよーっと。」

 

 

 精霊種の女性を抱き起こし、首筋に口を持っていく。そして牙を突き立てた。少年魔族は吸血能力がある。その吸血能力で血を吸った相手の記憶や姿を奪うのだ。

 

 

「おっとっと、もう追いついてきたのか。まぁ、いっか、これ貰ってくねぇ。」

 

 

 読み込んだ記憶が少し変わっていた事もあり、もう少し深く記憶を読もうとした所で、親ナイトメアワイバーンが追い付く。奇襲してきたナイトメアワイバーンを蹴り飛ばしてから、精霊種の首に掛かっていたネックレスを奪った。

 

 姿や癖は能力で何とかなる。服もまぁ、魔法で何とかなるだろう。しかし金属系の装飾品だけは、その質感等が誤魔化し切れない。それに、このネックレスを使えば、もう少し楽が出来るのではないか。そんな思惑を持って少年魔族は飛翔した。

 

 

「…う、うん。」

 

 

 少年魔族がその場を去ってから目を覚ました少年魔族が精霊種だと勘違いした女性。既に少年魔族はその場を去っており、その女性、黒屋 真由美と親ナイトメアワイバーンとのやり取りを少年魔族は知らない。




すみません、予約投稿出来てると思い込み、予約投稿出来てませんでした。
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