ファンタジーな世界をご当地ヒーローが救います。   作:yosshy3304

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久々にこちらを投稿させて貰います。長らくお待たせしてしまってすみません。


第二十二話 夜と星の伝説

 

 

「流水。」

 

 

 漆黒の闇の中、真由美の声が響いた。真由美は、先ずこの何も見えない状況を何とかする事にする。

 

 左腕を肘から曲げて、顔の前に真直ぐ立てる。拳は顔の方へと向けて、手首に巻いたバックルを闇に向けて掲げた。真っ直ぐ伸びた尾と龍玉を闇の方へと向けて右手で内側の摘みを掴んだ。

 

 掛け声と共に、摘みを押しこんだことでギミックが作動する。ピンと伸びていた尾が虹色に輝く龍玉を抱き込むように丸まった。

 

 真由美の体を光が包み込む。医療用のナノマシンを使用し、組み込まれたギミックを作動させると、収納されていたナノマシンが体の周りに放出され、それがゴム質な何かに変質する。

 

 ナノマシン自体には複雑なプログラムを組む事は出来なくとも、磁力の影響を受けることは出来る為、ギミックを作動させた時にバックル側で操作することが出来るのだ。

 

 電気の代わりに魔力によって動かされたナノマシンは漆黒のゴム質な何かに包まれた真由美の肩、胸、腕、足と白っぽい銀色で覆われていき、髭が左右と斜め左右、頭頂部に鰭の様なものがある漆黒の龍の顔を模したヘルメットが最後に真由美の頭を覆った。

 

 

「先にこの暗闇を何とかします。」

 

 

 リュウレンブラックの姿になった真由美は、漆黒の暗闇の中にそう声を掛けた。すぐさま闇の中から返事が返ってくる。

 

 

「それは、ちょっと止めてほしいかな?」

 

 

 だが、魔族の少年からすれば止めてほしかった。折角自身の得意とする闇の中なのだ。楽をする為にも見える様になるのは好ましくない。真由美の行動を阻害しようと、真由美の方へと移動する。

 

 

「させるかっ!!」

 

 

「なっ、ウザいんだよっ、そういうのっ!!」

 

 

 少年魔族が、例の不快音をさせながら真由美の方へと移動しようとするのを、その不快音を目印にして哲多が飛び掛かった。少年魔族がそんな哲多の行動をウザがって引き離そうと、高速で飛び回る。

 

 

「ぐわっ!!」

 

 

「邪魔するなんて、メンドクサイ奴…。」

 

 

「でも時間は十分稼げました。」

 

 

 暗闇の中、感触だけで掴まり続けた哲多だが、ついには振り落とされる。衝撃に苦悶の声を上げた。そんな哲多を見ていた少年魔族はやっと離れたと、文句を言いつつも、改めて真由美の方へと向かおうとするも、哲多の行動で十分な時間が稼げ、真由美の、リュウレンジャーブラックのバックルが光輝く。

 

 

「広範囲ライト点灯。」

 

 

「なっ、何なんだお前らはっ!?」

 

 

 変身時の光を強くしたもの。広範囲に明りを付ける機能である。リュウレンジャーブラックの得意なフィールドは暗闇であり、暗視ゴーグルの様な機能が付いては居るが、戦隊として戦う時にそれでは周りが不利だという事で、ブラックのバックルに付いている機能だ。

 

 巨大な蚊がその姿を現す。その蚊から聞こえた声は少年魔族のものであり、哲多達は魔族の本当の姿と言うものを何度も目撃しており、真由美はそもそも、こういった事で狼狽えない。

 

 直に空を見上げる時の天体観測時に巨大な空飛ぶ生き物が出てくる事はよくある事で、声が同じなのだからと、それだけで判断していた。

 

 薄暗くなっていたと言えども、光魔法を防ぎ、それどころか完全に太陽光すら遮る魔法の中、それなりに広い魔法の効果範囲の隅々まで色取り取りの光が照らしだしている。その有り得ない現象に巨大な蚊は狼狽え、何者なのかと問いかけた。

 

 

「夜と星の伝説、リュウレンブラック。」

 

 

 くすっと笑って、ノリノリに動き、ナノマシンの発する人工光の下で真由美が名乗る。

 

 

「鉄と火の伝説、リュウレンレッド。」

 

 

 続くは哲多。赤い人工光の下で名乗る。

 

 

「海と空の伝説、リュウレンブルー。」

 

 

 次に空。青い人工光の下で、色々とパニックを起こしていた事を誤魔化す様に名乗る。

 

 

「木々と命の伝説、リュウレングリーン。」

 

 

 これは俺もやらなければいけないか?と少し辟易しながら緑色の人工光の下、名乗りを上げる。

 

 

「大地と力の伝説、リュウレンイエロー。」

 

 

 最後に大地が、結構楽しげに黄色い人工光の下で名乗りを上げた。

 

 

『伝説が重なり今此処に。連楽戦隊リュウレンジャー』

 

 

 全員が決まったポーズで、声を揃える。心の内では怒りに震えているが、それよりも全員が揃った事に皆が喜んでいた。

 

 

「さぁ、伝説の物語の第五章よぉ。」

 

 

 真由美がビシッと指を突き付け、何時ものノンビリとした口調ではなくハキハキとした言葉で宣言した。

 

 

「な、何だよ、何なんだよっ!!」

 

 

「行くぜっ、フレイムハンマーっ!!」

 

 

 巨大な蚊は、リュウレンジャーの統一された動きと名乗りに狼狽える。そんな巨大な蚊に真っ先に突っ込んでいくのは哲多。リュウレンレッドの専用武器はハンマーであり、ある程度近づかなければならず、哲多の性格も相まって、必ずと言って言い程に哲多が飛び込んでいく。

 

 巨大な蚊は振り回される炎を纏ったハンマーを避けて、哲多から距離を離す。

 

 

「なんで暗闇の中で見えてるんだよっ!?」

 

 

「イライラさせてくれたわね。シーランサーっ!!」

 

 

 次に巨大な蚊に迫ったのは、色々と限界だった空だ。暗闇で一方的にやられ、イライラが募っていたのだ。見える様になったことで、八つ当たり気味に攻撃を加える。水分で作られた穂先を持つ槍を振るい、突く。

 

 巨大な蚊は堪らないとばかりに宙へと逃げた。

 

 

「うひっ、来るな、来るなよっ!?」

 

 

「そう言っていた相手を甚振って来たんじゃないのか?ウッドスナイパー、ウインドシュートっ!!」

 

 

 だからこそ構えていたウッドスナイパーで狙撃したリュウレングリーン。巨大な蚊は羽を撃ち抜かれ、地面へと落ちてきた。それに油断なくウッドスナイパーを構えながら近づくリュウレングリーンに怯える蚊。ズリズリと這って逃げて行く。

 

 

「あいたっ、このいい加減にしろよっ!?」

 

 

「させねえよ。ランドホーっ!!」

 

 

 だが、流石にプライドを刺激してしまったのか、複眼も利用して素手で攻撃してくる巨大な蚊を、リュウレングリーンと場所を変わった大地、リュウレンイエローが手に持つ鍬ランドホーでその攻撃をさばく。

 

 

「がはっ!!」

 

 

「最後は私ですよ。流激装備、ナイトエッジ、スターナイフ。」

 

 

 吹き飛ばされてきた巨大な蚊に宣告するように、リュウレンブラック、真由美は話しかけ、専用装備を呼び出す。リュウレンブラックの専用装備は片刃の反り返ったナイフが二本。設定上では黒い闇の中で見えなくなるナイフと、光輝く明るい場所で見えなくなるナイフ。

 

 それが、ナノマシンでは再現できずに、白いナイフと黒いナイフであったが、魔力が反応しナノマシンのプログラムが呪文の代わりをし、魔法が発動していため設定通りの効果を発揮していた。

 

 

「な、なんだよ、なんだよそれはっ!?」

 

 

 光を防いでしまうこの暗闇の中で光輝く何か。更には何も持っていないのに、何かを握っている反対側に集まる高密度の魔力に怯える。

 

 

「いきなさい。ナイトスタークロス。」

 

 

 技名を叫ぶ真由美。哲多と同じくリュウレンジャーになる事にノリノリだった彼女。そんな彼女は技名を恥ずかしげもなく叫ぶのだ。

 

 左右に持ったナイフを当たる瞬間にクロスさせ、衝撃と斬撃で敵を倒すリュウレンブラックの必殺技が炸裂する。

 

 だが、必殺の筈のそれは、巨大な蚊に効いていない感触を真由美に伝えた。確かにリュウレンブラックの攻撃はリュウレンジャーの中で最弱であると言えど、スーツ内に溜まった魔力で肉体強化をされている以上、そんなはずはないのだが、腐っても魔族であるという事か。

 

 

「は、あは、あはははは。そうだよね、何を怖がってたんだろう。」

 

 

 どうやら吹き飛ばされただけに終わった巨大な蚊が自身を取り戻してしまった様だ。元々狼狽えていた為、未知の存在に恐怖していたが、それも分かれば怖くは無い。

 

 

「今度はこっちの番だよ。暗闇は効かないんだよね。なら、こんなのは如何?」

 

 

 全員の中心地で巨大な蚊は掌を上へと向けた。

 

 

「サイレントエコーズ、どう?音の攻撃は。」

 

 

 何故か英語の魔法名を直訳すると、反響する無音となる。闇の中に響き渡るプーンという何とも言えない不快音。それが闇の中に無数と響き渡り、今までの不快音の比ではない。

 

 その場で耳を押さえて蹲ってしまうリュウレンジャー。

 

 唯一耐性があるリュウレンブラックだったが、一撃を与えて止めようにも攻撃の威力が足らずに止められない。どうすればいいと今度は真由美の方が狼狽える羽目になった。




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