「つーかさ、このステータスって奴、全然意味が分かんねぇんだけど。」
「あっ、私分かりますよ。ですよね皆さん。」
「当たり前だ。」
「攻略サイトを見なくても良い程度には熟知してますから。」
「ゲームでよくある形式だしな。」
「想像で何とか分かるわね。」
「はぁ?!じゃ、じゃあ、このピーエイチっていうのは」
「それ、HPでしょ。pHじゃ水素イオン指数で理化学の分野になっちゃうわよ。」
「それはいわゆる体力みたいなものですね。魔物から攻撃を受けたりしたら減っていく感じです。」
「じゃ、MPっていうのは?」
「魔力ですね。魔法なんかを使うのに必要となってきますね。」
「SPは?」
「それは何か技なんかを使うために必要となるものですね。所謂勇者特有の魔法とかでしょうか?」
「Expは?」
「経験値ですね。魔物を倒すたびにそれが増えてきて、一定数貯まるとLv、レベルが上がっていくんです。そうするとできることが増えていく・・・・・・・・・・・って感じでいいでしょうか?」
「いいんじゃないか?」
「それにしても何でお前たちだけそんなに詳しいんだよ・・・・・・・・・」
「・・・・・・やっぱり盾だからでしょう。」
「あっ、やっぱりそう思う?」
「まっ、当然だろう。」
「え、え、えっ!皆さんの世界って盾はなんか駄目なんですか?」
そんな・・・・・・・・・・私の知っている小説では主人公にもなっているほどなのに・・・・・
「よし、この元康お兄さんが常識の範囲で教えてあげよう。」
元康さんが親切そうに話し始めました。
一方の当事者でもある尚文さんは見えないようにすこし嫌そうな顔をしてますが。
「まずな、俺の知るエメラルドオンラインでの話なのだが、シールダー……盾がメインの職業な」
「ああ・・・・・・・・・・・・」
「最初の方は防御力が高くて良いのだけど、後半に行くに従って受けるダメージが馬鹿にならなくなってな、」
「ああ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「高Lvは全然居ない負け組の職業だ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Noooooooooooooooooo!!!」
尚文さんがショックで悶絶しています!!!
まぁ、そうですよね。こんな話を聞かされたら。
「アップデート!アップデートは無かったのか!?」
「いや、システム的にも人工的にも絶望的で、放置されてた。しかも廃止予定だったしなぁ・・・」
「転職は無いのか!?」
「その系列が死んでるというかなんていうか。」
「スイッチジョブは?」
「別の系統職になれるネトゲじゃなかったな。」
「お前らの方は?」
慌てて尚文さんが錬さんと樹さんのほうに目を向ける。
すると二人ともサッと目を逸らして、
「悪い・・・・・・」
「同じく・・・・・・」
由美さんも苦々しそうに、
「アタシもそんなに知らねぇなぁ・・・・・・・・・・影薄かったってゆーかなんてゆーか・・・・・・・・・」
途端に少し悪い空気が漂い始めました。
そんな空気に耐えられないので、すかさず私が持っている知識で場を和ませようとします。
「あの~、私が読んだ小説の中では盾の勇者は防御力はピカ一で、ありとあらゆる攻撃を跳ね返す、って書かれてましたよ。」
それに美咲さんも援護してくれました。
「そうね、どんな状況下でも生き残ることができるとも書かれてあったわね。」
「それに盾は仲間を回復させたり、一時的にですけど仲間を強化することもできるんです。」
「防御担当で回復と援護か・・・・・・盾職と見るよりもハイブリットの援護職・・・・・・僧侶と見た方がいいかもしれないかもな。」
「そうですね。援護職となれば別ですよね。」
「まぁ、確かに攻撃力は全くと言っていいほどないですけどね。最弱の魔物を倒すのにも何十回と攻撃しないと倒せませんし・・・・・・・・」
「出来れば防御だけでも最強の一角の方でお願いしたい!」
尚文さんがお願いするかのように祈りました。
何だか空気が重くなりそうになってき始めたので、ここは私が何とかしますか!
「よし、分かりました。それでは私が改めて確認も兼ねてこの世界での過ごし方を私が知っている範囲内で説明しましょう!」
「頼むっ!」
「まず、この世界では魔物などを倒すことによって経験値的なものを集めて、レベルを上げるわけです。そうすることによってこの武器も成長して、いろんなことが出来るようになるんです。
また、魔物の死骸なんかをはじめとした素材を吸収させることで武器の種類を変えることもできるんです。
そして、この伝説の武器の特徴として、同じ系統の武器に触れることによってその武器を使うことが出来るんですよ。」
「そうなのですか?僕の知っているディメンションウェーブとは少し違う気がしますが。」
「そうなんですか?」
「そうだな。俺の知っているブレイブスターオンラインとも違うな。」
「おそらく多少の誤差はあるのでしょう。まぁ、これからヘルプを見ながらその時その時で対処していけばいいだけの話でしょうね。」
元康さんがそこにあった地図を広げて声を掛けました。
「地形とかどうよ。」
「名前こそ違うが殆ど変わらない。これなら効率の良い魔物の分布も同じである可能性が高いな。」
「あっ、それ私も同じです。」
「武器ごとの狩場が多少異なるので同じ場所には行かないようにしましょう。」
「そうだな、効率とかあるだろうし。」
そうこうしていると、いつの間にか美咲さんのため息が聞こえてきました。
「はぁ・・・・・・・・・ここまでくるとどうやら夢ではないようね。・・・・・・・・ですがこれも神のお導きなのでしょうね・・・・・・・・・・・・・・・・」
今まで夢だと思ってたんですか。
それにしても・・・・・・・・・・・・
明日からこの異世界での大冒険が幕を開けるのですね。
それも私のよく知る世界で。
なんだかドキドキしてきましたぁ!!!!!
周りを見渡せば・・・・・・・・・・・
地図を目の前にして明日の狩場について話し続けている錬さん、樹さん、元康さん。
バルコニーから空を見上げている尚文さん。
何故かいきなりシャドーボクシングを始めた由美さん。
なにか十字架のようなものを両手に掲げている美咲さん。
私も何だか明日が楽しみになってきましたぁ!!!
「ところで、この世界、お風呂はありますかね?」
「中世っぽい世界だしなぁ……行水の可能性が高いぜ。」
「言わなきゃ用意してくれないと思うな。」
「まあ、一日位なら大丈夫か。」
「大丈夫なわけないじゃないですか!」
「アタシは大丈夫だぜ。」
「はぁ・・・・・・・麻衣さん、もう今日は我慢しましょう。」
「はい・・・・・・・・・・」
そうこうしているうちに異世界の夜は更けていった。
アンケート終了させてもらいました。
結果は3対13で、尚文には別の冤罪をかぶってもらうことにします。
尚文の強姦冤罪事件はどうする?
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発生する方向で
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せっかくなら別の事件で