ジレーヌはブリッタをつれて自分の部屋でエルミート家の出来事という本を読んでいた。
「ねぇブリッタ、私の家って。亜人との関わりがたぶんハルケギニアの、どの家族よりも一番多いんじゃないの?
それに、この本には書いていないけどご先祖様はエルフと始祖の子と聞いたわ」
ジレーヌは本を閉じるとブリッタに尋ねた。
「その噂が、本当かどうかは知りませんけど。たしかに、エルミート家ほど亜人と関わっている家はありませんね
あなた様から、15代前の陛下は人魚と結婚すらしていますしね」
ブリッタはコロコロと微笑みながら答えた。
「そう、人魚!なぜだか知らないけど私の誕生日にやって来るらしいわね。本当になぜ来るのかしら?」
ジレーヌは不愉快そうに顔をゆがませてと言った。ブリッタはジレーヌの姿を見て人の悪そうな笑みをしながら
「姫様、まさか人魚が怖いなんて事は有りませんよね?」
「そ、そんなわけないじゃないの」
真っ赤に顔を染めながら言い返すが、本当はブリッタから人魚の話を聞いてから。というもの一人でトイレが出来ないぐらいに、怖がっていた。
「姫様、あなた様とも長くお付き合いたした。もうあなた様の行動も考えもすべてお見通しです本当は怖いんでしょう。
安心してください。私が毎晩あなた様に語った人魚の怪談はすべて嘘です」
それを聞いたジレーヌはブリッタ、嘘よね私があなたにトイレを頼むときにどんだけ大変な思いをした。
ことを分かっていて言ってるんでしょうね。
ジレーヌが言う大変な思いとはブリッタの話を聞いて。一人でトイレに行けなかったジレーヌが
ブリッタに頼むときに。ブリッタお姉ちゃん、私の頼み聞いてくれる。と言いながら
上目使いをしながら言うことだった。
ブリッタはいつも姫様、かわいいと言って抱きついた後にジレーヌの望みをかなえてくれるのだ。
ただ、欠点としてはそれをやるとあまりの恥ずかしさにベットで悶絶することになる。
その恥ずかしい思いが、すべてやらなくていいことに気づいた。ジレーヌは目を細めながら
ブリッタに自分がやったことが無駄じゃない。という望みをかけて聞いた。
「じゃあ、人魚の呪いを受けて、水の無いところで溺れた水夫。とか人魚のキスを受けて
陸に上がれなくなった商人は、全部うそだったの?」
「はい、うそです、人魚の先住魔法は強力ですがそこまでの、力はありませんよ」
ジレーヌの問いにブリッタはうんうんと頷きながら笑顔で嘘だと答えた。
ハァ!?なによそれ。私が毎日毎日どんな思いをしてきたと思っているのよ
それでもあの話は本当だと思ったから我慢してきたのに
「あ、あなた。私がそれを聞いて。夜一人でトイレに行けなくなって
あんな恥ずかしい事までしたのに、全部うそってどうゆうことよ」
ジレーヌはブリッタのせいで味わった恥ずかしさを声にこめながら強い口調で言うと
「姫様、もう少し声を抑えてください頭がくらくらします。前にあなた様は、自分は大人の男だった。
と言っておりましたが、大人の男は自分ひとりでトイレぐらい出来ますよ。
あなた様が恥ずかしいと思った事も年相応でかわいいと思いますよ」
ブリッタは頭を抑えながら嫌味たっぷりにジレーヌに反論した
「本当に怖かったのよ!あの話。そんなもの聞いたら夜中トイレから現れた人魚に襲われるって
思ったって仕方ないじゃなの」
ジレーヌは恥ずかしさとブリッタの言った怪談の怖さの混ざりあった奇妙な
寒気を覚えて身震いしてと言った。後に愁いを帯びた表情をしながら
「どういうわけか分からないけど。私の男だった部分がどこか・・・別の場所行っちゃって
小さな、小さな女の子になっちゃったそんな感じがするのよ」
それを聞いたブリッタは少しの間何かを考えた後に笑顔になると
「確かに姫様に最初に会ったときはもう少し立ち振る舞いが大人ぽかったですね。
少なくとも一人でトイレにも行っていました」
ジレーヌはブリッタの答えを聞くと顔を赤くしながら枕をブリッタに投げた
「ブ、ブリッタ私が真剣に聞いているんだからふざけた答えを返さないでよ」
ブリッタはジレーヌが投げた枕を左手でこねくり回しながら
「私が言ったことの最初を思い出してください。ちゃんと真面目な答えも返していますよ」
べっ別に私は、最初の言葉を聞いていなかったわけじゃないわ。どうしてその真面目な答えの次にわたし
のことをからかうことを言うから怒ったのに。まぁいいわもっと大事なことを聞きましょう
「ブリッタやっぱりわたしだんだんと子供に近づいているわよね。
悪魔つきはみんなわたしみたいになるの、それとも違うのどっちなの?」
ジレーヌはブリッタに涙目で聞くと
「姫様、実のところ悪魔つきに関することは、あまり調べられていません。特にあの血まみれ王が現れた後は、
ロマリアによって悪魔つきの隔離が実施されていますから」
ブリッタはジレーヌを抱き寄せると頭を撫でながら答えた
「それならどうして私は隔離されていないの?教皇庁は国家より強いんでしょう?」
それを聞いたジレーヌはブリッタを見上げて疑問に思ったことを尋ねた。
「この国は昔からロマリアとの関係が険悪ですから、聖地回復運動中の諸国に何度も攻め入ったり。
特に教会で禁止されている。亜人との結婚を破り亜人である人魚と結婚して
教皇庁の管轄化にある教会を破壊して、新しい教会としてエルミート国教会を作ったときには
国全体が破門を受けハルケギニア諸国の連合軍に攻められたりするほどです
ですから教皇庁の権威がこの国だけ通じていないのです」
ブリッタがにこやかにエルミートと教皇庁の血みどろの歴史を語った。
「ああ、だから異端者たちよ改めよでこの国のことが異端の国と書かれていたのね。」
ジレーヌが感心した声で言うと部屋のドアが開かれてジレーヌが『目覚めてから』初めて出合った
あの小太りなメイドが扉から顔を出してブリッタを呼んだ。
「ブリッタ、陛下がお前のことを呼んでいるよ」
ブリッタは小太りなメイドを一瞬見た後にジレーヌの髪をくしゃくしゃと撫でながら
「姫様、私はこれから陛下に会ってきますので失礼いたします。姫様、私がいないからといって、幽霊が怖くて泣かないでくださいよ」
ブリッタは急いでから服を調えるとウィンクをしてジレーヌの部屋から出て行った。
「あのばか、わたしの事をからからないと気がすまないのかしら」
ジレーヌはブリッタが出て行った後に一人呟いた。
ブリッタは国王の執務室で国王とジレーヌの事について話していた
「どうだい、ジレーヌの魔法は何か進歩はあるかい?」
国王は人当たりの良い笑顔でたずねた。
「陛下、姫様の魔法は未だにコモンスペルすら出来ておりません」
ブリッタは、いつもの調子とは違って淡々と淡白に返答した。
国王はうーんと唸ると
「何か変わったことは言っていなかったかい?何かここは違うやり方でやると便利だとか」
とブリッタに聞いた。
「いえ陛下、姫様は別にそのようなことは仰っていませんよ。姫様が言っている事といえばあの年の子供が言うことと
たいして。変わらない事ばかりです」
ブリッタが答えると国王は顎を触った後に
「そうなのか分かった。ブリッタ引き続きジレーヌの世話を頼むよ。そしてジレーヌが何か不思議なことを言ったり
起こしたら僕に伝えてほしい」
それを聞いたブリッタは深々とお辞儀をすると
「分かりました陛下では失礼します」
ブリッタが執務室のドアに手をかけると
「ブリッタ待ってくれ、まだ話あるんだ」
国王がブリッタを呼び止めた。
この男なんか胡散臭いから、面と向かって話したくないのよね。とブリッタは思いながら
「陛下、申し訳ございません」
国王に表情で気づかれないように深々と頭を下げた
国王はそれを見た後に気にしなくて言いというように手を振ると
「ブリッタ、僕の国の同盟国であるハイフェア王国のヘンモ王が、一番下の娘のアイナ王女をつれて来るそうだよ。
僕が思うにだけど、自分の娘とジレーヌが同じ年だから友達にでもしたいんじゃないかなと思うんだ」
「私に、姫様とアイナ王女との、仲を取り持てとおしゃるわけですね」
ブリッタが答えた。それを聞いた国王はうんうんと頷くと
「そうしてほしい、あの国との同盟があってこの国の平和が保たれているんだからね」
と国王は遠くを見つめながら行った。
これで終わり?でもさっき早合点して帰ろうとしたらまだ話が終わっていなかった
もう一度失敗したらまずいわ。と思ったブリッタは国王に聞いてみることにした。
「陛下、これで話は終わりですか」
そして国王がうんと首を立て振ったのを見た、ブリッタは執務室から出て行った。
人魚のお姫様と姫様を仲良しにしろって、あの男から言われたけど人魚のの怪談話をしちゃったわ
しかも、あの話を嘘だと言ったけど。本当は本に載っていた話をそのまま話しただけなのよね。
だからもし姫様があの本を読んだら大変なことになるわね。どこかに隠しておかないと
それに本を読まなくても。あの根が臆病な姫様がそう簡単に怖くなくなるわけはないわ。
ああ、何で怪談話なんてしちゃったのと思いながら自分の部屋に変えていった。
ブリッタの思いのとおり、ジレーヌはブリッタに夜のトイレのときに一緒にいてもらう事を
誕生日の前日にもお願いしてきた。
大丈夫かしら?このまま人魚に会ったら逃げ出してしまいそうだわ。
人魚の怪談を書いてあった本は隠したから大乗なはずだけどと思いながらブリッタは夜を過ごす事になった。
ジレーヌの方はというと
最悪!暇だから部屋をあさっていたら人魚の話なんて本が出てきちゃった。読むんじゃなかっった。
それにブリッタもブリッタよ。何が全部嘘ですよ本当はこの本に書いてあったんじゃない。
震えながら最悪のタイミングで見つけた本を見つめていた。
結局ジレーヌは、本を見つけたせいで一睡も寝ることが出来なかった。
ところ変わってジレーヌたちがいる城から。少し離れた野原では色とりどりの天幕が
風にたなびいていた
そこには着飾った服を着た貴族たちその彼らを喜ばすために旅芸人が綱渡りや道化師が
観客を沸かせていた。その興奮の中を召使たちが、自分たちの主人の命令を果たすために
行きかっていた。
その広場の中で一際大きな天幕の中で一人の少女が
「お父様、何でこの私がどこぞの誰かの誕生会にいかなくては行けないんですか!」
長い銀色の髪と金色に光る瞳とつり目が印象的な美少女が
白い長いひげをはやした緑のローブを着た男に言った。
「アイナ、そう怒らないでほしいんじゃ。アイナお主だってお友達が出来るかも知れないぞ。
それにアイナな、お父さん明日のために特注のドレスを用意したんじゃ」と答えた。
どんなドレスかは知らないけど、わたしの美しさとそのドレスがあったら
この誕生会の主役は、ジレーヌとか言う女じゃなくてわたしで決まりね。おっほほほとアイナは思いながら
「お父様ありがとう。わたしこのドレスで誕生会の主役になりますわ」
アイナはびっきりの笑顔で言った。
場所が変わって。エミール王国南部の寂れた砦の大広間
「ドミニク、あの無能の寿命もあと少しだな」
アルフレッドは右手でワインを持ちながら自分の腹心であるドミニクに話しかけた。
ドミニクはニヤニヤと笑いながら
「そうです。アルフレッド様、誕生日の祝いの席に死ぬなんて面白いですからなぁ」
アルフレッドはそれを聞くとワインが入ったゴブレットを投げ捨て
「お前の楽しみなんてどうでもいい、そんなことよりも今回の暗殺だが。成功すればいいが
もしも失敗したら。僕たちの被害は計り知れないな。その準備はあるんだろうな」
ドミニクが怯むのもお構いなしに聞いた。
「もちろんですアルフレッド様。ですが暗殺者は一流の人間を要しました失敗はないかと」
ドミニクは姿勢と言葉遣いを直して答えた。
こうして各地、さまざまな人々はそれぞれの思想を持って夜をすごした。
そしてジレーヌの誕生日の当日
ジレーヌは目の下にクマができた、ひどい顔で窓の外を見つめながらすごい数ね
いつもは見える城の中庭の地面が見れないわ
「姫様ぁ、何ですかそのひどいお姿は」
そこにブリッタが扉を開けて入ってくるなり震えた声を出した。
「ブリッィタ、わたしがひどい顔になったのはだぇぇれのせいだと思っているの」
ジレーヌは悪霊のような声でブリッタに返した。
「姫様、そのことについては申し訳ありません」
いつものブリッタと違って今回は素直に謝った。
「ブリッタ、いつものあなたらしくないわね。いつものあなたなら
のらりくらいとわたしの話をかわしているはずよ!」
「姫様、いつもならです。ですが今日から2週間にわたって行われる。
あなた様の誕生会はとても休む時間なんてありません。
特に主役のあなた様は、主催者として最後まで会場にいなくてはなりませんから」
とブリッタは冷静な声で言った
「嘘でしょ」
ジレーヌが素っ頓狂な声を上げると
「嘘じゃ有りませんよ姫様、誕生会の後半になると参加者全員が寝不足になるほどですから」
ブリッタが真剣な声で言った。
そしてわたしはもっとひどい状態になるのね。何で誕生日のお祝いでそんな目に会わなくちゃ
いけないの?と思っていると乾いた笑いが自然と出てきた。
「姫様、笑っている場合ではありませんよ。これからあなた様は、誕生会ににふさわしい格好、
化粧をするのですから、急いでわたしについてきてください」
ブリッタはそういうとジレーヌの手を握ると化粧室に連れて行った。
化粧室ではそれぞれの係りが働き蜂のようにジレーヌの服装を整え始めた。
ああ、だめ眠りの世界が私を呼んでいる。と思いながら眠りの世界に落ちていった。
そして、眠りの世界からジレーヌが目覚めたとき鏡の前に映っていた
恐ろしく綺麗になった自分の姿と。すごくお綺麗です姫様と言うブリッタの声が聞こえた。
ブリッタの言うとおり本当にきれいね。特に口紅を塗った口がわたしの顔を印象深くしているわ
こんなにきれいだと絶対。ほかの参加者は私以外のことは目に映らないわね。うへへへ
「姫様、よだれが垂れていますよ」
そう考えているとブリッタから呆れた顔をしながら行った
「うわぁ、本当によだれが垂れていた口紅が落ちちゃう」
それを聞いたジレーヌは空想の世界から目覚めるとあわてた声を出した
すぐさま衣装係が飛んでくるとよだれを拭かれて口紅を塗りなおしてもらった。
それの様子を見ながらブリッタは、こんな調子で無事誕生会をのりきれるかしら思うながら
「さぁ姫様、私と一緒に会場に向かいましょう」
ジレーヌをつれて会場に向かい始めた
会場はすでにたくさんの下級貴族たちが自分たちの王女を一目見ようと、
通路の両脇に集まり誕生会の主役の登場を今か今かと待っていた。
うっそ、こんなにたくさん。もし失敗したらどうなるの?こわい!こわい!こわい!
と思いながら震え始めた。