主人公のスラムの仲間たち、オリキャラ結構出ます。
嫌な天気だ。セブルス・スネイプはからからと照りつける太陽と、その熱を存分に浴びる自身の黒いローブを見て思った。
それに今日は嫌な仕事を引き受けて歩いている。
「ちょっと無視しないでよ~」
加えて嫌な奴もいる。
「仕事中だ。お前の無駄話に付き合っている暇はない、ルーピン」
「新入生に声をかけに行く仕事かい?」
スネイプが黙りこくったのを肯定と捉えたのか、ルーピンは満足そうに相槌を打つ。
「初めて会う魔法使いにそんなに睨まれたんじゃあ、登校拒否になっちゃうよ。せめてその眉間の皺とか・・・その真っ黒いローブ、暑くないの?」
「問題ない。むしろ怯えていただいたほうがつれていきやすい相手だからな」
スネイプはルーピンを追い払うのを半ば諦め、さも当たり前かのように隣だって歩き続けるのを無視した。
ルーピンはしばらく黙って思案していたが、ふと辺りを見回して眉を顰める。スネイプが躊躇なく歩いていくせいで気がつかなかったが、そこは大通りから人気のない路地裏を何本も抜けた、大都会ロンドンとは思えない陰気な通りだった。炉端には金を入れるための缶をこちらにかかげてくる男やら、すっかり手すりの腐ったベンチに座り、二人をじいっと舐めまわすように見る女、後は割れたガラス片の中から必死にアルミ缶の栓を拾おうとしている青年や、生気を感じない寝転がり方をした老人しかいないようだった。ルーピンも万年金欠で、20年近く同じつぎはぎのローブを着ていたりしたが、ここにいる人間が身に着けているのは、おそらく潰れた洋品店から拝借したものや、永遠に寝ている老人から奪い取ったものだということが分かった。あのノクターン横丁が国立病院に見えてくるぐらいである。
「・・・ここに住んでる子なの?」
「いや、この奥にいる。分かったらお前は回れ右して優雅な休日を楽しんで来い」
立ち止まったら目立つからなのか、スネイプは一切歩を止めずにルーピンを睨んだ。
「このさらに奥、なんてわざわざ強調するような場所に11歳の子供が住んでるとは思えないんだけど・・・」
「お前は職員会議中何を聞いていたのかな?」スネイプは呆れたように言う。
「パチフィスタ家の次期当主がこの奥にいる。まぁ正確には・・・13、14か・・・」
パチフィスタ家――――――というのは通り名のようなもので、正式な名はノルシュティンである。色濃い純血の一族だが聖28族に数えられていない所以は、その無節操さにある。まず彼らは何より腕っ節が強かったし、好戦的だった。他の純血一族のような貴族生活を好まず、代わりに聖28族の用心棒、闇払い、騎士団から死喰い人など、自分が杖を振り回せれば親と対立する組織にも属したし、またお互いにそれを許容しあうという、とにかく「狂ってる一族」である。一様に皆人目を引く白銀色の髪をしており、とにかく目立つ。まぁ彼らの能力は他に代えがたいものだったから、どの組織からも引く手あまただったが、次第に共食いをし合って減っていった。
うん、確かに聞いた気がする。ルーピンは職員会議のぼんやりとした記憶を引き出した。パチフィスタの次期当主が見つかったが、もう入学年齢を越えていた。おそらく親類の誰かが外部から発見されないように呪文をかけていたが、今になってその人間が死んで発見されたのだ、と。
「・・・結局その子をどうするか、保留になったんじゃなかったっけ?」
「そして先週、校長が次の三年に編入させると無茶苦茶な命を出されたのだ・・・興味が湧きましたかな?新しいDAの教授殿」
「ここまで着いてきちゃったしね。最後までお供するよ」
「フン・・・それは心強いですな」
そう言って立ち止まったスネイプに、ルーピンは目の前の廃ビルを見上げた。正面玄関には、おそらく10代前半の子供が、まるで門番のように屯している。二人の姿を認めると、分かりやすくポケットの中でナイフをまわし始めた。
「ルーチェスト・ノルシュティンはいらっしゃるかな」
「オッサン、ここいらじゃ苗字は名乗らないルールだぜ」
「んな洒落た名前の奴知らねぇよ」
そもそもみんな好きに名乗ってるからな、と衍字色のくたびれたキャップを被った少年が続けた。どうやら彼がこの5人の中ではリーダーらしい。
「君がこの廃ビルのリーダーか?」
「いや、こう見えてうちのグループは結構でかくてね。俺は年長組ってだけさ」
そう謙遜しながらも、彼は誇らしげに帽子を被りなおした。たしかに、この辺りで帽子を身につけられることはかなり富裕層のようだ。ルーピンは他の四人がその帽子をうらやましそうに見つめながらも、奪い取ろうとしないことに正直驚いていた。彼より腕っ節の強そうな少年もいたところをみると、ずいぶん組織のつくりがしっかりとしているらしい。
「ここのリーダーに会わせてもらえないか」
「ワーオ、そりゃ無理さ」少年は気難しそうに腕を組んだ。
「うちを仕切ってんのはラダっていう奴で、まぁ話くらいならできるかもしれないけど・・・うーん、なんていうか、リーダーはラダだけど実質ボスがいてさ。名前しか手がかりがない人間を探すんならボスに聞かないと」
「ボス?」
「・・・オッサンたち、うちに殴りこみにきたんじゃないんだよね?」
ボス、という響きに執拗に反応しすぎたのか、少年が訝しげに尋ねる。
「違うよ、純粋な人探し。ね?セブルス」
「その通りだ。そのボスには会えないのか」
「うーん・・・無理だと思うね。悪いけど、いざってときのために中には入れられないよ。ボスをここに呼び出すわけにも行かないしね」
少年はわざとらしくやれやれ、と手をふって見せた。それを見たスネイプは溜息をつき、懐から財布を取り出した。
「50」
「え?」
「50ポンドだ。君の弟分たちに帽子を買っても余るだろう」
「・・・そんなはした金じゃあ、俺は動かないぜ」
「では仕方がない、帰るか。行くぞルーピン」
スネイプはあっさりと少年たちに背を向ける。
弟分たち、と呼ばれた4人は名残惜しそうにスネイプが財布に戻そうとしている50ポンド紙幣を見つめた。
「50ポンドだって・・・」
「パンが何個買えるかなぁ」
「馬鹿、パンなんて言ってられないくらいの金だぜ」
「それこそ帽子とか・・・」
「・・・」
兄貴はその誇り高い衍字色のキャップを外すと、一番小さな少年の、栗色の頭に無理やり被らせた。
「おい!待てよ!」
「・・・何かな?」
「いいぜ、50ポンドでラダに話通してやる!」
スネイプが一瞬意地の悪い笑みを浮かべたのを見て、ルーピンは少年たちがかわいそうになってしまった。しかし兄貴は50ポンドをポケットに突っ込むと、首を傾げている栗毛の少年に「そのキャップはやるよ。ん、俺?俺は新しいのを買うからさ」と爽やかに笑っていたので、どちらも性格の悪さはおあいこだと思うことにした。
その後俺はゼン、と改めて簡潔に名乗った兄貴こと少年は、スネイプとルーピンにポケットとマントをひっくり返させたが、短すぎる奇妙なステッキにはめもくれず、四人を入り口に残してスネイプとルーピンを先導してくれた。彼は底の抜けたぼろぼろのサンダルを愛用しているようだったが、何故かあたり一面に飛び散っているガラス片を踏まずにすいすいと歩いていった。廃ビルは元々銀行だったようで、彼らは何重にもなった金庫を扉代わりにしていた。途中で何人かとすれ違ったが、みんな10代そこそこの少年少女たちで、グループの規則なのかやはり5人ほどで固まって行動していた。
「なかなか統制がとれてるみたいだね?」
「こんな上等な廃ビルを丸々使ってるくらいだからな。ここいらでは相当力があるのだろう」
「ここにパチフィスタが?」
「おそらくな」
ダンブルドアから直接命を受けたスネイプはもう何かしら確信しているようで、何も分からないルーピンはかなり不満だったが、自分が元々勝手についてきたことを思い出して押し黙った。
ゼンは突き当たりの非常階段を上ったすぐそこのドアノブの辺りをなにやらこねくり回していたが、しばらくして顔を上げると、ドアではなく隣の壁をノックする。
「ゼンです。ラダに客人だ」
「入れ」
ドアが重たそうに内側から開かれる。ゼンに促されるまま二人が入ると、部屋の奥の社長椅子に座っているラテン系の青年が見えた。ルーピンは一瞬彼がとてつもない重役の男に見えたが、机の上においたわずかなポンド札を数えているのを見て、ここが貧民街だということを思い出した。
「誰、アンタたち」
「あー・・・えっと、」
「ルーチェスト・ノルシュティンの後見人だ」
青年――――ラダは二人の、奇妙なローブ姿に目を細める。
「そんな洒落た名前の奴はうちにはいないよ。ここでは覚えやすい呼び名があれば万事解決なんだ」
「しかし・・・」
スネイプが不満げに青年を見る。彼はスネイプより一回りほど年下だったが、視線の鋭さでは負けていなかった。
「ラダはいる?!」
突然場違いなほど高い少女の声が聞こえ、重いはずの扉が勢いよく開かれる。
「・・・ルーチェ、もし扉が壊れたら・・・」
「うるせぇ!説教たれる前に私の愛しの50ポンド紙幣返せ!」
綺麗なはずの銀髪をざんばらに切った少女は、その目立ちながらもかわいらしい容姿とは裏腹に、淑女としてはあるまじき言葉遣いで怒鳴る。そのギャップにルーピンは若干引き気味だったが、スネイプによく見ろ、と耳打ちされた。
「あの娘、いくつくらいに見える」
「うーん・・・12、13・・・」
「髪の色は?」
「はは、君が人の容姿に興味を示すなんて。確かに珍しい銀髪・・・ん?」
「あれは私があのギャンブル野郎から稼いだ金よ!私の好きに使わせて!」
「・・・俺たちお金に困ってるんだよ?分かってる?」
「んなこと分かってる上で言ってんの。返せ!」
「食料がもう尽きそうなんだよ!」
「うちのリズの命も尽きそうだよクズ野郎!」
「・・・分かりやすい愛称だな」
「発見!パチフィスタ嬢発見!」
「あのラダとかいう奴が押されてる辺り・・・あいつがボスだな」
「はァ?!あの子が?!」
あの子、と声を上げたルーピンに少女が振り返り、たった今喧嘩を吹っ掛けられたかのようにじろりと睨む。
「失礼なオッサンたちね。私がボスじゃなかったら誰がそうだっての?」
「・・・ルーチェ、そんな挑発的な・・・」
「お前の客なの?あぁ、最近そこにできた賭場の人たちですか?つーかそれこそ失礼でしょ、うちに依頼に来たのに私の顔を知らないわけ?あのねぇ、この街で安全に商売したいんなら常に腰は低めに設定しておかなきゃ。私たちがはした金で動くからって、こっちがその気になればいくらでも値を吊り上げられることは判るでしょ」
ルーピンは門番が50セント紙幣で吹き飛んだことは口が裂けても言えないな、と愛想よく軽めに口角を上げる。
「ラダ、やっぱり安く動きすぎなんじゃない?こっちが命かけてるのに月50はどうなの。まだ6つのカミルたちだって、最近じゃそこらの警官より銃が使えるのよ?」
「うちは非正規だし、妥当な金額だって・・・」
「あぁ?現に金が足りないし殴り合いをしたこともねぇような労働者階級にまでナメられてんじゃないの!ラダ、あんたも自分の腕っ節を理解したうえで私に喧嘩売ってるわけ?」
「・・・判った、判ったよ」
ルーチェが社長いすの背もたれを片手で歪ませたのを見たラダは、降参という風に両手を挙げた。間違いない。あの馬鹿力はパチフィスタの血である。
「でもこの人たちは客じゃなくて・・・お前を探しにきたみたいなんだ」
「私を?どこの組織のスカウトか知らないけどお断りよ」
「スカウトではない、君に真実を伝えに来たのだ」
「は?」
ルーチェがスネイプの高圧的な物言いに苛ついたのか、素早く長机から飛び降り、スネイプの前に進み出た。ルーチェはその年の子供にしては小柄で、傍からみれば身長差があるスネイプを睨みつけているのはいささか滑稽だったが、ルーピンもスネイプも彼女が攻撃しやすい絶妙な間合いに立っていることに気づいていた。
「君の力について、君の知らないことを話しに来た」
「私の力は私が一番知ってるわ。誰に勝てるか、ってのもね」
「ふん、果たして本当にそうかね」
スネイプの意識的に出した魔力の圧が、部屋中に充満する。魔法使い同士が決闘の際、自分の魔力量を示して相手を挑発する行為だ。ルーピンは味方ながら、脳の本能的な部分が杖を抜け!と危険信号を出しているのを感じ、それほどのものを子供相手に向けるスネイプに目を見張った。
ラダは今まで経験したような種類の殺気ではないそれに気が付かないようだったが、例の彼女は違った。眉間に寄せていた皴を解き、興味深そうにスネイプの目を見つめた。
「えぇ、知ってる」
ルーチェはスネイプを獲物として狙っていた視線を逸らし、薄暗い蛍光灯を反射させた銀色の睫毛を伏せた。ラダは驚いたように彼女を見、見慣れないその表情に思わずその名を呼ぶ。
「あなたには勝てないわね」
スネイプが驚いて一歩退く。魔力の圧がさっと引いていった。
ルーチェは先ほどのような好戦的な笑みではなく、普通の少女のような自然な微笑みを浮かべていた。
「勝てない相手とは戦わないの」
「随分合理的だな」
スネイプがふっ、と鼻を鳴らす。彼女はあーあ、と気だるげに呟き、無防備に伸びをしながらスネイプとルーピンの方へ進んだ。
「外で話しましょ」
「ルーチェ・・・」
「ラダ、とんでもないお客を入れてくれたわね。私の墓前で後悔しなさい!」
「ちょっと待っ・・・おい!何なんだよそいつらは!お前のなん、」
ガコン、と重い音を立ててしまった扉に、ラダの声は完全に遮断される。
スネイプが素早く魔法で鍵をかけたが、ルーチェは気づいていないようだった。
「あの、ミス・ノルシュテイン・・・墓前って、別に殺すつもりじゃないからね」
生徒相手に殺気を向けたまま弁解をしないスネイプにしびれを切らしたルーピンが声をかける。
「それを判断するのは私よ、」
「知っていたのか」
スネイプは鉄の扉に寄りかかりながら、冷たい目で少女を見下ろしていた。
少女はそれを睨むわけでもなくまっすぐ見返した。
「何を?」
「魔法の存在だ。誰に教えられた」
ルーチェはその言葉に眉を上げ、途端にきょとんとした表情になる。もともと幼い顔立ちがいっそう強調されていた。
「んっ?え、あれ・・・?なんだ宗教勧誘か!アンタたちギャングじゃないのね?!」
「「は?」」
「よかったぁ~・・・ラダに隠れて借金してんのバれたと思ったぁ・・・本名知ってるしぜったいあいつらだって・・・ヤバイ気配だしてきたから絶対銃か爆弾か持ってると思ったし爆発したらジ・エンドな密室だし・・・焦った、マジ焦った・・・」
「待て。話を聞け」
「アッハイ聞きます、魔法が何なんですかね~?」
「愛想笑いで流すな!」
思わず吹き出すルーピンをキッと睨みつけながら、スネイプはへらへらと作り笑いを浮かべるルーチェに対峙した。
「先ほど吾輩からヤバイ気配を感じたといったな」
「ふふっ・・・君ヤバイとかいうんだ・・・」
「黙れルーピン。単なる引用だ。そう言ったなノルシュテイン、だが吾輩は銃も爆弾も持っていない。ではなぜ、お前はそう思ったのか」
ルーチェのぴたり作り笑いがやむ。確かに、ただの殺気ではなかった。今まで感じたことがない種類のそれ。相手は絶対的な武器を持っており、反対に自分が何も持って居らす、同じ土俵にさえ立てない気がした。彼女の勘は外れない。それは彼女自身もよく知っていることだった。
「・・・なに、やっぱり何か持ってんの」
「ギャングではないがな、これだ」
スネイプがするりと懐から杖を抜く。その動作にルーチェは反射的に後方に飛び退いた。
「え・・・なにそれ」
きれいに削られた木の棒を握る男。ルーチェの目にはそうとしか映らない。
クスリやってんのか、とぼそぼそとつぶやく彼女を横目に、スネイプは杖を一振りする。その瞬間、杖先から鋭い閃光がルーチェめがけて飛んだ。
「あぶない!」
そうルーピンが叫ぶ前に、閃光は錆びた非常階段の手すりと壁面を粉々に打ち砕いたが、そこに彼女はいなかった。振り返ると、彼女はスネイプに馬乗りになり、杖を持った右手をちょうど先端がスネイプの顎先に向くように抑え込んでいた。
「なにすんのよ」
「退け」
「アンタたち、何者なの」
「声が震えてるぞ」
「完全にマウント取られてる状態でよくそんな嫌味言えるわね、武器を渡すか手首をへし折られるかよ。選んで」
本来ならすぐスネイプを助けるべき状況だが、ルーピンはルーチェの動きに感動に似た興奮を覚え、立ち尽くしていた。
ルーチェは初めて見たその奇妙な武器の特徴を、突然放たれた閃光を避けながら見抜いていた。攻撃は先端から出る。スネイプの間合いより近くに入り、彼が身動きをとれないよう杖先を向けたのだ。
魔法使い同士の双方片手がふさがっている決闘では、まずできない発想である。肉弾戦という概念が乏しいし、魔法使いは魔法より強いものはないと思い込んでいる。しかし、この光景はどうだ。スネイプが生徒相手に二度目の攻撃を躊躇したせいもあるとは思うが、魔法を初めて見た子供にこんなことができるのか。
「ルーチェ、彼を離してくれないか」
「動くな!こいつの喉踏みつぶすわよ!」
ルーチェはボロボロのスニーカーを履いた左足をスネイプの顔の横にドン、と大きな音で突き立て、威嚇した。その瞳は光の反射をあまり感じない黒色だったが、怒りでも冷酷でもなく、ましてや快楽でもなく、ただ生きるための純粋な熱を宿していた。
「君は魔女なんだ」
ルーピンは言いつけ通り動かずにただ彼女を見つめた。
彼の優しい瞳は傷ついた冷えた心を溶かすのには適任だが、彼女のような本能的に、健全的に興奮したものを動かす力は少なかった。彼女は、ルーピンのなだめるような口調や弱者を演じる表情には目もくれず、言葉だけをまっすぐに受け取る。
「私が得意なのはちちんぷいぷいじゃなくて殴り合いよ、私が生きてるのも、それが必要な世界」
「君の居場所は魔法界だ。君は魔法が使える。殴り合いなんてする必要はない」
「そのクスリ、相当質が悪いみたいね」
「ルーチェ、今君自身はっきり見ただろう。これが魔法だ」
「へえ、でも殴り合いより役に立たないみたいじゃない。偉そうなこと・・・ぐっ!」
「ルーチェ!」
スネイプが袖に仕込んだしびれ薬をルーチェの方へ思い切りふりかけたのだ。彼女が痛みに怯んだ隙に体を起こすと、動けなくなった彼女の首に杖を突き付ける。
「セブルス!子供相手だぞ!」
「こいつに手加減していては命がいくつあっても足りん」
スネイプは彼女が完全に動けなくなったのを確認し、杖をしまった。舌がしびれて言葉にならない叫びをあげているのを担ぎ上げ、ルーピンに目配せする。スネイプ背中にだらりとのしかかっている彼女の目はある一定の角度で開いたまま動かないが、ルーピンには二人を睨んでいることが分かった。ルーピンはスネイプの手荒なやり口に相当怒りが湧いてきていたが、差し出された彼の腕をとった。
「おい!すごい音がしたぞ!!」
「襲撃か?!」
年端のいかない少年たちが勢いよく階段を駆け上がってくる。階段を支える支柱は想定外の重量に悲鳴を上げていた。
彼らの足はその最上段にできたひどい損傷を見て一瞬止まりかけたが、すぐにまた走り出し、突き当たりの重厚な鉄の扉をたたいた。
「ラダ、ラダ!どうした?!何があったんだ?!」
「くっそ、開かない…鍵はあってんのに…」
少年たちは半ばパニックになり、リーダーの名を叫び続けた。分厚い扉が隔てた向こう側でなにかがあったに違いない。
「・・・ボスだ」
「は?お前何言ってんだよ」
「こんな鉄の階段に大穴開けて!扉だって歪ませて開かないようにしたんだろ!襲撃じゃない!奴ら武器を持ってなかった!できるのはボスだけだ!」
「隠し持ってたかもしれないだろ!そんなこと・・・」
「これが銃でつく跡か?!第一火薬のにおいがしない!」
「でも・・・」
扉に群がる少年たちにざわめきが広がる。指標を失った、ただの浮浪者である彼らは、そうすることしかできなかった。
だらだら書いてすみませんでした・・・
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