ヒルチャールの王   作:カラス男爵

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設定半分、本編の始まりは三話目以降になります。







魔神大戦
魔神大戦を知っているか?


ヒルチャールの王が帰ってくる。

 

その報せはテイワット大陸の隅々まで響いたが、その多くはその意味を理解することはなかった。

 

しかし璃月から突如発せられた緊急招集依頼。

 

此度の報せに対し七神を岩王帝君が直々に招待する。

 

死んだ筈の岩王帝君から発せられたとされる依頼。

 この異様とも取れる事態に、多くの人間は混乱し、その事態の全容を知ろうと各国から璃月港に人が訪れ、今では既に今まで行ったどの祭りより一層の賑やかさをみせている。

 

 

 

 

カツカツと響く足音は苛立ちと焦燥感によるものだろう、その足音は一定のペースで、しかし確かに進んでいる。

 

確認しなければならない、これがどういう事なのかを。

また神の座について人の世を奪うというのか?

もし、そうであれば私は全力で抵抗しなければならない!

 

乱雑にドアを開け、中に目的の人物がいることを確認すると怒鳴り声にならない様心がけながら話しかける。

 

「一体どう言うつもり?いくら岩王帝君とはいえここは既に人の国、勝手にこのような事態を招かれるなど、それ相応の理由がなければ覚悟してもらいます」

 

「刻晴、いや、すまない。あのような芝居を打ってまで退役したと言うのに確かにこれでは意味がない」

 

彼のいつもの態度に今回ばかりは苛立ちを隠せない。

 

「そうではなく!この混乱を起こしたのは何故と聞いているんです!おかげで此方はてんてこまいです!……もしやあの噂に何か関係が?」

 

あの噂、ヒルチャール王が帰ってくると言うものであるが、その情報はどこからきたかすら分かっいない。

 だが、そもそもヒルチャールの話には違いない。

 つまりこれは国家規模での対策というよりも軍や冒険者組合での対策で事足りる筈である。

 

「ああ、そしてその噂だが既に裏が取れた。魈と甘雨の仕事は早くて助かる」

 

休日のはずの甘雨が働いていることはともかく、護法夜叉の一人である魈までも使っての情報収集を行なっていたとは初耳である。

 今起きている事が恐らくかなりの事態であると悟りはしたが、やはりまだわからない。

 

「いったい何が始まるというの?」

 

そう声を出した時だった、自身の後ろに誰かが立っている。

 突然現れたそれこそ霧のような存在に瞠目仕掛けるがそちらを向くことで納得した。

 

護法夜叉の一人であり仙人である魈がいた。

 しかしいつもと違う、あの恐ろしい仮面を外すこともなく何よりも未だに槍を構えている。

 

「間違いありません。

赤い布地に右上に小さく黄色で描かれたクワとつるはしの旗、そして何より、あの船を見間違うことはありません。

…今、船は依然として外海に停泊しています。」

 

「そうか、助かる」

 

短い返答に対し彼は重々しく、そしてどこか覚悟を決めた声で疑問を投げかけた。

 

「鍾離様、また、戦争が、大戦が始まるのでしょうか?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ハロー!ワールド!転生者、です⭐︎

 

…はぁー、クソ、クソofクソ。

まじどこだよここ、草木生い茂る森の中で一人で悪態をついたはいいものの依然として迷子である。

 

死んだ記憶とかそういうのはないがとりあえずここが違う世界なのは分かる。

 

なぜかって?それは水面に写ってた自分がどう見てもヒルチャールだったからさ!

 

 

なんなんまじ?まじなんなんなん?

はぁー、ため息も出ますわ、なんなら絶賛バーゲン中ですわ。

っお?、この音、誰かいるな?すいませーんちょっと道教えて欲しいんですけど!

なんて決して声に出さない。

おそらくではあるが駆除されるのがオチだからだ。

 

 

少し遠くの茂みから覗くと甲冑を着た人間が炎元素を行使しながらこれまた甲冑を着た3mはある化け物と戦っていた。

 

「€€€€!貴様っ!この人間如きがっ!」

 

「ははっ!化け物が!人間なめんな!」

 

一見人間が優勢に見えるがあれは虚勢である事がわかる。

少なくともあの量の血を人間が出していいはずがない。

 

あっこれは大技の予感。

 

「俺の!最後の炎だ!受け取りやがれ!」

 

自身の体が貫かれようと問答無用で詰め寄って、そいつの眼前までくると彼自身が一瞬発光し巨大な炎元素が出現する。

先ほどまで使っていた火球とは違い、あの大柄な甲冑の化け物を飲み込むほどの大きな火球、ここからでもその熱が伝わってきた。

 

成る程、あれがおそらく元素爆発、さすがは必殺技というわけだ。

ハハッまともに食らってやんの。

 

「ガァァァ!」

 

己の腕で貫いたそれを投げ飛ばし防御をしたもののその圧倒的威力によって腕はもげ両足は炭となり胴体までも焦げていた。

しかしまだ、驚くべきことにまだそれは生きていた。

 

「魔神様、、どうか、どうか救いを…」

 

掠れた風の音に消されそうな程の小さな声で懇願した時気づいた、何かいる。

 人の気配ではない。

 

これはもしかすると魔神様の救いか?

やったぞ!我はまだ生きる!生き延びて魔神様に認めてもらうのだ!あの英雄を!忌々しい炎の勇者を殺した事で!

 

「おい!はやく!はやく我を助けろ!」

 

現れたのは見たこともない仮面をつけた魔物だった。

 

 

あっ。終わった?

はえー相打ちかー色々聞こうと思ったんだけどなー。

と思ったら生きてるわこいつ。

しぶてー、貴様!知性がないのか!だってさ!

あるよーあるある知性あるよーせっかくだし色々聞いとこ。

 

 

茂みから現れたそいつは俺を手当てすることもなく此方に質問を投げかけるばかり。

 

くそっ最悪だ!まぁいい手当が済んで魔界に戻ったらこいつを八つ裂きにすれば済む話。

 

まて、なぜ剣を持っている?

 

 

 

情報提供おつかれ、じゃあね。

死んだ人間から剣を拝借してこいつの胴と頭を分断してやった。

いやぁね人殺しとかね、生きてる価値ないね、おれ?いやほら、こいつ人間じゃないからセーフセーフ。

 

 

しかし、まじかぁ、魔神戦争かぁ、いやゲームから何千年前って話だよ。

ていうか知らない、そもそもあのゲームそんなにやり込んでないし。

 

はぁー、まじ憂鬱、ん?、あっ!これ!神の目じゃん!

つかえんのか?この化け物倒したヒーローさんには悪いけど正直魔神戦争と聞いた後じゃ使えるものはなんでも欲しい、まぁとりあえず回収。

なむなむ。成仏しておくれ。

 

あたりを見渡してみればとりあえずあっちから来たんだろうと激戦の後が続いているのでそれに沿って進んでいく。

 

 

そういえば同族を見かけない。

おかしい、ヒルチャールというのはどこにでもいるのが売りの種族のはずだ、それがこうも見かけないのはなんか変な感じ。

 

しばらく進んだところに道っぽいものと死んだ馬を発見、あのヒーローのものだろう、さて何か使えるものはないかな?

お、いいね〜、これは?ふむふむ。

というわけで手に入れたのは食料と水、そして弓と矢、正直使えるかわからんが武器を持っている、それだけでなんでか安心できる。

 

 

それで?いい加減この神の目どうするか考えないとな。

まぁ当然だが反応なし。選ばれたわけじゃないしね。

売れんのか?いや正直怪しまれるな。というかそもそも人間と交易できんのか?

無理だな、戦争中に敵と交易するバカはおそらくいない。

あークソどうしよこれ、拾わなきゃ良かった。

お!そうだ!

 

 

食べちゃお!

 

 

ごくりと飲み込んだ、頭がおかしくなっていたのか自暴自棄になっていたのか今ではわからないが。

その時はこんな結果になるとは思いもしなかった。

 

 

んっ?

「¥$€°%#¥¥€€々〒〒!!」

 

 

死んだかと思った。

まず初めに起こったのは視界の混濁、酔茗状態にも似た意識と襲いかかる猛烈な吐き気、そして体が内から千切れるかのような激痛。

そしてその結果。

 

体が大きくなってしまっていた!

 

いやなんでぇ?

 

逆コナン状態である、身長も1mちょっとから2mちょっとまで伸びている。

あー多分これヒルチャール暴徒だわ、つまり、進化した?何故?

あーいや待てわかる気がする、そうだ、確か誰か言ってたな。

 

神の目は外付けの魔力機関である。

 

それを食って無理やり吸収した結果今回の事態になった、?

それなら筋は、通る、、のか???

わからねぇ、、、

それよりも正直、今は剣と弓がほぼ使えなくなったのがヤバい。

剣はまぁ、使えなくもないが弓は無理、ちっちゃすぎる。

くそっなんかよこせや!

 

…なんか出たわ

 

この火球は、そうだねヒーローさんのだね。

えぇマジ?食ったらそれつかえんの?実質的最強じゃね?ああでも神の目持ってる奴に勝てねぇ。

試しに一発撃った感想だが、ちょっと、つかれた?そんな感じ。

 

とりあえず今の目標は生き延びることそれだけを考えて行動しよう。

 そのために強くなるというのは近道だ、当分は神の目集めをすることになるだろう。

 

目狩り令ですか?いいえ一人でやるので違います。ひとりでできるもん!

と言っても、神の目なんてそうそう落ちていない。

 

そう思ったのだがいっぱい落ちてるとこを見つけた。

まぁ見つけられて2、3個だが、それでもこれはデカい。

 

どこかって?戦場後です。 

 

どっちもこっちも死にまくってまぁ、戦争はクソ!!QEDってね!

この時ばかりはヒルチャールになった事に感謝した、あんな光景を目の当たりにしたら人間だった頃なら耐えられなかったはずだ。

 

ともあれ元気に死体漁りをした結果、神の目3個と装備が整った、グレートソードに弓(元はバリスタ)そして矢(槍を含む)いやぁちょうどいい武器みつけてえがったえがった。

洞穴探して神の目食べよー。

 

この死体漁り活動は思わぬ方向へ進んでいく引金となる事はまだこのとき知る良しもなかった。

 

 

 

 

ー北方軍管区、北方騎士団総司令部にてー

 

「騎士団長、報告が。今回の戦で亡くなった英雄たちの神の目がみつかりません。」

 

「そうか、だからどうした?今時死体漁りなど珍しくもあるまい?」

 

この戦争が続いて長い、それはもうずっと前から、それは多くの混乱を招き、また不幸を振り撒き続けている。

 そんな中で職を失いそのような行為に手を染める人間は決して少なくはない。

 そして軍や騎士団ではそれらを回収する人員を割く余裕がないために黙認している状態で、むしろそれらを買い取ることもしていた。

 

「はい、ですがそれらが闇市に流れた形跡も騎士団に持ってきたという話も聞きません」

 

成る程確かに妙な話ではある。

 あんなものを持っていたとしてもなんの意味もない、なぜなら死体漁りに励むのはその日の水とパンを求めてのことだ、腹の足しにもならない石ころなどずっと持っている意味がない。

 

「しかしそれで?偶然ではないのか?」

 

「…死体漁りをする化け物を見たとの報告が複数、報告されています」

 

「つまり敵の手に渡っていると?ふむ、確かにそれは由々しき事態だ。いずれにせよ何か起きる前に阻止せねばなるまい」

 

彼らは精鋭中の精鋭だった。

 故に、そう考えてからの行動は迅速だ、討伐隊を組み直近で行われた戦場後全てに斥候を派遣し報告を待つ。

 

全ては遅滞なく行われた。

 

 

 

 

いやーあれから数週間、もう何個かの神の目を食べて暴徒からなんとかの王までレベルアップ!

いやー事が順調に進むっていいですね!ほんとに!クソ痛かったけど!!

だけど俺の場合なんだろう?一つの元素に固定しているわけでもなし。

にもかかわらずシールドっぽいのはちゃんとあるし。

まぁいいか安全なら!

さてさてここら一帯の戦場後はあらかた見て回ったし、別のところに移動しよ。

 

そう考えたその時、風を切る音、サクッと何かが地面にささる。

これ、矢ですねぇ!

 

はれれーおっかぴーぽー!?

 

なんで射られてるんですかねー!

 

振り返ると軽装の兵士と思われる人間がすでに2発目をつがえている最中だった、とりあえず両手を上げる。

 するとこの行為が通じたのか此方を向かず真上に向けて矢は発射され…

 

ヒュルルルルボォン!!

 

けたたましい風切り音と共に飛び立つ矢が真上まで飛ぶとそれは眩い光を上げて爆発する。

 

 

わぁきれー、じゃねぇやこれ、仲間呼んでるわ、どないしよ?逃げよ!

っと殺意高くないですか?

なんで弓射った後に短剣抜いて襲いかかってくるんです?

ガード!どうだ!このバカデカい荷車にくっつける前提の盾は!

いや重すぎなんだ、がっ!

思い切り兵士に向けて蹴り飛ばしてやった。 

 

おっ?当たった?動かないっすね、あ、まって、もしかして、死んじゃった?そう考えて手当てしようか迷ったが大勢の甲冑が放つガチャガチャという音が聞こえ迷わず逃走する。

 

 

 

 

 

先日から放った斥候から合図が飛んできた。

 その報告を聞いた時はまだ5分もたっていなかったはずだ。

 そしてここに到着したのは5分ちょっと、つまりたかだか10分程度で彼をこんな状態に追い込んだことになる。

 

「申し訳、ありません、団長、足止め、敵わず」

 

「よせっ!喋るな!」

 

大楯の下に見つけた彼は既に息も絶え絶え、呼吸をするのがやっとの様子だった。

 

「下手を、打ち、ました、骨が、刺さって、ます。もう、だめ、です、あれわ、相当な、手練れ、不意を、突かれ、ました…」

 

それだけを喋るともう彼は段々と冷たくなっていく、すがるような面持ちで軍医をみれば陣痛な顔で首を振るばかり。

 

「リリアはどうした!奴なら水元素がつかえるはずだ!」

 

「彼女は!、、彼女は先週死にました」

 

「何!知らんぞそんな話は!いやっいやまてそうだ、そうか、、」

 

そうだ確かに聞かされてた。

 いつものように戦い、いつものように誰かが死ぬ、そしてそれを私は神の目が届くことで心から理解していたがらここ最近は神の目は届かなかった。

原因は他でもなくソレのせいで、現実から目を背けていたのは私かもしれなかった。

 だがそれでも、それでも、ソレを恨まずにはいられない。

私は今回の戒めとして、そして同時にひとりの戦友が死んだ事に対しての労いとして叫ぶ。

 

「聞けっ!我が騎士達よ!また一人英雄が死んだ!彼はっ!ダミアンは!私の最も信頼する騎士の1人だ!」

 

 

私が剣を抜きそれを掲げると騎士達もまた剣を抜き空へと掲げる。

 

彼は間違いなく精鋭の1人だった。故に彼だけは1人で斥候を許されそして成果を上げてきた。

 常に人手不足の中で彼に助けられた事は何度とある。

 

 

「今後二度と!二度とこのような事があってはならぬ!いつかあの魔物を!あの魔物の首を叩き斬ってやろうぞ!」

 

 

野太い雄叫びの返答と共に復讐の炎は間違いなく燃え上がっていた。

 

 

 

 

おーこわ、しばらくあっちには行かないようにしよう。

さてさて、しばらく走った後だがおそらくもうあいつらは来ないだろう、ちゃんと理由もある。

 

 

戦場後で確認できる魔物は勿論だが何よりも人間の服装が違う、これは恐らく国あるいは軍の管轄が変わったからだろう。

おいそれと他国に移動したり管轄を越える事はできないだろうし必要とならばまた逃げればいい。

まぁこれからもいつも通り同じことをするだけだ。

 

 

 

 

もうこの世界に来て半月以上はたった、食べた神の目は遂に100個目に到達する。

 

記念すべき100個ですな。

もうすっかり食べ慣れた神の目、美味しく食べるコツは噛まないことですよ奥さん。

とはいえ強くなるのを感じはするが最初のあの劇的な変化はもう長らくこない。

良いことではあるのだが、やっぱり実感が欲しい。

さてさてあーんってね。

 

「☆$<°#€€〆:→#$¥€!!」

 

もうこないと思って油断した、失神したよね。

いやぁ危なかった誰か来てたら殺されてた。

 

それで君、誰?

目の前にはヒルチャールが一匹たっている。

 

「1♪376(…3(☆/€」

 

何その言語?あっ待って分かる分かるわ、なにこれヒルチャール語?

なんてこった!数多の謎を解明してしまったぞ!

まぁとりあえずそれは置いといて、君はなに?いや王様〜じゃなくて、あっなんでも言うこときく?じゃあ自害とかも、、、

 

まじか

 

自分で自分の首をへし折ったこいつをとりあえず埋める。

超疲れた、寝よ。

 

起きたらまたそいつがいた、超怖い。

試しに埋めた奴を掘り返したら、というか掘り返させたらまだあった。昨日死んだとは思えない程に風化してはいたが、まだちゃんとそこにいた。

つまりコイツはどっかから生えて来た事になる。

えっ?なになに?ネズミ算で増えるって?それってつまりもう隠れられないってことじゃないですかやだー

 

まぁいい。生えてくるからには色々調べるしかねぇ。

 

 

あれから7日たった。

ネズミ算で増えるのでもう128匹もいる。いや多くない!?

 

ただ色々と収穫はあった、まず彼らの生態だが一日ごとに増えるのではなく寝ている間に増える。

これは恐らく普段纏っている元素が漏れているからであると考えられる。

え?これ俺、これから練と纏の練習しなきゃだめってこと?

そしてもう一つ、元素が漏れ出ている間に近くにいたヒルチャールは強化される。

これは増えたヒルチャールを格納するために洞穴を拡張させていた結果、明らかに作業効率が違ったから詳しく調べた結果だ。

最初の方は目印をつけていたからこれもまた発見に繋がった。

 

でも途中でやめた、だってほんとにネズミ算で増えるんだもん。

 

 

だが、何よりも、すごいのは、

 

ヒルチャール語が高度に圧縮された戦闘言語ということだ!

 

通常なら5音以上かかる命令も2音程度で済む、つまりどういう事かというと。

 

「突撃せよ!その後残党を殲滅し陣地を確保、防衛せよ!」

この言語がヒルチャール語だとこうなる。

 

 

「Ураааааааа!!」

 

 

ちょっと誰ぇ?ソヴィエトユニオン置いていったの?

ウラァじゃないが?ちゃんと歓喜の意味もあるの何なん?

まぁ何はともあれ彼らの言語は圧倒的に戦闘に向いている。

そして同時にコミュニケーションは絶望的だった、このままでは恐らく集落という文化レベルから上に行ける事はないだろう。

 

なんと可哀想な生命なのか。

とりあえず目下の目標は新たな拠点探しだ、いまは128だが明日には256匹になる。だからとりあえず巨大な拠点がいる。

 

 

 

うーんどうするか?

………南に行こう!(不凍港を目指して!)

おーいみんな南行くぞ南。

 

 

「Ура!」

 

 

頭痛くなって来た、なんならもう毒されてる気がする。

 

 

さてさて行くあてもなく南下しているわけだが前方に遺跡を発見!

 

…同時に遺跡守衛達も、やるしかねぇか。

何気にまともに戦闘をするのは初めてだ、大丈夫だろうか?

 

 

 

 

 

余裕でした!一発殴って終わり!その繰り返し!

俺強ぇぇぇぇ!

そしてまぁみんなで遺跡に乗り込めー!したわけだがそこでとんでも無いものを見つけた。

 

 

「遠方支援用円筒遺跡守衛生産ライン」

 

 

そうプレートには書かれているが、これはどう見ても榴弾砲である。

 

脚が四本ついている蟹の様なものに乗っていてなんなら目もあるが乗っているそれはよく戦争ゲームなどでみる近代的な大砲に違いはない。

なになに?本機体は高コストで量産には向かずまた精密射撃を達成できない?

そんなバカな!?そう思って詳細にスペックを見てみる。

 

成る程、口径は122mm。

自走式?車輪だけついてりゃ良いわ。

自動装填機能?手動でやるわ。

高精度直接照準スコープ?面で制圧するのでいらないです、間接照準にかえてください。

という感じで色々いじった結果。

 

なんとコストを三十分の一にまで落とす事に成功!見た目は完全に榴弾砲!足も目もないよ!

 

こんなにコストが低下したのは自走式にするためになんかよくわからないコアを使っていたのが原因だった。

 

砲弾も榴弾一種に限定して順序生産ラインを増やしていく。

人型兵器とかねロマンだけどね実用的じゃないし、なんなら敵対するし。

おらーお前ら訓練するぞ訓練!

 

「Ура!」

 

良い返事だ!

 

 

さて、生産にあたり資源が足りない。

主に鉱石系だが、正直どこから取れるか全くわからない。

なのでこれを機に古今東西に情報網を作る事にした。

とはいってもどこになにがあるかを調べる程度だが馬鹿みたいに増えるヒルチャールによる人海戦術によってきっとそこそこの成果を上げてくれるだろう。

 

人海戦術を効果的に行うためにまず増やさないといけないため、何日かの準備が必要だったがそれでさらにコイツらについて分かった事がある。

 

まず遠くにいた場合は増えない、そしてコイツらはずっと一緒にいると進化する。

とりあえず暴徒までは確認できた、当の本人はすごい喜んでた。王のおかげだってさ。

 

ちなみに進化してないやつに神の目を食わせてみたがなにも起きなかった。

まぁともかく数も増えた今なら本格的に火砲の生産とかを始める事ができる。

そういうわけで、いってらしゃーい。

 

 

 

 

 

 

最近テイワット大陸中で新しい魔物が見られるようになった。

 基本的に害はないがひたすら鉱石を集めてはどこかに持っていく事が一つの共通点として挙げられる。

 

そしてもう一つ言えることとして本当にどこにでもいる、山にも浜辺にも森にも平原にも洞窟にも、とにかくどこにでもいる。

 

コイツらは基本的に此方を攻撃する事はないのだが周囲の動植物を食い荒らすため駆除が求められている。

 当然と言えば当然だか、倒そうとすれば抵抗されるためそれなりの人員をさかれることもまた悩みの種であり。

 そしてどうやら集団で戦場後を漁って武装している様なので死者は未だに出ていないが怪我をするものは少なくない。

 

 

だがその代わり戦場後が綺麗になった。

とは言っても死体をひとまとめの山にしているため燃やすか埋める手間が省けただけではある。

 だが大量の死体は疫病の元となるし誰も死体運びの仕事はやりたがらないという点で役には立っていた。

 

 

 

 

 

ー中央軍管区第三軍司令部ー

 

「王将軍、北方から使者が訪れています」

 

「北方から?だれだ?」

 

「騎士団から来た、とだけ。」

 

モンド方面からの騎士団?北方から?北方騎士団!?最精鋭部隊じゃないか!

 

「馬鹿者!早く連れてこい!その騎士団は北方の要であるぞ!」

 

「ですが」となにやらゴネ始めた間抜けな部下に蹴り飛ばすように指示を出すと、それは思っていたよりも早く来訪した。

 

ただ、様子がおかしい、おかしいというか端的に言って血塗れ。

 

なんだ!?なにが起きている!?もしや北方壊滅!?援軍を求めに来たのか!?

 さまざまな臆測によって頭の中が混乱の渦中にいるとき、かろうじて口から出たのはその血について尋ねる事だった。

 

「ああ、申し訳ありません。汚してしまって、ですが道中ずいぶん多くの虫ケラ共を見かけましてね」

 

はっ汚れた?というか虫ケラ?虫ケラとは?

 

「いや、いやいい、構わないとも、傷ついていないのであれば」

 

「傷などと、私は、我々騎士団は、あの様な虫ケラ共に遅れをとる事はあり得ません」

 

「そうか、、、一つ聞くが虫ケラとは何だ?」

 

「虫とはあの何処からともなく現れ、好き勝手に食い荒らし糞尿を撒き散らすゴミ共のことです。

ああ、そうでした、今日はそれについて話に来たのです」

 

成る程、話を聞くに虫ケラとは件の新種の魔物の事であるらしい。

 そして、今回使者として来た理由とはその魔物がどうやら我々の管轄区域内から発生しているかもしれないので調査の依頼との事。

 

 

だが、この依頼を受ける事はできない。

 たしかに鉱石を取られ動植物を食い荒らされるのに困ってはいるが、耕作地帯や都市などが襲撃された事は無く家畜を数匹食べられたと苦情が来る程度。

 

しいて言えば鉱山には頻繁に現れる様だが作業員がいれば近寄る事はなく、なんなら鉱夫達が追い払ったという話まで聞く。

 

やはり無理だ、いかに中央軍管区は最大規模とはいえそれはここに主戦場があるが故のこと。

 何よりもどこから湧いているかは()()()()()()()

掃討するかはまた別に検討することになるだろう。

 

 

「成る程わかった。調査はする、しかし完全に駆除するかは検討が必要である」

 

そう伝えたところ使者は信じられぬとばかりに食い下がってきた。

 

「なぜです!我々北方軍管区ではあれらの出現当時から全力で排除に努めています!

既に数百は駆除していますが数週間もするとまた同じ量に戻っている!あれは明らかに補充されている!」

 

そう叫んだ彼に努めて冷静に応答をする、なぜならこの議題はかなり厄介であるのだ。

 

「つまりこれらは大規模な組織であると?」

 

「はい。そして何より親玉がいます。

もう半年は前になりますが騎士団の英雄が一人そいつにやられました」

 

北方騎士団の一人がやられたというのは確かに警戒に値する。

しかし迷う事もなく彼の言い分は否定される。

 

「ありえん!それはうちの対策研究会が散々に調べたのだ。

集落には長老役が1匹、大柄な戦士役が2匹以上とそれ以外が十数匹、それで一つのコミュニティだ!

連携など絶対に無い!」

 

「なぜそれだけで言い切れるのです!?集落は1つではない!」

 

「無理だ!奴らの集落はまとまる事などできん!試しに別の集落どうしを立ち合わせたが殺し合いを始める始末だ!」

 

尚も強く否定をするがそれでもまだ使者は諦める事なく執拗に新種の駆除を願い出て来た。

 

「ならば、ならば!奴らが運ぶ鉱石はどう説明するのです!」

 

「それは、、」

 

答えを探し舌が止まる、そうだ、確かにそれについては意見が割れている。

 建材として使っているという説が有力ではあるが建物の石材からは鉱石類が発見されておらず、何よりも明らかに必要量に対して過剰に採掘されていた。

 だがしかし、それでも害の少ない新種の駆除のために少なくない兵を動かすことを肯定できない。

 

しかしそれを使者は許さない。

 

「我々の!資源が!奪われているのです!なぜ見過ごそうというのです!?」

 

「ええい!黙れ!いかに北方騎士団とはいえ我慢の限界だ!我が軍管区に口出ししないで貰おうか!」

 

「なっ!?王将軍がなんと情けない!それでも鉄壁の王ですか!」

 

流石に頭にくる、なぜ階級も下の人間にそこまで言われなければならないのか!

 

「理由が!あるのだ!貴様ら前線組にはない理由が!

いいか、今月の被害を教えてやろう!傷病者一万、死傷者七千人だ!

ついで教えてやる!奴らの出どころは古代遺跡だ!」

 

 

「っなんと!?」

 

 

これには相手も流石に黙り込んだが、同時に自身の失態に頭を抱える。

 

大人しくなった使者が口を開く。

 

「いったい、なにが?」

 

口の中の水分が枯れ果ててしまった様な感覚に襲われる。

 かろうじて尋ねる事は出来はしたが、いまだに信じられていない。

 

一万七千人、第三軍の総兵力は六万五千人であり、それはつまり三割近い被害を受けたことになる、それもたったひと月で。

 

 

なぜ駆除に消極的だったかは言われずとも流石にわかった、被害が大きすぎる。

 そして何よりも厄介だったのは奴らの発生源、それは各地に()()()()()古代遺跡からであるというのはこの上なく最悪である。

 

「わからん、何かの前触れか、それともただの気まぐれか、いずれにしろ今は損害の補填に努めなければならん。

そして!この話、決して民に聞かせるな、虫ケラの出どころもだ!」

 

「何故ですか?」

 

「はぁ?、あぁそういえば北方管区では出現当時からずっと排除していたのだったな」

 

将軍は一度まるで物分かりの悪い物を見る目をしたが説明をしてくれる。

 あの虫ケラの被害は少ない、とはいえ民からは相当に恨まれており、その発生源ともなれば黙っていないだろうと、また次も大規模な戦闘があるかもしれず、そんな中この被害の中で新たに人員を動かすのは避けたいとの事。

 

そして、最後に恨めしげに言った"奴らは死ぬのが軍人だから好き勝手言いやがる"という発言は聞かなかった事にする。

 

「成る程、理解しました。この事は北方騎士団、そして、北方指令部に報告します、物資の融通ならできるかもしれません」

 

「そうか。感謝する」

 

こうしてヒルチャールの討伐は見送られ、後になって彼らはこう記す。

 人生最大の汚点、損害を顧みず戦略予備を投入してでもあそこで駆除するべきだったと。




戦場「跡」はまだそんなに経っていないなという事でわざと戦場「後」にしています。

追記
うおぉぉ!改行足りてねえ!!
ただでさえ一万字あるって言うのにごめんね。
追追記
耕運機はカーンルイアがつけた名前だったので、ただの遺跡守衛に変更
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