【朗報?】ギャルゲーの世界に転生した【いいえ、悲報】 作:空々からら
ヒロイン公式紹介
一ノ瀬銀華
主人公の義妹。常にクールで無表情な時が多く、人に興味を持つ事が殆どない。過去に何かあったようだが…?
私は愚かだ
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして?
何故?何故?何故?何故?何故?
どれだけ後悔しても、どれだけ謝っても、許されるはずがない。何故、私は、
私には、兄さん
何故、私はあの男を
私は生まれてからあの日まで、誰1人信じるなんて事ができなかった。母だった人は、薬に溺れて姿を消した。父だった人は、小さい頃の私の裸を見て楽しむ人だった。私は逃げた。逃げて、逃げて。倒れた先で孤児院に拾われて。そして、兄さんと出会った。
「ん?どーしたの、そんなところで。ひとりか?」
「……うん……」
「じゃあ、おれとあそんでよ。おれもひとりなんだ」
「……うん、いいよ……」
「じゃあ、なまえおしえてよ、おれ、とおるっていうんだ」
「……ぎんか」
「ぎんか、よろしくな!」
そう言って頭を撫でてくれたのを、今でも覚えてる。その時の笑顔を、今でも覚えてる。忘れる訳がない。忘れてはいけない。だって兄さんは、私の光なんだから。
孤児院でも1人だった私と、毎日のように遊んでくれた。私は兄さんと同じ学校に行けるように孤児院の先生に頼んだ。初めてお願いしたからか、孤児院の先生達は泣いて喜んでたのを覚えてる。私は、その時初めて私を見てくれる人はいるんだな、って思った。
中学生になって、兄さんと同じ学校に行けるようになった。それと同時に、私は孤児院から引き取られた。それは、兄さんの家だった。そして兄さんは私を見るなり、こう言ってくれたんだ。
「はじめま…いや、違う、よな?その綺麗な髪…もしかして昔遊んでくれてた銀華か?」
私を
でも、私はすぐに心を開かなかった。何故って?…私は虐められていたから。中学に入る前から私は何故か女子に目を付けられていた。何か嫉妬されてたのか今でもよく分からないけど。…兄さんに、迷惑はかけたくなかった。
だから距離を置くことにした。私は辛かったけど。覚えてくれていた兄さんに酷い仕打ちをしてるって思いながら。でも、兄さんが私みたいに虐められるよりはマシだって思ってた。
「お前ら、誰の義妹をいじめてるんだ?…オイ、答えろよ…?」
兄さんは助けてくれて。私が1人で勝手に背負っていたものを、全部一緒に背負ってくれて。泣いていた私をそっと抱きしめながら、頭を撫でてくれて。
ゆっくりお風呂にでも入ってくれ、って言われて。お風呂でもたくさん泣いて。そして兄さんはちょっと困ったような笑顔でこう言ってくれた。
「ごめん、気付くの遅れて。…言い訳にしか聞こえないだろうし、もっと早く助けてあげることは出来たんだと、思う。…怖い思いさせて、こんな不甲斐ない兄で、ごめんな?」
「そんなこと、ないっ!!」
そんなことを言われて、つい大きな声を出してしまった。
「小さい頃も、今だって!!兄さんは私を助けてくれた!!頭を撫でてくれたッ!!不甲斐ないとか、言わないでっ…!私は、私にとって兄さんは…大切な、人なの…!」
「っ!?…そっ、か。…ありがとな、銀華」
私は間違いなく幸せだった。そのあと、兄さんが四苦八苦しながら作ってくれた卵焼きの味は今でも覚えてる。私は甘めに卵焼きを作る事が基本で、兄さんもそれと同じように作ってた。…失敗して、少し甘すぎたけど。…でも、あの甘さが。…私の心を癒してくれてたんだ。
それなのに
「ごめん、なさい、ごめん、な、さい、ごめん、な、ざぃッ…!!」
「と、とりあえず落ち着けって…な?銀華…」
あの時とは違って、
頭に靄がかかったようだった。兄さんを兄さんとして認識できなかった。いや、違う。
その当たり前の幸せを、幸せだと感じられなくなった。この数ヶ月、私は何をしてきたんだ?ロクに兄さんと話もせず、いつものように料理も作らず、家に遅く帰ることもしばしばあった。それ程までに私は、何かに執着していたのだろうか?今や
「わたし、わだじ…ひどい、こと、しましたッ…!!にいさん、はッ…やざじぐ、じて、くれ、たのにッ…!」
「それって…話さなくなった事とか料理作らなくなった事?まぁ確かに寂しかったのは事実だけど…そんな泣くほど気にする必要はないって」
「だ、っで、だってぇ…!!」
私は兄さんの腕を見つめる。傷を隠すように包帯を巻いている。だって、あり得ないじゃないか。ご飯を作ろうとしていたのは、分かる。だって昨日の夜、帰ってきたらご飯が置いてあったんだから。
そのご飯を食べた時、頭の中の靄が消えるような感覚に襲われた。そして、ようやく私が兄さんに何をしてきたのかを理解する事ができた。あまりにも愚かで、遅すぎる。
あの時と同じ、少し甘すぎる卵焼き。私を助けてくれたあの日と、同じ味。その甘さを噛み締めるたびに、涙が溢れて止まらなかった。ただ、あの時と違うのは。兄さんが一緒に食べてくれていない事。
当たり前だ。この数ヶ月何もしてこなかった私と一緒に食べたいなんて、思う訳がない。なのに、ご飯を作ってくれた。…そして、その優しさが
私が見たのは、間違いなく
あの料理も、私に対するメッセージなんじゃないかって、その姿を見てから思った。あの甘さが、優しさが、自殺しようとする兄さんの姿を見てから。…コレで最後だから、もう関わらないでくれ…そんな風に言われてるような気がして。
何か言おうとして、でも逃げるように、その傷を隠すようにさっさと学校へ行ってしまった兄さん。追いかけるように私も学校へ行ったけど、どうしてか兄さんを学校で見つける事が出来なかった。クラスに行けばたまたま席を外していたり、包帯を取り替えるためにいなかったり…どうしてこうもタイミングが悪い時ばかりだったのだろう?
そして、この時に限って帰りも遅くなってしまった。一分、一秒でも早く帰りたいのに、と思いながら急いで用事を終わらせ、帰ってきた私が見たのは。
兄さんがまた、包丁を握っていた姿だった。逃げるように部屋に閉じこもった兄さん。その背中を見るだけで私の呼吸が荒くなる。身体が重くなる。のし掛かるような、重圧。
嫌だった。死んでほしくない、謝りたい、前のように話したい…こんな時まで、自分の事しか考えていない私がとことん嫌になる。でも、私が私を嫌いになるのも、私が私を殺す時があったとしても、それよりも優先するべきなのは。今、悩み後悔する事じゃない。
「…兄さん、お願い…もう二度と
全ての服を脱いで、私は叫ぶ。どこまで行っても自分中心の、身勝手なお願いでしかない。醜くても、惨めでも、例えこれからどれだけ嫌われたとしても。本当に兄さんに殺されたとしても。私は例え一秒だったとしても、兄さんより後に死にたくないんだ。
あんな男を少しでも選んでしまった私に、存在価値なんてない。それならせめて、路傍の石のように蹴り飛ばされて、その身を削ったとしても。…兄さんを、死なせたくないんだ。
慌てて顔を赤くしながら服を投げてきた兄さん。大丈夫、安心して。私が兄さんに
だからもし恋人を作って紹介されたら、私は自分の事よりも喜ぶだろう。勿論、相手次第では反対するけど。だって私は兄さんの
でも、もし兄さんが私を選ぶのだとしたら、私はこの身が滅ぶまで全てを捧げるから。あぁ、でも。2度とこんな恥ずかしそうに、顔を赤らめてこちらを見ないでほしい。もし、またその表情を向けられたら。我慢できない。
真実の私はこんなにも、卑しくて、執着深い女なのだから…
ヒロイン真実紹介
銀華
ゲームではクールである、と強制的に定められていた。だが、実際の彼女は嫉妬深く、主人公と家族でいる事に特に執念深い。主人公が優しければ優しいほど家族である事に執着し、余程の事がなければ告白しても断られる。
「私を置いて行かないで?だって私は、兄さんの家族なんだから」
また、