ISー進化の道標   作:星を観る者

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 以前よりもオリキャラの説明をなくそうとしたのですが、あまり変わらなかったような気もします。
 いまだに拙い文章ですが、よろしくお願いします。


第二話

「突然ですまないが転入生を紹介する」

 織斑先生の発言でクラス全体が固まる。

 

(転入生……このタイミングで? 今は入学式当日だぞ。普通なら新入生じゃないのか)

 一夏は訳が分からず首を傾げた。クラスメイト達も一夏と同じ考えなのか顔をしかめている。

 

「君達の言いたいことはわかる。何故このタイミングで新入生ではなく転入生なのか疑問に思っているのだろう。そして、その理由を聞きたいと」

 一夏とクラスメイト達は同時にうなずく。

 

「その疑問に答えるのは簡単だが直接本人に聞いた方がいいだろう。五代入ってこい!」

 織斑先生は答えることを放棄して、廊下で待たせていた転入生を呼ぶ。

(説明するのが面倒になって、人になげたな)

 一夏が非難をする目で織斑先生を見る。

 

「何か言ったか織斑?」

 即座に左手に持っていた主席簿を右手に持ちなおす織斑先生。

「いえ、何も言っていません」

 一夏がそんなやりとりをしていると、教室のドアが小さな音を立てて開く。そして、教室内に一夏と同じくらいの背をした男性が入ってくる。

 

「えっ?」

 またもや、クラスの空気が固まる。

(お、男だよな?)

 一夏も表情には出さないが、内心では焦っていた。自分以外に男がこの学園に行るはずがないという気持ちと、実際には目の前には男がいる現実が彼の頭を混乱させている。

クラスメイトたちも現状が理解できない、という顔で転入生を見ている。

 

 転入生はこの空気の中、全く気にしていないように口を開いた。

「世界で二番目に発見された、男性IS操縦者の五代七海です。これからよろしくお願いします」

 普通の自己紹介をされて、クラスの空気は少しだけ良くなった。良くなったことによって、今度は疑問が出てくる。

 

「あの、二人目の男性IS操縦者が発見されたことを、私達は全く知らなかったのですが……」

 クラスメイトからの質問は少し消極的な聞き方だったが、暗に「あなたは何者?」という意味が込められていた。

 

(当然の疑問だ、俺も含めてクラスの全員が知らないようだからな)

 

 その質問に対して五代は少し肩の力を抜いて答える。

「情報規制がされていたのでしょう。一人目の織斑一夏君は、見つかると同時にマスコミの群れに囲まれていましたから。政府もいろいろと情報隠蔽に力をいれていたみたいです。あとは……」

 五代は少しだけ言いよどんだ。

「あとは?」

 催促するように質問した子が聞き返す。

「私が見つかったのが孤児院だったのも、一つの理由でしょう」

 一瞬何を言われたのか、わからなかったのだろう。質問した子は目を見開いていた。

「それじゃあ、もしかして」

 少し時間がたった後、おそるおそる聞き返す。クラスの空気は少しずつ重たくなっていった。

 

「はい、私は生まれたときから親がいない孤児です。日本政府は15才から16才を対象にして検査をおこないました。ですから、学校に通っていなかった自分でも戸籍は昔作って貰ったので検査されたんです」

 淡々と経緯を話す五代。

「あ、あの。ごめんなさい」

 いたたまれなくなったのか、質問した子は謝って席に着いた。

 

(完全に地雷だったな。俺や千冬姉と同じで親に捨てられ、俺らとはちがい助け合う兄弟もいなかったのか)

 

「謝らなくてもいいですよ。孤児院の皆は優しかったし、とても楽しい時間を過ごせていましたから」

 五代は明るく振る舞っている。その表情は本当に笑っていて無理に言っているわけではなさそうだった。

 

「少し湿っぽい雰囲気になってしまったな。他に質問のある奴はいないのか?」

 織斑先生が場の雰囲気を変えるように呼びかける。女子達は立ち直りが早く、暗い雰囲気などなかったこのように手を上げた。

 そこから先は質問の嵐だった、五代はしっかりと受け答えをしていたのだが、若干頬がひきつっていた。

 

 ひとしきり女子からの質問が終わり、そろそろチャイムが鳴ってもおかしくないころに、一夏が思い出したように質問をした。

「そういえば、なんで転入生になっていたんだ?」

 一夏の質問を聞くと五代は頬をかき、苦笑いをしながら答える。

「発見された後に実際に国籍を作るために外国に行ったとき、そのついでに学校で授業を受けていたんですよ。まあ、一週間ほどでしたけれど」

 五代は軽く笑いながら話す。

「なるほど、国内にいなかったなら誰も気が付かないし、3月なら外国に行っても旅行者で十分通じるか」

 一夏が言い終えると、ちょうどいいタイミングでチャイムが鳴る。

 

「ちょうどいいな、これでSHRを終わりにする。次の時間は普通に授業だ、しっかりと準備をするように」

 織斑先生はそう言うと、教室から出て行った。

 

「織斑一夏君だよね?五代七海って言います。これからよろしくね」

 織斑先生が教室からいなくなった後、教壇の横にいた五代が一夏に話しかけてくる。

 

「織斑一夏だ。お互い数少ない男同士だから、気軽に一夏って呼んでくれ」

「わかったよ、一夏」

 お互いに軽い挨拶を済ませる二人。しかし、周りからの視線が痛いのか両者ともに笑顔が硬い。

 

「(一夏、この視線は何なの?正直いうと、居心地がすごく悪いんだけど)」

 五代が一夏に小声で話しかけてくる。

「(これは、いわゆる洗礼だ。俺たちは、ただでさえイレギュラーなのに二人揃っているだろ?だから、注目を集めているんだよ)」

「(なるほど。でも、一夏はだいぶ自然体だね?)」

「(お前がいない時は、この視線が全部俺に降り注いでいたんだよ!)」

「なるほどね、一夏も大変だったんだ」

 五代は納得がいったのか、声のトーンを戻した。

 

「すこしいいか?」

 唐突に横から声をかけられる二人、揃って横を向くと一人の女子生徒が立っていた。

 

「あっ」

「どちらさま?」

一夏、五代の順番だ。

 

「一夏、その反応なんだ?それが久しぶりに再開する幼なじみに対する反応なのか」

 女子生徒は少し怒ったように聞いてくる。

「ついさっき、目があったら逸らされたから。てっきり別人かと思って」

 一夏が非難するような顔で箒を見つめると、起こった態度から一変して申し訳無さそうな顔をする。若干顔が赤くなっているのは気のせいではなさそうだ。

 

「さっきのことは謝る。まさか目が合うとは思わなかったんだ」

 

(箒にもいろいろあるんだろうな……)

一夏はあまり深く考えず、適当に自己解釈した。

 

「そろそろ説明してくれるとありがたいんだけど、一夏?」

 今度は五代が二人に話しかける。

 

「すまない、自己紹介が遅れた。篠ノ之箒だ、これからよろしく頼む」

「こちらこそよろしくお願いします。ところで、篠ノ之さんと一夏は幼なじみなんですか?」

「まあ、そんなところだ。五代、申し訳ないんだが一夏を借りていいか?」

 少し控えめに箒が聞く。

 

「あ、なるほど。何か積もる話がありそうですから、私は席につきますね。一夏、また次の休みの時に」

 何かに気がついたようにそそくさと五代は後ろの席に移動した。

「お、おう」

 一夏は状況を読めずに、ただ見送ることしかできなかった。

 

「どうしたんだ、五代のやつ?」

「(借りができてしまったな)」

「なにか言ったか、箒?」

「いや、なんでもない。それより一夏、場所を変えないか?」

「ああ。廊下でいいか?」

 

 廊下に出るために立ち上がった一夏は少し五代の様子を見るために教室の後ろのほうを見る。そこには、隣の人に何かを頼み込んでいる五代がいた。

(適応するのが速いな)

 五代だけを教室に残すことに後ろめたさを感じていた一夏だが、自分の心配が杞憂だったとわかり、そのまま一夏と箒は廊下に出た。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「あらためて久しぶりだな、箒。あんまり変わってないみたいでほっとしたよ」

「そういえば。五代とはしたが挨拶すらしてなかったな。久しぶりだな、一夏。そして、変わってないというのはどういう意味だ?」

少し不機嫌な顔をして聞き返してくる。

 

「いや、お前さ、保護プログラムとかでいろんなところを転々としていたんだろ?塞ぎ込んでいないか心配だったんだ。そういう意味で変わってなくてよかったって言ったんだよ」

そういうと箒の表情が不機嫌なものからうれしそうな顔に変わる。

 

「……そうか、一夏は私のことを心配してくれていたのか」

(それは心配するだろ、いきなり幼なじみが音信不通になるんだから)

一夏がそう思った直後、何故か箒に叩かれる。

 

「いて!?何すんだよ」

「勘違いだったみたいだから、つい」

(いまいち、箒の考えていることがわからない)

 

「そ、そういえば、去年の剣道の大会で優勝していたよな。おめでとう」

 一夏としては地雷を踏まないように安全な方向に話題を持っていくつもりだった。

 

「何故お前がそれを知っている!」

 しかし、箒は逆に血相を変えて一夏を問い詰める。

 

「いや、新聞で読んでな……」

 一夏は気迫に押されて声に覇気がなくなる。

 

「……そうか、新聞か」

 しばしの沈黙の後、箒は少し安堵したように息を吐き、態度が軟化した。

 

(なにかあったのか?でも、今は聞くべきではないな。相談してこないあたり、人には触れて欲しくないことなんだろう。)

 

 一夏はさらに話題を変えることにした。

「やっぱり箒はすごいな。俺は剣道を止めちまったからな」

 

「なっ?やめたとはどういうことだ」

(やっぱり突っ込まれたか。箒にはしっかりと理由を言ったほうがいいよな)

「実はバイトと家事ですごく忙しくて」

 言いづらそうに一夏が話す。

「……千冬さんの負担を減らすためにか?」

(こういうとき幼なじみってすごいよな。言いづらいことを言わなくても理解してくれるから)

 

「ああ。」

「それならしかたないな。けど、勘を取り戻したいなら、いつでも付き合うぞ。」

 

(やっぱり持つべきものは友達だな。こんなにも俺のことを気にかけてくれるとは)

 

「そろそろ戻るか。」

「そうだな。これからよろしく頼むぞ、一夏」

「こちらこそ」

 そう言って二人は教室に戻っていった。




 学校が忙しかったので全く更新できませんでした。
 これから休みに入ります。ですから、書き上がり次第、投稿していきたいと思います。
 今後とも、よろしくお願いします。
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