ISー進化の道標   作:星を観る者

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 星を観る者です。
 バイトがあるとパソコンをつけている余裕が無いことに最近気が付きました。
 更新が遅れて申し訳ないです。 


第四話

「私は戦いたくありません」

 五代の発言にクラスが唖然とした。

 

「あら、逃げますの?やはり男なんてその程度なのですね」

「五代はここまで言われて何も思わないのか?」

 五代の発言に対して、セシリアと一夏はそれぞれの反応をする。クラスメイトたちも同じ意見なのか、五代を見ている。

 

「ごめんね、一夏。できるだけ、面倒事を起こさないよう、国に言われているんだ。とくに、他国の代表候補生とかはね」

 そう言いながら五代はセシリアを見つめる。

 

「面倒事か。たしかに私情を挟んでいる試合でもあり、両者とも双方の国を罵倒するようなことを言っていた。下手をすれば国際問題にも発展しかねない状態だな」

「えっ?」

 織斑先生の付け足した言葉にセシリアが反応する。

 

「なんだ、てっきりイギリスから何が何でも織斑のデータを取って来いと言われたから、あんなことを言ったのかと思ったぞ。でなければ、とんだ怖いもの知らずだな。織斑は日本という国が保護している人間だ。保護対象に危害を加えようとする奴に対して国が黙っていると思うのか?」

「わ、わたくしはそんなつもりでは……」

 さらに続く織斑先生の叱責にセシリアの顔はどんどん青ざめていく。

 

「だいたい、オルコットさんは一夏とどうやって戦うつもりですか? 専用機を持っていない一夏に対して専用機を持っているあなたが普通の試合ができると思っていませんよね?」 

「専用機と訓練機ではスペックに差がありすぎる。ただでさえ一夏や私は搭乗時間が短いのだから訓練機を使って、専用機に勝てるわけ無いでしょう。そういうのは試合ではなく、弱い者いじめって言うんですよ」

 とどめを刺すかのように五代は発言する。五代にとって、この試合はできるだけ回避したいものだった。

 

「五代。教師側の立場から言わせてもらえば、クラス代表を決めなくてはいけない。正直に言うとお前達三人の中から決まれば、決め方は何でもいい。試合をしたいという人間が二人いるんだ、多数決で試合をするのが道理ではないのか?」

 しかし、織斑先生の叱責の対象が五代に変わる。

「たしかに……」

 ごもっともな意見に言葉をなくす五代。

 

「それに、織斑には専用機が支給される予定だ。一週間後には届くだろう」

 五代のセシリアに対しての抗議は、あくまで自分と一夏のどちらかが訓練機を使用することが前提である。五代は専用機を国から渡されているため、一夏が訓練機を使用しなければ、その抗議は意味がなくなる。

 

「うっ……わかりました。ですが、試合はしますけどハンデを付けてもらいたいです」

「それはオルコットと織斑に言え」

 間髪入れずに織斑先生につっこまれる。五代は出鼻をくじかれたが、セシリアと一夏の方を向き、ハンデの内容を言う。

 

「オルコットさん、一夏、試合時間を10分にして勝敗を決める条件はシールドエネルギーの残量の多い方にしていただけませんか?」

 ハンデの内容というよりもルールの変更と言ったほうがいいだろう。

「試合時間を短くする……なるほど、その条件ならば勝てないまでも引き分けまでなら持っていけるかもしれません。わたしくしは異論ありませんわ」

 先ほどの叱責から立ち直ったセシリアは意図を理解したのか、五代の提案を了承した。

 

「織斑はどうだ?」

 織斑先生が一夏に聞く。

 

「……俺は反対です。五代との試合はいいとしても、セシリアと俺の勝負は制限時間を設けないで片方のシールドエネルギーがなくなるまでにしてください」

「あなた、せっかく人が情けをかけてあげているというのに!」

 一夏の返答にセシリアは怒りをあらわにする。

 

「情けなんていらない。もとより俺とお前の喧嘩が発端だ。巻き込まれた五代はともかく、俺達はきちんと決着をつけないといけないだろ?」

 一夏は意思のこもった目でセシリアを見つめ、そう宣言した。

「……分かりましたわ。覚悟があっての発言でしたのね。それならば、完膚なきまでに叩きのめして差し上げますわ」

 セシリアは少し驚いた後、納得したのかその後は何も言わなかった。

 

「どうやら決まったようだな、来週に試合は行う、各自準備を怠らないように」

 織斑先生の一言でその場は幕を引いた。

 

 

_____________________________________

 

 

 

 時は変わって、放課後。

 

「やっぱり、腕は落ちているか……」

「三年間も竹刀を握っていなければ、しかたのないことだろう。だが、少しずつ反応できるようになっている。毎日続けていけば来週には形にはなるだろう」

 一夏が落ち込みながら言うと、箒がそれを慰める。

 

 一夏と箒は武道場で剣道をしていた。本来ならば来週の試合に向けて少しでもISを動かしておきたいところだったのだが、この時期は訓練機の使用許可が集中しているらしく借りることができなかったのである。

 この場に五代がいないのは、転入に必要な書類や専用機を持つものが書かなければいけない書類を職員室で書いているからである。

 

「ISを動かすには体力が必要だって五代が言っていたし、俺にできる悪あがきはこんなものか」

「五代も災難だな。書類を書くのに放課後を使っているから、いくら一夏よりも操縦時間が長くても試合は辛いものになるだろうな」

 五代はこれから試合まで、ほとんどの放課後を書類を書くことに費やさなければいけない。午前と午後は普通に授業があるため、放課後にしか準備をする時間がない。

 

「代わりと言ってはなんだが、五代の分まで頑張ろう。箒、もう一本頼む」

「わかった」

 二人は日が暮れるまで稽古をしていた。

 

 

 

 武道場で剣道をしたあと、一夏は箒を待つために武道場の外にいた。そんな時、不意に声をかけられる。

「あっ、織斑君、ここにいたんですね」

 校舎の方から山田先生の声が聞こえてくる。

 

「どうしたんですか、山田先生?」

 一夏が不思議そうに聞く。

「織斑君に寮の鍵を渡すのを忘れていました」

 そう言って、山田先生はポケットの中をさぐる。

 

「てっきり、自分で取りに行くのかと思っていました」

「そんなことないですよ。はい、これが織斑君の部屋の鍵です。失くさないように気をつけてくださいね」

 一夏に寮の鍵を渡すと、山田先生は校舎の方に戻っていった。

 

「何かあったのか?」

 箒が着替えから戻ってくる。

「ああ、寮の鍵を渡されたんだ」

「ほう、何号室なんだ?」

 そう言って、箒は一夏から鍵を見せてもらう。

 

「はっ?」

 突然、箒が声を上げる。

「どうしたんだ、箒?」

 一夏がおそるおそる聞くと

「この部屋番号は私の部屋とおなじなんだが……」

 わけがわからない、という顔をしながら箒が話す。

 

「……何かの間違いだろう。一夏、職員室に行くぞ。」

「お、おう」

 こうして、2人は職員室に行くことにした。

 

 

 

「やはり納得ができない」

「まあまあ、そう言うなって」

 一夏の部屋は箒と同じで、二人はルームメイト。織斑先生に聞いた結果、返ってきた答えがそれだった。

 

 なんでも、部屋割りを決めた頃に五代が見つかったため空き部屋の確保ができなかったらしい。それで、もう一度部屋割りを組み直したら今度は男と女が混ざってしまったらしい。

 

 今の時期は先生も忙しいらしく、来月になれば部屋替えができるそうだ。

「ある意味、箒でよかったよ。これで全く知らない人が相部屋だったら、気まずくて何もできなかったと思う」

「まあ、たしかに私としても一夏でよかった。いまだに人との付き合い方がわからないのでな」

 箒は保護プログラムで各地を移動し続けていたため、友達も殆どできなかったらしい。そうしているうちに、人との接し方がわからなくなってしまったようだ。

 

「そういえば、五代はどうなったんだろうな」

「……多分だが、先程一夏が言っていた、気まずいことになっているんじゃないか?」

 他愛もない話をしながら、一夏達は寮へと向かった。

 

 

 

「とりあえず、シャワーの時間などの、ちょっとしたルールを決めよう」

 寮の部屋に着くと箒が話を切り出す。

「そうだな、変な事故だけは避けたい」

「決めるのはシャワーの時間、消灯の時間、あとは、起床の時間だな」

 

「箒は朝練とかは、あるのか?」

「自主的なものだがある。起床は5時30分くらいだろう。」

「流石だな。俺は6時30分くらいに起きたいから、朝はできるだけ静かにしてくれるとありがたい。」

「了解した。」

 

「次は消灯時間だな。俺は何時に寝ても大丈夫だから、箒に合わせるぞ。」

「朝練があるから、11時30分には寝たいな。」

「そしたら、11時に消灯しよう。」

 

「最後はシャワーだが……」

「箒は剣道のあとすぐに入りたいだろ?先に箒が入って、俺が後に入った方がわかりやすくていいんじゃないか?」

「そ、そうか。悪いな、一夏」

「気にするなって」

 

 一夏は完全な善意で言っているのだが、箒はよくよく考えてみる。

(私が入った後に一夏が入るわけだ……風呂に入るのにも気を使わなくてはいけなくなるな)

「一夏、6時30分までなら自由に入って良いぞ。」

「大丈夫なのか?」

「6時まで武道場は使える。片づけをしたら、戻ってくる頃には6時30分を越えるだろう。」

 

「なら平気か。それじゃあ、これで全部決まったな。」

「あと、着替えは脱衣場で行うことにしよう。もちろん、鍵を閉めて」

「わかった。それじゃあ、箒は先にシャワー浴びておいてくれ。俺は荷物の確認をしておくから。」

「了解した」

 

 その後、一夏と箒は食堂で夕食をとってから、就寝した。

 

 

 

 

 

 

Side五代

 

「ふう、ようやく終わった」

 職員室で今日のノルマである書類を書き終えた五代は織斑先生から寮の鍵を貰って自分の部屋に向かっていた。

「それにしても、試合か……許可取らないとな」

 五代が試合をしたくなかった理由は国から言われている情報制限に触れてしまっているからである。幸い一週間後なので、許可も取れるだろう。

 

 五代が自分の部屋の前に行くと先客がおり、その子は自分の鞄から鍵を取り出そうとしている。

「こんばんは。もしかして、ここの部屋の人かな?」

 声をかけられてびっくりしたのか、一瞬体を痙攣させた。少し間を置いて、少女は体をこちらに向ける。

 

「……あなたは?」

「はじめまして、二人目の男性IS操縦者の五代七海と言います」

 軽い挨拶をする。

「二人目?」

 少女が怪訝そうな顔で五代を見る。

「存在を秘匿にしていたので、知らなくても当然ですね。織斑一夏のあとに見つかった操縦者です」

「……そう」

 少女は興味がなくなったのか、そっけない返事をする。

「ところで、あなたのお名前なんですか?」

 五代がそう聞くと、間を少しあけて少女は答える。

「……更織簪」

 その答えを聞くと五代は満足したのか部屋について聞く。

「更織さんの部屋はここなんですよね?」

「そう」

「同居人はいましたか?」

「いない」

 五代は必死に会話をしようと話しかけるが、なかなか会話が続かない。

「……たぶん、私と相部屋になるんだと思います。私に渡された鍵がこの部屋の鍵ですので」

 会話を諦め、申し訳無さそうに五代は言う。

「……別に気にしない」

「そうですか、良かった」

 

「代わりに、わたしの邪魔だけはしないで」

 その言葉には拒絶の意思が含まれていた。

「で、できるだけ、邪魔しないようにします」

 五代は突然向けられたことにたじろいでしまった。

「ならいい」

 

(なにか怒らせるようなことしたかな?)

「ドアを開けて」

「わかりました」

 五代は自分の持っている鍵でドアを開けて中に入る。

(まぁ、そこまで気にするほどのことでもないのかな)

 

 こうして、五代も何事も無く就寝した。

 




 
 次回から戦闘描写になります。
 うまく書けるかどうかわかりませんが、頑張って行きたいのでよろしくお願いします。
 
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