「んんっ! いい朝だ、さぁ発明しよう」ぐ~
腹が減ったな……金がない、どうしよ。バイト? いや服はこれだけだから衣料品もか……生活に困る、ジャンクショップで買い取りとかあるなら基盤作って売るとか……やっぱバイトだな。ここの通り道に建設現場あったからそこで雇ってくれねーかなぁ。
「ここかすいませーん」
「ん? なんだ?」
「俺をここで働かせてぐぅ~……あはは」
「……はぁ、昼まで待ってくれ。そこのベニーズで話をしよう。霧島! 昼から一旦抜けるぞ!」
「はーい親方!」
ん? これはまさかの採用ルートになるか? それともいぶし銀なお説教来るか? 圧倒的大人の対応っ……
昼まで現場の隣で待機してると霧島と呼ばれた女の子が話しかけてきた。
「ねぇ貴方名前は? 同じ学校よね? 見たことないけど」
「早乙女竜馬です」
「早乙女! ってあの早乙女?」
「どの早乙女です?」
霧島さん、フルネームは霧島ジュン、アイドルのように可愛らしいツインテールの女の子だった。
早乙女姓が気になるようだがどの早乙女だよ、って聞き返したら同級生に女の子の早乙女萌々香さんが居るそうだ。話を聞く感じは犬猿の仲と思われる
「ようボウズ、飯にしようか」
「はい! 飯良いですね!」
「相当腹が減ってたのか……」
現場の親方、いぶし銀な叔父様、声が素敵で顔も素敵。
ファミレスのベニーズでお昼をご馳走になりながら色々話をするのかと思ったがどうにも険しい顔付きな親方。あれ? これ面接じゃなくて取り調べ?
「お前さんはどこから来たんだ?」
「どこからと言いますと住所? 出身地? ですか?」
「あーすまん質問を変える、お前さんは誰だ?」
「質問の意図が分かりませんが?」
いつの間にか店内から人気が無くなって俺と親方二人きりになってしまった……おやおやおやおやおや?
「早乙女 竜馬。そんな名前は戸籍上存在しない。どのデータベースにもな」
「なんでそんなこと分かるんですか?」
「分かるさ、俺はある組織に所属するパイロットだからな、お前さんを調べあげる事は簡単だ」
「なるほど、……好都合ですね」
「なにぃ?」
これはチャンスだ、俺を売り込む絶好の機会っ!
その組織に入れろ下さい
☆★★
伊伏銀太は困惑した、このご時世でバイトの直談判があるとは思っていなかった。彼の制服はこの近くの高校のモノであるがどうにもホコリっぽい上に傷が目立つ。いじめられっ子ならそれも不自然ではないが本人はそうでも無さそうな様子、それに育児放棄でも無く……何故だか違和感を感じずにいられない。
「……はぁ、昼まで待ってくれ。そこのベニーズで話をしよう。霧島! 昼から一旦抜けるぞ!」
取り敢えずは今の仕事を区切りの良いところまで終わらせる事にした、休憩時間にバイトの霧島ジュンが早乙女竜馬と名前を聞き出した所で伊伏銀太の違和感は解決した。
「こちら伊伏、すまないが早乙女竜馬と言う人間を調べてくれ」
『了解です……ん? 早乙女竜馬と言う人物はいませんね、再検索します……やっぱりいませんね』
「ありがとう、なるほどな」
伊伏銀太は長年の戦場での経験から早乙女竜馬の持つ違和感を見逃さなかった、世界の裏に通じる彼だから気付けた違和感。
「早乙女 竜馬。そんな名前は戸籍上存在しない。どのデータベースにもな」
彼は疑った、早乙女竜馬は地球を滅ぼし人類を滅亡の縁に追いやった最悪の敵、異星人ことドラクターなのではないかと。
地球の科学技術の数十数百年先を行く奴らなら人間に擬態し欺くことも簡単だろう
「なるほど好都合ですね」
「なにぃ?」
好都合? 好都合と言ったのかこの小僧は? 伊伏銀太は理解不能な答えに思考が一時停止した、こんなのは戦場で死にかけて走馬灯を見た以来だった。
「私は待っていたんですよ、貴方のような組織からのアプローチを」
「ほう、その心は?」
「力になりたい、この早乙女竜馬は科学技術に置いては右に出るものが居ないと思っている」
「若造がよく言う、それと伝え忘れていたがお前さんを組織の敵とこちらは疑っている」
「……なるほど、疑われて当然です。データベースに存在しない私は敵のスパイだと思われたのですね。そればかりは仕方ないのです、この早乙女竜馬と言うのは自称、本名は知りません」
「!? ……そうか」
早乙女竜馬、まさかの自称だったとは。その可能性は考えてもみなかった、更に早乙女竜馬は続けてこう言いった。
「疑わしいのならいくらでも調べてください、そう言う手段はあるのでしょう?」
「ふうん……俺の敗けだ、よし着いてこい。我らの基地『オブリビオンベイ』に招待しよう、ボウズ」
「っしゃ! ……おっと失礼しました」
最後の反応に少し頬が緩んだがこの伊伏銀太は油断しない、記憶処置室にて早乙女竜馬が嘘をついていないかキッチリ判断するまでは警戒を緩めるつもりはない。
★★☆☆
いやー良かった良かった、無事に組織入りですよ!
「おい早乙女、あまりうろちょろするな」
「分かってますよ、えー……親方?」
「伊伏銀太だ、覚えておけ」ニカッ
いぶし銀だ……かっこええなぁ
とまぁオッサンこと伊伏さんに連れられてこのオブリビオンベイと言う地下施設に来ました、なんかいっぱい精密検査されてヘトヘトですよ、特に最後の記憶をいじる機械は頭痛が痛かった()
最後の最後に俺が配属される部署の主任に会いに行くことになった、壱番バンカーと呼ばれたそこには超大型なロボが堂々と佇んでいる。これが……パッケージのロボか。メガトン級ムサシ、生でみるとでけーな。60メートルはあるぞこれ。
「ははぁ~ん、貴方ね早乙女くんって?」
「うおっ?! 伊伏さんこの人は誰ですか!?」
ギャーいい声のオカマだーっ!? ピンクのコートが眼に刺さる!
「ローグ開発主任のデューク藤咲よ、よろしくね早乙女くん」
「あ、えと、はい!」
なんだろう癖が強いぞこの組織……ここで俺はやっていけるのか?
まだ続く