早乙女竜馬はあれから少し引きこもった、何でもパイロットとして技術を高めたいのだとか。普通ならパイロットは簡単に任されるモノではないがこの世界の事情的に人的資源は少なくやる気さえあればパイロットになれた。だからと言って技術者が操縦士になるなんて話を聞いたことの無かったデューク藤咲はシュミレーターのコックピットで汗を垂らしている早乙女竜馬を気にかけていた。
デューク藤咲はピンと来るアイデアを思い付いた。年齢は高校らしいのでこのシェルターの学校、星刻学園に通わせようと、同年代の人間と話す事はきっといいリフレッシュになる上に浅海 輝(あさみ てる)と協力して新たなパイロット候補を見つけてきてもらえれば一石二鳥だわ!
そうと決めたらあとは実行あるのみ、早速南司令に提案書を出して許可を貰いデューク藤咲は早乙女竜馬と浅海輝の両者に星刻学園でのパイロット候補探しを命令を下した、しかしそれに合わせて能力開発センターからも一人の星刻学園へ潜入するのだった。
★☆☆☆
翌日……早乙女竜馬は校門前で立ち往生していた
「学校かぁ……はぁ」
この早乙女竜馬と言う男は学校が好きでは無かった、そう言う人間は割りと居るだろう。別に嫌いではないがとにかく人付き合いが面倒でたまらなかった。誰かに遠慮したり人と仲良くしたりグループを意識してみたり……とにかく人の織り成す人間模様にもう何もかも投げ出したいくらいには面倒でたまらなかった。
転生してからは好きに研究し好きなロボを作り上げ更には自分で動かすと言うロマン溢れる充実した生活を送っていたのだ、なのに何故だ何故なのだ……早乙女竜馬は頭を抱えてしゃがみその場から動きたく無くなった。
「早乙女竜馬……命令は守らなくちゃ」
「雨宮 零士(あまみや れいじ)くんと言ったかな? 君も人と話すのは億劫じゃないか? うんと言ってくれなきゃ僕が惨め過ぎる」
「そんな事は無いよ」
「ゲホァ!」
雨宮零士は能力開発センターから来た物静かな青年で早乙女竜馬と時を同じくして学園へ送り込まれた、早乙女竜馬は雨宮零士を一瞬女性と見間違えるくらいには華奢なシルエットで髪も肩に掛かるかどうかと言う長さ、トドメにイケメンであった。
早乙女竜馬は前世と変わらない姿でありしっくり来る姿なのだがこの時ばかりは釣り合いが取れないと後悔し転生の時にイケメンしろと言わなかった己を恨んだ。
「おお神よいるんだから哀れな人間の祈りを聞いてくれぇぇ……学校面倒でいやだぁ」
「困った……」
校門前で何をしているのかと登校中の生徒達はチラチラと二人を見ては通り過ぎ、中には声を掛けようとした生徒もいたがその周りにいた生徒に引き留められ離れていった
「あれ? 竜馬じゃん」
「あ、霧島ジュンさんでしたっけ?」
「親方とあのあとどーなったの? 割りと気にしていたのだけど」
「あーそれがですね、別の所を紹介されまして今はそこにでアルバイトしてます」
霧島ジュンと言う女性を表すとアイドル並みの美貌と人気を持つ見る人が見れば計算高い人物と評価するタイプの男も女も彼女に掛かれば容易く堕ちるまさに小悪魔だ。
そんな彼女に話し掛けられた不審者二人(雨宮は巻き添え)は必然的に周囲の目に必要以上に晒されてしまう、早乙女竜馬の不得意な衆人環視に量子コンピュータ並みの頭脳がパンクしかけ……いやパンクした。
「霧島ジュンさん! 助けてくれ、俺は人との付き合いが苦手なんだ!」
「ちょっ!?」
ガシッと勢い良く彼女の両手を掴み取り藁にもすがる気持ちでお祈りする早乙女竜馬に感情が希薄な雨宮零士ですら
「うわ」
と声にした。
そのあとは言わずもがな、早乙女竜馬は見事な大雪山下ろしを喰らって今日は学校を休むことになった。祈りが通じたっちゃ通じたが彼の今後の学生生活に多大な影響を及ぼしたと言うのは語るまでもない。
パイロットの日常でした