黑咲結翔は■■である   作:斬る斬るティー

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プロローグ:黒い花

■■それは自分では無い誰かの命を守る為に、誰かの笑顔の為に、誰かの人生の為に命を懸けて戦う、その姿に子供なら誰でも憧れるだろう。でも俺は■■が嫌いだ。

だって俺からしたら■■は誰かの為に戦う■■■で■■の様だからだ。

そして俺は・・・いや、俺の一家は■■の■■で■■の■■■だ。だから俺は――。

 

 

 

 

「はあ~ダルい」

 

 そんな面倒くさそうに言うのは、まるで雪景色のような白銀の髪が特徴の1人の少年だった。

 

「これで検査は全て終わりました」

「・・・ッチ」

 

 神官の様な服装に木の様な印が描かれた白いお面を付けた人物達が部屋に入ってくるが、少年はその人を見ると嫌そうに舌打ちをしてその人物が持ってた自分の服を乱暴に奪い取り着る。

 

「俺は帰る」

 

 少年は鬱陶しそうに言うと歩き出す。そしてお面の人達も後を追うが少年は立ち止まり、また舌打ちをすると振返る。

 

「鬱陶しいな!付いて来んな、1人でも帰れるわ」

 

 怒り気味に喋るがそれに対してお面の人達も言葉を返す。

 

「なりません、黑咲様の身にもしものことがあるとけません」

「思っても無いこと口にするな!お前ら“大赦”が気にしてるのは俺では無く“勇者の力”だろ!それにお前らは俺を、俺達黑咲家を捨て駒としてしか思ってないくせに、良い奴みたいな事を言ってんじゃねえ気色悪い!クタバレぇ!!」

 

 子供が言うとは思えない程に乱暴に言うとまた歩き出す。その後ろ姿をお面の者達はただただ黙って見送る事しか出来なかった。ただ1人一番前に居た人は強く手を握り絞めていた。

 

 

 ★

 

 大赦、それは神世紀になり神樹様()を祀るそしきでは有るがその権力は総理大臣よりもあるとされている。が、細かいことは追々として、黑咲は大きすぎる建物の廊下を1人で歩いていた。

 

「イライラする・・・・?・・・・ッ!」

 

 イラつきながら廊下を歩いていると、ふと窓の外を見るとある光景を見て目を見開く。先ほどの人達と同じ服を着た人達が車、正確にはリムジンの左ドアから建物の出入り口に繋がるような形で並んで、車から降りてきた人達を出迎えていた。

 

 ――ドン!

 

 楽しそうに両親と思われる人達と一緒に車から降りて来た自分と同い年の様な少女を見た瞬間に窓ガラスを思いっきり殴りつける。

 

「俺は、いずれお前らを!」

 

 それからしばらくして溜め息をつくと怒気の籠もった表情から何事も無かったかの様に無表情に戻り、また歩き出す。

 だが、だが、殴ったガラスには子供が殴ったとは思えない程の罅が入っていた。無論、黑咲の拳からも血が出ていたが気にすること無く歩く。

 

「あ、あの大丈夫ですか?」

「あ”?・・・誰だお前」

 

 しばらく歩くと声を掛けられ振返ると自分より少し小さい女の子が話しかけていたのに気づく。

 

「私は「どうでもいい」え」

「お前が誰とかどうでもいい。俺にかかわんな」

「でも手を怪我してらっしゃいますよ!」

 

 言われてから自分の拳から血が出ていたことに気づく。

 

「こんなもん怪我に入らない」

「ダメです!」

「あ、おい!」

 

 女の子はポケットからハンカチを出すと素早く黒咲の怪我していた手に巻く。

 

「これで大丈夫です。どうですか?」

「・・・お節介ありがとう」

「はい!どういたしまして!」ニコ

(嫌みが通じてねえ)

「あ、申し遅れました。私は国土 亜矢と申します」

(国土!? 上里家と同じ、初代巫女の家系、国土家か!?)

「・・・?」

「・・・はあ~、俺の名前は黑咲 結翔」

「良いお名前ですね」ニコ

「は?嫌味か?」

「え? 申し訳ありません。そのようなつもりは」

「?」

「?」

「・・・俺は黑咲だぞ?黑咲家の人間だぞ?」

「はい、良いお名前ですね!」

 

(うそだろ!っていやまあ、大赦に居る奴だからって誰も彼も黑咲家を知ってる訳無いか。知ってるのは神官みたいな人達(あの気色悪い奴ら)だけだったか?確か)

 

「まあいいや。じゃあな」

「はい、お体はお大事にしてくださいね」

 

(ッ!そんな言葉は両親以外には、初めて言われたな。・・・!彼奴ら)

 

 少年、結翔は初めて家族以外の人に言われた優しい言葉に目を見開き驚いたが、国土と名乗った女の子の後ろから神官服を着た人達が見えた瞬間に踵を返し帰る。

 

「じゃあな。ハンカチは何時の日か返す」

「・・・はい!」

 

 結翔は歩きながら手を振り立ち去る。その姿を国土は優しい目で見つめていた。

 

 ★

 

 

「・・・」

 

 家に帰ると玄関のドアノブには紙袋が掛けられており、その中身は様々な大きさのリスパックに、肉じゃがやほうれん草のお浸しといった沢山のお惣菜とかが入っていた。

 

「またか・・・・・・まあいいか。ただいま」

 

 紙袋を取ると家に入るが、結翔を出迎える人は勿論、声も無い。何故なら小6でありながら、結翔は1年前からずっと1人暮らしをしているのだ。

 

「頂きます」

 

 テレビを見ながら1人でご飯を食べる。

 

(美味しいはずなのに味が感じない。昔は感じていたのに、なんでこうなった?・・・・?)

 

「メールか」

 

 スマホには一つのメールが届いていた。大赦からで、簡単にまとめると内容は一ヶ月以内にお役目が始まるとの事だった。

 

「・・・お役目・・・俺はお前らが嫌いだ」

 

 急いでご飯を食べて片付けると、大人の男性と中学生ぐらいの青年が写った写真を見つめる。

 

「俺は目的を果たすために頑張るよ、命を懸けても。だから見守っていてね、父さん兄さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

神世紀298年。

 

神託を受けた、蕾の勇者達による、人類の存亡を賭けた攻防が、幕を開けようとしている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『結城友奈は勇者である』

 

 ~鷲尾 須美・黑咲 結翔の章~

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