黑咲結翔は■■である   作:斬る斬るティー

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第3話:咲く花

 光が収まり、目を開けるとそこには、非日常の光景が眼下に広がっていた。それはまるでおとぎ話の様な光景で色とりどりなカラフルな樹海だった。

 

「うわぁ~!」

「うわぁ! 初めて見た! これが……!」

「神樹様の、結界……」

「これが、神樹様が作った結界の中?」

 

 3人は不思議な体験に興奮している中、結翔だけは遠くに有る橋の様な物を見つめていた。

 

「『樹海』……。教わった通りね」

「凄いねぇ!全部木だね!あれが大橋かな?」

「うん!多分あれだね」

 

 園子が指さした先には、街のシンボルである瀬戸大橋が一際存在感を露わにしている。

 

「こちらと壁の外を繋ぐ橋。あそこから敵が渡って来るのね」

 

 須美が解説をしていると、

 

「んん〜っ! 私達が勇者だなんて、興奮するぅ!」

 

 銀が文字通り興奮した様子で張り切っている表情を見せる。それを見て須美が口を尖らせる。

 

「ちょっと三ノ輪さん! 遊びじゃないんだからね……」

「分かってるって」

「そんなのはどうでも良いけど、来てるぞ」

 

 結翔が橋を指差して言う。3人は指を差された方を見て、目を凝らすと大橋の奥から何かが侵攻しているのが見えた。青い何かは分かるが、具体的なシルエットは不明だ、少なくとも異形である事には間違いない。

 

「あれが敵」

 

 鷲尾が呟くと銀はポケットから携帯を取り出し写真を撮りまくる。

 

「彼奴が橋を渡り、神樹様に他とりつくと世界が無くなる」

「ああ、分かってるって」

「私達で止めないとだね!」

「・・・あ?それは俺も入ってるのか?」

「当たり前です。黑咲さんも同じお役目を担う者なんですから!」

 

 園子の「私達」で自分も入ってるのかと聞く結翔に対して、鷲尾は当然とのツッコミを入れる。

 

「お役目を、果たしましょう」

 

 須美の一言で銀、園子は頷く。

 手にはスマホが握られていた。起動してすぐに、花の種のような画像のアイコンが表示される。それは勇者と呼ばれるお役目に選ばれた者だけに配信されたアプリであり、このアプリを起動する事で、敵と戦う為の力を手にする。

 それが、人類が神樹の力をもらって製造した、『勇者システム』である。

 

「天地に 来ゆらかすは さゆらかす……」

 

 鷲尾、乃木、銀が祝詞を唱え終えると種のアイコンにはそれぞれの花のアイコンに変わる。それをタップすると4人は勇者へと変死をする

 

 

 

 

 

 

 鷲尾 須美は、白と薄い藍色を基調とし、大きな弓を携え、『菊』をモチーフとした勇者に。

 

 三ノ輪 銀は、赤を基調とし、巨大な2丁の斧を携え、『牡丹』をモチーフとした勇者に。

 

 乃木 園子は、紫を基調とし、先端の刃が歪に造られている槍を携え、『青薔薇』をモチーフとした勇者に。

 

 黑咲 結翔は、黒を基準とし、怪しく黒い光を放つ日本刀を構え、『黒薔薇』をモチーフとした勇者に。

 

 

 

 

 

 

 神の、神樹の力を宿した勇者の姿に変身し終えた。

 

「おお~!初めての実戦だ!」

「合同訓練もまだだったけど」

「敵かご神託より早く来たからね」

「よぉし!行くぞ!」

「ミノさん私も~」

「貴方達まちなさ~い」

 

 銀が先に行き、その後に園子が行き、その後を須美が追う。3人の姿を結翔は黙って見ていたが、溜め息を着くと3人の後を追う。

 

「広ーい。訓練とは大違い」

「ここが元は街だなんて不思議だね~」

 

 結翔は全く反応せず、須美は1回も合同の戦闘訓練をしてないのに大丈夫かと心配そうにしていた。そしてそうこうしているうちに異形の物の前に立つ。

 

「うわ~デッカ!」

「これが・・・」

「・・・向こうから来た敵、バーテックス」

 

 その怪物の名は、バーテックス『頂点』を意味する。バーテックスには通常兵器が聞かず神樹の力を宿した勇者の攻撃のみが、有効とされる。

 バーテックスは全部で12体で、全てが12星座をの名を冠している。須美がスマホのマップを確認すると目の前のバーテックスには『水瓶座』と記載されていた。

 目の前の、左右に水球の様な物のある『アクエリアス・バーテックス』を含み12体を撃退し、神樹を守ることが勇者に課せられたお役目なのだ。

 水瓶座が通過した木の根が、枯れていくかのように、鮮やかだった色が黒ずんで腐食していくのが見え、皆は、特に須美は焦ったように呟いた。

 

「アレって!」

「浸食・・・撃退するのに時間が掛かるほどに元の世界に悪影響が出る」

「だったらぁ!」

「あ、まって~」

「あ、こら!」

 

 須美が矢を構えるが、銀が先に飛び出し園子が追う形になる。銀は現実世界に被害が出る前に片づけようとしたためであるが、敵もそうは問屋が下ろさない。頭の様な部分からいくつもの水球を飛ばす。

 

「な、何だこれ⁉︎ ウァッ!」

「ミノさん!・・・ってきゃああ」

 

 銀は水球を最初は避けるが数が多く全部が避けきれず、いくつかの水球が引っ付き落下する。そして園子はそれを心配したが、次の瞬間に水瓶座の右手(?)の水球から、レーザービームの如く激流が発射され、園子も落下する。

 

「2人とも!・・・っ!」

 

 須美も2人の心配しながら、水球を避け攻撃を仕掛けると、攻撃は水瓶座の頭部の様な部分に命中するが直ぐに回復される。

 

(何やってんだ彼奴ら。・・・俺がやらなくっても勝手にやられるんじゃ無いか?)

 

 結翔は全く動かずに迫り来る水球の攻撃を切り裂きながらそんな事を思っていた。

 

「クソ、ウオォリャ!」

「く、うう」

 

 体に張り付いた水球をたたき割る銀と、槍を杖のようにして立ち上がる園子。だが、水瓶座は立ち上がった園子にさっきした激流の攻撃を仕掛けようとチャージする。

 

「ヤバ!」

「乃木さん!?」

「・・・」ニヤ

 

 激流の攻撃が放たれる。その攻撃は園子の居た場所に直撃する、それを見た銀と須美は最悪な結果を想像したがそれは次の瞬間に無くなった。

 

「この槍、盾になるんだった~」

 

 刃先が盾になり、傘の様な形になり水流の攻撃を防いでいる園子の姿が有った。そしてその姿に結翔は驚くしかなった。

 

「うそやん。何その槍・・・あ、鷲尾反撃」

 

 結翔に言われ、安堵している場合ではない。そう思った須美は高い場所へと飛び上がり、弓を長く引いた。こうする事でパワーをチャージして、より威力の高い一撃を放てるのだ。しかし、なにぶん時間がかかる。

 

「早く・・・」

「これ、台風の凄いのみたい!」

「須美、なんとかしてくれ!」

 

 銀は水球を避け、園子は水流を防いでいたが、結翔はただ須美の近い位置から戦いを見ているだけだった。そしてチャージが貯まり、須美の技が放たれる。

 

「・・・私が!」

 

 矢を放つがその攻撃は水球にで止められ、攻撃は失敗する。それに驚いた瞬間に逆に水球の攻撃を受け、須美は立って居た場所から落下し、水流攻撃の威力が増し園子も吹き飛ばされる。

 

「「きゃああ!!」」

「須美!!園子!!」

「あーりゃりゃ。鷲尾は落下で乃木は吹き飛ばされて、か。て・・・ま、待て待て待て待て!?ちょ!ま!いやまじで!!」

 

 そのまま園子は結翔の方に落下して結斗は受け止めるかたちになる。

 

「えへへ。受け止めてくれてありがと~」

「・・・重い、降りろ」

「え~ゆいゆいヒドイ」

「降りろ」

「なにしてるんですか、乃木さん黒咲さんら」

 

 須美は考える、自分の攻撃は距離は有っても威力は無い。銀の攻撃は威力があっても射程が短すぎる。園子はどう扱えば良いのかすら分からない。そして結翔は全く動いてくれないので、未知数と、考えていた。

 そして、足元の木の根が枯れ始めて、須美の方へと侵食していく。思わず後ずさる須美。

 

「こんなの、どうしたら……!」

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