黑咲結翔は■■である   作:斬る斬るティー

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第8話:合宿2

 

 全ての課題を終え須美達は食後の入浴タイムは至福そのものだった。疲れが癒えてとろけそうな感覚に陥る中、銀が不意にボヤいた。

 

「毎日毎日、バランスの摂れた食事、激しい鍛錬、そしてしっかりと睡眠。勇者というか、運動部の合宿だよねコレ。なんかこー、バーンと超必殺技を授けるようなイベントとかないのかね、須美!」

「今回は連携の特訓だから、仕方ないわね」

「なんだか私、更に筋肉ついてきたかも〜」

 

 園子が二の腕をプニプニしながらそう呟く。それを見て銀の口からため息が洩れる。

 

「強くなるのはいいけど。これから成長する女の子がこなすには、色んな意味で厳しいメニューだよな。」

「はいはい。文句言わないの」

「ミノさん、ずっとボールにぶつけられたり竜巻に巻き込まれたときの怪我痛まない?」

「あたしは平気だよ。園子は?」

「どっちかっていうと、こっちの方が沁みる〜」

「あぁ……。あれずっと握ってたらそうなるもんな」

 

 園子が手のひらを見せると、5つほど豆ができていた。強く握り続けていた事で生じたものだろう。

 

「でもそれだと結翔もそうなのかな? ほら、結翔って刀使ってるじゃん。」

「あー確かにー。 でもゆいゆいはどちらかと言うとミノさんに乗られた方じゃ無いかな~?」

 

 園子が最後のやつを言うと銀は直ぐに顔が真っ赤になると園子に迫る。

 

「そーのーこー!思い出させるなー!!」

「あー!」

 

 銀は園子に近づくと横腹を触りこしょばし攻撃をする。だがそれを須美に注意される。

 

「三ノ輪さん、お風呂でそんな事すると危ないわよ」

「あはは。……それはそうと、鷲尾さん家の須美さんも、体を見せなさいな」

「な、何で……?」

「これも良い機会だし、クラス1のデカいお胸を、拝んでおこうかなっと・・・まるで果物屋だな! 親父! その桃くれ!」

「⁉︎ ちょっと何言って……⁉︎」

 

 いうが早いか、銀は須美めがけて・・・いや、須美の胸にめがけて飛びかかる。須美はウネウネと動く銀の両手を掴んで応戦する。

 

「ちょ、ちょっとダメ〜!」

「事実を言ったまでだね! むしろ大きいくせして照れてるとか、贅沢いうなー!」

「ま、まさか反対に怒るなんて……」

 

 必死に抵抗する須美と、3人の中で人一倍隆起している2つの桃に触れようと本気で力を込める銀。そんな2人のやりとりを

 

「サンチョも入れてあげたいな〜」

 

 といって全く介入せずにのんびりと湯に浸かる園子。

 2箇所での温度差が激しくなる中、突然入り口が開き、湯船に人が入ってきた。3人は同時に振り向き、そしてギョッとした。

 

「三ノ輪さん、鷲尾さん。温泉ではお静かに」

 

 2人に注意する安芸の一糸纏わぬ裸体は、あまりのインパクトに、先ほどまで言い争っていた2人の熱を一気に冷ます。言うなれば大人の体、というものを間近で目の当たりにした銀がボソリと呟く。

 

「……いや〜、大人の体って凄いな。服着てるとあんまそういうのって分かんないけど……」

「た、確かに凄いわね。例えるなら、戦艦長門……」

「何それ?」

 

 聞き慣れない単語を聞いた銀が尋ねると、須美は先 ほどの銀以上に目をギラつかせ、得意げに語り出す。

 

「旧世紀の我が国が誇る戦艦よ! 詳しく話してあげる!」

「へっ? あぁ、今回は遠慮する」

「そう」

 

 銀に断られた事に明らか残念そうにしょぼんとする須美。だが男子風呂の方をみていた園子が視界に留まり、気になり聞くことにする。

 

「乃木さん、どうかしたの?」

「ん?いや~こういった合宿イベントだと男子がお風呂覗きに来るから、ゆいゆいも覗きに来るかな~と思って~」

「無いな」

「無いわね」

「ショボーン」

 

 園子の発言に銀と須美は間髪入れずに否定する。それに対し園子は鼻近くまで湯に浸かり、息を吐きぶくぶくと泡を立てていた。

 

「なんだ?園子は結翔に覗かれたかったのか?」

「恥ずかしいけどそれがあれば小説のネタに出来ると思って~」

 

 ニヤニヤしながら言った銀に対して園子は普通に答えると銀達は答えより小説を書いていた事に驚く。

 

「園子は小説を書いてたんだ」

「そうなんよ~。因みにミノさんとゆいゆいのアレもネタにしてるよ~」

「ちょ!園子ー!!」

「五月蠅い!!」

「「「「!?!?」」」」

 

 突如の男子風呂からの声、すなわち結翔の注意の声に安芸を含め全員が驚いた。

 

「大赦が旅館を貸し切りにしたとはいえ、風呂の時は静かにしろ!合宿中は一緒に行動しないといけなくて風呂の時間も合わせてんだから!!先生も風呂入ってんだったらちゃんと注意しろ!!」

 

「「「「は、はい。ごめんなさい」」」」

 

 結翔の声に全員が謝る。

 

(何故私も? トホホ)

 

 安芸は巻き込まれたことに落ち込むが、何故か全然落ち込んだ表情はしてなかった。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「ふーん♪合宿最後日の夜に、簡単に寝られると思って無いよな?」

 

 寝間着に着替えてる4人は夜も更けて、いよいよ就寝時間となってからも、銀はすぐに皆を寝させようとはしなかった。

 

「自分の枕持ってきたから簡単に眠れるよ~」

 

 園子は猫型の枕に頭を乗せて、その猫の枕の頭を撫でながら呟く。

 

「それ名前タコスだっけ?」

「それは食べ物の名前だろ」

「サンチョだよ~。よしよし~」

「……で、園子さん。その服は……」

「鳥さ~ん! 私、焼き鳥好きなんよ~!」

「うん、美味いよね~」

 

 鳥のようにバタバタと腕を振り回して興奮する園子と、それを苦笑いしながら受け入れる銀。そこへ須美が口を開く。

 

「とにかくダメよ、夜更かしなんて」

「マイペースだな須美」

「言う事聞かないと、夜中迎えに来るよ〜」

「む、迎えに来る⁉︎ 」

「お前ら絶対頭に思い浮かべてるやつ違うぞ?」

 

 脅かしのつもりで発言した須美だが、園子が予想以上のリアクションを見せたことで結翔は2人の頭に思い浮かんだ物が別だと薄ら理解する。

 

「そんなホラーは止めて、恋バナしようよ!」

 

 恋バナの単語で須美と園子は顔を少し赤くして結翔は欠伸をして口を開く。

 

「なんでこんな時間からバナナの話すんだよ」

「「「・・・え」」」

 

 結翔の解釈に3人はマジかという顔をして結翔をみる。

 

「なに?」

「結翔、本気で言ってる?」

「?」

「ゆいゆい。恋バナはバナナの話じゃ無くて恋の話」

「簡単に言うと好きな人の言い合いっこだ!」

「なら最初っからそう言えよ。それでその恋バナ?は男も居るところでするものなのか?」

「まあいいんじゃない?」

「なら三ノ輪さんは、どうなの?」

 

 しっかりしている須美だが、こういった事にも興味があり言い出しっぺの銀に須美が聞く。それに園子も目をキラキラしていた。

 

「す、好きな人って……。三ノ輪さんは、どうなの?」

「敢えて言うなら、弟とか!」

「家族はズルいよ〜」

「うっ」

「私もいないからお相子ね。乃木さんは?」

「ふっふっふー。私は居るよ」

「おおー!恋バナ来たんじゃない!」

 

 銀と須美は興奮して園子に近づく。

 

「だ、だれ!?クラスの人?」

「うん!わっしーとミノさんとゆいゆい!」

「だと思ったよ」

「それは恋愛より友達愛ね」

「えへ。ゆいゆいは?」

「ない」

「まあ恋バナの言葉すら知らなかった結翔には難しいよな~」

(・・・イラ!)

 

 銀の言葉に一瞬だけ眉間にしわを寄せ少しイラついた結翔は何か悪戯を思いついたのか薄らと悪い笑みを浮かべ銀をみる。

 

「なあ三ノ輪」

「ん?」

「気になる女は居るぞ」

「お!だれだれ!」

 

 銀は興味津々で結翔をみる。そして結翔は銀の近くに寄り銀に顎クイをする。

 

「・・・へ?」

「それわな、その女はお前だよ・・・銀。 お前の元気良さがお前の明るさがお前のその愛おしい程の可愛らしさが大好きだ。お前の事が好きだぞ銀」

「・・・//」

 

 銀は一瞬で顔が赤くなりそれを見ていた須美と園子も一瞬で顔が赤くなる。そしてしばらくの間、静寂が部屋を支配するがそれを最初に破ったのは結翔だった。

 

「嘘に決ってんだろ」

「へ?」

「あのな、さいしょ居ないとか言って着きに気になるとかいって次に好きとか滅茶苦茶な矛盾を言ってんだぞ?可笑しいと思えよ」

「な」

「な?」

「なんだビックリするなー!!本気かと思ったじゃん!!」

「なっはは。そもそも俺に恋愛する権利なんかねぇんだよ」

 

 そう言って結翔はケラケラ笑う。そして園子はまた新たに小説のネタが増えたと喜び何処から取り出したのかメモ帳にメモしていく。

 

「も、もうこの話はおしまい!明日も速いんだから消灯!」

 

 須美は恥ずかしさの余り急いで消灯宣言して電気を消す。暗闇が部屋を支配して全員寝ようと思うが突如として部屋の中を煌々と輝く星々が天井を覆い尽くした。当然その場にいた面々は、何事かと起き上がる。

 

「へ!?」

「何だこれ!」

「プラネタリウム〜」

「何故此所に?」

「綺麗だから持ってきたの~」

「消しなさい」

「ショボ~ン」

 

 須美に怒られ電気を消そうとするがそれよりも結翔が体を起こし天井に手を伸ばしてるのが目に入り銀が問いかける。

 

「結翔、どうした?」

「・・・・・・・・・綺麗だ」

「「「?」」」

「凄く、凄く綺麗だ」

 

 結翔の滅多に無い行為に3人は驚く。数秒してから結翔は正気に戻り、恥ずかしくなり急いで布団に潜る。その珍しさに銀はニヤニヤしていた。

 

「なんだ?珍しい反応だな結翔」

「そんなに気に入ってくれたなら上げるよ~ゆいゆい」

「う、五月蠅い!早く寝ろ!」

 

 布団に潜った結翔をみてその後に顔を見合わせた3人は少し微笑み就寝につく。

 

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