すると、ストライカーを履いていない美緒と芳佳、他に銃を持った軍人が龍聖を取り囲む。
龍聖は、マガツ・イカルガを量子変換させ、美緒と対峙した。
「先ほどの援護、感謝する。幾つか聞きたい事があるのだが、良いか?」
「こちらとしても、お聞きしたい事があります」
「なら、会議室を………と言いたいのだが、先ほどのネウロイとの戦闘と、未確認兵器との戦闘でこの赤城も、損傷を受けてしまっていてな。すまないが、近くに基地があるので、そこまで待っていてもらえないだろうか?」
美緒の言葉に龍聖は辺りを見回すと、甲板の至る所から黒い煙が上がっており、他にも、海上では駆逐艦等も損傷を受けてしまっている状態であった。
「確かに、この状態では話し合いをする訳にもいかないですね」
龍聖は美緒の言葉に了承をすると、遠くの方から航空機のエンジン音らしき音が近づいてきた。
「………ネウロイ……ではなさそうですね」
「ああ、この近くにあるブリタニア基地に配属されているウィッチだ」
美緒はそう言うと手を振った。すると、一機が近づいてきた。
「美緒、大丈夫だった⁉」
「ああ、そちらも大変だったんじゃないか?」
一人の女性がストライカーを器用にホバリングさせて美緒に近付く。
「ええ、扶桑海軍艦隊がネウロイに攻撃を受けているって聞いて、発進した瞬間、何処からかネウロイが現れて、戦闘になってしまったわ」
「だろうな……」
「え?」
美緒が知っている素振りを見せたので、女性は驚いていた。
「知っていたの?」
「いや、知っていると言うよりも、知らされた、と言ったところか」
「どういう事なのか、説明して頂戴」
「そうだな、黒崎。少しいいか?」
美緒は近くにいた龍聖を呼び寄せた。
「何でしょうか、坂本少佐?」
「貴殿は……と言いたい所だが、どこの所属なのか聞いていなかったな。今聞いてもよいか?」
「ええ、確かにそうですね。初めまして、国際IS委員会日本支部所属、対IS用特殊武装隊“天照隊”隊長、黒崎龍聖です」
「国際IS委員会? 聞いた事のない組織だな。どういう組織なのだ?」
「え?」
「え?」
龍聖はまさかIS委員会を知らないことに驚きを隠せなかった。
「では、日本は?」
「日本だと? 聞いた事のない国の名前だな。どこにあるのだ? 誰か地図を持ってきてくれ」
「は‼」
美緒は近くに待機していた赤城乗員に世界地図を持って来る様、指示を出した。そして、出された地図を見て、龍聖は日本の場所を指さした。
「ここが、日本です」
「扶桑じゃないか‼ どういう事だ‼」
〈マスター、宜しいですか?〉
「どこからの声だ‼
急に第三者からの声がした事に美緒を含め、全員が驚いていた。
「あっ、すみません。自分のものです。なんだ、エル?」
龍聖はエルから呼ばれたので、待機状態である小さな銀ナイフを首元から出す。
〈思い出して下さい、重力波に巻き込まれて自分たちはこの世界にやってきました………と言う事は、考えられることとしたら、一つしかありません〉
「………そう言う事か………」
〈マスター、ハッキングが出来ないよ~、この世界、パソコンが無いから、ハッキングが出来ないんだよ‼〉
龍聖が納得している所に、アディが泣きそうな声を出して報告をしていた。
「ちょい待て、アディ。ハッキングしようとしていたのか‼」
〈だって、その方が手っ取り早いと思ったから…………〉
龍聖が咎めるように言うと、アディは申し訳なさそうに言う。
「頼むから、一言、声をかけてから………いやいや、それでもハッキングはアカンだろ‼」
「「「……………」」」
龍聖とアディの漫才の様子を見て、美緒たちは固まっていた。
「黒崎、良いか?」
「あっ、すみません。そう言えば、後ろに控えている人たちの事は良いんですか?」
龍聖は美緒の近くにいる女性の後方で待機している少女たちを見て美緒に言う。
「そう言えばそうだったわ。赤城は航行できるの?」
女性がそう言うと、一人の男性が現れた。
「赤城は残っている駆逐艦と共にブリタニア基地に向かい、修復した後に扶桑に帰還する手筈となりました。少し時間は掛かりますが、駆逐艦の力をもってすれば赤城一隻ぐらいは引く事が出来るはずです」
「了解しました。会議室などは使えそうですか?」
「ええ、問題ありません」
「では、すまないが会議室をお借りしたい」
「すぐに準備をさせます」
赤城艦長はそう言うと、手の空いている乗員を呼び寄せ会議室を準備させに行く。
「詳しい話は会議室で」
「了解です」
美緒の言葉に龍聖は頷いた。
赤城艦内の会議室には美緒を始め、先ほどの女性たちや芳佳の姿があった。そして、向かい側には龍聖が座っていた。
「さて、まず始めに先ほどの話を聞かせてほしい」
美緒が口を開くと、龍聖は頷いて説明をし始める。
「まず始めに、自分は並行世界からこの世界へとやってきました」
龍聖の第一声に皆が驚きをあらわにする。
「異世界だと‼ ばかばかしい‼ そんな与太話、信じられるか‼」
「トゥルーデ、静かに」
「だが、ミーナ‼」
「私は静かに、と言ったのよ?」
トゥルーデと呼ばれた女性は、龍聖の言葉を信じられない様子で噛みついたが、話が進まないと感じ取ったミーナと呼ばれた女性がトゥルーデを窘めた。だが、それでもトゥルーデは食い下がったが、ミーナの何も言わせない言葉に、トゥルーデも静かにせざるをえなかった。
「すみません、続けて頂戴」
ミーナは龍聖に説明の続きを促す。
「これまでの経緯を説明させていただきます」
龍聖はそう言うと、自分が所属する組織のトップから言われた場所へ赴くと、誰もおらず、突然、重力に引き寄せられ、この世界へとやって来た事を説明し、戦闘に介入した事を説明する。そして、最終目標としては元の世界へと帰還する事も説明した。
「では、オベロンと名乗った人物を消滅させれば、ネウロイもいなくなりあなたも、元居た世界へと帰れる。と言う事かしら?」
「ええ、間違っていません。しかし、オベロンを討伐したからと言って、自分が元居た世界へと帰還できるかは判りませんが………」
龍聖はオベロンがネウロイを操っている事も説明していた。
「因みにですが、あなたの………えっと、なんていう名前でしたか? 機体の名前は」
「マガツ・イカルガですか?」
「そう、マガツ・イカルガ。魔力を使わないという事ですが、弾薬などを含めた消耗品などはどうするつもりなのかしら?」
「…………」
ミーナの言葉に龍聖は何も言えなくなってしまう。ウィッチは魔力を動力とするストライカーを装着してネウロイと戦闘する。消耗した魔力は寝ていれば回復するので、問題は無いのだが龍聖の場合は違う。そもそも、マガツ・イカルガはエネルギーを充填して闘う機体である。使っているだけでエネルギーは消耗していくのである。弾薬もそうだが一番に考えないといけないのはエネルギー問題であった。
「こういう時に、銀鳳級や紫煙型がいれば、問題解決なんだがな…………」
「何ですか、その銀鳳級と紫煙型とは?」
龍聖は小声で呟いたはずなのだが、ミーナには聞こえていた様子であった。
「聞こえていましたか………」
龍聖が説明をしようとした瞬間であった。
「ミーナさん、ネウロイの接近を感知しました」
「何ですって‼」
一人の少女の頭にダウンジングの様なものが浮かび上がると、緑から赤色に変色しミーナにネウロイが近づいてきたことを報告した。それと同時に、赤城艦内もネウロイ接近を知らせるサイレンが鳴り始めたのであった。
誤字脱字、感想、指摘、質問等ありましたら送って頂けたら幸いです。
活動報告にて要望書を作成いたしましたので、リンクを張っておきます。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=282763&uid=28414
次回予告。
龍聖が元居た世界では龍聖の捜索の為に二隻の艦と二つの部隊が動いていた。
だが、突如現れた重力波が二隻を巻き込む。
次回、第五.五話~支援艦隊