好きだった幼馴染と10年ぶりに再会した件 作:更科
並んでいる人間も殆どいなかったので、すぐに乗ることができた。二人がカップに乗ると、床面が回転してアトラクションが始まった。
俺的には乗り物酔いをする人間なのであまり回してほしくないのだが……。そんな事はお構いなしに結衣は激しく回し始めた。
遠心力で俺の首が持っていかれて叫ぶことしかできない。周りの人達と比べると回転速度が飛び抜けて速いような気がするが大丈夫なのか?
「ちょ! おまっ! こえぇぇぇ!」
「もっと早く回すよ! いっけぇっ!」
結衣はさらに回転数を上げた。どんどん加速するティーカップに俺は吐き気を催した。頭が吹っ飛びそうなくらい凄い回転である。
アトラクションが終わった時には俺は目を回して混乱していた。その一方で結衣は満足そうな顔をしていた。
「ごめん、回しすぎちゃった。大丈夫?」
今の俺を見て大丈夫そうに見えるか。本当に今回ばかりは死ぬかと思ったぞ。三途の川が見えたからな。おっと、フラついて転びそうになった。
「本当にごめん! お詫びに美味しいパフェを奢るから!」
「マジか!? なら良しとするわ。」
俺は大の甘党である。特にパフェは大好物で週に3回は食べている。ちなみに好きな味はチョコだ。
もちろん、パフェ以外にもプリンやシフォンケーキ等も大好きである。甘い物はいくらでも食べられる。
これだけを聞けば太っているのではないかと思われるかもしれないが、普段から運動をしているので標準体型だ。断じて太ってはいない。
「昔から甘いの好きだよね〜大起。変わってないなぁ。じゃあ買ってくるね!」
結衣はパフェを買いに屋台へと向かった。俺はその間にトイレに行って用を足す。トイレは非常に綺麗に掃除されていて快適に使用できた。
俺がトイレから帰ってくると結衣は椅子に座って俺を待っていた。右手にはチョコ味のパフェがある。
「ありがとうな。あれ? 一個しか買ってないのか?」
てっきり結衣もパフェを食べると思っていたのだが。彼女も昔は大の甘党だった記憶がある。なぜ食べないのだろうか。
ひょっとすると、極度の金欠なのかもしれない。だとすると、非常に申し訳ないことをしたな。
「はい、あーん」
結衣は俺の口元にスプーンですくったパフェを近づけた。なるほど。一個しか買わなかったのはそういう事か。
さて、これを口に入れていいのだろうか。こんなの側から見たら馬鹿ップルにしか見えないだろう。周りの目線がかなり気になるところだ。
中々口に入れない俺に早く食べるよう催促し、スプーンと一緒に顔も近づけてる結衣に俺はドキッとした。凄くいい匂いがする。
近くで見るとより可愛く見える。つい先ほど結衣に対しての恋愛感情を自覚したばかりなので心臓バクバクだ。動揺を悟られないように平常心、平常心。
「あ、あーん」
俺は口を大きく開けてパクッと口の中に入れた。とても美味しいはずだが、それ以上に顔を赤くしている結衣に目が釘付けになる。可愛らしくて目が離せない。俺にはパフェの味を楽しむ余裕なんてなかった。
「どう? 美味い?」
「え、うん。美味しいよ……」
俺はニッコリと笑みを浮かべた。嬉しそうにしている俺を見て、結衣も表情を緩めた。あぁ、この瞬間がとても幸せである。今の幸福な時間が一生続けばいいのに。
「はい、今度は俺から……あ〜ん」
仕返しとばかりに俺は結衣の顔にスプーンを近づけた。結衣はすぐに察したのか、口を広げて待ち構える。そのまま吸い込まれるようにスプーンを口に運んだ。
「美味しい……」
「だよな!! ほら、もう一口!」
その後、お互いに恥ずかしがりながらも交互にスプーンを口に含み、気づけばパフェを完食していた。
一息ついてから俺達は超巨大な観覧車へと向かった。この時既に時計の針は閉園時間30分前の18時30分を指していた。俺たちにとって、次が本日最後のアトラクションだろう。
最後に乗るべきアトラクションといえば観覧車しかない。ちょうど日が沈み、満点の星空の下で綺麗な街並みを一望できるはずだ。
俺達は観覧車の入口に辿り着いた。かなり混んでいると思われたが、思いの外空いていて、すんなり観覧車に乗ることができた。
「ははっ。空いててよかったよな」
「うん……」
それから暫く沈黙が続いた。お互いに先程のパフェの時のイチャイチャが脳裏に焼き付いて離れない。ついつい意識して目線を逸らしてしまう。
何か話さなければと話題を見つけようとするが、特に何も見つからない。そんな俺の様子を見兼ねたのか、結衣の方から話題を振ってきた。
「ーー大起ってさ……今付き合ってる人とかいるの?」
「いや、今はいない」
高校時代に一人だけ異性と付き合ったことがある。だが、それ以降は彼女が出来たことはない。そのたった一人の彼女とも「とある理由」ですぐ別れたので未だ童貞だ。
では、結衣はどうなのだろうか。見た目は可愛くて、気配りができて、とても優しい。モテないはずがない。
結衣に現在、彼氏がいるのか否か。俺にとっては深刻な問題だ。もし、彼氏がいるならば……。気になって仕方がない。ならば!
「結衣は? 付き合ってる奴はいるのか?」
思い切って聞いてみた。この後の結衣の返答次第では俺は泣き崩れるかもしれない。頼むからフリーでいてくれ!
「私もいないかな……。そもそも私は誰とも正式には付き合った事がないけど……」
俺と同じく結衣もフリーらしい。しかも誰とも付き合ったことがないときたものだ。俺は心の中で小さくガッツポーズをした。
俺もまた、実は一回しか交際経験がない事を結衣に伝えると何故か嬉しそうな顔をしていた。
「あははは! 私達どっちも交際経験殆どないんだね」
「そうだな。でも結衣が付き合ったことがないってのは意外だったわ。こんなに可愛いて優しいのに」
「それは……私は……いや、何でもない」
何だか歯切れが悪いなと思ったが、あまり触れてほしくないみたいなので、結衣の過去を詮索するのはやめた。
「ほら! 見て、頂上だよ!」
外の景色を眺めると美しい街並みが広がっていた。東京タワーやレインボーブリッジなど、東京の名所が一目でズラッと見渡せる。
結衣の方をチラリと見ると絶景に心を奪われていた。そして、俺の方を見て「綺麗だね!」と笑顔を向けた。
相変わらず破壊力抜群の笑顔である。俺にとってはどんな夜景よりも特別で素敵なものだ。これが胸キュンというやつか。
観覧車の頂上というロマンチックなシチュエーション。もしかして今が「告白」のチャンスではないだろうか。千載一遇の好機なんじゃ?
さぁ、勇気を出せ。一世一代の大勝負だ。ここで怖気ついたら男じゃない。
「あ、あのさぁ……ちょっといいか?」
「うん、いいけど」
結衣は俺の神妙な面持ちを見て、ただならぬ空気を感じたようだ。口を閉じて俺の目を凝視している。
声を振り絞れ、俺。たった一言でいいんだ。結衣のことが好きだと伝えろ!!
「ーーす、す!」
極度の緊張で胸の鼓動が早くなっている。結衣に俺の心臓の鼓動は聞かれていないだろうか。きっと俺の顔はトマトみたいに真っ赤になっているに違いない。
恥ずかしくて涙が出そうだ。早く告白すれば楽になれる。よし、覚悟を決めるぞ。
「す……ッ! ま、また来ような。ここに」
言わないといけない言葉が出てこなかった。自分に対して腹が立つ。何故自分はこんなにも意気地なしなのだろう。俺の覚悟とはこの程度のものだったのか。
いや、断じて違う。俺は本気だ。本気で結衣の事が好きなのだ。今からでも俺の本当の気持ちを伝えないと。
「うん! また来ようね!」
完全にタイミングを逃した。しかし、次に繋げることはできた。今回は無理だったが、今度こそは。
「あぁ、絶対来よう。必ずだ!!」
今度のデートの時は必ず告白を成功させてみる。もし次も逃げてしまったらどうするのかって?全裸で街中を全力疾走してやるよ。
いや、さすがに全裸はまずいな。俺の人生が終わってしまう。パンツ一丁とか上半身裸にするべきか。
とにかく!次は絶対に逃げない。俺はそう心に決めて、二人っきりの遊園地デートは幕を閉じたのだった。
ジェットコースターを乗り終えた俺たちが次に向かった先は「コーヒーカップ」。最大4人が座れるベンチがカップの内部に取り付けてあるタイプのアトラクションだ。
並んでいる人間も殆どいなかったので、すぐに乗ることができた。二人がカップに乗ると、床面が回転してアトラクションが始まった。
俺的には乗り物酔いをする人間なのであまり回してほしくないのだが……。そんな事はお構いなしに結衣は激しく回し始めた。
遠心力で俺の首が持っていかれて叫ぶことしかできない。周りの人達と比べると回転速度が飛び抜けて速いような気がするが大丈夫なのか?
「ちょ! おまっ! こえぇぇぇ!」
「もっと早く回すよ! いっけぇっ!」
結衣はさらに回転数を上げた。どんどん加速するティーカップに俺は吐き気を催した。頭が吹っ飛びそうなくらい凄い回転である。
アトラクションが終わった時には俺は目を回して混乱していた。その一方で結衣は満足そうな顔をしていた。
「ごめん、回しすぎちゃった。大丈夫?」
今の俺を見て大丈夫そうに見えるか。本当に今回ばかりは死ぬかと思ったぞ。三途の川が見えたからな。おっと、フラついて転びそうになった。
「本当にごめん! お詫びに美味しいパフェを奢るから!」
「マジか!? なら良しとするわ。」
俺は大の甘党である。特にパフェは大好物で週に3回は食べている。ちなみに好きな味はチョコだ。
もちろん、パフェ以外にもプリンやシフォンケーキ等も大好きである。甘い物はいくらでも食べられる。
これだけを聞けば太っているのではないかと思われるかもしれないが、普段から運動をしているので標準体型だ。断じて太ってはいない。
「昔から甘いの好きだよね〜大起。変わってないなぁ。じゃあ買ってくるね!」
結衣はパフェを買いに屋台へと向かった。俺はその間にトイレに行って用を足す。トイレは非常に綺麗に掃除されていて快適に使用できた。
俺がトイレから帰ってくると結衣は椅子に座って俺を待っていた。右手にはチョコ味のパフェがある。
「ありがとうな。あれ? 一個しか買ってないのか?」
てっきり結衣もパフェを食べると思っていたのだが。彼女も昔は大の甘党だった記憶がある。なぜ食べないのだろうか。
ひょっとすると、極度の金欠なのかもしれない。だとすると、非常に申し訳ないことをしたな。
「はい、あーん」
結衣は俺の口元にスプーンですくったパフェを近づけた。なるほど。一個しか買わなかったのはそういう事か。
さて、これを口に入れていいのだろうか。こんなの側から見たら馬鹿ップルにしか見えないだろう。周りの目線がかなり気になるところだ。
中々口に入れない俺に早く食べるよう催促し、スプーンと一緒に顔も近づけてる結衣に俺はドキッとした。凄くいい匂いがする。
近くで見るとより可愛く見える。つい先ほど結衣に対しての恋愛感情を自覚したばかりなので心臓バクバクだ。動揺を悟られないように平常心、平常心。
「あ、あーん」
俺は口を大きく開けてパクッと口の中に入れた。とても美味しいはずだが、それ以上に顔を赤くしている結衣に目が釘付けになる。可愛らしくて目が離せない。俺にはパフェの味を楽しむ余裕なんてなかった。
「どう? 美味い?」
「え、うん。美味しいよ……」
俺はニッコリと笑みを浮かべた。嬉しそうにしている俺を見て、結衣も表情を緩めた。あぁ、この瞬間がとても幸せである。今の幸福な時間が一生続けばいいのに。
「はい、今度は俺から……あ〜ん」
仕返しとばかりに俺は結衣の顔にスプーンを近づけた。結衣はすぐに察したのか、口を広げて待ち構える。そのまま吸い込まれるようにスプーンを口に運んだ。
「美味しい……」
「だよな!! ほら、もう一口!」
その後、お互いに恥ずかしがりながらも交互にスプーンを口に含み、気づけばパフェを完食していた。
一息ついてから俺達は超巨大な観覧車へと向かった。この時既に時計の針は閉園時間30分前の18時30分を指していた。俺たちにとって、次が本日最後のアトラクションだろう。
最後に乗るべきアトラクションといえば観覧車しかない。ちょうど日が沈み、満点の星空の下で綺麗な街並みを一望できるはずだ。
俺達は観覧車の入口に辿り着いた。かなり混んでいると思われたが、思いの外空いていて、すんなり観覧車に乗ることができた。
「ははっ。空いててよかったよな」
「うん……」
それから暫く沈黙が続いた。お互いに先程のパフェの時のイチャイチャが脳裏に焼き付いて離れない。ついつい意識して目線を逸らしてしまう。
何か話さなければと話題を見つけようとするが、特に何も見つからない。そんな俺の様子を見兼ねたのか、結衣の方から話題を振ってきた。
「ーー大起ってさ……今付き合ってる人とかいるの?」
「いや、今はいない」
高校時代に一人だけ異性と付き合ったことがある。だが、それ以降は彼女が出来たことはない。そのたった一人の彼女とも「とある理由」ですぐ別れたので未だ童貞だ。
では、結衣はどうなのだろうか。見た目は可愛くて、気配りができて、とても優しい。モテないはずがない。
結衣に現在、彼氏がいるのか否か。俺にとっては深刻な問題だ。もし、彼氏がいるならば……。気になって仕方がない。ならば!
「結衣は? 付き合ってる奴はいるのか?」
思い切って聞いてみた。この後の結衣の返答次第では俺は泣き崩れるかもしれない。頼むからフリーでいてくれ!
「私もいないかな……。そもそも私は誰とも正式には付き合った事がないけど……」
俺と同じく結衣もフリーらしい。しかも誰とも付き合ったことがないときたものだ。俺は心の中で小さくガッツポーズをした。
俺もまた、実は一回しか交際経験がない事を結衣に伝えると何故か嬉しそうな顔をしていた。
「あははは! 私達どっちも交際経験殆どないんだね」
「そうだな。でも結衣が付き合ったことがないってのは意外だったわ。こんなに可愛いて優しいのに」
「それは……私は……いや、何でもない」
何だか歯切れが悪いなと思ったが、あまり触れてほしくないみたいなので、結衣の過去を詮索するのはやめた。
「ほら! 見て、頂上だよ!」
外の景色を眺めると美しい街並みが広がっていた。東京タワーやレインボーブリッジなど、東京の名所が一目でズラッと見渡せる。
結衣の方をチラリと見ると絶景に心を奪われていた。そして、俺の方を見て「綺麗だね!」と笑顔を向けた。
相変わらず破壊力抜群の笑顔である。俺にとってはどんな夜景よりも特別で素敵なものだ。これが胸キュンというやつか。
観覧車の頂上というロマンチックなシチュエーション。もしかして今が「告白」のチャンスではないだろうか。千載一遇の好機なんじゃ?
さぁ、勇気を出せ。一世一代の大勝負だ。ここで怖気ついたら男じゃない。
「あ、あのさぁ……ちょっといいか?」
「うん、いいけど」
結衣は俺の神妙な面持ちを見て、ただならぬ空気を感じたようだ。口を閉じて俺の目を凝視している。
声を振り絞れ、俺。たった一言でいいんだ。結衣のことが好きだと伝えろ!!
「ーーす、す!」
極度の緊張で胸の鼓動が早くなっている。結衣に俺の心臓の鼓動は聞かれていないだろうか。きっと俺の顔はトマトみたいに真っ赤になっているに違いない。
恥ずかしくて涙が出そうだ。早く告白すれば楽になれる。よし、覚悟を決めるぞ。
「す……ッ! ま、また来ような。ここに」
言わないといけない言葉が出てこなかった。自分に対して腹が立つ。何故自分はこんなにも意気地なしなのだろう。俺の覚悟とはこの程度のものだったのか。
いや、断じて違う。俺は本気だ。本気で結衣の事が好きなのだ。今からでも俺の本当の気持ちを伝えないと。
「うん! また来ようね!」
完全にタイミングを逃した。しかし、次に繋げることはできた。今回は無理だったが、今度こそは。
「あぁ、絶対来よう。必ずだ!!」
今度のデートの時は必ず告白を成功させてみる。もし次も逃げてしまったらどうするのかって?全裸で街中を全力疾走してやるよ。
いや、さすがに全裸はまずいな。俺の人生が終わってしまう。パンツ一丁とか上半身裸にするべきか。
とにかく!次は絶対に逃げない。俺はそう心に決めて、二人っきりの遊園地デートは幕を閉じたのだった。