笹葉友奈は兵士である   作:Mike Kilo Echo

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プロローグ1

 

7月30日、惨劇はあまりに突然だった。

 

 

後に7.30天災と名づけられた日、自衛隊初の防衛出動が発令され、陸、海、空戦力をもって突如として襲来した、バーテックス、その尖兵とも言われる「星屑」を迎撃した・・・しかし銃弾もりゅう弾もましてやミサイルもバーテックス「星屑」には通用せずさらには容赦のない星屑の猛攻が陸上の部隊に襲い掛かる。

 

さらに追い討ちを掛ける報告が入った。

 

東北地方を守っていた東北方面隊、そして東京、関東を守っていた東部方面隊が壊滅したのだ。

一番動揺を招いたのは東部方面隊の壊滅、これは首都東京の壊滅を意味している。

 

この報告を最後に陸上幕僚監部からの通信や報告が途切れ、指揮系統は麻痺した。各部隊は混乱に陥り、さらには容赦の無い星屑の猛攻ににより結果は一方的な大損害を被る惨敗に終わった。

 

その後は四国の第14旅団、善通寺駐屯地にのみ自衛隊が配置されている。

しかし自衛隊と言ってももはや天災以前ほどの戦力はもう無い。

その後は戦闘有事なども起こらず、あったとしても神世紀に入る一年前に起きた竜巻の自然災害の派遣のみだった。

 

天の神との300年の休戦を結び四国が神世紀元年に入ってからは大赦で自衛隊の存在価値などが問われ一時は解体の声もあったが一部の大赦がそれに反対した。

 

理由としては300年後再び天の神との戦いが始まれば勇者だけで勝てるのだろうか?などの疑問が上がり。

自衛隊は最後の砦として置いておくべきとの声も上がったことで自衛隊の解体は保留となった。

自衛隊はその後大赦の協力もあって対バーテックスようの銃弾やミサイルが開発された。

 

開発されたと言っても銃弾の火薬に神樹の粒子を少し入れた代物、だがバーテックス、少なくとも星屑に対してはかなりの効果はある。

ミサイルも同じだ。だが威力も強い分、星座型に対しても効果が期待されていた。

 

 

 

 

 

 

 

張り詰めた空気が部隊を支配している。

靴底とアスファルトの擦れる小さな音、黒鋼の装備を持ち直す僅かな音、短く息を吐き生唾を飲み込む微かな音。

 

緊張の只中に身を置く彼らは、どんな音も聞き逃さないよう自然と耳をそばだてていた。

夜になると静寂と共に不気味さを増す[[rb:広島駅 > ・・・]]]]のホームに二個小隊約60人の隊員が二手に分散し、駅の外側に沿うように四重に積もられた土嚢越しに左右30人づつ小銃を上に向けている。

 

その向けられた銃口の先には空中に蠢く白い粒の様なものが無数に広がっていた。

一見遠目からは綺麗には見えるが・・・その見た目は禍々しく醜い。芋虫のような外見と相反して整然と並んでいる歯が、生理的な嫌悪感をより引き立てている。

 

今まで奴らが容赦なく人を食い殺してきた事を想像すると、その不釣り合いな純白の身体に備えられた口内が、真っ赤な血によって染め上げられているように感じられた。

 

あたりはまだ暗く凍てつくような寒さが隊員達の肌に触れるとそれがまた緊張を焦らせる。

土谷は腕時計を見る、時刻は深夜の2時58分を回っていた。

この作戦の内容は簡単だ輸送ヘリCH-47J及びUH‐1Jの援護だった。

 

そのためにヘリの通るルートに輸送ヘリの障害ともいえる星屑を射撃でこちらに食いつかせ陽動する作戦だった、リスクとしては地上部隊のほうが大きい、

あと二分で作戦が始まる・・・。

緊張はさらに高まる、その時土谷の肩に手が置かれる。

 

「落ち着け土谷陸曹、」

振り返るとそこには小隊長である洋葉宗司がいた。

体格は土谷よりゴツくかなり筋肉質とも言える。

 

元々、習志野駐屯地の第一空挺団所属の隊員で、髪型も空挺カットという角切りの髪形が特徴的だった。

洋葉はバーテックスとの実戦経験が豊富であり部下からも信頼される存在でもある。

 

「小隊長・・・」

「緊張しているのはみな同じさ。だが安心しろ俺達には最強の兵士がついているのだからな」

 

最強の兵士と言うのは駅のベンチに座り込んでいる人物のことだった。

最初は暗闇でその姿は見えなかったが徐々に暗闇から月の光が差し込んでその姿を照らし出す。

その人物は女性のようでもあり、男性のようにも見えた。自分たちのように無骨な雰囲気を纏っていながら、僅かに見える身体の線は少女のように華奢だ。しかしその腕の筋肉は逞しく、ある種のしなやかさを帯びていた。胸に多少膨らみがあることからその人物が女性だということに気づいた。

髪は短髪で赤く、目の瞳は綺麗な朱色、身長からして女の子だろう。

服装は自分達が着ている迷彩柄の戦闘服だが、防弾チョッキは着いていない。下は同じく隊員が着ている迷彩柄のズボンを履いている。

見るからに近接戦、格闘戦に特化しているような服装。

さらに特徴的なのは、隣の地面に立てかけている少女の身長以上に長い赤色の太刀。

 

それが少女の武器だろう。

 

しかし、土谷はあんなのが最強などとは正直思っておらず怪訝そうにその彼女を見やる。

 

「あんなのが本当に最強の兵士なんですかね?」

「まぁあんな感じだが、安心しろ」

 

その時だった、あんなにも暗かった空が閃光に照らされた。

花火のようなジリジリという音が空中で響く、

作戦開始を伝える照明弾だ、その閃光に照らされる星屑たち。

その時、一斉に銃声が鳴り響く、

点滅する閃光と共に兵士達の肩と顔を眩く照らし出す、

耳の鼓膜が破けるほど銃声、銃口から閃光と共に吹き出る火花、薬莢が地面に叩きつけられる音、

あの時の静寂はもはや無く、聞こえるのは銃声のみ。

放たれた数多の弾丸が列をなして弾幕となり星屑の群れへと突き進んでいく。

そうしてすぐに銃弾の雨が白い化物共を包み込むと、ズタズタに引き裂かれた何体ものそれらが、枯葉のように力なく墜ちていった。

最初は動きがノロノロと遅い星屑たちは対空目標からしたら格好の獲物だったが時間が立つにつれ時期に星屑たちの動きが俊敏になっていく。

俊敏になった星屑は空中でジグザグに動き回り段々と小銃では命中するのが困難になっていった。

土谷も無我夢中に小銃を撃ち続けるがその放たれた銃弾は散らばった星屑たちに命中するどころかかすりもしなかった。

ただ無情に銃口から散らばる火花が輝く。

 

しかし突然、大量の星屑たちの動きに異変が起きた。

 

あれほど散らばっていた星屑が突如として空中で集合し始め一つの巨大な群れを成すと無数の星屑がうねりを上げながら空中で円を描くように飛行する、すると、その円の中央部から大量の星屑がこちらに急降下してきた。そして土谷のいる右側から星屑がうねりを上げた荒波の如く急速に駅のホームに突っ込んできたのだ

散らばっていた星屑が一つの群れに密集したため命中率は高くなったが問題は数だった。

尽かさず突っ込んでくる星屑に対し群れの先頭めがけ一斉射撃を加えると突っ込んできた先頭に銃弾の雨が襲い掛かる。

 

幾度と無く光る閃光と鳴り止まない銃声が響き渡る中、一体また一体と星屑たちが次々と倒され、群れの先頭を崩してゆくが左右に散らばった星屑は再び群れの後方に戻って行く。

そして、ジリジリと確実に群れはホームに近づいていく、星屑はまさに死に物狂いだった。

土谷は再び引き金を引くがカチッという音だけが鳴り弾が出ない。

 

弾切れだった。

 

すぐに自分の持っている小銃の弾倉を抜くと内ポケットに入れた新しい弾倉を取り出し小銃を右手に持ち左手に持った弾倉を小銃に装填しようとするがジリジリ近づいてくる星屑を前に恐怖と焦りが交わり、左手がブルブルと震えが止まらず小銃の中に入れようとするが中々装填出来ずカチカチと弾倉と小銃がぶつかり合うような音がだけが聞こえる。

段々と中々装填できない苛立ちが土谷をさらに焦らせる。

 

息が段々と荒くなる、横を向けば星屑が群れが白濁とした津波のようにジリジリと近づいてくる。

左右から鳴り響く銃声、それが段々とタチの悪い耳鳴りのように聞こえてきた。

焦りと動揺、恐怖と苛立ちの感情が土谷を支配しようとしていた。

 

「入れ!入ってくれ!!!!」

 

すると突然、駆けつけた洋葉は土谷の胸倉を掴んだ。

 

「落ち着け土谷!!」

 

洋葉の突然の剣幕に驚く土谷、だが同時に安心感がこみ上げる。

どうやら恐怖と焦りで周りが見えておらず、自分が一人で焦っていた事に気づく。

気づけば震えは収まっていた。

 

すると洋葉は土谷が持っていた小銃と弾倉を取り上げると、洋葉は弾倉を小銃に入れた。

 

「いいか?銃は持ち主が焦ってたり恐怖で動揺してるとそれが銃にも遺伝しちまって、当たるもんも当たらなくなっちまう、どんなに訓練で鍛えたとしても強くなるのは体だけで中にある精神は実戦じゃなければ鍛えられない、恐怖もその一つだ。」

 

装填し終わった小銃を再び土谷に返す。

 

「問題なのは恐怖だけだ、後は死ぬほどやった訓練通りにやれば良い」

 

小銃を両手に持った土谷は再び銃口の先を迫り来る星屑の群れに向ける、「訓練通りにやれば良い」土谷の言葉を思い返し訓練の時に教わった銃の構え方を思い出す。

握把を小指、薬指、中指で深く握り人差し指を引き金に掛ける。

 

その時、銃を撃ったときの反動を出きる限りなくす為に床尾板を土谷の右肩に押し付け、頬をストックに付ける。

 

さらに照準を合わせるのに必要な照門と照星を調整した後、セレクターを単発から連射に切り替え小銃の引き金を引いた。

 

幾多にも響き渡る銃声、その銃声に交わるかのように土谷の銃声が鳴り響く。

正面から襲い掛かる弾幕、それでも尚、駅へ迫り来る。

 

「クソ、いつになったらヘリが通るんだ!?」

洋葉にも焦りが出てくる、このままでは時期に星屑は二個小隊を壊滅させた後、ヘリに襲い掛かるだろう。

 

それでは作戦の意味が無く、犬死と同じだ。

 

地上部隊が引き付けているうちにヘリが通ってほしい、それが洋葉の考えだった。

淡々と銃声だけが鳴り響く、銃声だけが・・・。

 

土谷は再び弾切れになった小銃の弾倉抜き再び新しい弾倉を内ポケットから抜き出す。

あの時のような震えは無く落ち着いたまま弾倉を装填すると、つい気になり後ろを向く。

そこにはまだ、あれほどの銃声がが鳴り響いているのに関らずベンチでずっと座り込んでいる少女の姿、その表情に焦りや恐怖は感じられず凛としていた。

 

その時だった、鳴り響く銃声の中、カタカタと銃声とは異なる音が聞こえた。

その音に気づいた洋葉は耳を済ませると、そのカタカタと言う音が段々と大きくなっていく。洋葉はその音がヘリだと確信する。

 

「間もなく輸送ヘリが上空を通過します!!」

 

駅の片隅に待機していた通信兵がそう叫ぶ。

 

「やっとか!!総員!!ここからが正念場だ何としても星屑共をここに引き付けろ!!」

 

洋葉は自身が持っていた64式小銃を星屑に向けて撃ち始める。

 

それと同時に照明弾の閃光に照らされた十機以上の輸送ヘリがエンジンの轟音と共に上空を通過していった。

 

その光景を見た土谷は作戦遂行の安堵と共に置いていかれたかのような気持ちになった。

依然として星屑はこちらに近づいてくる、地上部隊の危機は去った訳ではないのだ。

そして一番恐れていた事態が発生した。

 

土谷のいる反対側から数体の星屑を駅の構内に侵入を許してしまったのだ。

構内に侵入した星屑は隊員に容赦なく襲い掛かる、一人の隊員が撃ち殺そうと空中に浮いている星屑に照準を合わせようと銃口を向けるがその一匹に集中しすぎてその隙に別の固体がその隊員に食らい付く。

 

その瞬間、その隊員の赤い大量の血肉が飛び散り壁を塗りつぶすかのようにべっとり張り付いた。

 

肉を噛み千切りグチャグチャと肉が噛み潰されるような音が響き淡々と星屑が味方を貪っていく。

 

その光景を見た隊員達は一斉に混乱状態となってしまい侵入した星屑に対して罵声を上げながら銃を乱射してしまい星屑を狙って撃ったその流れ弾が右側の隊員達にも襲い掛かった。

「下手に撃つな!!同士討ちになるぞ!!」

 

洋葉はそう叫んだものもその声が届いて無いのか隊員たちは無我夢中に銃を駅構内に撃ちまくる。

 

しかし星屑は素早い動きでその銃弾を空中でかわし再び油断した一人の隊員に食らい突く。

 

駅の構内に断末魔が響き渡る、鉄のように冷えた血の臭いが、肉を貪る音が、まさに駅の構内は阿鼻叫喚の様相を呈していた。

 

(星屑が数体侵入しただけでここまで指揮系統が崩れるとは・・・)

 

そしてこれが災いして群れに襲い掛かる弾幕が減ったのを隙に一体の星屑が突っこんで来たのだ。

 

一瞬だったか、自分の体が中に浮いている感覚、周りには積もられていた土嚢が飛び散っていた。そして地面に叩きつけられる衝撃が体に走る、一瞬息が詰まる。

 

しかし何秒かすると呼吸は安定を取り戻し今自分が置かれている状況を理解しようとする。

 

ゆっくりと仰向けになった体を起き上がらせ視界を前に向けると・・・

そして目の前に広がっていた光景は、何者かが自分を覆うとする巨大な口内、そして整列された歯、そして口内の奥に広がる暗闇、まさに奈落の底、そして瞬時に土谷は死を感じた。

 

星屑が土谷を正面から食らい突こうとしていたのだ、土谷は目を瞑った、出来るなら痛みを感じずに死にたい、でもやはり死にたくない。

 

このコンマ数秒の葛藤、目前に広がる開かれた口、もう叫ぶことも出来ない、最初から覚悟していたはずなのに・・・こうなると覚悟したはずだったのに・・・

でも、死にたくな――

 

ザクッ!!

 

突然、何か鋭い物で肉を切り裂くような音が聞こえた。

死んだのか?でも痛みは感じない・・・

見えるのは暗闇、それでやっと自分が瞼を閉じていることに気づく、土谷は閉じていた瞼をおそるおそると開いた。

 

瞼を上げた時、最初は恐怖のあまり涙で視界が歪み何も見えない。

しかし段々とその視界は徐々に整えられていく。

 

そこに映し出されたのは背中をこちらに向けた一つの人影、身長は低くて見た目から少女。

そして髪は赤く短髪、右手には鞘から抜けた等身大の紅い太刀を片手に持っている。

 

そしてその人物が何者か、一瞬でわかった。

あのベンチに座っていた少女だ。

 

そして信じられなかった・・・

あの少女が一人で星屑を殺してしまったということも。

拍子抜けしたような表情でその少女をボーっと見つめると誰かに右腕を強く引っ張られた。

 

「おい!怪我はないか!?」

 

その叫び声で我を戻すとなにも感じなかった体中に痛みが走りうつぶせる様に悶絶する。

それを見た洋葉は土谷の掴んでいた腕を首に回すとそのまま担ぎ上げて駅構内の後方へと進んでいく。

 

「待って下さい、あの少女は?」

 

「安心しろ、何度も言っただろう?彼女は最強の[[rb:隊員 > ・・]]だと」

すると洋葉は少女の方に首を向けると

 

「笹葉ッ後は任せたぞ!!!」

 

その叫びを聞いた少女、イヤ、笹葉友奈は微かに首をこちらに向けると縦にコクッと振った。

 

その瞬間だった笹葉の正面から一体の星屑が口を開き突っ込んできた。巨大な口内が笹葉を喰らおうと近づいてくる。

 

だが、笹葉の至近距離になった瞬間、一瞬、風を斬るかのような音と一瞬の沈黙、誰もがその光景に驚きを隠せなかった。

銃で倒すのが精一杯のあの星屑が笹葉の至近距離まで近づいた瞬間、星屑が縦半分に一刀両断にされていた。信じられなかった、まだ子供であり華奢な体系をしているのに関らず自分の身長以上あるだろうあの長い太刀を目にも止まらぬような斬撃を星屑に食らわせるたのだ、まさに一瞬だった。

 

その瞬間、もう一体の星屑が笹葉の後方から突っ込んで来た。

 

星屑は素早い速度で距離を詰め笹葉に噛み付こうとした瞬間、笹葉は跳躍し星屑は噛み付こうと素早く口を閉じるが跳躍した笹葉には届かず歯と歯がぶつかり合う音がカヅっと響く。

 

空中に浮いた笹葉はそのまま剣先を星屑の頭部目掛けを突き刺すと刃は口内を通し下顎を貫通、そのまま串刺しなった星屑を地面に叩き付ける。

 

星屑は必死に体を動かそうとするが串刺しなった為に動けない、星屑の頭上に乗った笹葉は柄を握っていた右手を逆手に変えると太刀の背に左手を置きそのまま星屑の肉を抉るかのように深く斬り込みとどめを刺すとその星屑の背中を蹴りこみ再び跳躍する、そして逆手のまま右手に持った長い太刀を下から空中で喰らい付こうとする星屑に対して空中で体を右に捻るとそのまま星屑は横に口を切り裂くかのように半分に斬られた。

 

そのまま笹葉は膝を着くかのように着地する。

 

なんと、駅構内に侵入した星屑は一瞬で笹葉の斬撃により屠られた。

 

薄暗い駅の構内は皮肉にも倒された星屑の光の粒によって明るく照らされた。

だが、侵入した星屑を倒したところで危機が去った訳では無かった。

 

駅の外に群がっていた星屑が一斉に駅の左右から構内に侵入していくと星屑は隊員のことなど見向きもせずに笹葉の元へ突っ込んでいく。

 

笹葉は太刀の持ち手を戻すと今度は両手で柄を力強く掴む、そして膝を曲げ姿勢を低くすると太刀の背を腰に付けるような構えをした瞬間、左右前後から突っ込んでくる星屑に対して右に円を書くかのように刃を素早くふり星屑を薙ぎ倒す。

 

この斬撃を喰らった星屑たちは斬られたと同時に吹き飛ばされてゆくと、一体の星屑が正面から突っ込んで来る、だが笹葉は動じずになんと素早い前蹴りでその星屑の下顎を上に蹴り上げると間髪を入れずに回し蹴りを星屑に食らわす、そのまま横に吹き飛ばされた星屑は壁に激しく叩きつけられた。

さらにもう一体の星屑が笹葉の死角である右から突っ込んで来ると笹葉は身を素早く捻り右手に持った太刀を星屑の額に突き刺した。

 

だが、額を突き刺された星屑は絶える事無く笹葉に喰らいつこうと死に物狂いで噛み付こうとしてくる。

 

その隙にもう一体の星屑が死角である左から突っ込んできた。

ダダダダッ、四発の銃声が響く、笹葉に突っ込んできた星屑の胴体に四つの風穴が開き光の粒と化して絶命する。

 

「油断するなよ!!」

 

その叫び声は洋葉だった。

どうやら助けてくれたらしい。笹葉は洋葉の方に顔を向けると首をコクッと縦に振った。

再び太刀を星屑に向け構える。

 

そして同じように笹葉に突っ込んでくる星屑を笹葉は長い太刀で次々と屠っていく、だが、多勢に無勢、何度星屑を屠ってもまた、ぞろぞろと星屑は駅構内に侵入してくる。

 

笹葉は一心不乱に太刀を振るい続け侵入してきた星屑を倒し、倒し、倒しまくる。

だが一向に数が減らない、それ所か増え続けている。

 

その時だった、駅の外で突然爆発音が響き渡る、そしてその爆発音と混ざり合うかのようにカタカタと何かのエンジン音が聞こえる、洋葉は上空を見上げるとその暗闇の上空に一つの黒い点があった。

 

これを見た洋葉はニヤリと笑みを浮かべる。そしてこの音の正体はすぐにわかった。

輸送ヘリの護衛をしていた戦闘ヘリAH‐1コブラだ。

 

どうやら救援に来てくれたらしい、

 

「助かった・・・通信士!あのヘリに伝えろ、周りの星屑を蹴散らせとな!!」

 

 

通信を聞きつけたのかAH-1コブラはこちらの方に降下する、プロペラの強風が笹葉や隊員に吹きかける。そして、左右の胴体中央部のスタブウイング、4ヶ所のパイロンに装備していた対戦車誘導弾を4基発射した。

 

発射された誘導弾は駅の外に群がっていた星屑の群れに命中、凄まじい爆発音と爆炎が群がっていた星屑を飲み込み爆風でその付近にいた星屑も吹き飛ばされた。

 

さらに追い討ちを掛けるよ機首下面のターレットの20mm M197三砲身ガトリング砲で周りにいた星屑を一掃、ガアアアアアアアアアアアッ、と間髪の入れない射撃音が響き渡り群がった星屑に浴びせる一直線に伸びる無数の弾幕、20mmM197三砲身ガトリング砲の威力は凄まじく一瞬にして群がっていた星屑に巨大な風穴が開き粉砕されていく。

そしてあれほど群がり白濁の津波の如く迫り来た星屑は無数に降り注ぐ銃弾の雨に覆われ、一瞬で消え去った。

 

 

 

コブラのガトリング砲の銃声が鳴り止むとまっていたのは静寂だった。先ほどの銃声と断末魔はもはや聞こえない。土谷はボーっと呆気に取られただ一直線を見つめる。

 

 

「土・・・つ・・・谷ッ・・・土谷!」

 

 

突然の洋葉の声でやっと我に返った。洋葉は土谷の方に手を当てる。

 

「大丈夫か?もうすぐ片付けが終わる」

 

洋葉の言う片付けは死体の処理の事だろう、この星屑との戦闘で少なくとも13人が戦死した。

 

「もうすぐ撤退だ四国に戻るぞ」

 

「小隊長・・・結局この広島遠征作戦は・・・無駄だったんですか?」

 

暫くの沈黙がはしる、土谷は洋葉の方に顔を向けるがその表情はなんとも言えなさそうな表情をしていた。

土谷はヘルメットを取るとそれを頭に被りそのまま歩き出した。

洋葉は以前と顔を下に向け立ちすくんでいる。

 

 

自衛隊の威信をかけたこの作戦は何の成果を上げられないまま終わってしまう。

 

神世紀二年大赦は自衛隊の3年以内の解体を決定した。

 

 

 

土谷が駅の構内を歩いていると夜空を見上げて立っているすると少女の姿があった。

すると少女はこちらの気配に気づいたのか土谷の方をチラリと向く、笹葉は戦闘が起きたのに関らず赤い瞳で凛々しい表情をして笹葉はこちらに歩き出しそのまま土谷の横を通り過ぎる。

 

その時、微かに花のような匂いがした。季節は冬なのに・・・まるで・・・山桜のような・・・。

 

 

 

 

 

 

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