独眼竜アスカ無双 新戦国ヱヴァンゲリヲン   作:朝陽晴空.

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父親殺しの罪 ~東北地方統一~

 <出羽国米沢(山形県)伊達屋敷>

 

 初陣を大勝利で飾った政宗は、相馬家と周辺の大名を滅ぼし、着実に伊達家の領土を拡張した。

 シンジとアスカも政宗に従軍し、時にはユニゾンキックで城門を貫いたりした。

 この活躍に安心した伊達輝宗は、早々と息子の政宗に家督を譲って隠居した。

 

「素晴らしい息子を持って、私は誇りに思う」

「ありがたきお言葉です、父上」

 

 家督相続の場に家臣たちと一緒に立ち会ったシンジは、複雑な心境で見守っていた。

 父親のゲンドウに褒められた事は一度だけあった。

 母親のユイの墓参りに行った時、「自分の足で歩け」と言葉を掛けられた事があった。

 しかしそれ以外はシンジにとっては苦い思い出ばかりだった。

 もし自分が政宗の様に勇敢に使徒と戦っていたら。

 トウジの乗る参号機に毅然とした態度で対峙していたら。

 父さんは自分の事を自慢の息子だと思ってくれただろうか。

 

「シンジ、アンタ司令の事を考えてる?」

「うん、アスカには分かっちゃったか」

「暗い顔をしているんだから、丸分かりよ。おめでたい席なんだから、辛気臭い顔は止めなさい」

 

 アスカに言われて、シンジは暗い思考の淵から自分を浮き上がらせた。

 周りを見渡せば、伊達家の家臣たちは新しい当主の誕生を祝って晴れやかな笑顔をしている。

 

「おめでとうございます、政宗さん」

「うむ、これからもわしに力を貸してくれると嬉しいぞ」

 

 シンジが祝いの言葉を述べると、政宗は晴れやかな笑顔で答えた。

 本当に妬けてしまうくらい信頼し合っている親子なのだとシンジは思った。

 このまま順風満帆に伊達家の奥羽統一が成されるかと思っていた矢先、大事件が起きた。

 政宗の父・輝宗が偽って降伏して来た二本松義継に捕まり、人質にされてしまったのである。

 

「妙な動きをすれば、父親の命は無い」

 

 輝宗の首元に短刀を突き付け、勝ち誇った顔で宣言する二本松義継に対して政宗のとった行動は驚くべきものだった。

 金色に光る自分の銃を取り出し、父親の輝宗と一緒に二本松義継の胸を打ち抜いたのである。

 二本松義継と伊達輝宗は一言も言葉を発せないまま即死した。

 

「そんな……どうして輝宗さんを……」

 

 政宗はショックを受けたシンジの言葉には答えず、二本松義継の遺体に激しい暴行を加えた。

 それは政宗の怒りの大きさを表したものだった。

 シンジとアスカは互いに寄りかかって倒れないようにするだけで精一杯だった。

 輝宗さんを助けるために交渉する事も出来たはずだ。

 

「肉親が人質に取られても決して弱みを見せてはならない。政宗様は家臣たちにそう御示しになられたのです」

 

 小十郎はシンジとアスカの心情を察してか、そう説明した。

 

「小十郎、シンジ、アスカ。天下統一、必ず成し遂げようぞ」

 

 振り返った政宗の顔は決意に満ちていた。

 

 

 

 <郡山合戦場(福島県)>

 

 父親殺しの罪を背負った政宗は、奥州(東北地方)の統一に向けて本格的に乗り出した。

 政宗が蘆名・佐竹連合軍に戦いを挑もうとした時、秀吉から惣無事令が届いた。

 大名間の私闘を禁じると言った内容のものだった。

 

「小十郎、この命令、どうしてくれようか?」

「それではこう答えましょう。今より戦う蘆名・佐竹共は秀吉様に逆らう逆賊。私闘では無いと」

 

 小十郎の案を聞いた政宗は愉快そうに笑った。

 もちろん、そんな屁理屈が通らない確率の方が高い。

 秀吉が自分たちを攻めてくる可能性もあった。

 だが秀吉軍は今、四国や九州を攻めている。

 その間に奥州・関東までも手中に収めてしまおうと言う計画だった。

 何と言っても伊達家には『双竜』がいるのだから。

 ハンバーグを作って以来、シンジには『最強の料理人』と言う称号が与えられていた。

 あまりカッコ良くないなと思いつつも、積極的に争いを好まない自分には合っているのかもと思うシンジだった。

 

「よーし、敵将をぶっ飛ばしてさっさと終わらせるわよ!」

 

 アスカはそう言って気合いを入れた。

 敵のトップをやっつけて、戦意を喪失させて配下の兵士たちを降伏させる。

 それが被害を少なくする効率的な方法だと、シンジとアスカは自分に言い聞かせて戦って来た。

 しかし小十郎が立てた作戦は二人にとって残酷なものだった。

 『前線の敵兵士を殲滅させて、敵将に降伏を迫る』

 今まで敵味方問わず雑兵の命を助けるために頑張って来たのに、何て最低な作戦だとシンジとアスカは思った。

 

「これは今までの局地戦とは違って、奥州全体を巻き込む作戦なのです。あなた方御二人では補いきれない部分もあります」

 

 シンジとアスカはATフィールドにより鉄壁の防御力と無敵の攻撃力を持つが、移動速度は常人と大差は無い。

 ATフィールドは筋斗雲のように便利なものではないのだ。

 多方面から攻められてはカバーしきれない事もある。

 また敵将を全滅させて奥州全土を制圧しても伊達家家臣の数が足りない。

 敵将だけを倒すわけにもいかず、シンジとアスカは心の中で泣きながら雑兵たちを蹴散らした。

 

「さて大内殿、あなたは今は蘆名家に付いて居ますが、元々は伊達家の家臣。このまま政宗様に逆らい続けるとどうなるかお分かりですね?」

「わ、分かった。これからは伊達家に味方しよう」

 

 シンジとアスカが目の前で圧倒的な力を見せつけ、小十郎が威圧する。

 この方法で伊達軍は味方を増やして行った。

 

「伝令! 北方に最上の軍勢、南方には上杉の軍勢が現れました!」

「我々を挟撃しようとしているようですね……」

 

 兵士の報告を聞いた小十郎は眉をひそめた。

 

「最上め、この奥州の覇者は伊達だと言う事を教えてやる!」

 

 政宗が北方の最上の陣に向かって駆けて行くのを見て、小十郎やシンジ、アスカも後を追いかける。

 

「最上を倒せば、援軍の上杉軍は引き揚げるはずです。それを狙いましょう」

 

 道中で小十郎はシンジとアスカにそう言い、シンジとアスカは頷いた。

 政宗に追いついた伊達軍は最上軍を徹底的に叩きのめした。

 総大将の最上義光も討ち取り、これで戦も終了と思われたが、そうはいかなかった。

 上杉軍は退かなかったのだ。

 指揮を執っているのは上杉家の将軍、直江兼続と真田幸村だった。

 

「真田幸村、ここに推参! いざ、戦わん!」

「……幸村様、上杉の人質にされ、真田家のために尽くしているのは承知しております。ですが、もはやこの戦の勝敗は決しました。あなたは何の為に戦っておられるのですか?」

「それは、義と勇を示すためだ!」

 

 小十郎に問い掛けられた幸村はそう答えた。

 

「我も愛のために戦う!」

 

 大きく『愛』の漢字が掲げられた兜を被った兼続も続いてそう宣言した。

 

「……そんなくだらない物のために戦って命を落とすなんて、バカだよ!」

 

 シンジが大声でそう叫ぶと、幸村と兼続は怒ってシンジに詰め寄った。

 

「碇殿の言う通りで御座います。家臣は主家の為に戦うもの。ここで無益な戦いをする事は無価値で御座います」

 

 小十郎もシンジの意見に同意して諫めようとするが、幸村と兼続はシンジに襲い掛かった。

 シンジは幸村と兼続の身体を狙わず、二人の持っている武器を折った。

 そして、驚いて動きを止めた二人の身体をそっと“撫でた”。

 

「ぐっ、これでは戦えぬ。引き揚げるぞ!」

 

 幸村と兼続と共に上杉軍は戦場から姿を消した。

 今度こそ戦は終わったのだ。

 

「シンジ、あの二人相手に“手加減”したでしょう」

「……僕は上杉軍まで殲滅しろって命令されていないから。それに……もしかしたら、戦わずに済むかもしれないしさ」

「……優しいのね」

 

 アスカはシンジの事を『甘い』とは言わなかった。

 何千もの人の命を奪っても、シンジの変わらない優しさが嬉しかったのだ。

 

「よし、これで奥州は伊達家が統一した! 次に狙うのは天下だ!」

 

 金色の銃を掲げてそう叫ぶ政宗の元に、凶報がもたらされた。

 秀吉が九州を制覇し、関東に引き返して来ていると言うのだ。

 

「バカな! 物量で勝っている秀吉軍とは言え、九州を落とすのが早過ぎる!」

 

 伝令の話では、とても強い二人の武将があっという間に四国や九州の有力大名を倒したらしい。

 その二人は政宗と年が変わらない若い武将だと言う事だった。

 

「政宗さん、もしかしてその二人は僕たちの知っている人かもしれません」

 

 シンジは政宗たちにレイとカヲルの事を話し、自分たちと同じ力を持っている事を説明した。

 

「……政宗様、ここは秀吉軍に下りましょう」

「何だと、北条を裏切れと言うのか!?」

 

 小十郎の献策に政宗は耳を疑って聞き返した。

 伊達家と関東の北条家とは織田信長が生きていた父親の代から同盟を結んでいた。

 当然、組んで秀吉と対抗するものだと思っていた。

 

「秀吉軍の物量と、碇殿と惣流殿と同等の力を持っている相手に勝てる見込みは御座いません」

「くそっ、もう少し早く生まれていれば秀吉と肩を並べる事が出来たものを!」

 

 政宗は悔しそうに声を上げながらも、小十郎の献策に従った。

 シンジとアスカは政宗の無念さに同情しながらも、レイとカヲルと戦う事にならなくて、心の底から安心するのだった。

 

 

 




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