独眼竜アスカ無双 新戦国ヱヴァンゲリヲン 作:朝陽晴空.
<小田原郊外(神奈川県)秀吉軍の陣>
奥州(東北地方)を統一した政宗とシンジたち伊達家だが、西日本を支配下に置いた秀吉軍との差は歴然だった。
小十郎の助言もあり、政宗は天下統一の野心を隠したまま秀吉に従い、父の代からの盟友である北条家を裏切り、北条家の居城である小田原城包囲に参加した。
小田原城攻撃の指揮を執るのは、秀吉の側近、石田三成と言う青年だった。
「お前たち伊達家の勇猛果敢な戦いぶりは聞いている。豊臣の世のため、力をあわせようではないか!」
石田三成の前で、政宗とシンジとアスカは膝を付いて頭を下げ、平伏していた。
三成の側に控える武将たちの中には、レイとカヲル、幸村と兼続も混じっていた。
「碇君……また会えて良かった」
「僕もだよ、綾波」
レイとシンジは笑顔で握手を交わす。
アスカもレイの無事を喜んだが、別の不安が頭をもたげた。
「大丈夫、私は碇君の側室で十分だから」
「何ですって!?」
レイの言葉を聞いたアスカは目を剥いた。
「冗談だよ、レイ君はもう僕の正室さ」
カヲルがそう言うと、アスカは冷静さを取り戻した。
それにしてもレイが冗談を言うようになるなんて、成長したものだとアスカは思った。
秀吉軍は数倍の兵力で小田原城を包囲した。
それでも降伏しない北条家に対して、三成は正面からの力攻めを選んだ。
こっそり敵の大将を捕えて降伏させるシンジの提案を、三成は却下した。
「秀吉軍の力を示す事によって、豊臣の世は安泰となるのだ!」
北条家は見せしめと言う事だろう。
「三成、秀吉様の期待に応えようとする気持ちは分かるが、肩に力が入り過ぎだぞ」
そう言って三成の肩に手を置いたのは三成の親友である大谷吉継だった。
吉継はシンジの方を見て、諭すように話す。
「碇殿の気持ちは分かるが、ここは三成の指揮に従ってはくれないか? この通り、頼む……」
吉継に頭を下げられたシンジは、嫌とは言えなかった。
自分のために頭を下げてくれる親友を持った三成を羨ましいとも思った。
参号機の件が無ければ、いずれ自分もトウジともっと友情を深められたかもしれないと思うと悲しかった。
「吉継だけではないぞ、幸村と兼続も一緒だ!」
吉継の話によれば、三成と幸村と兼続の三人は、熱い友情を誓い合ったのだと言う。
「シンジ、アンタにはアタシや、レイ、渚が居るじゃない」
「アスカ……」
アスカに優しい声を掛けられて嬉しくなったシンジは、思わずアスカを抱き締めてしまった。
「おお、これが『愛』の力、羅武と言うものか!」
兼続が大声で感動をあらわにすると、アスカとシンジは顔を真っ赤にして身体を離した。
三成は小田原城の近くに、一晩で城を築き上げ、北条軍の兵士たちを驚かせた。
さらに三成は一夜城から火薬玉を大砲で撃ち込み、小田原城を火攻めにした。
悲鳴を上げて焼け死んで行く兵士たちの姿を見て、シンジは心を痛めた。
「こんな程度で北条は負けたりしない、あたしが相手だよ!」
火攻めに耐え切れなくなって開門した大手門から姿を現したのは、熊とあだ名される甲斐姫だった。
「待って、あなただけには戦わせない。私も一緒よ!」
そう言ってさらに姿を現したのは、北条家当主・氏康の娘である早川殿だった。
「何で君たちみたいな女の子が戦場に出て来るんだよ!」
「それは、私たちの家族を守るためです!」
シンジが悲痛な叫び声で呼び掛けると、早川殿はそう叫び返した。
「お父様、お母様……力を貸してください!」
そう言って歯向かって来る早川殿に、シンジは防戦一方だった。
「シンジ!」
割って入ったアスカの攻撃で、早川殿は倒れて動かなくなった。
「よくも、あたしのお姉ちゃんを……!」
甲斐姫は涙を流しながら逆上してアスカに襲い掛かるが、返り討ちに遭う。
「ちくしょう……」
そう言い残して、甲斐姫は息絶えた。
「シンジ、酷なようだけど、降伏しない相手には情けは無用よ」
「……うん」
「それに、戦っている女の子はここに居るんだからね!」
「あ、いや、アスカの事ももちろん心配しているよ」
アスカがおどけてシンジにそう言ったのは、深刻に落ち込まないようにする思いやりからだった。
アスカも自分と同じ年頃の女性の命を奪う事には痛みを覚えないわけがない。
太平の世なら友達になれたのかもしれないのに……。
「ちょっくら、あの若造にあいさつしてくるか。氏政、氏照、城を任せるぞ!」
「行って参りませ、父上! 妹たちの仇を討って下さい!」
北条家当主にして一家の大黒柱、北条氏康は総大将である石田三成を狙って特攻を仕掛けて来た。
シンジたちのような無敵の力を持っていないが、兵士たちを割いて三成の元へ肉薄するのは十分な強さがあった。
「総大将自ら攻めて来るとは愚かだな!」
「俺の家族を守るため、俺はおまえを倒す! 俺の家族はなぁ、この関東に暮らす民たち全員よ!」
三成にキッパリと言い放った氏康の言葉を聞いて、氏康さんは家族思いの良い父親だとシンジは思った。
輝宗さんと言い、氏康さんと言い、何で家族思いの父親の命が奪われる世の中なんだろう。
僕の父さんは自分が母さんに会いたいと言う欲望のために他の人たちの人生を巻き込んだ。
自分も政宗みたいに勇敢な息子では無かったと、シンジは自己嫌悪に落ちた。
「三成。お前にも、幸村と兼続と言う友が居る」
吉継は三成の肩に手を置いて熱く語った。
三成も吉継や幸村、兼続が窮地に陥れば自ら助けに行く熱い男だと知られている。
「シンジ君、僕たちなら氏康を倒す事は出来るけど、ここは手出し無用だよ。三成君たちが氏康を倒してこそ、豊臣の世に意味があると思うよ」
「うん……何となくわかるよカヲル君」
この世界ではいくら強くてもシンジたちは余所者だ。
代々大名家に生まれた政宗たちとは違う。
戦国時代が終わったら、シンジたち四人は戦いとは関係の無い平和な日常を送ると決めていた。
敵本陣までたどり着いたとは言え、北条軍は少数。
三成・吉継・幸村・兼続の四人相手に、北条氏康が猛将でも勝てなかった。
「この戦はわしの一存で始めた事。息子たちの命は助けてくれ……」
そう氏康は懇願したが、小田原城の本丸に立て籠もる氏政・氏照兄弟は降伏しようとはしなかった。
「わしらは最後の一兵まで戦うぞ!」
「その通りじゃ、兄者!」
こうなると武将のプライドの哀れな犠牲になるのは城の兵士たちだ。
「シンジ、あの二人の敵将を倒すわよ!」
「分かってる、62分でケリを付ける!」
シンジとアスカは小田原城の門や壁をATフィールドで突き破り、氏政・氏照兄弟を討ち取った。
残った兵士たちは我先にと小田原城から逃げ出し、降伏した。
「僕たち、仲の良い一家を滅ぼしてしまったんだね……」
「シンジ、アタシはアンタの正室で、親友でも家族でもある。それじゃあ不満?」
「ありがとう、アスカ。……ずっと側に居てね」
シンジはアスカをギュッと抱き締めた。
そしてアスカはシンジの頭を掴んで唇を重ねる。
「いやぁ、二人の羅武羅武の勝利ですなぁ!」
うっとおしい兼続が近づいて来ても、二人は唇を離さなかった。
<出羽国米沢(山形県)伊達屋敷>
関東を支配していた北条家が滅びた後、有力者であった徳川家康も秀吉に忠誠を誓い、天下泰平は豊臣秀吉によって達成された。
伊達家の力を恐れた秀吉により、伊達家の領土は半減したが、シンジたちは平穏な日々を送っていた。
シンジは伊達家の炊事場で料理を振る舞い、板前姿が似合うようになっていた。
しかし平穏に見えるのは表面的な事であり。
三成は家康を豊臣の世を脅かすものとして警戒し、政宗も領土を減らされた事に不満を募らせていた。
その不穏な影に気づかなかったのは夜の営みにも励んでいたシンジとアスカだけだったのかもしれない。
政宗が再び奥州(東北地方)の領土を取り戻そうと戦いの準備をしている事を聞いたシンジとアスカは驚いて政宗に戦争をやめるように直談判した。
「奥州では秀吉に領土を奪われて一揆を起こした大崎と葛西を征伐に行くだけじゃ」
「その一揆を起こすように焚きつけたのはアンタでしょう。マッチポンプってやつ」
アスカはそう言って政宗をにらみつけた。
秀吉の命によって領地を失った、大崎と葛西に一揆を起こすように政宗は持ち掛けたのだ。
せっかくシンジの作ったハンバーグを食べて、夜の営みも頑張れる平穏な毎日になったのに、アスカは不満を隠さなかかった。
「秀吉の差配によって我が伊達家の石高は半減、家臣を養う政宗様の苦悩もお察しください」
戦国時代、武将は米の収穫量(石高)で経済力を計る。
年貢として徴収する米を売って生計を立てている。
小十郎の話にも一理あると思ったシンジとアスカだが……。
「一揆を起こしているのは、ほとんどが普段は農作業をしている民兵たちだ。お前たちが気が進まないのであれば、参戦せずとも良いぞ」
「こんな時こそ、アタシたちの出番じゃない。ねえ、シンジ」
「うん……」
アスカに尋ねられたシンジは頷いた。
一揆の首謀者を倒せば、民兵たちは散り散りになる。
「お主たちが討つべき相手は、一揆の首謀者、大崎・葛西の二人だけではない。秀吉の名代、木村も混乱に乗じて討つのだ」
木村は秀吉の命により、政宗の旧領を治めていた。
この戦いで木村を亡き者にして、逆賊、大崎・葛西を討伐したと秀吉に説明して領地を回復するつもりだった。
木村に何も言わせない、死人に口なしだ。
あっさりと大崎・葛西の一揆を鎮めた政宗たちの元にやって来たのは秀吉の後継者とされる豊臣秀次だった。
「おお、秀次ではないか。狩りの誘いに来たのか?」
「政宗、とぼけるのではない。私闘を禁じる惣無事令は知っているだろう?」
政宗と秀次は、一緒にイノシシ狩りに行くほどの仲だ。
ハンバーグを通じて、シンジたちとも面識があった。
「木村様には気の毒な事になりましたが、我々は一揆を鎮めたのです。秀吉様には上手く取り直してください」
「小十郎様にはかないませんな」
小十郎の言葉を聞いた秀次は困った顔で笑った。
「秀次さん、お父さんの秀吉さんとはどう?」
「相変わらず、秀頼を溺愛されております」
心配そうな顔をしたシンジに声を掛けられた秀次は、元気の無さそうな顔で答えた。
秀次は秀吉の養子で、父親からも将来を期待されていた。
しかし、血の繋がった実の子供、秀頼が生まれると秀吉は秀次よりも秀頼を可愛がるようになった。
シンジは伯父夫婦に預けられていた頃の時を思い出し、秀次に同情していた。
伯父夫婦も自分の子供だけを可愛がり、シンジは寂しい思いをしていたのだ。
そこでシンジは秀次がハンバーグを秀吉にプレゼントすれば、秀吉も秀次を愛してくれるだろうと、伊達家の門外不出のハンバーグの作り方を教えたのだ。
「父上はハンバーグを喜んでくれたよ。でも、やはり秀頼が可愛いようだ」
「そっか、でもきっといつか秀吉さんも、秀次さんの事をまた見たくれる日が来るよ。だって、親子なんだからさ」
シンジはそう言って気落ちする秀次を励ました。
しかし、最悪の事件がこの後起こるのである。
「秀次が謀反の罪で処刑されただと!?」
「はい、そして秀次様と親しかった政宗様も共謀していないかと疑いが掛けられています」
小十郎はそう言って秀吉よりの命令状を政宗に見せた。
命令状には伊達家は領土を全て没収、四国の伊予の島に流刑に処すると書かれていた。
「秀吉のヤツ、アタシたちの家を奪う気!?」
「僕たちは潔白です!」
アスカとシンジは憤慨した。
その二人の前で小十郎は秀吉の命令状を破り捨てた。
「こうなれば、実力者の家康様を頼るしかありません。秀吉様に対抗できるのは家康様だけで御座います」
小十郎は家康と組んで豊臣軍を倒すべきだと主張した。
「そんな! せっかく秀吉さんの下で日本が統一されたのに!」
「じゃあアンタは伊達家のみんなが散り散りになって良いって言うの!? アタシとも離れ離れになるかもしれないのよ!」
「そうだ、そうだ!」
シンジの呟きは、アスカと家臣の熱気にかき消されてしまった。
徳川の元に駆け付けるには、秀吉に忠誠を誓う上杉軍の居る上田城を攻略する必要がある。
上田城でも真田家の中で、父である真田正幸と息子の信之と幸村の兄弟が悲壮な決意で話し合っていた。
家康が決戦の為に様々な大名と姻戚関係を結んで味方を集めているのは噂になっていた。
秀吉、石田三成がこの動きを見逃すはずも無く。
伊達家の反乱から日本中を巻き込んだ戦の火蓋が切って落とされようとしていた……。
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シンジに側室は「あり」ですか「なし」ですか?
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あり
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なし
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ありえん!(席を立つ)