独眼竜アスカ無双 新戦国ヱヴァンゲリヲン   作:朝陽晴空.

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外伝 アスカの戦国クリスマス休戦パーティ ~究極のプレゼント交換~

 <碇藩領地・第三新東京市(神奈川県)>

 

 戦国時代が終わり、徳川家康が江戸幕府を開いてからしばらくの事。

 アスカが提案した日本最大の祭り(フェスティバル)も大成功を収め、日本国民の心は一つになったと安心していた藩主のシンジだったが、伝令から不穏な知らせがもたらされた。

 尾張(名古屋)藩主の織田信長に対して、家臣となった松永久秀が反乱を起こしたのだと言う。

 最初は久秀が信長を落とし穴に落とそうとしたり、座敷牢の中に閉じ込めようとする些細なイタズラのようなものだったが、次第にエスカレートして行った。

 信長が秀久が命より大切にしていた茶釜(お茶を飲むための道具)『古天明平蜘蛛(こてんみょうひらぐも)』を寄こせと言うと、両者の亀裂は決定的になった。

秀久は清州城を占領、那古屋城の信長に対して宣戦布告をした。

 

「あの二人にも困ったものね」

 

 レイは大きなため息を吐き出した。

 

「今は尾張藩内部の揉め事に過ぎないけど、他の大名たちにも悪い影響を与えるよ」

 

 カヲルに指摘されたシンジは渋い顔になった。

 でも他の藩の事に口を出せば内政干渉だと言われてしまう。

 

「ふふん、アタシに良い考えがあるわ」

 

 子供たちをあやしていたアスカは立ち上がると、腰に手を当てて堂々と言い放った。

 

 

 

 <尾張藩(愛知県)那古屋城>

 

「くりすます・ぱぁてぃをやるだと?」

 

 来訪したアスカにそう言われた信長は聞きなれない言葉に、眉をひそめながらそう尋ねた。

 信長はアスカに対して怒って厳しい表情をしているのではない。

 自分の知らない面白い事が存在している事に腹が立つのだ。

 むしろ心の中は少年のようにワクワクと、ときめいている。

 

「師走には家臣たちが集まって、御馳走を飲み食いしながら、宴会をして親睦を深める行事があるのよ」

 

 もちろん、戦国時代にはクリスマスパーティなど存在しない。

 信長にとっては初耳学だった。

 

「そしてクリスマスパーティーでは互いに贈り物を交換して、気持ちを伝え合うのよ」

「ほう……」

 

 アスカの話を聞いた信長は、クリスマスパーティーの話に食いついて来たようだ。

 

「信長様に置かれましては、是非とも碇藩のクリスマスパーティーに御出席頂けないかと」

「良かろう。碇シンジよ、我を楽しませてみよ」

 

 信長は持っていた扇子をシンジの方に向けて指し示した。

 これで第一関門は突破した。

 次はひねくれ者の久秀の説得だ。

 

「碇藩のひよっ子藩主がわしにいったい何の用じゃ。信長の犬としてお使いにでも来たのか」

 

 清州城の久秀は不機嫌そうな顔をしながらも、シンジたちとの面会には応じた。

 アスカのクリスマスパーティーの話を最後まで聞いてはいたが、終始苦い顔をしていた。

 

「どうせ信長のヤツも来るのだろう? 吾輩はあいつの顔も見たくないのだ」

「それが久秀様、今回のパーティには特別な趣向を凝らしておりまして……」

 

 シンジはパーティで信長の座る席の頭上に、タライを仕掛けたイタズラをすると説明した。

 タイミングを見計らって信長の頭にタライを落として大爆笑を誘うと言うものだった。

 

「くくっ、それは愉快だな。情けない信長の顔が目に浮かぶようだ」

 

 久秀は信長にトラップを仕掛けても自爆してしまう事に何度も煮え湯を飲まされていた。

 今度は他人が仕掛けるのだ、実害も自分に及ぶ事はないだろう。

 こうして信長と久秀を釣り出す事に成功したが、織田家の家臣はかなりの人数が居る。

 かかれ柴田で有名な勝家や、食欲も性欲も並ではないと噂される羽柴秀吉、美食家で有名な明智光秀など料理を用意するだけでも大変な事だった。

 

「アスカ、しばらく碇藩は節約生活になるから、ハンバーグの回数が減るよ」

「いいわよ。でも夜伽は一日三合体だからね」

 

 体力も精力も持たないよ、と嘆くシンジだった。

 

 

 

 <碇藩領地・第三新東京市(神奈川県)>

 

 家に帰ったシンジたちは急いでクリスマスパーティーの準備をした。

 モミの木は無いので杉の木を飾り付け、かがり火と提灯で明るくした。

 

「私は牛乳を集めて来るわ」

「僕は野鳥を狩って来るよ」

 

 レイとカヲルも食材集めに追われた。

 飛鳥時代から牛乳は存在しており、碇藩でも少数ながら牛をオランダから輸入していた。(アスカが飲みたいとダダをこねた)

 牛乳は生クリームのために必要だった。

 ローストチキンを大量に作るほど鶏は潰せなかったので他の野鳥で代用(大丈夫か)。

 ローストビーフは透けて見えるほど薄く切る事で数を確保した。

 クリスマスにはケーキが欠かせないとの事でアスカが担当。

 上手く作る必要は無い、どうせケーキを知っている人間はシンジたち四人しかいないのだから。

 土煙をあげて騎馬隊が碇藩の屋敷に迫って来る。

 敵の奇襲か?

 いや、神速を尊ぶ織田軍団の襲来だった。

 

「どうしてこんなに早くあいつらが来るのよ!」

 

 アスカがたまらず叫び声をあげた。

 尾張から箱根までは早い馬でも一週間ほど掛かる。

 それを見越してシンジたちは準備をしていたので慌ててしまった。

 

「中国大返しをしたワシにとっては、軽いもんじゃ!」

 

 秀吉は早く移動できるように中継所を造っていたらしい。

 こんな時まで戦略の強さを発揮しないで欲しいとシンジは思った。

 

「済みません、まだお迎えする用意が整っておりませんので……」

 

 平謝りするシンジに、秀吉は陽気なニコニコ顔で声を掛けた。

 

「構わん、ワシらもぱぁてぃとやらの準備を手伝うわい。言うじゃろ、祭りは準備の時が一番楽しいと。なあ皆の衆」

 

 秀吉の言葉に織田家の家臣たちは頷いた。

 勝家や前田利家、光秀などの協力によりクリスマスパーティーは想定していたものよりも豪勢な物になった。

 経費も尾張藩が負担してくれる事になり、シンジは心が軽くなった。

 久秀も信長の失態を見れるのに期待しているのか、意外と協力的だった。

 料理もテーブルに並べられ、織田家の家臣たちは席へと着いた。

 

「久秀よ。その方もこの宴会の準備に尽力したようだな」

「いえいえ、吾輩はそれほど大した事はしておりません」

 

 突然信長に声を掛けられた久秀は、嫌な予感を覚えながらそう答えた。

 

「その功績を讃え、この我のために用意された席に、そなたが座る事を許す」

「ええっ! そんな、信長様の席に座るなど畏れ多い!」

「さあさあ、久秀殿、遠慮する必要はござらん。お主の頑張りは、織田家家臣全員が認めるところ」

「オー、ノー!」

 

 勝家に引きずられるように久秀は信長の席に座らされてしまった。

 そしてそのタイミングで金ダライが久秀の頭に落ちて音を鳴らした。

 

「この宴会の始まる鐘の音が響きましたな!」

 

 秀吉が言うと、宴席は爆笑に包まれた。

 久秀はやはりこのオチかと、運命を呪った。

 

「久秀さん、この後プレゼント交換会があるから、気を落とさないでください」

 

 不憫に思ったシンジは、久秀をそう言って慰めた。

 

「それでは、お待ちかねのプレゼント交換会よ!」

 

 宴会も盛り上がって来た頃、アスカがそう宣言すると、宴席から歓声が上がった。

 

「吾輩は『古天明平蜘蛛』を提供するぞ!」

 

 久秀がそう宣言すると、宴席に居た家臣たちはどよめいた。

 もちろん、久秀は誰にも渡すつもりは無い。

 ただ見せびらかして自慢するために持って来たのだった。

 天下一品と言われるこの茶釜と交換しようとする恐れ知らずなど居るものか。

 

「久秀よ、我のぷれぜんとと交換せよ」

「こ、これは信長様、そればかりはご勘弁を」

 

 久秀は自分の迂闊さを呪った。

 信長がプレゼントを持ってくるとは予想外だった。

 

「久秀よ、我のぷれぜんとはこれじゃ。蘭丸よ、ここに持って参れ!」

 

 信長の命を受けた森蘭丸が持って来たのは、見事な茶器だった。

 

「これは『九十九髪茄子(つくもかみなす)』!」

 

 その茶器は古天明平蜘蛛と双璧を成すほどの一級品の茶入だった。

 久秀にとっては領地を売り渡してでも欲しいほどのものだった。

 

「久秀よ、不満であるか?」

「滅相も御座いません! 吾輩、感激、雨あられで御座りまする!」

 

 久秀はそう言って自分の茶器を差し出す。

 信長が等価交換をするとは、久秀にとって驚天動地の事だった。

 

「最高の茶釜と茶入が揃えば、最高の茶会ってヤツが出来るんじゃないの?」

 

 そう言ったアスカの意図に気が付いた織田家の家臣たちは拍手喝采を浴びせた。

 これで信長と久秀は和睦をしないわけにはいかない。

 世紀のプレゼント交換を目にした織田家の家臣たちも、気の合った相手とプレゼントの交換を始めた。

 

「碇殿と惣流殿は、どのようなプレゼントを交換するつもりじゃ?」

 

 秀吉に尋ねられたシンジはアスカへのプレゼントを用意する事を忘れた事に気が付いた。

 

「心配いらないわ、アタシとシンジのプレゼント交換はこれよ!」

 

 アスカはそう言ってシンジの頭を掴むと唇同士を重ねた。

 おおーっと、見ていた秀吉たちは歓声を上げた。

 

「僕たちのプレゼント交換はどうしようか?」

「私は、あなたと合体したい」

 

 カヲルに尋ねられたレイが顔を赤らめてそう答えると、カヲルはレイの肩を抱いて宴会場を抜け出し、寝室へと案内した。

 こうして大盛況のうちに戦国クリスマスパーティーは終わった。

 織田家の面々を見送った後、アスカはそっとシンジに囁いた。

 

「これからはシンジも、子孫繫栄のために側室が必要になるかもしれない。だけど、下の口は他の女に譲る事はあるかもしれないけど、シンジの上の口は、アタシだけのものなんだからね!」

 

 有体に言えば、他の女性との子作りは認めるが、キスは禁止と言う事だ。

 

「浮気して他の女の味がしたら、キスしたアタシには分かるんだから、覚悟しなさい!」

 

 キスと言うのは男女の気分を盛り上げるために必要な前戯だ。

 それを封じられてしまうのは苦しい。

 

「そこを何とか、許してはくれないかな?」

「もうすっかり浮気するつもりでいるわね! キスがダメなら、手とか胸とか足とか、舐めてもらうかしなさい!」

 

 子孫を絶やさないようにするには大変だな、これなら2015年に逆行した方がよかったかも、と今更ながらちょっと後悔するシンジだった。

 

 

 




 アンケートの内容と、アスカからのお許し(?)が出たので、これからの外伝で側室の話もあるかもしれません。(読みたくない方が読まないように、タイトルで警告などは致します)

 側室は戦国時代の姫を想定していますが、摩訶不思議な力でミサトたちも召喚されるかもしれないので、御意見がございましたら感想欄以外の場所で伝えて頂けるようにお願いします。

 アスカの方は他の男性の側室になる事はありません。

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