やはり俺が仮面ライダー龍騎なのはまちがっている。   作:伊勢村誠三

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一月はレポートの締め切りが乱立してるのでしばらく小説版の投稿が続くと思います。


EGO AND ELEMENT

 

ドラグセイバーがアーマーを絶たんと振るわれ、

その心臓をえぐらんとウイングランサーが唸る。

あまりに激しい近接戦の中に、銃はキツい。

そう判断したゾルダはバイザーをフルオートに切り替えて、とにかく弾をバラまいた。

たまらず二人が飛びのいた隙に、ゾルダはカードを装填する。

 

『STRIKE VENT』

 

ギガホーンを装備し、バイザーをベルトに下げると、近接戦にも加わって行く。

ゾルダの鎧とパワーは、砲撃の反動や、反撃に対処するためのもので、龍騎やナイトのような戦闘を目的としたものではない。

だが、栄喜は器用に立ち回り、防御力を生かした近接戦を展開していた。

 

「ゆきのんどうしよう!?

なんか…なんかやばいよ!止めないと!」

 

「と、止めるっていったってどうやって!?」

 

鏡の中で起こる異常事態、

三者が三者とも全く譲らない殺し合いに、

ただの高校生の結衣も、学年主席の雪乃もキャパオーバーだった。

だが目の前の状況を、どうにかしたいのは確かで、

 

「どうって…わ、私!鏡に入ってみる!うりゃあああああ!」

 

「ええぇ!?ちょ!ちょっと!由比ヶ浜さん!?」

 

雪乃の生死の声も聞かず、助走をつけた結衣は頭から鏡に突っ込んでいく。

そしてライダーたちが入った時と同じようにミラーワールドに突入した。

否、出来てしまった。

 

 

 

 

〇「EVIL ELIMINATE」

 

 

 

 

1

「痛ぁい!」

 

頭から突っ込んだために、当然ながら落っこちる格好になった。

だがすぐに、この歪極まる世界に来た理由を思い出し、

窓を開け、外で戦う3人に向けて叫んだ。

 

「こらー!何やってるの!」

 

「はぁ!?」

 

「あいつ!どうやって!?」

 

「なんだかよく分かんないけどなんで戦ってるの!

ちょっと待っててそっち行くから!」

 

「こっちの台詞だ!そこを動くな大馬鹿!戻るぞ!」

 

結衣の姿を認めた途端にナイトとゾルダは武器を捨て後者の方に向かって行く。

 

「なんで?」

 

「モンスターと契約してない奴は入るのに使った鏡でしか戻れない!

その上一度入れば出るときにはデッキが必要だ!」

 

「そうなのか!?」

 

「お前そんなことも知らなかったってことは新参者か?」

 

ライダーの速力ならたった数階分の高さなどあっという間だった。

廊下の途中で結衣と合流し、家庭科室に戻ると、ライダーたちは結衣が入って来たという窓の前に一列に並ぶ。

 

「…せーのだからな。

残って背後とるとかなしだからな?」

 

「見くびるな。殺るんだったら正面からやる。」

 

「おー怖い怖い。そんじゃ行きますか、あせーの!」

 

龍騎、ナイト、ゾルダはほぼ同時に鏡を超えて現実に帰還した。

そして即座に変身解除すると三人同時にデッキを鏡に投げ込む。

それをなんとかキャッチした結衣は来た時と同じように助走をつけて、だが今度は着地の事も考えて飛び込んだ。

 

「出れた!」

 

「危なかったな。変身しててもあの世界は10分しか体がもたない。

生身だったら5分と持たないぞ。」

 

「え?それって…」

 

「あれってスーツの限界とかじゃなかったんだな。」

 

「ああ。多分だけど、酸性の液が並々入ったバケツにアルカリ性の欠片をいれたら中和されるみたいなことなんじゃない?」

 

現実(こっち)がプラスならミラーワールドはマイナスってことか?」

 

「多分だけどな。」

 

そう言いながら結衣からデッキを受け取ろうとする真澄だったが

 

「あ、おい。」

 

雪乃がそれより早くデッキを奪い取る。

そしてそれら三つを見せながらいつもの様に冷たく言った。

 

「説明してもらいましょうか?」

 

 

 

 

2

真澄は黒板の前に移動してチョークをとり、

四人の方を振り向いた。

 

「何から聞きたい?」

 

「あの鏡のむこうの世界は何?このカードケースは何なの?

変身…と言うより装着してたあの奇妙なスーツは?

なんで戦っていたの?」

 

真澄は矢継ぎ早の質問を諫めることはなく、

鏡の世界、カードデッキ、変身、戦い、と書き続けていく。

 

「あの世界はミラーワールド。

現実をどこまでも左右真逆に反映した世界だ。

人を喰らうミラーモンスターが住まうのと、

おおよそが人が住めるような環境でない以外は何なのかイマイチわからん。

お前らはどうだ?」

 

「俺も凡そそんな認識。比企谷君は?」

 

流石にこの状態で無関係でいられない事ぐらいは分っていたようで、

普通に反応、対応した。

結衣はなんだか釈然としない気分になった。

 

「俺も良く知らん。案外、出入りできないだけで、

昔からあったんじゃねえかな?って思ったことはあるかな。

知らんけど。」

 

「そうかい。」

 

「それで、このカードケースは?」

 

「それはカードデッキ、アドベントデッキとも言うな。

仮面ライダーへの変身を可能にする物で、

それを渡してきた仮面の男が言うには全部で12個。

つまり仮面ライダーは全部で12人。」

 

「俺のゾルダ、仲田さんのナイトに比企谷君の龍騎。あとシザースと、他には?」

 

「ベルデって奴知らないか?」

 

「戦ったのか?」

 

「いや、デッキ持ってる人と話しただけだ。

大学生ぐらいの男だった。」

 

「そうか。あと私が戦った事あるのはライアって腰抜けだけだ。

つまりあと6人はまだどんなので誰が変身してるか分からん。」

 

真澄はライダーたちの名前を黒板に書いていく。

そして、次にカードだったか?と言いながらシザースの名前に赤の横線をいれた。

 

「入ってるアドベントカード内容はデッキによってまちまちだな。

私のにはストライクベント何て入ってないし。」

 

そう言われた雪乃は、ナイト以外ののデッキを一旦しまってから、ナイトのカードをすべて引っ張り出す。

ファイナルベント、ダークウイング、ナスティベント、トリックベント、ソードベント、ガードベント、シールの7枚。

確かにストライクベントのカードは無い。

 

「その中にナイトのマークがついてるけどなんちゃらベントって名前じゃないカードが一枚あるだろ?

それが契約のカードだ。」

 

雪乃はダークウイング以外のカードをデッキに戻し、それをまじまじと見た。

コウモリをそのまま大きくしたようなモンスターが描かれている。

 

「そのカードを使う事でライダーはモンスターに餌やりをする代わりに力を借りれる契約を結べる。

つまりそれを破く、燃やすなどして消失した場合、契約を一方的に破棄されたと判断したミラーモンスターに殺されることを意味する。」

 

「こ、殺されるって…」

 

「文字通りさ。奴らの主食は同じミラーモンスターと人間だからな。」

 

なんてこともなく言った真澄に結衣は慄き、

思わず窓から飛びのいた。そして雪乃の裾を掴む。

雪乃も今回ばかりは振り払う気になれなかった。

 

「人喰った後のやつとかなぜか他のより強いのそうゆうことなのね?」

 

「普通消化とかで動き悪くなりそうなもんなのにな。」

 

「話を戻すぞ。そのカードがどれくらい重要かと言うとデッキの中で一番重要だ。

モンスターと契約する前はコントラクトっていう絵柄のないカードの状態なんだが、

それはデッキに一枚しか入ってない。少なくとも私のはそうだった。

つまりカードの破損は死と同義だ。

モンスターからの助力を失ったライダーは大幅に弱体化する。」

 

「剣とか呼べるは呼べるけど当たっただけで折れるからな…」

 

八幡は二の腕をさすりながら疲れたように言った。

龍騎のデッキは最初、なんのモンスターとも契約してない状態だったのだ。

 

「ヒッキーそれ大丈夫だったの?」

 

「全く大丈夫じゃねえよ。

やけくそでコントラクト使って契約しなきゃ喰われてた。」

 

ドラグレッダーに。そう付け足した八幡。

よく見ると、思いだして気分が悪くなったのか顔が青い。

 

「そしてお待ちかねの仮面ライダーだが…

そのカードデッキで変身して戦う戦士のことだ。

鏡の世界で殺し合い最後に残った最強の仮面ライダーのみが、

どんな願いもかなえれる。」

 

「散々非科学的かつ超常的過ぎる物を見せられては来たけど…怪しい話ね。

あなたたちはこれを渡してきた胡散臭い仮面の男の言われるままに戦ってるわけ?」

 

ああ。きっと叶うからな。

と言って真澄は黒板消しを取りながら続けた。

 

「あいつは確かに神か悪魔か、

それともそのどっちかの使いか何者か知らんが、

私達一個人にこんな力を授けれる存在だぞ?

それにライダーは願いの為に他者を殺すことを選んだ連中の集まりだ。

そいつらを消して願いをかなえられるなんて最高だろ?」

 

黒板を消しながら振り返り不敵に言う真澄。

雪乃は彼女と初対面の時にも感じたこっちを見透かしてくるような嫌な感覚を思い出した。

 

「それを言うならあなたもそのクズじゃないの。

それにそんな血濡れた願いじゃ誰も救われないわ。」

 

「別にいいよ、慈善事業じゃなくて自己満足でやってんだ。

そんな私の願い、分かるか?」

 

「?」

 

「私はお前ほどじゃないが大体の物を持ってる。

見ての通りの容姿端麗。頭脳明晰。肌は弱いが運動も得意。

そんな私が何を願うと思う?」

 

「そんなの自分のためでしょう?」

 

「はっ!お前、ライダーじゃなくてよかったな。

お前みたいなタイプは生き残れないぜ。」

 

「あなた、自分の生殺与奪の権が握られていることを分かっているのかしら?」

 

「お前こそ、まだ契約は続いてることが分かってないのか?」

 

鏡を見るとダークウイング、ドラグレッダー、マグナギガが雪乃を狙って唸り声をあげていた。

その目には普段人間や他のモンスターを狙う時とは違い、殺意のみが宿っている。

 

「マジかよ…」

 

「そりゃ、向こうも死活問題だからな。なあ!

せっかくライダーが3人もこの奉仕部の部員なんだ。

平塚センセ―が勝手に始めてくれちゃった勝負、

俺らルールで副賞のいう事聞かせられるってやつ、

ライダー関連なら何でもありにしないか?」

 

八幡たち三人は、自分の命も簡単に脅かすその提案に大いに驚いたが、

 

「そりゃあいい!私が勝ったら雪ノ下の土下座と、

満坂と比企谷のカードをすべて貰おうか。」

 

「え?」

 

なんと真澄は乗り気で条件まで付けて来た。

すると、提案者の栄喜も不敵に笑い、

 

「じゃあ俺は部長殿のおごりで高級フレンチと、

二人が契約のカードを破くことなんてどうよ?」

 

「は!?」

 

「ちょ!ちょっと二人とも!それ残りの二人が死んじゃうじゃん!?」

 

「当たり前だろ?殺さないでどうするんだ?」

 

本気で不思議そうなトーンで言う真澄に結衣は思わず気圧された。

オロオロと後ずさって、縋るように雪乃を見る。

 

「…いいでしょう。」

 

「ゆきのん!?」

 

「な!?お前まで何言って…」

 

「ただし、奉仕部での勝負がつくまで三人は共闘を守る事。

これだけが条件です。」

 

「「「「!?」」」」

 

これには雪乃以外の全員が驚く番だったが、

真澄はすぐに持ち直し

 

「そりゃいい。敵の手の内見ながら邪魔者消してけるってことだろ?」

 

「なるほど。て、訳だ。よろしくな。ヒ・キ・ガ・ヤ・君。」

 

そう言って八幡の肩を叩いて部室に戻って行く栄喜。

こめかみを押さえて深いため息を吐いた八幡は真澄を見送ってからそれに続いて帰路についた。




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