やはり俺が仮面ライダー龍騎なのはまちがっている。 作:伊勢村誠三
伊勢村です。
リバイスもいよいよ大詰めですね。
次のギーツや龍騎20周年も楽しみです。
それではどうぞ。
放課後、客足がピークを迎える喫茶花鶏の四人席にて。
奉仕部の川崎沙希を担当する3人が作戦会議を始めていた。
「一応、私達は競争相手同士ってことになってるがいいのか?」
アイスティーのストローを弄びながら言う真澄。
しかし雪乃は首を振り、
「依頼を果たせなければ競争も何もないわ。
勿論競い合うけど蹴落とし合うのは無し。いいわね?」
「作戦って言ってもどうするんだ?
こいつの事何にも知らないだろ?」
紋切型のプロフィールの羅列された資料を見ながら、
八幡はけだるそうに言った。
それに雪乃は
「何のためにあなたが居ると思ってるの?
同じクラスなんでしょう?」
と、呆れたように返した。
「雪ノ下、こいつがもし一人でもクラスにまともな友人がいるなら平塚に睨まれてないはずだろ?」
「ああ、そうだったわね……」
女子二人にベクトルは違えど、貶された八幡は
「悪いように言うなよ仲田。
そして憐れむような目を向けるなよ雪ノ下。
俺は他人を見たら他人と思い、無抵抗以前に無接触なだけだ。
平和主義過ぎて超ガンジーだろ?」
「何がガンジーだ。
良い様に言ってるんじゃあない。
それ周囲の誰の
「そのレベルまで行くと最早人間不信や対人恐怖症を疑うわね。
あとガンジーは修行と称して裸の少女を添い寝させたりしてたり、若い女の子に夢中になってたせいで親の死に目に会えなかったような色欲魔人よ?
何勝手に自分の下半身事情をさらけ出してドヤってるのかしら?
ま、仮にあなたもそうだとしても女の子を口説けるような度胸はないでしょうけど」
「違いないな」
さっきまでは若干憐憫の混じっていた見下す視線が、完全に冷気と蔑みになった視線に貫かれ、胸を押さえてうずくまる八幡。
そんな彼に唯一声をかけたのは……
「あれ?お兄ちゃん?」
「HIGH AND HAZARDOUS」
「
八幡の妹の小町だった。
奉仕部一同と同じく学校帰りなのか、
八幡も二年前まで通っていた中学制服姿に鞄も持ったままだ。
「お兄ちゃん何して……!?う、そ……。
お兄ちゃんが女子とお茶してる!?」
思わずカバンを落して固まる小町。
泣きながら兄の元まで行き
「うぅ……いつの間にかそこまで出来るようになってたなんて小町感激だよ!
成長したねお兄ちゃん!」
ぱっ!と花が咲いたような笑みを浮かべる小町。
対して八幡はやや引きつった笑みを浮かべ、
「ヘイヘイ、マイリトルシスター。
これのどこが楽しくお茶してるように見えるんだ?
どう見ても口撃による集団リンチの現場だろ?」
「え?そうなの?
あ、愚兄がお世話になってます。比企谷小町です。
こんなごみいちゃんですが一つ良くしてやってください」
どうやらただの大袈裟なリアクションだったらしく、
すぐに涙をひっこめた小町は女子二人に礼儀正しく頭を下げた。
「その勘違いだけは酷く不快だけれど、
それ以外は比企谷君と同じ血を引いてるとは思えないよくできた妹さんね。
奉仕部部長の雪ノ下雪乃です。よろしくね」
八幡だけとの時には絶対に見せないだろう柔和な表情で小町に手を差し出す雪乃。
小町も「よろしくです!」と応じた。
「……仲田真澄だ。
その男の面倒を見てるつもりはないが、まあ座れ」
相変わらずぶっきらぼうではあったが、
真澄は開いていた自分の対面側、八幡の隣の席を指して、
座る様に促した。
「おじゃましまーす。
それで、なんの話してたんですか?」
雪乃と真澄は一度顔を見合わせて
「言っていいのかしら?」
「兄貴の方より酷い案は出ないだろうし、いいんじゃないか?」
「まだ何の案も出てないだろ」
眉間に皺を寄せて抗議する八幡を無視して、
雪乃は小町におおよその事情を説明した。
「んー……もしかしたらですけど、その人弟いません?
私の予備校の友達にも同じ名字で、お姉ちゃんいるって子がいて」
何!?小町に男友達だと!?
まさかその小僧小町を狙って……いや、まさかじゃないそうとしか考えられない!
次会った時に適切な処置をしなければ……」
「シスコン谷君、処置っていったい何をするつもりなのかしら?」
音まで凍らすような冷気を発しながら言い放つ雪乃。
「お前、一人でいすぎて心の声と独り言の区別できなくなってるのか?」
UMAとかそっち系の信じられない物を見る目で八幡を睨む真澄。
「まさか……」
「ごみいちゃん小町的にポイント低すぎ。
別に
実妹からも完全に呆れられた目線を向けられてしまった。
「マジかよ……」
流石に短期間に二回も同じことが有れば、流石の八幡も頭を抱えた。
そんな戦闘不能の彼を放置して話は進む。
「それで、その川崎大志君がなんて?」
「なんでもそのお姉ちゃん朝帰りするようになったって言ってるんですよ。
その上エンジェルなんとかって店からそのお姉ちゃんに電話が来たって」
「雪ノ下、その川崎大志が比企谷妹と同じ予備校ってことは……」
「ええ。通学路に関しては比企谷君が自転車を使わない場合と半分ぐらい被ってるとみていいわね」
「じゃあバイトの範囲も大体絞れるか」
「ではまずバイトの裏付けをとることね。
比企谷君、仲田さん、お願いできるかしら?」
「え?なんで?」
話だけは何とか聞いていた八幡が不思議そうに尋ねる。
「私ら以上の適任が居るか?」
そう言って真澄はポケットからナイトのカードデッキを取り出した。
ミラーワールドを介してなら、いけない場所はそんなにない。
「あ、それ……」
「小町、しってるのか?」
「うん。例の大志君も持ってた。それはやってるの?」
八幡は再び頭を抱えた。
真澄は一瞬、本当に一瞬だったが、
獰猛な笑みを浮かべたのを雪乃は見逃さなかった。
一方その頃、総武高校がテニスコートにて。
栄喜、結衣はコートで部活仲間と練習する戸塚の様子を見ていた。
「まあまあフォーム良くなってきてんじゃないの?」
「だねー。あたしなんかすぐばてちゃうもん」
「由比ヶ浜さんは体力なさ過ぎだからね?
俺らほど、はやり過ぎだけど、もうちょっとあったほうがいいよ?」
お陰でほぼ戸塚の相手は栄喜がしていたのだ。
その事を思い出し、流石に気まずくなり、
「あ、あははー」
と、目を泳がせまくり、ぎこちなく笑った。
栄喜はねちっこく追及したりはせず、いこーぜ。
と、言ってそのまま帰路につく。
しばらくは会話もなくただ歩いているだけだったが、
「ヒッキーたちの方手伝いに言った方がいいのかな?」
「一応勝負になってるし、どうなんだろう?
ま、由比ヶ浜さんは行っても行かなくてもいいんじゃない?
俺はこの前の奴逃がしちゃったからそろそろ餌やりを……」
そこまで言った所で耳鳴りのような音が響く。
栄喜はポケットに手を伸ばしながらにやりと笑い、
「早速おいでなさった」
取り出したカードデッキを近くに合ったカーブミラーに向ける栄喜。
「ッ!満坂君待って!」
しかしデッキを持った栄喜の手にめがけて、鏡から飛び出した足が蹴りを繰り出して来た。
すぐさま飛びのいた栄喜だったが、手からデッキは蹴り落され、鏡から完全に飛び出した西洋甲冑と犀の意匠の仮面ライダーが現れる。
そいつはゾルダのカードデッキを足先で踏み、構えを取る。
「チッ!マジかよ……」
栄喜も生身だがファイティングスタイルを取る。
殴り掛かって来るなら、躱して腰のデッキを抜き取ってやるつもりだ。
ゾルダに変身してくるなら、自分も敵のライダーに変身して迎え撃つ。
「……」
しばらく睨み合っていた2人だが、犀のライダー、ガイはゾルダのデッキを蹴って栄喜の足元に滑らせた。
「?」
「取るんだ。フェアな勝負がしたい」
困惑する栄喜にガイが言った。
思ったより高い声だ。
変身しているのは多分栄喜や結衣より年下の少年だろう。
栄喜はガイに視線を向けたままデッキを拾い上げ、その奥の鏡に掲げる。
「変身!」
何時も通りのポーズを取り、仮面ライダーゾルダに変身。
2人はほぼ同時にミラーワールドに突入した。
「あ!……なんであたしさっき来るってわかったんだろう?」
いぶかしげに考え込む結衣。
そうしている間に、その後ろから誰かが走ってくる。
「ねえアンタ!」
「!…えっと、川崎さん?」
同じクラスの川崎沙希だった。
余裕のない表情で、ずっと走って来たのか、結構な汗をかいている。
「今、鏡に入ってったのって……」
「え!?えっとぉ…これは、その……」
「お願い!あの銀のライダーを倒さないで!
アイツ、私の弟なの!」
ミラーワールドの廃車置き場にて。
ゾルダとガイは、それぞれ無手で近接戦でぶつかった。
足払いの応酬、からの拳や肘でのインファイト。
「やるな…けど優勝するのはこの俺だ!」
そう言ってキンッ!と胸部アーマーを指で弾くガイ。
「ほざくだけならだれでもほざける!」
そう言ってゾルダは腰に下げたバイザーにカードをセット。
『STRIKE VENT』
ギガホーンを召喚、装備して殴り掛かった。
「ふん!」
ガイはゾルダの打撃を避けながら、
肩アーマーにはめ込まれたバイザーを開き、
左手でデッキから引き抜いたカードを投げ入れる。
『CONFINE VENT』
突如ゾルダに装備されたギガホーンが砕けて消えた。
「なに!?」
「こーゆーカードも有るんだよ!」
驚愕するゾルダに殴りかかり、
更に新たにカードをベントインするガイ。
『STRIKE VENT』
今度はガイがメタルホーンを装備し、突っ込んでくる。
ゾルダはベルトからバイザーを引き抜き、それでもって応戦する。
(くそ!
ナイトや龍騎ほどじゃないが、まずい!)
ゾルダはガイの顔面を狙って銃撃し、
目くらましをすると車の間に隠れた。
「!? どこだ!?逃げやがったか!?」
(なにか……なにか逆転できる材料は……)
ガイにばれない程度に周囲を見渡すゾルダ。
しばたらくして何かに気付いたのか、
ガイの頭よりやや上を狙って走りながら銃撃する。
「な、何が…うげぇ!?」
銃撃された廃車はバランスを崩し、
ガイをうつ伏せに潰すように落下。
粉塵と轟音と共に倒れ伏したガイは
(しまった!デッキに手が届かない!)
そんなガイにゾルダは仮面の下で獰猛に笑い、
「こいつで、ラストナンバーだ!」
『SHOOT VENT』
切り札の一つであるギガランチャーを召喚し、装備。
藻掻くガイの頭に標準を合わせる。
「シュートォ!」
「だめぇえええ!」
ギガランチャーの砲弾が発射される。
ガイの頭部をと、砲口の間に、滑り込んでくる影があった。
由比ヶ浜結衣だ。
ギリギリで走り込んで来た彼女は、両手を広げて立ちふさがり、
「え?」
「はぁ!?」
次の瞬間、一瞬世界が白く染まった後、爆ぜた。
視界が光とは別の物に奪われ、
仮面越しに焦げ臭いにおいが充満する。
ミラーモンスターの身体すら粉々にするギガランチャーを受けて、
恐らく死体も残ってだろうが、それでも目が離せず、
今さっきまで結衣が立っていた場所を呆然と見つめるゾルダ。
「あれは……」
狙撃に特化したゾルダの強化された視覚が、
煙の奥で動くガイではない、もちろん結衣でもないシルエットと、
赤く輝る何かが見えた。
しかし、煙が晴れるより早くその場から消えてしまった。
「今のは一体……」
「次はない」
「!!」
声が、全く聞いたことの無い壊れた機械で出力したような声が、
ゾルダの耳を不快にくすぐる。
即座に反射的にふり返り、バイザーを向けが、誰もいない。
ようやく煙が晴れた方目を向ければ、
どういう訳か、気絶しただけで無傷の結衣と、
何とか車から抜け出したガイがいる。
言いようのない不気味なものを感じながら、
ゾルダは結衣を抱えてミラーワールドを後にした。
いかがだったでしょうか?
プロットを見返してこいつこんなライダーにさせる予定だったっけ?
とか自分が思っている作者です。
夏休み期間は何とか投稿ペース上げれるかな?
次回もお楽しみに。