やはり俺が仮面ライダー龍騎なのはまちがっている。   作:伊勢村誠三

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お久しぶりです。
就活がまあまあ順調なので投降します。


Kamen rider will fight to…

1

夜、総武高校奉仕部の部室に人影は……なかった。

だがよく目を凝らしてみると、カーテンが閉まっていない窓は外からの僅かな光が差し込んで少しだけ鏡のようになっており、現実ならざるミラーワールドの中に二人の騎士がいることを映し出していた。

 

「どうだった?」

 

緑色の騎士、仮面ライダーゾルダこと満坂栄喜が後から来た青い騎士、仮面ライダーナイトこと仲田真澄に問いかける。

 

「明日、川崎大志を二人で強襲する。

たしかテニス部休みだろ?戸塚との練習はあるのか?」

 

「ない予定になってる」

 

「そりゃいい。

早くしないと比企谷が腹決めて妨害してくる可能性があるからな」

 

「そう思うなら学校サボってでもしかけた方がいいんじゃないの?」

 

一年の頃に散々サボっているので個人的には良い手ではないのだが、そろそろライダーが減ってほしいと切実に思っている栄喜は一応提案してみるが

 

「後々の平塚の干渉で動けない方が痛い。

サボりとかはライダーが残り半数切ってからだ」

 

と、正論で断られた。

確かにより慎重を期すと考えればその通りだ。

 

「なるほど。それじゃあ、連繫でも確認しとこうか!」

 

栄喜はバイザーを引き抜いて背後の窓を撃つ。

割れる窓と共に張り付いていたセミ型のミラーモンスター、ソノブラーマが落下した。

二人のライダーは窓から飛び降り、着地と同時に格闘戦に入る。

 

「───っ!」

 

応戦するソノブラーマだが、二人がかりでは分が悪く、劣勢を強いられる。

それでも切りかかってきたナイトの腕を掴んでゾルダに投げ飛ばすソノブラーマ。

 

「逃がすかぁ!」

 

しかしゾルダはナイトとぶつかって倒れながらもバイザーを撃ち続け、飛び立とうとしたソノブラーマを地面と再会させた。

 

「トドメは任せろ!」

 

『ADVENT』

 

ナイトが召喚したダークウイングがソノブラーマに体当たりを喰らわせる。

そして十分体力を削り、カードを使う時間を稼いだナイトは必殺の一撃を要求する。

 

『FINAL VENT』

 

「うぉおおおおおおおお!」

 

背に合体したダークウイングと共に黒い矢となったナイトがソノブラーマを貫いた。

 

「お見事。明日は問題なさそうだね」

 

「ああ。ガイを脱落させて、残り9人だ」

 

そう言って二人はライダーの鎧の限界が来たのもあって撤退した。

 

 

 

2

ナイトとゾルダの密会から一夜明けた朝、川崎家のドアが乱雑に開かれて大志、続いて沙希が表に出た。

 

「お願いだから待って!」

 

「くどいよ姉ちゃん!

俺はもう引き返せないところまで来てるんだ!」

 

縋り付く姉の腕を強引に振り払い、バランスを崩した姉を見やる事なく歩き出す大志。

沙希は立ち上がると大志の前に両手を広げて立ち塞がる。

 

「このまま進んでいったら絶対ダメってことでしょ!

お願いだからデッキを捨てて!仲田だって大志を狙ってる!

きっといつか……」

 

「デッキを捨てた所で!……俺はもう人を殺してる!

それに、もしそんなことをすれば俺は口封じに仮面の男に殺される!」

 

大志は泣いていた。

泣きながら沙希を睨んでいた。

そしてその涙を仮面ライダーという仮面で隠そうとしていた。

 

「姉ちゃんだってなんも話してくれなかったくせに……。

こっちの心配無視してたくせに都合がいいんだよ!」

 

今まで一度も見たことのない弟の顔に、何より弟が修羅になった理由は自分にあると突きつけられ沙希は崩れ落ちた。

大志は呆然とする沙希を置いてその場をさる。

残された沙希の眼には、涙と怒りと、それ以外の激情が宿っていた。

 

 

 

3

「はぁ…。」

 

自転車の鍵を抜きながら八幡は憂鬱そうにため息を吐いた。

川崎姉弟とライダーバトルの件があるからだ。

八幡としては人を殺してまで叶えたい願いなどない上に真澄たちを止める理由もないのだが、姉から弟を奪うことの大きさが分からない程薄情でもない。

八幡もまた妹を持つ兄で、感傷を抱く一人の人間なのだ。

 

「どうしたら…ん?」

 

なんて考えながら適当に視線を動かしていると、隣に止まった自転車のミラーに移る人影を見つける。

ふり返ると、そこにはワインボトルを振りかぶる沙希の姿があった。

 

「ああああ!」

 

「危なっ!」

 

振り下ろされるワインボトルをなんとか避けてデッキを取り出す。

沙希は更に攻撃を仕掛けてきたかが、回転蹴りでボトルをそらしてから足払いを仕掛けて転ばせる。

そしてそのまま

 

「変し……え?いや…はぁ?」

 

しようとしたが、沙希は座り込んだまま泣いてしまっていた。

てっきり大志から無理やりデッキを奪って二代目にでもなったのかと思ったが、どうにも違うらしい。

こんな時に何したらいいか分からず、とりあえずハンカチを渡す。

 

「お、おい…落ち着けよ。何が、というかなんでと言うか…。

何から聞いたらいいか分かんないけど…」

 

沙希はハンカチを受け取り涙を拭うと、泣き止みはした様だ。

そして

 

「ごめんなさい……」

 

立ち上がって頭を下げてきた。

 

「殴りかかってきたのは、その、もう責めはしないから理由を教えてくれ」

 

大方、大志関連だろうがとは思いつつも沙希が呼吸を整えるのを待つ。

 

「大志を説得するのは、もう無理だと思って…。

だったらもう…戦って、大志のデッキを、、壊すぐらいしか思いつかなくて……」

 

話している内に沙希はまた泣き出してしまった。

 

(君死にたまふことなかれ、ってか。流石に見捨てたら寝覚めが悪い)

 

「しかたねえ。解決案の提示みたいで、

奉仕部的にはグレーだが……」

 

「?」

 

「要は金の問題を解決しりゃ良いんだろ?

だったら今からバイト全部やめて、授業態度まともにして奨学金狙いで行くぐらいしか俺には思いつかん。

けど、それをやると戦う理由がなくなった大志がやけになる可能性もある」

 

「そ、それじゃあダメじゃん!」

 

「だから俺がガイのカードを奪うかメタルゲラスを撃破するかする」

 

「でもそしたら仮面の男が口封じに…」

 

「俺のドラグレッダーを護衛に付かせる。」

 

「いいの?そしたらアンタの身はいつもは守られないよ?」

 

「いざとなったら仲田や満坂を頼る。

正直対価は高いかもしれないが、ライダーバトルを決着させればいい」

 

「……それ、難しいなんてもんじゃないよ?

なんでアンタそこまでしてくれんの?」

 

「シスコン、ブラコン仲間のよしみだと思っとけ。

言っておくけど、俺が勝手にやる事だからな?」

 

そう言って八幡は龍騎のデッキをポケットにしまい、鏡に映る歪な世界を睨んだ。

 

 

4

号令の直後、真澄は一度F組の教室に向かい、八幡がいる事を確認した。

 

「……。」

 

八幡は相変わらず眠いんだから不機嫌なんだか分からない顔で帰り支度をしており、特に勘づかれた気配はない。

 

「行くか」

 

一言だけ呟いて教室を出る。

その背中を八幡は見逃さなかった。

 

「まさか今日なのか?」

 

「ねえヒッキー部活……」

 

「悪い荷物任せた」

 

「うわっぷ!ちょっとヒッキー!?」

 

八幡は学生鞄を話しかけてきた結衣に投げ渡して教室を走り出る。

すでに真澄の姿はない。

 

「とりあえず部室行くか」

 

そして背後から聞こえる平塚の注意の声も無視して走る事数分。

ドアを乱暴に開けて八幡は飛び込むように入室する。

 

「誰!?」

 

「満坂と仲田は!?」

 

「まだだけど…て、あなたノックもせずに…」

 

「やっぱりもう行ったか!」

 

さっきから何の話を……と、問いかける雪乃を押しのけて八幡は龍騎のデッキを構える。

 

「おいついた!ってヒッキー?」

 

「変身!」

 

変身してそのままミラーワールドに突入する龍騎。

結衣と雪乃は全く状況がつかめぬまま置いてけぼりにされた。

 

「ええぇ!?な、なに!?

なんでヒッキー変身したの?またモンスター?」

 

「……由比ヶ浜さん。川崎さんを呼んできてくれるかしら?」

 

「それって!」

 

「そのまさかかもしれないわ。

仲田さんと満坂くんは川崎さんの弟くんを殺すきね」

 

 

 

5

「やぁあああ!」

 

「はぁ!」

 

「ぐぁああああー!」

 

龍騎が目的地に到着すると、もう既にことは始まっていた。

ガイはナイトとゾルダに一対ニで一方的に攻撃されている。

 

「もうおっぱじめてやがったか!」

 

龍騎はライドシューターのアクセルを目いっぱい吹かせ、三人の間を突っ切るようにして登場する。

 

「うお!」

 

「龍騎!?もうきやがったか!」

 

「……」

 

ライドシューターを降りた龍騎に咄嗟に武器を向けるナイトとゾルダ。

龍騎は無言でバイザーを開き、カードをベントイン。

 

『SWORD VENT』

 

ドラグバイザーが装備され、龍騎は切りかかった。

 

「うわぁあああ!」

 

「は?」

 

「え?」

 

ガイに向かって。

 

「ぐぅうう!あ、アンタも…」

 

「龍騎お前、なんのつもりだ?」

 

「勝負がつくまで共闘を守る。

俺たち奉仕部のルールだろ?何そんない驚く?」

 

「いやそうだが…」

 

呆けるナイトとゾルダをよそに龍騎はガイに攻撃を浴びせ続ける。

コンファインベントを使わせないために新しくカードは使わない。

ただひたすらに通常攻撃だけで攻め立てる。

 

「いいざまだな!

姉ちゃん泣かして一人抱えて突っ走った結果、こんな序盤に退場か」

 

「だ。だまれ!アンタら全員倒せばいいだけだ!」

 

無茶苦茶に拳を繰り出すガイ。

だが龍騎はそれを簡単に蹴り祓うとがら空きの背中に斬撃を喰らわす。

 

「言う割には技に殺気が無いぞ!

ミラーモンスターの方があるくらいだな!どうした!」

 

一方的な連続攻撃でガイを的確に追い詰めていく。

 

「だ、まれ…っ!俺は後戻りできないんだ!」

 

「それで苦しんでる事すら誰にも言わずにずるずる悪い方に沈んでくのか!?

そうなってる姉ちゃん見てらんなくてライダーになったんじゃないのか!?」

 

「そ、それは……」

 

「お前が人を殺すのは勝手だ。

だがそうやって手に入れた汚い金で生活するのは誰だと思う?」

 

龍騎は剣を左逆手に持ち直し、カードを引いてバイザーを開ける。

 

「お前の家族だ。」

 

「ッ!」

 

『STRIKE VENT』

 

ドラグクローが装備され、一気に踏み込んでガイの腹部に叩きこむ。

 

「ぐはぁっ!あ、ああ……」

 

仰向けに倒れたガイの胸部アーマーを踏みつけ、首筋にドラグセイバーを突きつける。

 

「お前は耐えられるのか?

他人の血と臓物で豊かな暮らしをする家族を見て、

自分の手が真赤だって何度も思い知らされる日々に」

 

「それは……それは……」

 

「自分の我儘だって開き直んなら、後悔の無いように戦え。

それが出来ないんならライダーなんてやめちまえ。

メタルゲラスなら俺がきっちり倒してやる」

 

「アンタ、なんで俺にそこまで?」

 

「ブラコン姉ちゃんがあんだけ苦しんでんの間近に見せつけられちゃあ、シスコン兄ちゃんとしては一肌脱がない訳にはいかなかっただけだ。

比企谷小町って飛び切りの美人、知ってるか?」

 

「え!?じゃあアンタ、小町さんのお兄さん!?」

 

「ああ、言っとくけど妹は渡さんからな?」

 

龍騎は剣を引いてガイを立ち上がらせるとナイト、ゾルダに向き直る。

 

「いつからお前は青春活劇が好物になったんだ?

随分その腰抜けの肩を持つじゃないか」

 

「それに他人の為の願い否定しておきながら、自分は他人のために戦うの、ちょっと気にくわないかな……」

 

「俺は、特に命を賭けて戦う理由なんて、死にたくないからぐらいしかない。

けど別にライダーを守るを今んとこの願いにしてもいいんじゃねえの?知らんけど」

 

「そうか、ならその願いに殉じて死ね!」

 

「逃げろ大志!」

 

二対一でも奮闘する龍騎に背を向けガイは逃げ出した。




ストックが尽きるのでそのうち台本の方も書きます。
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