アレから早いもので数年が経過し現在15歳。
俺……って言って良いのかわからないが俺達? はまぁ、なんとか日常を過ごしていた。マクロスのキャラに転生したのは軽くビビったけどね。
マクロス。それは前世の俺が珍しく夢中になっていたロボットモノのアニメ作品を指す言葉。
大まかに説明すると宇宙に進出しようって人類が異星人と出会い、戦争を経て歌によって和平を勝ち取るって作品だ。そんでもって俺が転生してしまったキャラはそのマクロス作品……って言うよりシリーズの多分5作品目に当たる作品、マクロスΔに登場する歌姫達だ。
瞬時にマクロスの世界に転生しちまったか! っとビビったりもしたけどそれは間違い。調べてみると宇宙からの超巨大な落下物も外惑星探査計画も無かった。けれど、その代わりに現代の世界としてはあり得ざるモノが普及していた。それは────魔法だ。
まぁそんなこったで普通に魔法のある、元の世界に似た世界。そんな場所にマクロスのキャラクターとして誕生してしまった俺の、俺達の人生は色々と忙しかった。
まず1人目の俺である美雲・ギンヌメールから語っていこう。
元の設定では美雲・ギンヌメール────美雲は風の歌い手と呼ばれる古代人の細胞を利用して作られたクローンなのだが……この世界ではそんな事、ないらしい。
「本当に美雲は鍛えがえがある子よね……私に似たのかしら?」
この世界では普通に生まれた普通の子……じゃ、なかった。
一応生まれ自体は普通らしいけどその秘めた才能は凄いらしく、何をやらしても一流と同じぐらいに出来る……らしい。正直自分でやっといて何だけど実感がまるでない。確かに色々と出来るのは自覚してるけど、そんな大袈裟に言うほど上手くは無いしどっちかと言うと器用貧乏だと思う。
「さぁ、もしかしたお母様では無くお父様に似たのかもしれませんよ」
「……口調は少なくともそうね。似なくて良い所ばっかり私になるんだから」
そしてそんな俺に向かって色々と残念だなぁー的な視線を送るこの人が母親の
元はすっごい歌手だったらしく、俺にお歌のレッスンを施してくれる良い人。俺を将来自分みたいに歌手にしたかったらしいのだが……まぁ、これに関しては残りの4人にも関係する事なので後に説明しよう。
まぁ、そんなこったで美雲としての俺は色々と器用にこなす事ができる子として生活している。
そんじゃお次はカナメ・バッカニアとしての俺だ。
マクロスΔにおいてカナメ・バッカニアと言う人物の経歴は少々特殊だ。
美雲達歌姫とグループを組む前はソロアイドルとしてデビューしており、結果は散々だったが他の人と比べてアイドルとしての経験は豊富だったりする。なんでその設定をあらかじめ紹介したかと言うと……今生、俺事カナメ・バッカニアはアイドルとして絶賛活動しています。んで、今は撮影の真っ最中です。
「カナメちゃーん! もっとこっちに目線頂戴」
「は、ハイ!」
「────お、そうそうそういい感じいい感じ!」
「」
アイドルになったまでの経緯を一言で説明すると────全て親バカな父親が悪い。カナメとしての俺の父、イサク・バッカニアはバッカニア・カンパニーって言う結構大きな会社のCEO。お金と権力だけは無駄にある人物で1人娘である俺に対しては激甘な人だ。
そんでもって俺はその事を知らず、ある時言ったまったんだ。"アイドルに憧れるなぁ〜"なんてな。口は災いの元って良く言ったものだ。
「おおおおおお! カナメちゃんの願い、お父さん頑張って叶えちゃうもんねえええええ!!!」
「えぇ!? お父さんホント!???」
次の日、大手芸能プロダクションが買収されたってニュースで大きく報道された。そんで買収先はバッカニア・カンパニー。その日帰って来た父は笑顔でこう語ったよ────
「大丈夫カナメちゃん! 明日にはアイドルになれるからねぇ」
────ってな。
いやー、その時は思わず恐怖しちまったぜ。思わず口走った一言の影響で何千人かもしれない人達の人生を変えちゃったんだからさ。
そして父の言った通り次の日、その大手芸能プロダクション──改名されてバッカニア・カンパニー芸能部門事務所へと父に連れられ、八百長じみたオーディションを受ける事となった。
「えっと、「じー」お、お名前をどうぞ」
「カナメ・バッカニア、10歳です!」
「そ、それではカナメ・バッカニアさん。我プロダクションへの志望理由を──「じー」──ッヒ、お、お聞かせくださいませ」
……ホントすいません。
面接官──恐らく社長さんの悲鳴が混じりながら面接は進んで行き、そしてその場で合格を言い渡される。うん、明らかに父が何かした結果だね。
なんだか申し訳なくなった俺はやるなら全力で色々頑張った。勉学は勿論のこと自主練に徹底した体調管理、暴走する父を宥めたりとマジで頑張った……が、頑張った。勉学に関しては他の4人がいなきゃ絶対出来なかったね、うん。それからは事はトントンと進み、今では元気にアイドルしてます。
「はい、これで最後。お疲れ様カナメちゃん、今日も良い感じだったよ。コレなら次回も楽しみだ」
「あはは、ありがとうございますカメラマンさん。だけど、今回が最後の撮影で残念ながら次回はありませんよ」
「あ、そぉーだった。そういえばカナメちゃん、引退するんだったね……」
そう、アイドルは今回の撮影を最後に引退する。
既に引退ライブは行なったし、今回の撮影だってラストアルバムの表紙を飾る写真の撮影だ。
確かに今思わなくても始まりこそ色々と問題だけども、実際やってみるとかなりやりがいのあって楽しかった仕事だったと思う。けど、俺の本当にやりたい事の障害になりかねない。だから、辞めるのだ。
カメラマンさんと一二言会話し、別れを惜しまれつつ俺は撮影スタジオを後にする。向かう先は玄関ホール、父の待つ場所だ。
「お父さん、お迎えありがとう」
「可愛い娘の為だ。例え火が振ろうと隕石が降ろうと、戦争の真っ最中だって僕は駆けつけちゃうよー」
おっふ、相変わらず父からの愛は重いなぁ。……まぁ、それに慣れちゃってる俺も大概だと思うけど。
真っ黒な専属ドライバー付きの車に乗せられ、まるでVIPかのように見送られる……これだけは馴れないなぁ。
「────ところでカナメちゃん、本当に良かったのかい?」
車に揺られ、独特の振動で眠気を感じつつあった道すがら。隣に座る父は問う。
「アイドルは楽しかったんでしょ? だったら辞めなくても……それにそんな危ない事をカナメちゃんがやる必要は────」
まぁ、父の言いたい事は良くわかる。最初父に俺の目標を話した時はヤバかった。猛反対に加えて、子供のように駄々をこねてる姿は目に余るものがあった。
「────あるのよお父さん。だって、私の目標だから」
「……意志は変わらず、か。全く、誰に似たんだか」
貴方の強情さは見習わせてもらいましたから、多分父じゃないかな?
そんな感じでカナメとしての俺は目標の為にアイドルを引退して、新たな一歩を踏み出したんだよな。
そんじゃお次はマキナ・ナカジマこと中島マキナとしての俺だ。
マクロスΔにてマキナはアイドル兼メカニックな変わったキャワワな仲間思いな子だった。そんでもって今世のマキナとしての俺はそんな例に漏れず、メカニックとして日々頑張っている。
「ほぉ、マキナ。おめぇ、また変わったCAD作るじゃねぇか」
「でっしょーおじいちゃん。このキャワワなマイク型デバイスは私の
自信作なんだ!」
俺へ怖い顔ながらも笑いかけてくるこの爺さんの名は中島
普段は厳しい人だが、時おり褒めてくれる良い人だぞ。
「だがなぁ……コイツの容量、いくらなんでも少なく無いか?」
彼の手にするのは一見するとただのマイク。だが、それは俺の人生で2番目に情熱を掛けたオリジナルのCADだ。
CAD──正式名称、
魔法が一般的に普及しているこの世界で、いわば魔法の杖としての役割を有しているデバイスだ。魔法使い達は一応これなしでも発動は出来るけれど、あるのと無いとでは発動速度が段違いなので必要不可欠と言っても良いモノだ。そしてマキナとしての俺が、この世界でメカニックを務める物でもある。
「特化型だとしても最大3つって、おい。容量は有り余ってんだからもっと増やしても────」
「いーの、いーの。この子に関しては無駄なモノを増やし過ぎると本来の機能が動かないかもしれないんだから」
いやー、これを作る為に苦労したよ全く。美雲としてメインで使う魔法を選定して、カナメとしてバッカニアカンパニー内にあるCADに関する情報をこっそりとかき集めてマキナへ送り、それを基礎に何年も歳月を費やしてコレを作ったんだから。
「────ソフト面に問題はない。その記憶容量も全て使う予定。だからそれ以上増やすと使いたい事に使えない」
おっとと。自分自身の事なのにもう1人の自分を忘れていた。
「レイレイ!」
「ん、ごめん遅れた。お母さんが魔剤を飲もうとしてたから止めてた」
彼女──つっても俺自身だが名をレイナ・プラウラー、4人目の俺だ。
物語内ではマキナと同じくアイドル兼メカニック。って言ってもマキナと違いハードでは無くソフト。つまり電子技術者として活躍していた。そしてマキナと同じく、今世ではCADのソフト面を担当している。
そんでもって現在はマキナの開いたパソコンの画面から会話への遠隔参戦だったりするぞ。
「つってもよ……こんな際立った設計じゃ、限られた人間しか使えねぇぞ」
「問題ない。量産予定もない、完全なワンオフ」
「顔見知りの人しか使う予定ないから大丈夫だよー!」
それでも納得してくれないおじいちゃん……まぁそりゃそうか。おじいちゃんが会ったことある他の
「まぁ、この刻印が打ってあるって事はヴァルキリーとして作り上げたんだろうから下手な物では無いと分かるが……」
ヴァルキリー。
バッカニア・カンパニー率いる会社の一つ、CADの開発、販売を独自で行える中島工業。そこに属するマキナとレイナを合わせた技術者としての名だ。
人気はそこそこ。流石に凄腕の技術者であるトーラスシルバーには負けるけどヴァルキリーとして開発したCADはそれなりの人気を誇っている。
だからこの刻印を打ってるって事は会社の名を、そのブランドを背負っていると同じ事。だからおじいちゃんから見てヘンテコりんなこのマイク型CADに刻まれた刻印を見て、不安そうな顔をしているのだ。
「大丈夫、安心。時が来ればコレの価値がわかる」
「まぁ、売り出す予定は無いけどね」
「むぅ……何か困ったら遠慮なく言うんだぞ」
そう言い残して工場を出て行くおじいちゃん。
んー、これだから俺はおじいちゃんを嫌いになれない。
「それじゃレイレイ。カナカナやクモクモ、フレフレの分をパッパと作っちゃおうか」
「大丈夫だ、問題ない。徹夜の準備は出来てるか? 私は、出来てる!」
「……もしかして魔剤飲んじゃった?」
そんな感じで俺達の夜は更けていった。次の日の朝、2人とも言わずもがな寝坊をかましたのだった。きゃー、学校遅れたくないー。
さぁ、ラストの俺の登場だ。林檎大好きフレイア・リンゴ────じゃなくてヴィオン。
マクロスΔでのメインヒロインであり、数々の災難を乗り越えて主人公であるハヤテ・インメルマンとある意味作中最高のハッピーエンドを迎えたヒロインだ。いやぁー、あのシーンは最高でしたよねぇ。
今世でのフレイアとしての俺は────リンゴ農家の娘です。
「んにゃ、今年のリンゴも美味しいねぇ」
ある意味一番人生を楽しんでると思う。リンゴは好きだし、リンゴは美味いし、リンゴを育てれるしでリンゴ好きである俺にはたまらない生活だ。
「なぁ、フレイア」
「ん? どうしたんハヤテ。リンゴ食べる?」
そして嬉しい事にハヤテ・インメルマン似の幼馴染までついて来てヤベェ。ハヤフレ派である俺は毎日がハッピーでたまらないのだ。っく、我儘を言えばそんな2人を見守る草でありたかった……
「いや、リンゴはいらないが」
「そう。なら私が食べる────んんん////」
「ハァ……いい加減お前、勉強しなくて良いのか?」
「ん? お勉強? ちゃんとしとるよ」
「あんなのでしてると言えるのか?」
ハヤテの見つめる先を俺は追う。そこには積み上げられた冬休みの課題がががが……
「わ、私は何も見とらん」
「いや、現実を直視しろよ。現実逃避に走ってんじゃねぇよ」
「うぅ……だってもう覚えてる範囲なんやもん。だからやる気が無くなるぅ」
仕方ねぇじゃん。フレイアとしての俺が住んでる場所はかなりの田舎。そこの中学校で教える内容なんてたかが知れてる。最先端の教育を受けてるカナメや専門分野の知識であるマキナにレイナ、割と普通な高校に通ってる美雲として学んだ知識さえあれば大丈夫と思うだけど────内申点かぁ、やっぱり。
「でもそんなんじゃお前の言ってた一高に受かんねぇぞ。東京の魔法科高校に行けねぇぞ、それでもいいのか?」
「うぅ、うぅぅぅぅ」
一高。正式名称、国立魔法大学付属第一高等学校。魔法技能師もしくは魔法師の養成を目的に設立された学校だ。端的に言えば魔法使い育成学校。
そんでもって第一高は全国でも最難関。東京と言う日本国の中心に立つだけあって難易度はピカイチ。じゃなんでそんな場所を目指して勉強してるかって言うと俺を転生させてくれた女神様のお願いを叶える為だったりする。
時は戻って俺が目覚めてから数日経過した頃。どうやら女神様側も俺が5等分に別れた事は予想外らしく、謝罪のお手紙を五通もらった。恐らく分割しても意識は分かれてない事を把握できてないんだろうな。
そんでもって手紙の内容だが、7割謝罪のお言葉と3割これからの事。そして残りの1割が女神様からの頼みだった。その頼みの内容を端的に、一言で言うならこう。
「別の転生者がその世界のキーパーソンである人物にちょっかいかけると思うから何とかして」
ってな感じだ。この事を考えるに分割思考を使い多数決をとったところ、ほっといても問題ないと美雲、レイナ、フレイアの俺は判断した。だが残りのマキナ、カナメは違った。わざわざ女神様が言うんだから何か取り返しのつかない事になるんじゃないかと。その考えでレイナとしての俺は意見を変え、票差は逆転。女神様の頼みを叶えることとなった。
場所は先程も言っていた東京にある魔法科高校。ご丁寧に学費なんかも女神様が出してくれるらしいので後は勉学をしてそこへと入るだけ。
幸いな事にこの体達はかなり優秀で魔法が扱える体質だ。だからこそ俺は目指した。ついでに全ての俺が合流する事も視野に入れて。
そんな訳で現在俺は魔法科高校の受験に受かる為、猛烈勉強……してたんだぁ。リンゴが美味し過ぎるのが悪い。
「ぅぅぅぅ、ハヤテぇ……代わりにやってぇ」
「……おめぇ、それを前にやってお前のお母さんからしこたま怒られた事忘れたのか?」
「だってぇ────」
そんな感じでフレイアとしての俺は日常を過ごす。
そして冬は続き年が明けて桜満開で春のせせらぎが聞こえる4月。俺達は集合する。様々な疑念渦巻く事となるイレギュラーな世代として────
に、二話に分かればよかった。
・美雲・ギンヌメール
超有名歌手の元に生まれた主人公。
その才能は素晴らしく、大体の事を沙汰なくこなす天才。
だが、カナメとしての自分とすぐに比べてしまう為に自己評価が微妙に低い。
・カナメ・バッカニア
超巨大財閥であるバッカニア・カンパニーの一人娘として生まれた主人公。
様々な最先端に囲まれ、順風満帆に育った結果努力のみで美雲と同じ領域に立つ。父親からの愛が重いと感じる今日この頃だが、それでも嫌いになる事はない。
才能の塊である美雲とすぐに自分を比べる為に自己評価が若干低い。
実は全世界を魅了した伝説的なアイドルとしての顔を持つ……が、本人はちょっと人気が出たアイドル程度にしか思っていない為に気付いてはいない。
・中島 マキナ
バッカニア・カンパニーの傘下のであり、その持ちうる技術のみで半ば独立している企業、中島工業の一人娘として生まれた主人公。
実は彼女の腕は既に凄腕にまで達しているのだが、近くにそれ以上の
レイナと共にヴァルキリーと言う名で自作CADを売り出し、市場が大荒れした。トーラスシルバーの片割れは素で困惑した。
・レイナ・プラウラー
凄腕プログラマー。それ以上に語る事は、ない。
魔剤中毒な凄腕プログラマーな母親がいる為に毎日介護で大忙し。
マキナと共にヴァルキリーと言う名で自作CADを売り出し、市場が大荒れした。トーラスシルバーの片割れは実機を購入し、リバースエンジニアリングしようと試みた結果、解析不可能と言う結果が出て困惑した。
・フレイア・ヴィオン
みんな大好きフレイア・ビオン! なぁ、好きだよな? 好きって言えよ! ────よし。
普通のりんご農家の一人娘として生まれた主人公。
才能も普通、魔法士としての才能も平凡な普通の女の子。
だが、他4人の知識や技術を引き出す事ができる為に何気に一番ヤバイ。
最近自分で育てたりんごの木に身が成ってハッピー。
・主人公
未知のウィルスにより死んでしまった不幸で勇敢な人。
今世では5つの体を手に入れ、様々なトラブルに巻き込まれながらも平穏を望む。
複数の体を一つの意思で操る感覚は例えるなら一つのアカウントで複数のキャラを同時にプレイする感覚……だ、そうだ。