個性は【直死】。   作:はやてだわきち

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月姫リメイクを持っていないので初投稿です。


プロローグ
死を視る


 俺がまだ3歳だった時の話だ。

 幼稚園の一室にて、男の子が先生や友達に囲まれていた。男の子、爆豪勝己は手の平から小さな爆発を起こして見せていた。

 

「すごいよ爆豪くん! ヒーロー向きの個性だね」

 

 すごいなぁ、羨ましいなぁという声が皆から上がっていた。当時の俺はまだ個性が目覚めていなかったから、皆と同じように顔を輝かせて羨んでいた。

 

 その日は爆豪ーーーーかっちゃんの話題で持ちきりだった。グラウンドで爆破を見せて貰ったりしている内に、仕事を終えた両親が迎えに来ていた。

 

 

「パパ、ママ、僕も早く個性が目覚めないかな」

 

「そうだな、父さんと母さんの個性は似てないから複合個性はないとして、どっちかの個性が目覚めるんじゃない?」

 

「いやいや、案外よく見えて早く動ける個性って感じで混ざるかもよ?」

 

「うわぁ……! 楽しみ!」

 

 夜も目が冴えてしまい、遅くまで騒いで呆れられたことを覚えている。

 

 

 

 

 

死を視る

 

 

 

 

 

 目が覚めた時、視界には真っ赤な()が見えていた。天井にも、壁にも、布団にも、目に見える全てに()が見えた。

 

「やった! 個性だ!」

 

 喜び勇んで布団から飛び上がり、それでも収まらない喜びを全身で小躍りして示した。

 かっちゃんの個性みたいにヒーロー向きの個性かな? そう思うと試してみたくなってきた。

 しかし、()が見えるだけで特に何も起きていない。爆発も起きないし、空だって飛べない。

 ジッと見つめてみても何も起きない。全身に力を込めても何も起きない。

 四苦八苦しながらも、ほどなくして当時の俺は正解を見つけた。

 

「線をなぞればいいのかな?」

 

 人差し指で椅子の()に触れてみると、()の奥に指は沈んだ。

 そのまま()をなぞって指を動かすと……。

 

 椅子は、死んだ

 

 線の通りに椅子は分割され、もう座ることなど出来そうにもない。

 その時の高揚は感じたことのない程だった。ヒーローになった様に感じて、部屋中のありとあらゆる物を壊して回った。

 親に怒られるかもとは考えてもいなかった。

 

施希(しき)? 起きてるの?」

 

「ママ! あのね、僕ね、個性がっ!」

 

「えっ! そうなの!? …………あ、もしかしてこの惨状は施希が?」

 

「さんじょ? ……………あっいやちがくて」

 

 冷や水を浴びせられたようだった。

 言うまでもないことだが、実に厳しく説教された後、病院の個性科にかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(みなもと)施希(しき)くんとお母さんですね。個性が目覚めたってことだけど……どんな個性ですか?」

 

 個性科のある大きな病院に来ていた。計測機器が充実していた方が、個性の詳細がわかるから近場で妥協しなかったらしい。

 

「朝部屋に入ったら家具という家具がバラバラになってて……」

 

()が見えるの。その通りになぞったら壊れるみたいなの!」

 

「なるほど……。親御さんの個性は?」

 

「私は物を透過して遠くを見れます。夫は、どこかからエネルギーを持ってきて早く動いたり発電したりします」

 

「で、施希くんは線が見えてなぞると壊れると。…………ところで施希くん、僕やお母さんに()は見えるかい?」

 

「え?」

 

 人に()が見える。この質問まで一切気にせずにいたが、人にだって確かに()が見えていた。

 それに気づくと浮かれた気持ちが一瞬で消えてしまった。自分の個性が、簡単に人を殺せてしまうと気づいてしまった瞬間だった。

 

「そうか。しかもオンオフ出来ないとなると、ヒーローのサポートアイテムの会社にお願いして、アイテムを買う必要がありますね」

 

 そのサポートアイテムが届くまで、俺の精神は病む一歩手前まで追い詰められることになった。

 ()を親や友達を傷つけるかもしれない恐ろしいものと思うようになってからは、あれほど待ち望んだ個性を嫌うようになった。

 地面にも見える()は、世界の脆さを目にしているようで嫌いだった。だから空を見上げるのは好きだった。空には()が見えないから。

 

 サポートアイテム、メガネが届くまでにはヒーローになる気も失せていた。

 そうなると少しずつ孤立していくのは自明の理。かっちゃんには呆れられた。イズクも無個性だといじめられ、孤立していた。

 

 

 そんな俺に転機が訪れたのは、小学5年生の夏休みのことだった。

 

「へぇ、神秘の薄れた時代で、志貴と同じ眼を見ることになるとは思わなかったなぁ。……魔眼じゃなくて、個性ってのみたいだけど」

 

 金髪に真っ赤な目の女の人、アルクェイドさんとの出会いが、俺をヒーローの道へと導いていった。

アルクェイドとの過去編、書いた方がいいですか?

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