個性は【直死】。   作:はやてだわきち

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 初めて誤字報告頂いたので初投稿です。


過去と審査

『アルクェイドさんの知り合いにも、この個性の人がいるの?』

 

 5年生だった俺は、美貌の吸血鬼に問いかけた。

 

『個性じゃないんだけどね。【直死の魔眼】っていう魔眼で……正確には超能力だった気もするけど、まあおんなじ眼を持ってたね』

 

 魔眼とか超能力とか、俺の知らない異能の話をするアルクェイドさんは、どこか遠くを見て懐かしむような顔をしていた。

 自分のことを真祖の吸血鬼とか言うのだし、本当に昔から生きてるのかもしれない。だとしたら、俺と同じ眼を持っていてアルクェイドさんの最愛の人だというその人は、既に……。

 

『志貴ってばすごいんだよ! ロアに力を盗られてたといってもほとんど最強だった私を17分割しちゃうんだもん。プロの殺人鬼だと思ったのに、普通の高校生だって!』

 

 だというのに、志貴という人のことを話す笑顔は屈託がない。心の底からその頃を懐かしみ、自慢に思って俺に話していた。

 

『いや、俺にはロアさん? も真祖ってのもわかんないんだけど……?』

 

『あー、そうだよね。なら堕ちた真祖狩りの頃から教えてあげるね』

 

 アルクェイドさんの話は、月の王、真祖に死徒、アラヤとガイア、超常黎明期どころでない古い時代の話もあれば、件の志貴さんにシエルさんというカレー好きのシスターさんといった、せいぜい百年や二百年前の話もある。

 正直、そう簡単には信じられる話ではなかったけれど、それを表情豊かに、主観まみれで誇らしげに話すアルクェイドを見れば信じてもいい気がした。嘘を言うような人には思えなかった。

 

『そのメガネだって、志貴がミスブルーから貰った奴みたいに魔術の礼装じゃないんでしょ? 個性の研究と科学でそこまで出来るなんて、どれかの魔法が魔術に堕ちるのも近いね~』

 

『うん。買ったときに相澤っていう人の個性を参考にしたけど、誰かの個性で産み出したとかではないって』

 

 

 

 

 

 

 

 

過去と審査

 

 

 

 

 

 

 雄英高校の一室、恐らくは会議室にヒーロー科の教員が集結していた。

 つまりは全員がプロヒーロー。未来のヒーローになり得る有精卵たちを選別していた。

 

「実技総合成績出ました」

 

 モニターに映し出された成績には、2つの観点が記されていた。(ヴィラン)ポイントと救助活動(レスキュー)ポイント。受験者には明かされていなかった救助活動ポイントはかなり順位に影響し、敵ポイントが0である緑谷出久を7位にまで押し上げていた。

 

「まさか0ポイントをぶっ飛ばしちゃうなんてねぇ」

 

「過去にも向かっていったのはいたけど、倒しちゃったのは久しく見てなかったな」

 

 緑谷出久。No.1ヒーローオールマイトから個性【ワン・フォー・オール】を受け継いだ少年は、まだ制御出来ない超パワーを扱いきれず、倒した仮想敵は0ポイントの一機のみだった。

 だが、瓦礫に挟まれ動けなかった麗日お茶子を助けるため飛び出し、0ポイントを倒したことが評価されたのだ。

 

「っていうか、0ポイントを倒したのなら俺が見た会場にもいましたよ」

 

「ああ! ナイフの子ね! なによ、折寺中の子は粒ぞろいじゃない」

 

「緑谷くんと違ってポイントを稼いでいたから、60ポイントはあげなかったけど……それでも74ポイント。他の子と同率で2位合格。素晴らしい成績だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通知が届いた日。俺はひとりで裏山に来ていた。

 アルクェイドさんと出会った場所だ。俺にとっては人生の転機、ヒーローを再び目指すきっかけとなった出来事。

 

「アルクェイドさん。俺、雄英受けたよ。通知も届いた。開けるなら此処だと思ったから持ってきた」

 

 当然、返事なんてない。アルクェイドさんはもうこの街にはいない。もしかしたら外国に行ってるのかもしれない。流浪の旅をしているらしいし、また会うこともそうそうないだろう。

 それでも此処で開けることにしたのは、ひとえにアルクェイドさんへの感謝だ。あの出会いがなければ、俺は個性から眼を背けながら生きていただろうから。

 

「それじゃあ、開けるね」

 

 封を切り、中身を取り出すと紙ではない物も入っていた。

 なんだこれ、と手に取るとブンッと音を立てて光のモニターが投映された。

 

『私が投映された!』

 

「んっ!? え、オールマイト!?」

 

 そこに映っていたのは、俺たちが憧れるヒーローのトップ、No.1ヒーロー、オールマイトだった。

 

『私は来年度から雄英の教師なのさ! 驚いただろう? ごめんね!

 えーと、筆記は8割。まあギリギリ合格点だ。実技では54ポイント。素晴らしい、文句無しの合格さ!』

 

「! やったよアルクェイドさん!」

 

 喜びのまま恩人の名を呼んだ。本当なら本人に感謝を伝えたいものだが、いないものはいないのだ。心の内で喜びを噛み締める。

 

『しかも! 私達が見ていたのは敵ポイントだけに非ず! 救助活動ポイント! もう1つのヒーロー基礎能力。君は20ポイント、計74ポイントで……聞いて驚け、何と次席合格さ!』

 

「え、えぇ!?」

 

 次席と聞いて、驚きを隠せない。確かにこの個性は殺してもいい、あの様な機械なら無類の強さを誇る。しかしそれでも、天下の雄英高校だ。受かっただけでも驚くべきことなのに、まさかの次席。此処まで上手くいくと夢ではないかと疑ってしまう。

 

 やったじゃん、と風に乗って声が聞こえた気がした。

 はい。アルクェイドさん。これからも俺、頑張るよ。この守る力で、最高のヒーローになって見せるから!

 

『よくやった、源少年。此処が君の、ヒーローアカデミアだ!』

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