退屈を紛らわせたい   作:ダーリア

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 閲覧感謝。
 誤字脱字多分あります、ご容赦。
 基本はご本家設定準拠ですが、妄想を多く含みます、ご容赦。

 口調はともかく、致命的に原作から外れるような設定を私が出したら、そっと教えて下さると有難い。

 緩めの日常系にでもなればいいと思います。
 更新頻度未定、なんなら次も怪しい。










 

 

 

 「では、我が主。また会える時を楽しみにしております。」

 「ああ。」

 

 

 異様な大きさと形の羊の顔の男が、影の中へと、音もなく落ちていく。

 

 手に出している眩い炎を見つめる。

 これが、私の身体から影を生み、悪魔の道を作り出したものだ。

 

 地獄の炎、などと呼ばれるそれは、悪魔にとっては、とても心地が良いものらしい。

 その光で出来た影など、特上の住処だという。

 

 そんなものを扱えるのは、世界中を探しても、そうそう見つかるものではないだろう。

 

 炎を消すと、手のひらに桜の花びらのようなものが、数枚、数秒だけ残って、空気に溶ける。

 

 

 初めて見た訳でもないその光景を、少しだけ、ぼぉ、っとするように見つめてから、部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 レンガの家が並ぶ街並みは、美しく映る。

 近頃は、衛生面も改善されつつあり、より、私が知る現代に近づきつつある。

 

 今は、20世紀初頭。

 発展していく世界と、同時に失われていくものに、少しだけ寂しさを感じる。

 

 

 しばらく歩くと、商いが盛んな区域に入る。

 かつて見慣れたスーツ姿も、ここ最近では見かける事もあり、心なしか足取りが軽くなる。

 

 人々が、行き交うこの区域においても、人が見つめない裏はある。

 

 少しだけ外れた場所にある路地へ入ると、何もないレンガの壁を、拳の裏で3回、少し間を開けて4回叩く。

 

 壁についた汚れが水で流れるように、レンガの景色が落ちて、いつみても真新しい木の扉が姿を見せる。

 

 扉が現れたという事そのものが、歓迎の意だ。

 私は、扉を開けて中へと入った。

 

 

 

 

 

 

 「あのババア、ここぞとばかりにぼったくりおって……。」

 

 入った扉から、外へ出て、独りごちる。

 私が入ったのは、魔法に関わる雑多な素材や薬が売られている店だった。

 

 力のある魔法使いや、著名な魔法使いは皆、何らかの理由で死んでしまったり、新天地へ向かったり、どこかに引きこもってしまっているので、人が集まる街中でこういった品を手に入れるのは難しい。

 

 だからと言って、外に行っても店は無いし、現地に取りに行くのも遠い。

 

 あそこは、悪魔がやってる店だ。

 店主は夢魔で、見た目はシワシワのババア。

 

 私は、特殊な事情もあって、アレにたぶらかされることは無いが、数年前に、街で話題のイケメンが毒牙にかかっているのを見た事があるので、やることはやっているらしい。

 

 この街に碌な店が無いことを知っているババアは、客が怒るギリギリのラインを見定めて金を毟りとってくる。

 

 腹立たしいことだ。

 

 

 

 歩いて、人の目が届かない寂びれた路地から転移して、自宅の周辺に着く。

 

 私の家は、人里からそうは外れていない森の中。

 

 長いこと魔法をかけ続けて、人間からこの森を開拓しないよう誘導しているので、まさしくここは私の庭とも言えるわけだが、同時にそれは、魔法を知る者には目立つ存在になってしまっている。

 

 まぁ、ここは私の別荘のようなもので、もう何百年も帰っていないが、本当の家は別にある訳だし、その辺の魔法使いや悪魔、妖怪に襲われた所で負けないし、最悪勝てないまでも逃げるくらいは出来るから、気にしてはいない。

 

 

 ふと気が付いて、普段は森を転移して家まで行く所を、わざわざ森を歩いて、たまに植物を採取しながら、家へと戻る。

 

 今日は良い木の実と茸が採れた。

 食事をする必要は無くても、美味しいものは食べたら食べたで嬉しいものだ。

 

 今のところ、魔法以外に娯楽がない私にとっては、美味しいものを食べるのは、趣味の一つとも言えるだろう。

 料理が上手い訳ではないけど。

 

 

 森を進むと、霧が深くなる。

 その霧は、人間や、動物を寄せ付けない霧。

 

 霧の壁を抜ければ、館が見えてくる。

 

 時たまに迷い込む人間はいるもので、魔力や霧に酔って気絶しているのを、街に帰してやっているが、私が外壁を塗り替えようとして面倒になって放置した館の姿を見て、悪魔の館なんて勘違いしているのを、街を歩いていて聞いたことがある。

 

 ……下手に魔法でやろうとしたのがいけなかったのだろう。

 

 大きな肉塊を叩きつけたような、赤黒い染みが点在する姿は、確かにそう思われても仕方ないとは思うが、自分では外から見ることはないし、悪魔のウケが良いから、これで良いのだ。

 

 

 

 ここまでのジメジメとした空気感とは打って変わって、程よい湿気になるように調整してある館周りには、まだ昼であることから、暖かな陽光が降り注ぐ。

 

 面倒なので開けっ放しにしてある門をくぐり、庭へ入ると、私が庭で何か作業をする時の休憩スペース────ティーテーブルやパラソルなどが置いてある夢のお茶会スペースに、誰かが座っているのが見える。

 

 おおよそ森にはそぐわないが、壁の模様に目を向けなければ、館には似合うのだろうか。

 紫色の髪や、ナイトウェアのようなローブを身に着けた女性が、パラソルの影、椅子に腰かけて、本を読んでいた。

 

 

 

 誰かは分からなかったが、彼女が居たからこそ、私は、わざわざ食材を集めつつ、歩いて帰ったのだ。

 

 

 

 門を抜けて、切りそろえられた芝生へ足を踏み入れると、私の足音が鳴る。

 

 すると、それに気づいたのか、本にしおりを挟みながら閉じた女性が、ゆっくりとこちらに振り向く。

 それに合わせて、私は声をかける。

 

 

 

 「いらっしゃいご客人。待たせてしまったかな。」

 「いいえ。貴女が古の魔女さん?ずいぶんお若いのね。」

 

 

 

 私の流儀は、初めて来た者には、ちょっとした料理をふるまい、この森からの歓迎を受けさせることなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──紫髪の女性──

 

 

 

 魔法使いとしての一人前の証、寿命と食事の必要を捨ててからしばらく。

 

 魔法使いの癖に、体質的に魔法が扱いづらい、虚弱体質の私は引きこもって魔法の研究をしていたが、手元にある資料では、やはり限界がある。

 

 私のような魔法使いは、現代では各地にバラバラに生きていて、互いの関わりが薄い。

 

 私の家族も、私が魔法使いとしてある程度やっていけるようになってから、行き先だけを教えて私を置いて行った。

 

 別にそれについてどうこう思うことは無い。

 

 私の興味はもう魔法に向かっていたし、その頃はまだ蔵書を明かしていなかったのだ。

 

 

 そこから数年。

 

 両手ではとても抱えきれないほどの書物も、全て読み終えてしまった。

 

 そこから知れた、生まれた魔法のいくつかも、発展の余地はあれど、今すぐにどうこうなる物では無いし、そもそも私は魔法の行使が得意では無かった。

 

 そこで、私はこの長年過ごした家を出る事にした。

 

 遠出をするのは、初めての経験だし運動は苦手なので、夜の間に、人目を避けて飛んでいく事になるだろう。

 

 ひとまずは、何か魔法の要素がある場所を目指していけば、何か得るものもあるだろう。

 

 

 

 そう思って家を出たその夜。

 

 住んでいた場所からそう遠くない場所に、露骨に魔法のかかった森があった。

 

 空から見下ろせば分かる場所、森の中央に建っている、壁の色だけが異様な雰囲気の館は、明かりが灯っていない。

 

 釈然としない気分になりながら、自宅へ帰る。

 

 頃合いを見て夜が明けたら、姿を消しながら、館へ向かう事にした。

 これくらいの距離を隠れて移動するなら、別に魔法を使う事も苦にはならないだろうからと。
















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