ボーダー唯一の男性オペレーターは今日も忙しい   作:マサフ

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ワートリのオペレーターはひゃみさんが好きです。宇佐美先輩も好きです。国近も好きです。みかみかも好きです。小佐野も好きです。今ちゃんも好きです。ヒカリも好きです。かわいいかわいいマリオちゃんも好きです。要するに大体好きです


昴と氷見亜季

「スーーーーハーーー」

 

 氷見亜季は二宮隊の作戦室の前で息を整えていた

 

(落ち着いて…大丈夫…あくまで先生に教えてもらうようなものなんだから)

 

 遡ること数日前

 ボーダーに入って数週間、中央オペレーターで研鑽を積んでいた彼女はある日月見に声をかけられたのだ

 

 どこかの部隊に入る気はない?と

 

 突然声をかけられた彼女は戸惑いながらも断った。オペの実力がまだ不足していると思ったこともあったが一番の理由は自身の性格であった。

 幼いころから緊張癖があって引っ込み思案な彼女は隊に入ればいやでも隊員と関わらなければいけないため部隊のオペレーターになることは気が乗らなかったのだ。ボーダー隊員の多くが男性であることを考えればなおさらであった

 そのことを聞いた月見は頭を抱えながら氷見に昴を紹介したのだ。月見曰く

 

 「あなたオペレーターの才能があるのにそれを生かさないなんて勿体ないわ。私の弟子を紹介するから彼の下で学べばその癖もきっと克服できるわよ」

 

 というわけで半ば強引に昴との会合をセッティングされたのだった

 

(うう…まさか二宮隊のオペレーターだったなんて)

 

 正直帰りたい、それが彼女の素直な心境であった。会ったことのない噂でしか聞いたことがない男性オペレーターの下で学ぶことが非常に億劫であった。これなら月見に指導してもらいたかったが、月見からは

「オペレーターとしてやっていくなら男の人にも慣れておいたほうがいい」

という理由で拒否されてしまったのだ。

できれば入りたくないもののここでずっと立ってるわけにもいかない。

 

「し、失礼します!」

 

 作戦室の扉をノックした氷見は扉を開けて中に入った。

 そこにはお目当ての昴も隊長の二宮もついでにあの飄々とした犬飼もおらず

 

「ひえ…」

 

 女子とのコミュニケーション能力が壊滅的な二宮隊のアタッカー、辻しかいなかった

 

 

 

 

 

 

 

「あ…あの…その、どちら様…ですか?」

「えっと…その私は…」

 

 その後作戦室の椅子に座ってくつろいでいた辻は慌てて立ち上がりしどろもどろになりながらも来客を迎えた。

 

「えっと…桐山先輩という方は…いらっしゃいませんか?」

「き、桐山先輩でしたら…少し用事があるみたいで…そ、その…もうじき帰ってくるとは…思うんですが…」

「そ…そうですか…」

 

 女子が苦手な辻はもちろん、氷見もまた初対面の男性相手であがってしまい、二人の会話は非常にギクシャクとしていた

 

「あの…私は氷見亜季と言います。月見さんの紹介でこちらに来ました…」

「そ…そうですか…えっと…つ、辻新之助といいます…」

「あ、はいわかりました。よろしくお願いします…」

「よ、よろしくお願いします…」

「「・・・・・・・」」

 

 用件を伝えて自己紹介が終わると二人は無言となってしまった。というか座って待てばいいものを二人は立ったまま無言で静止していた。

 

(よりによってなんで俺しかいないときに…)

 

 辻は頬を染めて氷見から目を背けながら心の中でつぶやく。二宮はランク戦、犬飼は弟子の指導、昴は先ほどまでいたのだが少し用事ができたらしく出て行ってしまった

 

(き、桐山先輩早く戻ってきてください…!犬飼先輩でも二宮さんでもいいから誰か…)

 

 辻は泣きそうになりながらメンバーが戻ってくるのを待つしかなかった

 一方の氷見も泣きそうであった。いざ昴に会いに来たら部屋にいたのは辻一人だけ。同級生の宇佐美曰く辻は女性が苦手らしくまともに会話することすらできないらしい。顔を赤らめて不安そうにおろおろするのはやめてほしい。こちらまであがってしまうではないか。

 そんな恨み言を心の中でつぶやきつつこの空気を壊してくれる誰かが来るのをただ待つしかないのであった

 

(一番いいのは桐山先輩…犬飼先輩も話すことは得意らしいから多分なんとかなる…二宮さんは…)

 

 できれば二宮以外のどちらかが戻ってくることを願う氷見だったが

 

ガチャ

 

「…何やってるんだお前ら。というか誰だ」

 

 現実は非情であった

 

「に、二宮さん…あの私は氷見亜季といいます…月見さんの紹介で…」

「…ああ月見が言ってたオペレーターか。辻、昴はどうした」

「き、桐山先輩は少し用事ができたみたいで先ほど部屋を出ていきました」

「ちっ…何をしてるんだあいつは。おい、氷見」

「は…はい!」

「突っ立てないで座って待ってろ。昴なら直に戻ってくるだろう」

「わ、わかりました…」

 

 氷見を来客用の椅子に座らせた二宮は続いて辻に尋ねた

 

「お前も何突っ立てるんだ辻」

「ええと、これは…」

「…ちっ」

 

 おそらくだが辻しかいないときに氷見がやってきて、女とまともに話せないせいで固まってしまった。大方そんなところだろうと目星をつけた二宮は辻に告げた

 

「おい辻、暇ならランク戦にでも行ってこい。今なら風間さんや生駒もいる。相手をしてもらえ」

「…!わ、わかりました!」

 

 二宮の言葉を聞いた辻はほっとした表情で部屋を出ていきランク戦に向かうのであった

 

(ちっ、なんで俺がこんなことを)

 

 もとはといえば氷見は昴の客だ。セッティングしたのは月見とはいえ張本人のあいつが何故いないんだ。二宮はいら立ちを隠せなかった。とはいえ自らの作戦室にやってきた客を無下に扱うほど二宮も鬼ではなかった

 

「おい」

「は、はいぃ!」

「コーヒーは飲めるか」

「は、はい大丈夫です」

「淹れてくるから少し待ってろ」

「い、いえ!お気になさらず!」

「…ちっ」

 

 一方の氷見は内心ガクブルであった

 

(なんで辻君いなくなっちゃうのお!?二宮さんもなんか不機嫌だしこれなら無言でも辻君と二人のほうがよかったのにぃ!!)

 

 二宮は少し不機嫌とはいえ基本的にいつもこんな感じなのだが初対面の氷見にそこまでわかるはずもなくただただ早く昴が戻ってくることを祈るしかなかった。ちなみに二宮はミルクと砂糖も別々で用意していた。意外と気が利く男なのである。

 

ガチャ

 

(来た!?)

「お疲れ様でーす、あれ二宮さんお客さんですか?」

「ああ、昴の客だ」

 

 違った、犬飼先輩だった。というか張本人全然来ない

 

「へえキリくんの、初めまして俺は犬飼澄晴」

「氷見亜季です…」

「ああ!月見さんの言ってた子か。確かキリくんの弟子になるんだよね。よろしくねひゃみちゃん」

「よろしくお願いします…」

(犬飼先輩すごいな…)

 

 さきほどの辻とは正反対ともいえる対応に氷見は少し驚く。というか昔からよく呼ばれてる呼び方とはいえいきなりあだ名…

 

「キリくんはいないんですか?」

「ああ少し用事が出来て出て行ったらしい」

「へえごめんね?待たせちゃって。」

「いえ…大丈夫です…」

 

 それから二宮が入れたコーヒーを飲みつつ待つこと数分

 

ガチャ

 

「お疲れ様です!すいません遅れました!」

(やっと来た!)

 

 気が付けば二宮隊のメンバー全員と話していた氷見はお目当ての人物がようやくやって来たことに安堵した

 

「おい、どこ行ってたんだ」

「京介に太刀川隊の作戦室に呼ばれて…」

(烏丸君と仲いいのかな?)

 

 どうやら用事とは太刀川隊に呼ばれてのものだったらしい。烏丸君を呼び捨てにしてるが仲がいいのだろうか?烏丸のことが気になっている氷見としては少し気になる部分であった

 そんなことを考えているとどうやら話を終えたらしい。ようやく話ができる

 

(二宮隊の人たち全員と話したんだ。大丈夫、普通にすればいい)

 

 しどろもどろだった辻、(一見)不機嫌そうな二宮、話しやすい犬飼と濃い三人と話したんだ。もうどんな人でも大丈夫だろう。氷見は意を決して昴のほうを見た

 

「初めまして桐山昴です。月見さんから話は聞いてるからよろしくね氷見さん」

「・・・・・・・・・・ひゃい」

 

 後に氷見は友人の宇佐美と綾辻に語った。昴と対面した瞬間、二宮隊の人たちと話したこと全て吹っ飛んだ、と

 




サブタイ、氷見と二宮隊でもよかったかもしれない。
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