「早速だがオペレーター志望ということでいいんだな、桐山?」
「は、はい!そうです!東さん」
東隊の作戦室にて昴と東が話を始める。
(この人が東隊の隊長、東さんか…)
初めて見る生の東を前に昴は非常に緊張していた。
東春秋、始まりのスナイパーと呼ばれるその男ことはよく知っている。元々勤勉な昴はランク戦をよく見学していたが、その中でも東隊は群を抜いて強い部隊といえた。
圧倒的なトリオン量から相手を寄せ付けない攻撃を繰り出すシューター、二宮匡貴
スコーピオンを用いたアタッカーとしてもシューターとしても隙がない加古望
そして弧月を用いた近接戦、銃を用いた遠距離戦共に強力なオールラウンダー三輪秀次
そんなメンバーの中で昴はリーダーの東を強く尊敬していた。
スナイパーとしての腕前もさることながら特に注目したのはその巧な指揮だった。東隊のメンバーは一人一人が無類の強さを誇るため極端な話、みなが自由に動いてもポイントを稼ぐことができるだろう。しかし東はそんな三人に的確な指示を飛ばし、動かしている、そして東の指揮を受ける三人に隙は全く見られない。これは相手からすればたまったもんじゃないだろうなぁ。ただでさえすごい人たちがすごい人の指揮を受けてさらに強くなってるんだから。A級一位を取る日もそう遠くないだろうなぁ。昴はそんなことを考えていた。そんな尊敬する東に直接指導を受けられる。秀次からそう聞いた時にはとても驚いたものである。
「まず一つ言っておくが、知っての通り俺はオペレーターじゃないからオペレーターについてはあまり詳しくない。そこは本職の月見に聞いてくれ。」
「そういうわけだからよろしくね桐山君。」
「はい!よろしくお願いします!」
「それで、戦術についてはお前がオペレーターとしての知識を一通り身に着けてから教えようと思っている。いいか?」
「は、はい!わかりました!」
「よし、それじゃ頑張ろうか」
話を終えた東に対して昴は秀次に話を聞いた時から抱いていた一つの疑問を投げかけた。
「あの、東さん。どうして俺にこんなによくしてくれるんですか?俺秀次や東隊の皆さんに比べたら大した才能があるわけでもないのに…」
「ふむ、そうだな…」
少し考えた東は笑みを浮かべながら言った。
「桐山、まずお前は才能がないというがそんなことはない。お前にも才能はある」
「え?」
「お前のランク戦の映像をいくつか見たが、あれでお前のことはよくわかる。武器の性質や相手の動き方などよく調べているな。」
「でもそれは才能というよりは…」
「ああ、それは努力だな。だがお前に才能を感じたのはそこじゃない。お前の戦い方だ。」
「戦い方?」
「そうだ。相手をうまく動かしていると言うべきかな。相手の戦い方を研究することで相手をこちらの思うようによく動かせている。ただB級以上となると戦い方、相手の動かし方に加えてトリオンも必要になってくる。そこは惜しいところだな。」
「…はい」
「だが、相手の動かし方がわかっているということは相手の付け入る隙をよくわかっているということ。それは指揮官になるには必要となってくる力だな。お前にはその力があるんだよ、桐山」
「動かす力…」
「俺が目をつけたのはそこだ。今はまだ発展途上だが伸ばせばきっとすごい力になる。そんな気がしてな。この力は一度戦闘員を経験したからこそ身に着けることのできた力だ。つまり、お前が戦闘員として積み重ねてきたものは無駄にはならないってことだ。」
「・・・」
「だが、オペレーターとしてこの力を身に着けるには敵の動かし方だけでなく味方の動かし方もよく理解しないといけない。それは普通のオペレーターよりも厳しい道になるぞ?大丈夫か?」
「…はい!やってみせます!俺にそんな才能があるなら俺はそんなオペレーターを目指したいです!」
「うん、よく言った。それじゃあこれからよろしくな桐山。」
「はい!よろしくお願いします!」
昴は東に深く頭を下げてそう言うのだった。
「じゃあ月見、まずはよろしく頼む。」
「はい、わかりました東さん。それじゃあ桐山君、こっちに来て早速始めましょうか。」
「わかりました!」
そういうと昴は月見と共にオペレータールームへと向かうのだった。
「東さん、昴のこと引き受けてくれてありがとうございます。」
三輪は東にそう感謝を告げた。
「気にするな秀次。それにお前があんな風に俺に何かを頼んだことなんて初めてだったからな。」
東は笑いながらそう言うのだった。
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それは昴が東隊の元を訪れる数日前のこと
「俺に指導してほしい人がいる?」
「はい、そうです」
東隊の作戦室にて三輪は東にそう話した。
「桐山昴、俺の同期で先日まで戦闘員だった男です。」
「戦闘員だった、というと?」
「今はオペレーター志望なんです。」
東は腕を組み、三輪の話を聞く。
「オペレーター志望だったら、俺じゃなくて月見に頼んだほうがいいんじゃないか?」
「もちろん月見さんにもお願いするつもりです。東さんには昴に戦術を教えてほしいんです。」
「戦術か…」
三輪は顔を歪めて言葉を続ける。
「実は迅の奴に言われました。昴には戦術の才能があって鍛えれば光るものがある。東さんや月見さんの下で修業すれば立派なオペレーターになれる、と」
東はなるほど、と納得した。迅の予知によるものならおそらく自分や月見が指導をすることでその桐山昴という男がオペレーターとして大成するのは確かなことなのだろう。
同時に一つの疑問も浮かび上がった。三輪は迅のことを好ましく思っていない。そんな三輪が何故迅の頼みを素直に聞き入れ、自分に頭を下げているのだろうと
そんな東に三輪は言葉を続ける。
「ですが、俺は迅の予知を抜きにしても昴に光るものがあると思っています。」
「ほう…」
「あいつはトリオンに恵まれずにずっとC級にいました。トリオン量がたったの1だから当然です。そんな戦闘員は昴以外にいません。」
三輪のトリオン1という言葉に驚きながらも東は話を聞く。
「しかし、あいつは諦めませんでした。トリオンがないことを言い訳にせず、武器の使い方や相手の動き方、トリガーの善し悪しをC級の頃からずっと学習していました。」
俺も参考にしてたくらいです。三輪は苦笑いしながらそう言った。
「その努力の甲斐あって、昴は一年かけてようやくB級に上がることができたんです。ですがB級以上だとトリオン1では厳しいというのは東さんにもよくわかることですよね。」
「まあ、そうだな。そもそもトリオン1というのは戦闘員としての適性はないに等しい数値だ。」
「はい、ただ戦闘員としてはダメだからといってあれだけの努力を積んできた昴を俺は見捨てたくないんです。東さん、どうかあいつの指導をお願いできないでしょうか。」
再び頭を下げる三輪に東は目を丸くした。普段からネイバーの撲滅のことばかり口にし、ひたすら訓練と戦闘に明け暮れる三輪が友人のために頭を下げる。そんな光景を想像したことがなかったからだ。
「よし、わかったよ秀次。お前がわざわざ俺に頭を下げてまで頼み込むほどの男なんだ。一度会って話してみよう。」
「…!ありがとうございます東さん」
「気にするな。それに俺もその桐山に興味が湧いてきた。一度ログでも見てみることにするよ。」
「わかりました。よろしくお願いします」
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「確かに素質はありそうだ。どれほどのものになるか俺も楽しみになってきたよ。」
「そうですね。きっとあいつなら立派なオペレーターになります。」
三輪と東はそんな話を続けるのだった。
オペレーターの訓練はよくわからないので飛ばし飛ばしになると思います・・・
後基本戦闘描写も苦手なので恐らく飛ばし飛ばしです・・・