今日はオペレーターの合同訓練だ。仮想戦闘のオペを行って機器操作や情報分析、並列処理などの能力を測り、オペレーターとしてのパラメーターを計測するのである。ただしオペレーターは戦闘員とは異なりC級やB級といったランクは存在しないため、結果が悪かったからといって後に大きく響いたりすることはない。とはいえ能力が高いオペレーターほど部隊にスカウトされたり、上層部から登用されたりすることもあるため大事な訓練であることに変わりはない。
ちなみに俺は将来的に妹と部隊を結成することがほぼ決まっているためここでの結果が悪くてもそこまで影響はないがもちろん手を抜くつもりはない。俺の今までの成果を試すいい機会だ。全力で頑張ろう。
「まあ、こんなものだよな」
結果は全体の真ん中より少し上といったところ。この訓練は新人からベテランまで、全てのオペレーターに行われるものだ。オペレーターに転向して約三か月が過ぎた今の俺の実力を考えれば中々いいのではないだろうか?そう考えると月見さんには頭が上がらない。
「桐山君おつかれ~」
「あ、おつかれ国近さん」
そんな昴に声をかけてきたのは太刀川隊オペレーター、国近だ。
「どうだった?桐山君?」
「俺は真ん中くらいだよ。国近さんは?」
「ふふ~ん、私は上から五番目くらいだよ~」
「おお、すげえ」
流石あの太刀川隊のオペレーターだ。オペレーターを始めた時期は俺と同じくらいなのにすごいなぁ
「国近さん相変わらずやるね」
「私はもともとこういうの得意だからねえ。ゲーム大好きだからさ」
「ゲーム得意ならオペうまくなるの?」
「知らないけどなるんじゃないかな。」
「マジか、俺もゲームやろうかな」
「ゲームやったことないの?」
「小さい頃はやってたけど家倒壊してからここ一年以上はやってないよ。」
「じゃあ後でうちの作戦室で一緒に遊ぶ?」
「いいのか?」
「私も遊び相手ほしいからね」
「じゃあ行かせてもらいます」
「やったね」
そんな話をしてるとまた別の人が来た
「お!国近さん、桐山さんお疲れ様です」
「お、宇佐美ちゃんお疲れ~」
「宇佐美さんお疲れ様」
二人に声をかけてきたのは後の風間隊オペレーター、そして玉狛支部のオペレーターとなる宇佐美栞だった。
「桐山さんお久しぶりです!そろそろ眼鏡つける気になってくれましたか!?」
「何度も言うけど俺別に目悪くないから」
「が~ん…桐山さん顔いいから絶対似合うのにぃ…!」
宇佐美のオペの腕も非常に大したものなのだが、昴と顔を合わせるたびに眼鏡を勧めるのが難点であった。
「宇佐美ちゃん、私も似合いそう?」
「もちろん!国近さんも眼鏡つけますかな?」
「やった~、でも私も別に目悪くないからいいや」
「上げて落とされた…!」
そんな話をしているうちに人が一人また一人と増えていき気が付けば8人も集まっていた。
「そういえばみんなもう所属する部隊は決まってきた?」
そう尋ねたのは昴の師、月見であった。ちなみに合同訓練では余裕のトップだった
「私はもう太刀川隊に所属してるからねえ~」
「私も嵐山隊にいますので」
そう言ったのは国近と嵐山隊のオペレーター綾辻であった
「私は諏訪さんとつつみんがもうすぐ部隊作るからそこに入る予定でーす」
「私も風間さんに誘われてるけど、まだ風間さんのお眼鏡にかなう隊員がいないみたいだから部隊所属になるのはもう少し先かな~」
そう答えたのは宇佐美と後の諏訪隊オペレーター小佐野である
「私はまだどこにも所属する気はないです。まだオペレーターとしての実力も足りないので」
「私ももう少し先になりそうです」
そう答えた二人は後の荒船隊オペレーター加賀美と後の2代目風間隊オペレーターみかみかこと三上であった
「俺は1年後にボーダーに入隊する妹とチーム組むつもりなんでまだまだ先ですね」
そして最後に返答したのは昴であった。
「へえ、桐山先輩の妹さんボーダーに入るんですね」
「ああ、俺の指揮で戦うのも面白そうとか言ってたよ」
「じゃあ桐山君それまでにもっと腕あげないといけないねえ」
「だな。オペレーター兼隊長も務めるわけだし頑張らないといけねえわ」
「もちろん。オペレーターも隊長も遂行できるようにもっと鍛えてあげないとね」
「はは…お手柔らかにお願いします月見さん…」
そんな会話を聞いていた小佐野は昴にこう尋ねた
「それにしても桐山先輩、こうやって女の子に囲まれてるのに全然緊張してませんよねー」
元モデルの小佐野が話す男子は大抵が緊張してあたふたしながら話すので小佐野は不思議に感じていた。増してや自分だけでなくこんなにたくさんの女の子と一緒にいるのに。
余談だが後にボーダーに入隊してB級へと昇格する男性のほとんどが別に小佐野相手でもそこまで緊張せずに話せるような人たちばかりなのはまた別の話である
「ああそうだな、う~ん…女の子に話しかけられるのは別に慣れてるからかなあ」
一瞬空気が凍り付く
「桐山君中々すごいこと言うねえ。こんなにかわいい子たちに囲まれてるのに」
「でも学校でも数人の女の子に話しかけられるのはよくあるし」
「ほう…よっぽどモテるんだねえ」
国近が声の高さを1トーン下げてそう尋ねた
「はは、そんなことないよ。俺全然モテねえし」
そんな国近の変化にも気づかず昴はそう返した。
「でもよく話しかけられてるんですよね…?」
「ああ、まあ話しかけられはするよ」
昴は一呼吸置いてこう答えた
「烏丸君の好きな人知ってる?…ってね」
ああ…女性陣達は若干納得したような表情でうなずいた
「京介の好きな相手とか、好きな食べ物だとか、普段どんな感じだとかよく聞かれるもんだよ」
「烏丸先輩ボーダー外でも人気なんだ…」
「むしろ人の多さで言えば学校の方が上だしね」
「ま、あいつならモテて当然じゃない?なんてったって京介だし」
昴は軽めの口調でそう答える
「桐山さん、そんな風に話しかけられて嫌じゃないんですか?」
そう尋ねたのは綾辻だ。烏丸同様ボーダー内外で高い人気を誇る彼女だからこそ何か思うところがあったのかもしれない
「いんや?別に。わざわざそうやって俺に話しかけるのも結構勇気いると思うしな」
可能な限りなら応援してやりたいよ、昴はそう答えた
「ま、京介に迷惑かけない程度での話だけどな」
「ほほう、桐山先輩中々男前ですなぁ。とりまるくんや女の子のことそんなに気にかけて」
「お、そうか?」
「そこで眼鏡を付けたらさらに男前になると思うのですが!」
「結局そこに行きつくんかい」
宇佐美の言葉を適当にあしらいつつ、昴は続けた
「ま、悪いことばかりじゃないよ。世話になったからってバレンタインにはチョコくれたりしたし」
「やっぱモテてるじゃーん」
「いやいや、義理だよ。その子たちが好きなのは京介だったんだから。でも最近の義理チョコって結構豪華だったりするんだよなあ。普段あんま食べないから有難いよ。」
(((ん…?)))
「義理で豪華だから気兼ねなく妹や弟にも分けてあげられるしな」
(((うわあ…)))
それほんとに義理か?さりげなくえげつないことやってるなあ…何人かの女性陣はそんなことを思ったとか
そんなわけで何人かの女性陣に怒ってるような憐れんでるような不思議な目を向けられたことを昴は不思議に思いつつ、その日の訓練は終了するのだった
後日
「…ってことがあったんだけどとりまるくんどう思う?」
「あの人が鈍感なのは昔からなんで」
「やっぱりそうか~」
「後相談だったら俺の方にも結構来てたんすよ」
「ん?」
「桐山君が全然意識してくれないとかです。正直俺に言われても困るんすけどね。一度思い込んだら中々変わりませんからあの先輩は」
「…とりまるくんもとりまるくんで大変なんだね~」
昴に思いを寄せる女性に同情しつつ国近と烏丸はそんな会話を続けるのだった。
結構難産でした。あんまり大人数にせずに絞ったほうがよかったかもしれない。