そいつは世界観が壊れる力を持っていた   作:ナリキン

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 ヤッベ、設定ミスった(そもそも最初から……)
まま、エアロ(魔法)

 年齢詐欺、あっても良いと思います(開き直り)


其の者、戦禍にて輝けり

 目を覚まし、天井を見上げる。部屋が少し、揺れていた。地殻変動が設定されていないこの星故、この揺れは地震によるものではないだろう。

 

 地上の様子を見る為、私は監視システムを地上に切り替えた。ディスプレイに映し出された光景は、かつて慣れ親しんだ戦場の様があった。

 枯れたはずの闘争心が僅かに疼いたが、こんな程度の低い戦いに身を投じたところで虚しいだけだろう。ま、ポップコーンを摘まめる映像ぐらいにはなってくれるはずだ。

 

 戦場の方々を見て回り、その退屈さから欠伸が出た。これなら研究をしていた方が、まだ気が紛れただろう。映像を切ろうとした時、目の端が戦場の動きを捉えた。

 アリステラ国家の防衛線の一部が、微妙に乱れている。視界をまわすと、王宮へと続く防衛線が敵国の少数部隊に突破されていた。それも、年端のいかない少年兵たちによって。

 

 その敵国の少数部隊が持つトリガーは、隊長格の青年以外自爆用の粗悪な物であった。隊長格の少年が守った上で、一人の子供を防衛線に辿り着かせ、自爆させる。その空いた穴を敵国の少数部隊は勢いのままぶち抜いて行った。

 この調子だとマザートリガーまでは行かないにしろ、王宮には確実に被害が出るだろう。アリステラ国家の技術力では止める間もなくドカンだ。

 

 まあ、戦争自体には勝てるだろう。敵国はトリオン兵の殆どを排出し、増援も来る気配が無い。一部の艦艇は撤退を始めている事から、王宮に進む一団は大方捨て石のようなものだろう。被害が出て、疲弊すれば御の字。その程度の浅はかな考えを感じる。

 

 本当に見る価値の無かった戦争だ。敵国は最初から負けるつもりで攻めてきていたのだ。物量に任せた消耗戦程、飽きが来るものは無い。

 これが出来るのは、この銀河で一際発展していた幾つかの国家。その内、距離が近い国家であればアフトクアトルだろうか。

 何にせよ勝敗の決まった戦いはつまらないし殺意が湧く。苛つきから舌打ちをし、映像を乱雑に切った。

 

 頭を冷やすのにシャワーでも浴びるかと扉を開くと、扉の前に彼が居た。『絶交』していたようだ。全く気が付かなかった。

 だが、妙だ。普段からして感情の起伏が少ない彼だが、今は取り分け凪いだ海辺のように静かであった。

 

「ごめん、母さん。……僕、行くよ」

 

 何処へ、という問い掛けは彼の姿と共に消え失せた。トリオン体の残留物がその場に浮遊している。彼の『分身能力』だ。ここに居たのは意識の繋がったトリオン体だけ。なら、本体は何処に?

 

 私は直ぐ様監視システムを再稼働させ、彼の行方を追うのだった。自分の足で、後を追おうともせずに。

 

 

 

***

 

 

 

 アリステラ王宮、その門前。最前線から数km離れた安全地帯に、敵国の部隊が居た。もぬけの殻な市街地を破壊しながら直進し、迎え撃つアリステラ兵を純粋な実力で打ち負かして、今、その凶刃を王宮へ振るおうとしている。

 

 王宮の前には勇敢で果敢な戦士たちが、最後の守護者として敵国の部隊と対峙する。アリステラ国家が誇る精鋭部隊。戦地から遠く離れた地を守るため、連携のなっていない薄っぺらい防衛線を築いた。

 

 両者向かい合い、激突する。その時、その中心地に、年端のいかない少年が降り立った。

 

「な、何だぁこのガキ。どっから現れ……ってなんか、知っているような……?」

 

 丸腰、しかし体は深緑に光輝いている。戦場にそぐわない異物に、アリステラ国家の精鋭部隊は警戒心を抱き、已然として存在する敵への注意を疎かにした。

 

 ドスドスッ、と四角錐の金属片が精鋭部隊らに突き刺さる。

 

「え?」

 

 電流が迸り、爆ぜた。周囲にトリオンを撒き散らし、粉煙から覗くのは、何にも出来ない生身の人間たち。

 

「ヒ、ヒイィィッ! 助けてくれぇ!」

 

 口々に助命を願うも、特効するような人間が聞くはずもなく、無情に追撃を放とうとする。だが安心してほしい。今ここで、勇敢で果敢な戦士たちは死なない。何故ならこの場には、弱き物に味方するヒーローが居るのだから。

 

 金属片を浮かべる青年の頭が、突如として消し飛んだ。ひれ伏す精鋭部隊の者たちは、眼前に突きだされた光景に理解が及ばなかった。ただ分かるのは、皹割れ行く敵の傍らで拳を振り切った状態の少年が、この現象を引き起こしたということだ。

 敵のトリオン体が崩壊し、砂埃が立ち込める。

 

「ちっ、ここまでか……。まあ良い。程度は知れた。これなら滅びるのも時間の問題だな。

 惜しむべきは、俺の命が無駄に終わることか。ま、それも良いだろう。これから先、生きる宛もない」

 

 響く声には一切の感情がこもっていなかった。本当にどうでも良いことなのだろう。それがひしひしと伝わってくる。懐から取り出したスイッチを躊躇無く押したのも、きっとどうでも良かった事なのだろう。

 周囲に佇む、爆弾として多用されていた物言わぬ少年兵たち。それらの体が、一斉に輝き出した。

 

 ───自爆

 

「本当に、大人ってやつは救えないね」

 

 それを見るや少年は駆け出した。余波で後方でへっぴり腰だった精鋭たちがぶっ飛ぶが気にせずGO!

 

 少年兵は全員で八人、等間隔に横に並んでいる。輝き具合から爆発するのにあと一秒といったところだ。最早爆発は不可避だと思うかもしれない。だが、少年なら、窮地を救うヒーローならば、それを防ぐなどやってのけて当然なのだ。

 

 少年兵らの真横に到達した少年は、指先を一つ向けた。教育が行き届いているようで、横から見ると一人しか居ないと錯覚する程に乱れがなかった。これならいけるだろうと高を括った少年は、指先にトリオンを集束させて弾丸として打ち出した。

 サッカーボール程のトリオン弾は、少年兵らの胴体をトリオン供給器官諸とも消滅させた。

 

 元を絶ったのだから爆発が起こるはずもなく、残ったのはへたり込む生身の少年兵たちだ。頭部には大小様々な突起物が有り、目の色は全員漏れ無く変色している。

 突起物が最も多い少女に関しては、体が妙な方向へ折れているのに身動ぎ一つしない。焦点の合っていない、そもそも瞳の区別が付かない程真っ黒の目を開いたまま、虚空をさ迷わせている。

 

「……バケモンがよ」

 

 憎々しい顔付きで、自爆スイッチを押した張本人が少年を睨んでいる。やはりその声に起伏は無いが、睨み付けるその瞳の奥には確かな感情が有るように思えた。

 

「バケモン? いいや、違う。僕はヒーローだ。差し詰め、弱小国家に助太刀し、その敵対国の奴隷兵まで救うヒーローってところだ。勿論、救済対象に君も入っている」

 

 遠方から飛んできたトリオン波が、少年が放ったトリオンによって掻き乱された。俗に言うジャミングというやつである。

 

「ッ! 今……何を」

 

「受信先が君の脳天であったトリオンを遮断した。こんな状況でくるものは、大抵ろくな物じゃあないからね。

 ま、詰まりだ。救ったんだよ、君の命を」

 

 思い当たる節が有ったのだろう。青年はそのまま押し黙り、項垂れた。

 

「ま、そんな事より。この子を見てくれよ。この子をどう思う?」

 

「……実験体、その、成れの果て。俺も、似たようなもんだがな」

 

 少年は件の少女を抱えあげて、嬉々とした表情で尋ねた。それに対し、青年は沈んだ表情のまま答えるのであった。

 

「そうだ、その通りだ。脳に無理矢理詰め込まれたトリオン受容体によって、機能の殆どが停止している。

 だけど、この子は生きている。生きようと足掻く意志がまだ残っているんだ。素晴らしいと思わないか?」

 

「ああ、そうだな。事実、その子は強かった。絶望的状況の中、皆を鼓舞し、生きる希望を説いていた。一年に及ぶ人体実験に耐え、つい先日まで話せていたんだ。

 精神と肉体が解離しているような、そんな異常な頑強さがあった。だから、その子が話さなくなって、俺は悲しかった。物言わぬ肉塊が転ぶ部屋で、ただ独り立っていたのは耐え難い苦痛だった」

 

 深緑に光輝く少年は、青年の話を聞いて悲しそうな顔をした。本当に、悲しそうな顔をしたのだ。まるで自分の事のように、青年と少女の境遇を悲しんでいたのだ。

 

「辛かっただろう。苦しかっただろう。だけど安心して。僕が救ってあげるからね。

 君たちは僕が救うに値する存在だ。そこに転がったままの早々に生きるのを諦めた軟弱共には無い、何よりも尊き価値が有るんだ。だから、どうか僕に救わせて欲しい」

 

「……もう、遅せえよ。その子も俺も……もう手遅れだ」

 

「いいや、まだ間に合うさ。まだ救える」

 

 青年の無気力な瞳が、少年を射貫く。微かな激情が青年の項垂れた首を持ち上がらせたのだろう。

 

「お前に、俺の、俺たちの何が分かるって言うんだ。脳に電極をぶっ刺されて、操り人形にされている気持ちを。生殺与奪の権を、くそったれな他人に握られていることを。この世界で生きる意味を見いだせないこの想いを。

 初対面のお前に、分かられて堪るか」

 

「君たちの脳を支配していた繋がりは、既に切ってある。君が今動かしている口、瞼、瞳孔、心臓は君自身の脳による命令によって動いているんだよ。

 疑うのなら見な。あの七人の無様な姿を。意志を手放した挙げ句、心臓の動かし方や呼吸の仕方を忘れ、何もせずに死に行く姿を。

 そしてこの子を見ろ。呼吸をしているではないか。鼓動が聞こえるではないか。これが意味することは詰まり、生きようとする意志があれば生きられるのだ。

 なら何故君は死んでいない。今の状態なら望めば死ねるのだぞ。何故望んでいないのだ。

 

 そうだ。君は操り人形ではない。生殺与奪の権を他人に握られていない。この世界で生きる意味を見いだしている。どうだ、僕の理論は間違っているかい?」

 

 青年の眉が揺れ、瞳孔が縮む。迷いを表すように唇は震え、言葉を紡いだ。

 

「でも、俺は……折れちまったんだ。その子が話さなくなって、独り……あの薄暗い部屋に取り残されて。あの中で、意識がある方が間違いだと思っても、一度目を瞑ったら二度と戻ってこれなくなるんじゃあないかと怖くなって、そして今、どうしようもなく苦しんでいる」

 

「この子に生きる希望を説かれたのだろう? そして君とこの子はその希望を胸に灯し、最後の一歩を踏み留まらせているんだ。そうに違いない」

 

 青年の目尻に涙が浮かんだ。少年の言葉を信じきれないのだろう、歯を食い縛って、言葉を紡いだ。

 

「お前は、俺たちを救ってどうする積もりだ。どうせ実験体にするんだろう? クソったれな科学者共に散々弄られたこの体は、この国からしたら宝の山だからな」

 

「いいや、しない。絶対にだ。僕は救うために君たちを救うんだ。それ以外に意味は存在し無い。

 約束しよう。君たちの体に救うこと以外の手を加える事は無いと」

 

 青年の眉が垂れ下がり、黒き眼が悲痛に歪む。しがわれた声で、言葉を紡いだ。

 

「俺が……俺たち何かが、救われて良いのか? 生きていて、良いのか?」

 

「ああ、良いとも。救われる権利が、君たちにあるのだから」

 

 青年の目尻から、涙が一滴流れ落ちた。瞳を洗い流すその涙は、この世の何よりも黒く染まっていた。青年の真っ黒だった眼は、元来の姿であろう蒼き瞳を覗かせている。

 

「ああッ、クソッ。来るのが、遅せえ、んだよぉ。何で、何で今来るんだよ。諦めたその日に来るかよぉ、普通」

 

「それはすまない。ヒーローの手は二本しか無いのだ。それに加え、目の前の物しか掴めない不便な物でな。

 だが、掴んだからには絶対に離さない。それがヒーローの役目だ」

 

 涙を流す青年の体は、まるで終電帰りのサラリーマンのようにふらつき始めた。目の下には濃く深く、大きな隈ができている。長い間眠っていなかったのだろう。

 

「信じて良いんだな、お前を。俺たちは……お前を、信じて良いんだな?」

 

「ああ、良いとも。だから、今は安心して眠ると良い。次の目覚めは、君たちにとって有意なものになる」

 

 青年は瞳を閉じた。地獄を写し続けていた眼孔は休息につき、挫傷した脳は深き眠りに入った。倒れ行く青年の体を、少年の全身でもって支えた。

 

「どうか今は、甘い夢を」

 

 少年は駆け出した。自身の倍はある青年と、自身と同じ位の少女を抱えて尚、その足取りは軽かった。

 

 アリステラ王宮、その門前には、倒れ伏す七つの死体と、頭を打って気絶した精鋭部隊たちが残された。まるで、救う価値など無いと言わんばかりに。

 

 

 

***

 

 

 

「お帰り。ヒーローごっこは楽しめたかしら」

 

「ただいま、母さん。とても有意義な時間だったよ」

 

 未だかつて見たことがない清々しい顔でそう宣う彼に、子供の様な無鉄砲さを咎めてしまいそうになった。馬鹿馬鹿しい事に、私は彼を未熟であると断じておきながら子供として見ていなかったのだ。

 彼は歴とした人の子であり、10にも満たない幼児である。その完全なる前提条件を忘却の彼方に追いやっていた自分を、親として恥ずかしくないのかと咎めた。

 

「その汚いのだけど。拾ってきてどうする積もりなの? まさか世話をするなんて言わないでしょうね」

 

「そんな犬猫を拾ってきた様な言い草、やめてよね。二人はちゃんと人間だよ? 人扱いしなきゃ」

 

「ただの肉塊は畜生にも劣るのよ。さっさと捨ててきなさい」

 

「ハイハイ」

 

 彼は私を頑固な年寄りを見るかの様な眼で見、呆れ果てたように笑って適当な返事をした。異様に増えた語彙もそうだが、この腹立たしい言動をどこで覚えたのだろう。彼の純粋無垢なる性質を脅かす物なんて、「この部屋」には無いというのに。

 彼は通路に立ち塞がる私()通り過ぎ、開発室へと進んでいった。心臓に悪いからそういうことを前触れ無くやらないで欲しい。

 正直勘付いてはいたが、彼は自身が調べた力を意図的に隠している。まるで、私に知られたくない何かが有るように振る舞うのだ。何故そうするのか、何時か問い質さねばなるまい。

 

 後を追って開発室に入る。模様替え時の整然とした姿は見る影もない。

 手付かずで改造予定のトリオンミサイル砲や開発途中の拷問器具、使う予定が無いくせに無駄に多い武器トリガーなど、壁際に追いやられて雑然と並んでいる。

 折れ曲がった螺と中途から破裂した基盤、ただのスクラップ、青と赤で彩られたサッカーボール、ガットの張られていないテニスラケット、得体の知れない塵など、足の踏み場を占領している。

 

 研究している時は気にしていなかったが、移動が困難なのは御免被りたい。整理整頓は修復トリオン兵に任せていたのだが、一体に全てやらせるのは酷だったか。きっと、そこらの塵の中に埋もれているだろう。

 お掃除トリオン兵でも作るかな、と塵を踏み砕きながらどう作るか思案する。自分でやった方が速いかな。うん。

 

 開発室の一番奥、仕切りを越えた先に彼の開発スペースがある。小まめに掃除と整頓をしている様で、見てくれは綺麗だ。いや、私が汚しすぎているだけか? ま、いいか。

 キレイ好き疑惑のある彼だが、拾ってきたのをコールドスリープ装置を改造したものに押し込んでいた。遠征艇にはコールドスリープ装置を四つ備えていたが、彼はその内二つしか改造していないようだ。一つでもなく四つでもない。二つだけだ。

 何故そんな中途半端なのだろうか、と不思議に思ってしまう。

 

「見かけないと思ったら、ここにあったのね。それも、二つだけ。何の為かしら」

 

「専ら医療に使う予定だよ。遺伝子レベルで弄くれるように、ナノサイズの精密操作を出来るように改造したんだ。下地が良かったから簡単だった」

 

 彼はそれらの服を取っ払い呼吸器を取り付けた。そしてガラスの板をスライドさせ、隙間無く閉まって固定した。中の空気が排出されるのと同時に、液体が流れ込んで満たされる。

 あれ? コールドスリープ装置に使っていたのは神経ガスと冷却物質の気体だったはずだ。使われている液体は一体何の物質だろうか。

 

「見たところ、脳にトリオン受容体が侵食しているわね。幾ら脳に損傷無くトリオン受容体を除去しても、廃人化して死ぬだけだわ。やるだけ無駄ね」

 

「二人とも脳の大半がトリオン受容体に変質しているからね。それが代替物にもなっているようだし、無理に取り除けばそうなるよ。

 それに、取り除くのはそっちじゃあないんだよね」

 

 彼がしたり顔でこっちを見てくる。何か腹立つな。

 

「それは詰まり、脳の機能をトリオン体で再現させるって事? 本気で言っているの?

 確かに、同一の働きをして正常に働く電子回路であれば、脳の代わりにはなるわ。でもそれは、人を人工知能に劣化させるだけなのよ。あなたは簡単に考えているみたいだけど、私でさえ解き明かせなかった脳を模すことなんて、烏滸がましいにも程があるわ」

 

「母さんは難しく考えすぎなんだよ。人が自身を自分であると認識出来るのは、自身が自分であることを記憶して何時でも思い出せるからだと思うんだよね。例え記憶が欠けても、思考プロセスが急変しようと、以前の自分はこうであった、そんな存在であったと認識さえ出来れば、それはもう紛れもない自分自身なのさ。

 記憶の大半はトリオン受容体に焼き付いているようだし、いけるいける。という訳でスイッチ、オン!」

 

 パソコンのEnterキーを躊躇無く押し、ゲテモノ医療ポッドを稼働させる。パソコンの画面には状態のデータと、進捗を表すグラフがある。

 

「凄い完成度ね。今日のために用意していたみたいな仕上がりだわ」

 

 四つある内の二つを改造して作った医療ポッド。まるで、脳のどの部分を取り替えれば良いか、予め知っていたかのようなプログラム。見ただけでは理解できない液体。おそらく、年単位の入念な準備の元に成り立っている代物だ。

 今日戦争が起きて、突っ込んで来た敵国の奴隷兵二人を連れ帰ると、彼はそう予定してたのだろうか。何て非現実的なんだ。

 

「はっきり言いなよ。これがあなたの計画なの? ってね。まあ、答えるけど。

 

 母さんは運命とか信じてる? 勿論僕は信じているよ。

 取り外されたコールドスリープ装置を見て、何となく二つ改造して医療ポッドにしたり。つい先日、全身をトリオン体に換装して長時間維持できるようになったり。そして僕は、手以上の数を救おうとは思っていなかった。

 一目見て分かったよ。その全てはこの二人に救うために有ったんだ。この星に来たのも、この二人に出会うためだと今にしてみれば思うよ。そうでなければ剰りにも不自然だ」

 

「……確かに当初予定していたアフトクアトルへの航路は、計器の異常によってここに変更せざるを得なかったわ。けど、こんなもの運命とは言えないの。ただの偶然に起きた出来事でしかないのよ」

 

「いいや、それが運命なのさ。過程が異なろうと辿る結末は一緒になる。例え僕がアフトクアトルに行っていたとしても、僕はそこでこの二人に出会ったはずだ」

 

 子供が考え付くような夢だ。そう断ずることが出来ればどれ程良かったか。私が玄界に漂着出来たのも、億が一、兆が一に起きる幸運だ。しかも自身を救出した人間に恋をし、子までこさえるなど、最早確率で表せるようなものではない。

 

「母さんは運命を否定出来ないでしょ。誰よりも運命的な人生を歩んでいるのだから」

 

 そうだ、私は運命という物を否定することが出来ない。夫である真間達郎(しんまたつろう)との邂逅を、偶然であると言うことは出来ない。私は科学者にあるまじきロマンチストなのだ。

 

「フフッ、嗚呼楽しみだ。一体どんな人なんだろう。知りたいなあ。数分の交流では本質を捉えれないからねえ。早くお話がしたいなあ。

 目覚めが待ち遠しいよ」

 

 パソコンの画面には、完了の文字が踊っていた。

 

 結局、私はただ見ているだけだった。




!!恒例のアレ!!


・「ま、そんな事より。この子を見てくれよ。この子をどう思う?」
→くそみそテクニック。直腸小便兄貴

・「バケモン? いいや、違う。僕はヒーローだ」
→ドラゴンボール。悪魔たん

・「辛かっただろう。苦しかっただろう。だけど安心して。僕が救ってあげるからね」
→鬼滅の刃。主人公と無感情カス野郎の会わせ業

・「生殺与奪の権を他人に握られていない」
→鬼滅の刃。某コミ障

・「次の目覚めは、君たちにとって有意なものになる」
→Bloodborne。美しい人形さん

・「どうか今は、甘い夢を」
→アークナイツ。百合厨のワンコ

・医療ポッド
→ドラゴンボール。フリーザ軍の最新技術たらなんちゃらかんちゃら。上手く説明出来ん

以上!!


 因みにBloodborneはやったこと無い。やってみたい。
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