俺の担当ウマ娘がこんなに勝てないわけがない   作:ハムバ者

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伝説になり損ねたメイクレビュー

―― 12月13日 日曜日 中山レース場 ――

 

 俺の担当ウマ娘が早めに仕掛け最終コーナーを2番手で抜け、直線に入ってから先頭に立つ。

デビュー戦としてメインレースにジュニア級GⅠ朝日杯フューチュリティステークス*1が行われる今日、それもメインレースで最有力とされるビワハヤヒデより上と評価すら受ける、当然このレースの1番人気となっているウマ娘*2との勝負を直談判されたときには悩まされたが、5番人気にしては上々の結果になりそうだ。

 当然のことながらそれほどの評価を受ける1番人気がこのまま終わるはずもなく追いついてくる。その後ろから迫りくる足音が聞こえているはずだが、顔もフォームも崩れた様子はない。そして、追いつかれ追い越されても、その優雅さを失わない走りは変わらなかった。

 

 その、選抜レースのころから変わらない彼女の走りに、俺は過去を思いださずにはいられなかった。

 

―― 春の選抜レース ――

 

 その時の選抜レースでも彼女は外目からの早や仕掛けで先頭に立った後、追いすがられ、追いつかれ、追い越されても、周りに影響されず自分の走りを崩さずの2着だった。

走り終わった後も悔しさの欠片も見えないため闘争心不足とみられたのか、スカウトに向かうトレーナーはいない。

 だが、感情に引きずられて目先の勝ちに囚われて無理をした末での怪我を見てきた俺には、優雅さを失わない理性で制御されたその走りに希望を見た。だから少し考えた後、彼女をスカウトするために声をかける。

 

「少し質問してもよいかな?」

「何でしょうか」

「今も息が上がっているようには見えないし、もっと早く走れたのではないかな?」

「いえ、この走りが今の本番に響かないベストです」

 

 彼女は自分の判断を欠片も疑っていない真っすぐな目で答えた。

 

「そうか、ではトゥインクル・シリーズでの君の目標は何かな?」

「そうですね、まずはできるだけ多くウイニング・ライブの舞台に立ちたいです」

「特定のレースに思い入れは……」

「ありません」

 

 彼女の才能からみてささやかなようにも思える。

いや、勝ち星を積み重ねなければ立てないことを考えると贅沢ともいえる目標だが、怪我をしないよう無理せず調整し多くのレースに出走していけばきっと達成できるだろう。

俺のチームにおける次世代のエース候補としてスカウトすることにした。

 

「うん、問題なさそうだ。君をスカウトしてもよいかな、私は……」

「ありがとうございます。ミスターシービーの担当していたベテラントレーナーから声をかけていただけるなんて光栄です。ぜひ、お願いします」

 

 食い気味に了承の返事に彼女もやはりトゥインクル・シリーズでの勝利を目指すウマ娘なのだと安堵しつつ、翌日の放課後にチームの部室に来てもらう約束を取り付けた。

 

―― 翌日 ――

 

 約束通りチームの部室に来た彼女に入部届を記載してもらいながら過去の話を聞く。

 

「……ええと、小学校でチアリーディングをしていたと」

「はい、ポジションはベースでした。メンバーとトレセン学園を目指していたのですが、入学できたのは私だけです」

 

 チアリーディングはアメリカなどではメジャーなウマ娘の部活動であり、チームで協力してレースを挑む方法の下地作りにもなるが、『勝つ意思のないウマ娘の出走は禁止』*3としている日本では余り歓迎されない。面接官次第では下手をしたらマイナス評価になりかねない。チアリーディングのチームメンバーの話は地雷になりかねないので話題を変えよう。

 

「うちは大きめのチームでサブトレーナーも3人ほどいる。得意分野で担当トレーニングを割り振っているから、折を見て紹介していこうと思っている」

「……では、ウイニングライブ担当って誰なんですか?」

「いること前提か、担当は居るが他の仕事もあるから基本的に出走登録前に問題なくライブをこなせるかの確認程度しかしていない」

「それだけですか?親戚にバレエ団創設者もいるのに無理解すぎません?」

「おいおい、公開情報とはいえそんなことまで知られているのか……とは言え、学園のライブ教師以上の担当者を用意できるチームはそうはないぞ?」

「……では、親戚のコネでバレエ団のほうにお邪魔させてもらえ無いでしょうか」

 

 冗談ではなく真剣な顔で聞かれる……

 引退後の進路としてならばともかくデビュー前では始めたのお願いではあるが、本格化前に比較的安全な体幹トレーニングにもなるし、バレエ経験のある有名ウマ娘もいることを考えると意外とよい経験になるかもしれない。

 

「わかった。異例ではあるが聞いておく。ただ、移動や寮の門限といった時間制限も出てくるから、期待通りにいかなくても勘弁してくれ」

「はい、連絡を取っていただけるだけでもありがたいです」

 

 その後、無事バレエ団でのトレーニングというかレッスンを受けることになるのだが、それは余り重要なことではない……

 

―――――――

 

「トレーナー、やりましたよ!」

 

 レースを終えた担当ウマ娘が満面の笑顔で戻ってきた。

 

「おいおい、勝ててないだろ。第一もう少し粘れたんじゃ……」

「いやいや、上出来じゃないですか。それに前座で無理して本番に響くほうが問題ですよ」

 

 模擬レースなどでも最終直線で一定の速度を保ち足を測らせてわざと抜かせていることからみても、ここぞという大一番で解放するつもりなのだろう。

 

「実力を出し切らないとしても、出してないと疑われないように苦しそうな顔でも見せないと手を抜いていると思われるぞ」

「何言ってるんですか、ファンにそんな姿を見せてイメージを崩す気はありません。じゃあ、ライブの準備もありますので、これ以上の話は終わった後にしてらいますね」

 

 そう言って、彼女は去っていった。

 

 

 

 

 ついでにメインレースのビワハヤビデも似たような展開で2着に沈んだ。

*1
1992年当時の中央競馬では阪神競馬場ではなく中山競馬場において「朝日杯3歳ステークス」の名で施行されていた

*2
実際は翌年のビワハヤビデの乗り替わり依頼が発生した時、名手がこちらの元ネタ馬を優先して断ったことから流れた評価だが、ウマ娘世界では選抜レースなどでトレセン内での事前評価が発生するためこの時点の評価とする

*3
ウマが存在する別世界の日本には『競馬施行規約 第6節 第41条「競走に勝利を得る意志がないのに馬を出走させてはならない」』という規則があり、海外におけるラビットなどのチームで協力しエースを勝たせるといった行為は禁止されている




 ウマ娘における名前と魂を受け継ぐ基準って何なのか、アニメを見るにどう見ても元ネタがあるが異なる名前になったり、ゴールドシチーのようにGⅠ勝利などにより保護されておらず同名の別馬が存在しても気にせず有名と判断された馬だけを受け入れたりされるのである。
 何を言いたいのかというと、元ネタ馬の名前を使っていいのか悩ましいので今回は馬名をすべて明記しないで済ましております。そんなわけで初投稿だけどアンケートを取ってみる……回答あるといいなぁ……

 ついでにトレーナーも元ネタの名前は使えないので明記してません。

ウマ娘の名前はどうすべきでしょう。

  • 気にせず元ネタの馬名をそのまま使用
  • アプリの元ネタ馬想定と思しきウマ娘名
  • アイツアンドコイツみたいに独自命名
  • ちくわ大明神(無効票)
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