なお、本小説内でも逮捕しませんが、それはアニメ沿いによるものであり、私自身も許容すべき行為でしかないと考えているわけではないことを明記しておきます。
俺は仲良さそうに真サブトレーナーと会話している彼女を見ながら初顔合わせのことを思い出していた。
―― サブトレーナーとの初顔合わせ ――
ライブへの興味が高いようなので、最初にライブ担当のサブトレーナーを紹介することにしたのだが、サブトレーナーには警戒心がみえる。
「本当に彼女を入部させたのですね……」
「何か問題があったかな?」
私の知らない問題でもあったのか聞いてみようとしたところ、本人から遅ればせながら報告してきた。
「たぶんですが、突然後ろから太ももを触られたので蹴り飛ばしたことで気性難とみられたのかスカウトを避けられていた件ではないかと」
「ああ、スピカのあれ*1か、それなら蹴られた方が悪いで済む話じゃ……」
「いえ、触られて反射的に尻っぱね*2だけでなく、倒れている相手に追撃でさらに蹴りを入れたんです。怒らせると怖いと噂になっています」
サブトレーナーの補足により、本人の報告で不足していた実態で何故スカウトされていなかったのかがわかった。暴力を振るいかねないと思われていたら、それこそスピカトレーナーのような例外を除けば二の足を踏んで当然だ。しかし、理由もなしにそのようなことをするタイプにも見えない。
「ふむ、念のため追撃を入れるような理由があれば聞いておこう。何があればそこまでしてしまうのかは知っておきたい」
と、訊ねたところ小学校のチアリーディング部の内気なところがある友達が家族と東京へ旅行に行ったとき、トゥインクル・シリーズを見にレース場で起ったことを聞くことになった。親を置いてスタンドに飛び出した友達がスピカトレーナーの被害にあい、親が追いついた時に大泣きしている友達と戸惑っているスピカトレーナーを目撃することになったのだ。他の観客は傍観に徹しており*3、親がスピカトレーナーともめたところ警備員が来て何故か親の方が拘束され*4別室に連れていかれ最終的に示談が成立したらしい。被害にあった友人は親の反対もありトレセン学園の入試を受けることもなく道を違えることになったそうだ*5。なお、友達は蹴っていないとのこと*6。
「追撃は友達の分なのですね。理解しました問題ありません!」
「わかってくださいますかー」
「自己紹介が遅れましたね。『本正 真』です。ここのサブトレーナーで、レース出走登録前のライブチェックも担当しているのでチームに所属するウマ娘は全員見てます」
サブトレーナーとの壁は取り払えたようなので、どんな理由があっても暴力はいけないとか野暮なことは言わないことにした。それでもスピカトレーナーへこれ以上手を出させないようにする必要はありそうだ。
「怪我人を出したら庇い切れないから、これ以降の暴力は控えて欲しい」
「私もあの時は感情的になりすぎました。あの行為が許されている状況は理不尽ですが、向こうに比べてこちらの被害が大きすぎることは今回の結果で理解しています」
「まあ、トレーナー不足は深刻なのもあってそうそうクビにはされないというのもあるが、スピカトレーナーの現状を知っておいた方が良さそうだから教えておこう」
実は二度としないと念書を書かせるくらいは出来そうな時期があったのだ。
それはトレセン学園内で毎度の行為をしたところ、そのウマ娘は猛スピードで逃げ出し寮に閉じこもり、そのまま学校に来なくなり自主退学で学園を去るという事件を起こした時だ。翌年に男性が苦手なメジロドーベル*7の入学が決まっていたためかメジロ家の後押しもあり、痴漢行為を容認していると噂され苦しんでいた当時スピカ所属だったウマ娘たちに有志で移籍を呼びかけ、所属しているのがゴールドシップだけという状況に持ち込みチーム休業状態まで追い込んだのだ。痴漢行為の示談金や弁護士費用が給料から天引きされていることもあり*8、このままならURAといえども守り続けないだろうと思われていた。
その窮地に代わりのサンドバック役に名乗り出るトレーナーがいなかったこともあり残っていたゴールドシップが動いた。スピカトレーナーを連れ去りテレビ局にリアクション芸人*9として売り込み無人島送りにしたのだ。
その売り込みの時に使われたのがスピカトレーナーの痴漢行為のビデオテープだ。蹴られまくっているのに無事な頑強さを証明するだけでなく、その行為を「ウマ娘の後ろに立って驚かせる行為の危険性を周知させるため」というURAから撮影依頼を受けたという嘘で騙されているという前提で蹴り飛ばされる映像が放送されたのだ*10。余り大っぴらにしたくはないURAの抵抗で深夜放送となったが、撮影場所のレース場においては観客も突発のドッキリ撮影として問題視されない状況にされてしまっている*11。
「そう言うわけで、騙された芸人ポジションになっているから、訴えられても責任の所在があいまいになって、スピカトレーナーが責任をすべて受けて謝ったら担当ウマ娘のゴールドシップを庇うウマ娘思いのトレーナーという誤解で乗り切ることになるだろう」
「乗り切れますかねぇ……」
「復帰当初の状況ならば戻ってきているとの情報でイギリスのトレセン学園に入学するようなこともあったのだが、
まず、ウォッカとダイワスカーレット、スペシャルウィークと有望株が入部し*12、
次に、復帰祝いにも見えるサイレンススズカの移籍で、業界トップかつ女性の東条トレーナーと仲が良いから援護されるだろうと思われている。
続けて、生徒会によく出入りして会長が目をかけているトウカイテイオーが入部したから生徒会も、
最後に、干したときは敵だったメジロ家からメジロマックイーンが入部したからメジロ家も、
その上に実績も上げているから醜聞を避けたいURAにも期待できない。この状況をひっくり返したゴールドシップにはお手上げといったところだ」
「ゴールドシップの計画とは限らないのでは?トレーナー自身か途中で関わったテレビ局関係の誰かかもしれませんよ」
「スピカトレーナーはそんなことを考える人間ではないさ。自由行動や暴力行為を容認して他のトレーナーが引き抜こうと思わせない問題児のままに育てているのも、引き抜かせないためとかじゃなくて問題とも思ってないだけだろうしな。一時的な雇用関係でしかないテレビ関係者もそこまで親身に守ろうとは考えられない。そうすると、この状況に誘導できるのは一人しかいない」
「おーい、そんなところで駄弁ってるってことはヒマかー。ヒマだよなー。そんなことより野球しようぜ!人数が足りないんだよ」
「「「……」」」
「おいおい、無視かー、無視なのかー、流石のゴルシちゃんも傷ついちゃうぞ?」
―― ウマ娘とは、自分の痴漢行為をトレーナーという職業を盾にあくまで認めない一人の男が、何ら罰せられることもなく、夢を掴み、周囲に認められ、やがてトップトレーナーになるまでの物語*13であり、本作品はその周辺にいるモブの軽挙妄動に過ぎない ――
アニメ2期しか見ておらずマスゴミにも取り上げられて評判もよいし世間に受け入れられるものだと勘違いをして勧めてみたら、1期の1話を見られてこういうのを気にしないで他人に勧められるタイプの人間と見られる罠、あなたは避けられましたか?
これは、アニメがABEMAで正月に一挙放送されますので、その前に投稿しておきたかった問題点です。
他のものはウマ娘界の常識は現実世界の非常識でコメディタッチで済ませなくもないのですが、これだけは笑いに消化したくない。そんなわけで私のつたない文章でも誤解なく問題点を伝えられるように、注釈が本文の形式で投稿することにしました。ウマ娘効果で見てくださっている方々だけでもこの思いを伝えられると嬉しいです。