気がつけばVの者   作:魔女理化

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えん?


やはり電波組で料理番組をするのは間違っている

 

【公式】『レインボー闇ノキッチン! in電波組』

 

 番組が始まると某3分クッキングよろしくな音楽が、俺たちの声バージョンが流される。

 前も同じようなことやってたけど、これ恒例行事なのね。

 

 コメント 電波組きちゃー

 コメント 恒例のライバーの声BGM

 コメント ジルやる気なさすぎて草

 

 うるせぇ、他の2人がやる気ありすぎるんだよ。

 この番組はいわゆる料理番組だ。毎回人を変えて適当に料理名とメニューを提示して自由に料理を作らせる。とはいえ、レインボーのライバーを使ってただ料理ができたねおいしいーで終わるわけがない。

 包丁の持ち方が分からなかったり、調味料を間違えるのは日常茶飯事。挙句のはてにはカレーをまずく作るなんていう現代人かあやしい離れ業を見せてくる。

 つまり放送事故上等のとんでも番組なのだ。

 帰りたい……。

 

「かっかっかっ! うずく、うずくぞ我が封印されし右手が! 邪眼龍政宗だ!」

「くっくっくっ! うずく、うずきます我が封印されし瞳が! まるめろです!」

「レインボー所属ジル・ホワイトだ」

「ちょっとジル! 打ち合わせと違うじゃないですか! あなたのセリフは『ならば我が封印を解いてやろう! ダークフレイムマスターの名の下に!』ですよ!」

「嫌に決まってんだろ、そんな恥ずかしいセリフ」

「恥ずかしい!?」

 

 まるめろがショックを受けていると、邪眼龍先輩がポンと肩に手を置き。

 

「かかっ。ジルよ遠慮する必要ないのだぞ。貴様こそダークフレイムマスターに相応しい!」

「遠慮してるんじゃなくて拒否してるんですが?」

「なぜだ!?」

 

 コメント www

 コメント マジで拒否ってて草

 コメント マジおもしろいw

 

「というか、何で俺も呼ばれたんだ? 普段この番組って2人がデフォルトだろ?」

「ジルよ本気で行っているのか?」

「仮に私たち2人になってもしっかり番組が成立するとでも?」

「何で自信満々なんだよコミュ障ども」

 

 コメント 草

 コメント まあ、前のコラボ地獄だったからね〜

 コメント あれを公式番組でやったら流石にやばいww

 

 要は2人のお守り役として駆り出されたらしい。

 

「まあ、いいや。そんじゃ今日の献立を発表するぞ。今日の献立は『オムライス』だそうだ」

 

 コメント 意外に普通だな

 コメント この番組、メニューは馴染みがあるものが多いぞ

 コメント それがなぜかカオスになるんだよなぁ

 

「拍子抜けですね。もっと難しい料理が来るものとばかり」

「ふっ、我らを甘く見ているのだろう」

 

 とまぁ、甘く見ている意見が多いが、オムライスって案外難しい。

 ケチャップの量と調味料のバランス次第で味が濃すぎたり薄すぎたり、料理慣れしていないと調整が難しいのだ。

 

「ちなみに2人は料理はできるのか?」

「ふっ当然だ! 我が得意技マグナトロン電波によって数多の料理を錬成してきた!」

「ふふ、我が得意技agua calienteにかかれば数多の料理を復元可能です!」

「レンチンとインスタントを料理にカウントするなよ……」

 

 コメント 何であなたは一瞬で解読できるんですかね……

 コメント やっぱりこいつも同類だろ

 コメント 隠れたカルマ背負ってるのか

 

「とりあえず、2人がまったく料理ができないことが判明した」

 

 コメント やばくない?

 コメント 今までも料理できないコンビはいたけどここまでか

 コメント まあ、最悪ジルが全部やればいいだろ

 

「ちなみに俺は手伝わないぞ? 一般常識的なことはアドバイスするが、実践はしない。でも食べるところは参加させられるらしい」

 

 コメント マジかよ

 コメント オワオワリ

 コメント 食べさせられるのか笑

 コメント 一方的な被害者で草

 コメント まあ、手伝えたら全部お前でいいやんって話になるからね

 

 そういうこと。番組的に盛り上がらない展開になるから、俺は参加すんなって言われた。

 でも食べろって言われるんです。何たる理不尽。

 まあ、さっきも言ったがオムライスは味の加減が難しいだけで、基本は卵と米とケチャップが主の料理だ。

 ちょっと美味しくないくらいはあるだろうが、滅茶苦茶まずいなんてことにはならんだろ。

 

「ところでジルよ。玉ねぎの皮はどう剥くのだ? 桂むきか?」

「ん?」

「すいませんジル、炊飯器の使い方が分からないのですがどうすれば?」

「嘘だろ?」

 

 コメント 嘘だと思うだろ? 現実だ

 コメント ジル信じられないものを見たような顔してて草

 コメント 流石のワイでも炊飯器の使い方ぐらいわかるぞ……

 

 あ(察し)……。これはマズイわ、二重の意味で。

 どうやら2人の料理スキルは想像を遥かに下回るようだ。これは気合い入れて指示しないと、死ぬ。

 

「とりあえず邪眼龍先輩、玉ねぎの皮は手で剥けます。まるめろ米を炊きたくばまずは米を洗え」

「そうか手か……ところで桂むきのやり方を教えてもらえるか?」

「洗う? 洗剤を使うんですか?』

「お前ら俺が怒らないと思ったら大間違いだからな?」

 

 コメント wwww

 コメント これはキレていい

 コメント 信じられるか? これ真面目に言ってるんだぜ?

 

 信じたくない。

 しかし、こんなもの序章に過ぎなかった。

 

「邪眼流先輩、にんじんの皮むきはピーラーを使ってください!」

「まるめろ、水が少なすぎるそれじゃあ米が焦げる。おこげ? チキンライスにそんなアレンジはいらん! それにその量じゃ全体黒焦げになるわ!」

「邪眼流先輩、そのトマトをどうするんですか? ケチャップを作る? 頭わいてんのか?」

「まるめろ油を入れすぎだ! 酒はないのか? フランぺでもする気かドアホ!」

「ええい! 貴様ら我がダークフレイムマスターの名のもとに、言うことをきかんかぁあああ!」

 

 コメント ジルの負担えぐくて草

 コメント 自分でも食べるから必死やなww

 コメント やっぱりダークフレイムマスターじゃないか(歓喜)

 

「ぜぇ、ぜぇ……」

 

 カロリーがえぐい。

 どうして奴らはメニューに微妙なアレンジだったり、わざわざ難しいことをしようとするのだ。問いただせば、揃ってかっこいいからと返された時は我を忘れてしまった。

 何か変なこと口走った気がするけど、まあ大丈夫だろう。絶対この番組の切り抜きは見ないつもりだが。

 

「かっかっかっ、どうだ我らの魂のこもったオムライスは!」

「素晴らしい出来栄えでしょう!」

 

 コメント ちゃんと作れて偉い!

 コメント どちらかといえばジルの魂の方がこもってそうw

 コメント まあ、でもはじめの惨事から考えれば悪くないのでは?

 

 そう、悪くはない。

 卵の形が歪だが、しっかりチキンライスの色をしてる匂いも悪くない。

 苦労した甲斐があったのか?

 妙な感動に浸っていると邪眼龍先輩からスプーンを渡される。

 

「受け取れ。今回無事完成できたのはジル貴様のおかげだ。一口目は貴様が食べる権利がある」

「その通りです! ジルがいなければ完成できませんでしたから! 是非一口目はジルが食べてください!」

「お前ら……」

 

 コメント ええ話や

 コメント 電波組てぇてぇ

 コメント 電波組てぇてぇ

 

「じゃあ、お言葉に甘えていただくよ」

 

 スプーンを入れて、一口口に運んだ。

 

「ごばらぁ!?」

「ジル!?」

「大丈夫ですかジル!?」

 

 からいにがいなんか臭い……あらゆる苦しみが一斉に襲ってきた。16年ほど生きてきて初めての体験だった。

 

「何でこんなマズイんだ……」

「マズイのか!? なぜ、我がとっておきの調味料を入れたというのに」

「私もとっておきのものを加えたのですが……」

「ちなみに何を加えた?」

「我は鷹の爪」

「青汁の素を」

「何故!? メニューにないだろその二つ!」

「「かっこいいから」」

「よろしい戦争だ!」

 

 コメント やれやれ〜

 コメント これはキレてもしゃあない

 コメント 踏んだら蹴ったりで草

 

 

 □

 

 

 その後、何とか番組を終了させて俺とまるめろは帰路に立っていた。

 相変わらずゴスロリの目立つ服装をしている。ミステリアスな雰囲気を助長していてとても似合っている。

 とはいえ、今日は疲れすぎてそれを口にする気力はない。

 

「その……ジル……一つ聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」

「聞きたいこと? 別にいいけど」

「その風香と付き合っているのでしょうか?」

「……ん? 今なんて?」

「ですから、風香と恋仲なのかと聞いてるんです!」

 

 は? 何で?

 

「付き合ってないが!?」

「そうなんですか。あんな写真貼っていてたのでてっきりそうなのかと……」

「あれは山家が悪ふざけで撮って、貼ったもんだ。別に俺たちはそういう関係じゃないよ」

「よかったです」

 

 何か露骨にホッとしてるんだけど、もしかしてそういうことか? そういうことなのか?

 いや、ここは一回探りを入れるべきだ。

 

「何でそんな気にしてたんだ?」

「いえ、その……私、今の四期生の雰囲気が好きなんです。それが、恋沙汰で崩れるのが怖くて……。昔、それ関連で酷い目にあったので」

 

 そう言って丸山は体を震わせた。

 トラウマということか。

 

「そうか。それは不安にさせて悪かったな。山家にもやめておくように再度言っておく」

「いえ、気にしないでください。恋愛は自由ですし」

「あん? だから、俺たちは付き合ってないぞ? あれは山家の悪ふざけで」

「はい、そうですね。裕也はそういう認識で大丈夫だと思います」

 

 何だろう。どうせお前には理解できないからいいと言われた気がする。

 

「……マーキングのように見えましたけど」

「何か言ったか?」

「いいえ、何も言ってません。ところで裕也、おすすめしたいアニメがあるのですが……」

 

 その後、たくさんアニメをお勧めされた。

 





 
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