ある日のことである・・・特に予定も無くブラブラと本部を歩いていたら案の定迷子になった俺を、見つけると同時に有無を言わさず腕を掴んできたのは現在A級1位である太刀川隊の天才
「覡さん!ちょっといっスか!?」
「およ、出水。良いところに・・・悪いけど俺をぉぉおお!?」
俺が言葉を言い切る前に出水に腕を引っ張られて連行されてしまった。
道中、
「どうしたん?」
とか
「説明して?」
と言うも、とにかく一緒に来て欲しいとのこと。
そうして暫くもしない内に連れてこられたのは彼が所属する太刀川隊の作戦室、部屋の中には見るからに機嫌の悪いオペレーターの【国近柚宇】とこ“ユウ”とその“ユウ”を何やら怯えながら物陰に隠れて見ている【唯我尊】こと“ソン”がいた。
「ユウさん!代役連れてきましたよ!!」
そう言って俺を捧げる出水、俺たちふたりに気づいたソンは泣きながら俺たち2人のズボンに縋り付く。
「覡ざん、だずげでぐだざい~!!」
「待って待って、まず状況を説明してほしい」
・
・
・
落ち着いた面々に聞いたところ、どうやら今日は太刀川隊4人でゲームをする約束だったのだそう。
ゲーム好きなユウの発案でそう高い頻度でもないが今日以前にも何度か遊んでいたそうだ、しかしいつまで経っても太刀川さんが来ないとのことだ。
電話してみても一向に繋がらないのだとか。
既に約束の時間から30分は過ぎようとした折に、ゲームが好きで今日も楽しみにしていたユウの機嫌が悪くなってきて、それを何とかしようと連絡がつかない理由を知ってそうで、且つ代理で遊んでくれそうに人を探しに部屋を出て俺が捕まったらしい。
「何か知らないっすか?」
「そんな事言われても・・・」
俺は携帯を取りだしとある人へ電話をかける、俺とケイの師である忍田さんだ。
電話が繋がるのにそんな時間はかからず、俺が何か言うよりも早く忍田さんの声が聞こえてきた。
「覡か・・・どうした・・・?」
声が聞こえてきた瞬間、俺は悲鳴をあげそうになった。
この声の忍田さんは100%機嫌が悪い、いつかの俺が街で迷子になった日と同様に何かあったんだろう。
少なくとも今の俺に心当たりは無い。
「あ、あぁ・・・えっと忍田さん?少し聞きたいことがあるんですが・・・」
「・・・聞きたいこと?」
おっ、少し機嫌が戻った。
「今、イズミたちに捕まってて・・・ケイがどこにいるか知りませんか?」
俺がそう言い切ると、電話越しで且つ声が聞こえても無いのに再び忍田さんの機嫌が悪くなるのを感じた。
あの阿呆、何かやらかしたのか・・・!?
「今・・・ケイは私の目の前にいる」
「・・・成程、多少察しはしましたが念の為・・・大学っていうか課題関連だったりします?」
「2時間ほど前に大学にいる二宮から電話が来た・・・今日、本来ケイが受けるはずの授業に来ていなかったとな・・・」
「・・・あ~」
「幸い出席できなかった者は翌週の授業までに課題を提出すれば出席したとして扱うとの事だったので今、私の目の前でやらせている」
「・・・分かりました、3人にはそう伝えときます」
「あぁ、では・・・こらケイ!!手が止まってるぞ!!」
「もう勘弁して忍田さん!!」
電話越しに聞こえる2人のやり取りを最後まで聞く訳もなく俺は通話を解除した。
「忍田さんに捕まってるらしい、今日は無理だね諦めな」
そう言って彼らの方を見ると愛想笑いしながら傍目でユウを見る出水と頬を膨らませて涙目で怒ってるユウ、そして出水の後ろに隠れてるソン。
「とりあえず俺がケイに代わってやったらいいんだね?」
「そ・・・そっすね、そうして貰えるとありがたいな~って・・・ねぇ?ユウさん」
「・・・ホント?」
涙目・上目遣いでこちらを見てくるユウ、あらまぁカワイイ。
「ホントホント、隠し事は多くても嘘はつかないのが俺だから。時間いっぱい付き合うよ」
そういうと三者三様に喜んでくれる、そこまで年齢が離れてる訳では無いが歳の離れた弟・妹のような奴らだよ・・・。
・・・まぁユウはともかくあんなデカい弟は要らんけど。
・
・
・
その後4人でコントローラを手に取り、隊室のテレビに繋げてゲームを始めた俺たち4人。
マリ○カー○のような対戦ゲームからスペ○○カーのような協力ゲームに至るまで遊び続け、ユウもスッカリ機嫌を良くし他の2人もゲームに熱中している。
対戦ゲームでの総合最終順位はユウが1位、出水が2位、私が3位でソンが4位だった。
「いや~ユウ強いわ、勝てる気しないわ」
「いや、そんなこと言うてますけど○鼓の○人は覡さんが断トツ1位だったじゃないっすか」
そう、俺は他の対戦ゲームはほぼほぼ惨敗だったのだが太○○達○だけは全て1位の成績だった。
「俺はサイドエフェクトあるから・・・あの程度の譜面普通に見えるし普段から孤月やら星夢やら木刀やら振ってるから問題なく叩ける。まぁでもコレ無かったらソンにも負けてたね、最下位じゃなくて良かった」
「グフッ!?・・・覡さん・・・的確な言葉の狙撃はやめて下さい・・・。僕に当たってます・・・」
手足を地面につき、顔を青くするソン。
一方でユウは正座している俺の膝枕の上で横になっている、理由は簡単で1位のユウにそれ以下の俺たちが接待しているのだ。
ソンは飲み物買いに行くパシリですぐ終わり、出水は寝転んでいるユウを団扇で仰いでいる。
「イヤァ・・・すっかり女王様っすね、ユウさん」
「えへへ~くるしゅーない~」
とはいえもうそこそこ遅い時間だ、余りゆっくりもしてられない。
「3人とも今日はどうするんだ?」
「俺は家に帰りますよ、普通に学校ありますし」
「僕も今から迎えに来てもらいます」
「私は~今からナギさんに焼肉奢ってもらいま~す!」
・・・なんで?
「「えぇ!?」」
「その後寮まで送ってってくださ~い」
何を言うとるんかなこの娘・・・?
「・・・一応聞いとくよ、なんで?」
「それは私がゲームで勝ったからで~す」
「膝枕したじゃん!?」
ユウが次を口にする前に2人が割って入ってくる。
「ユウさんだけズルいですよ!!焼肉行くなら俺も!!」
「僕を除け者にしないでください!!僕も行きます!!」
おいちょっと待て?
「仮に行くとして2人は焼肉代どうすんの?」
「「え?奢りじゃないんですか?」」
ふざけんな♪・・・そう思ったが、結局根負けしてこの後に焼肉へ行くことになってしまう。
そしてこの後奴らは人の金なのをいいことに高い部位ばかり食べ、結構な値段になってしまった。
1番厄介だったのは出水、流石男子高校生と言うべきかどんだけ食べるんだって突っ込みたくなるほど食べる食べる。
ユウとソンがあまり量を食べ無かったがそれでも±0ということにはならんかった。
この状況を作ることになったケイは今度シバくと固く決意し、俺は中身がすっからかんになった財布から目を離し夜の空を見上げた。
・
・
・
後日、俺は説教喰らわないように事情と許可を忍田さんに貰い、油断してる奴にドロップキックを浴びせて、倒れたケイを逆エビ固めで始末した。
割と人が多いところでやったので色んなところに情報が出回り、観客が増えて中には写真や動画を撮るものもいたそうだ。
来馬さんや堤さんとかが助けを求めるケイに同情し俺に止めさせようと説得しに来たが
「忍田さんから許可もらってるんで大丈夫です」
の一言と二宮さんおよび加古さんが2人を連れてってくれたので俺は気が済むまでケイを苛めた。
そしてその様子は多くの者の携帯に映像として長く残ることとなるだろう。